カルゴ「落ち着いたか?」
霊夢「…少しは」
水面下で手を繋ぎ、俺に寄り掛かっている霊夢。その目は赤く腫れていて、誰がどう見ても泣いた後の目をしていた。はてさて、子供らにはなんと言おうか…。
霊夢「1つ、聞いてもいい?」
カルゴ「ああ。何だ?」
霊夢「戦ってる時…1回だけ、巫月ちゃんの雷をまともに喰らったのね」
カルゴ「ほう…服の傷みはそれか」
霊夢が巫月のを被弾するだと?何があったのかは知らないが、中々やるじゃないか、巫月。流石、俺が手塩にかけて育てた娘だ。
霊夢「でもその後、身体の痺れが消えていって…指輪が光って…」
カルゴ「弾幕が発射された、か」
霊夢「えっ?」
カルゴ「あれ?違う?」
霊夢「ううん、当たってる…。どうして?」
カルゴ「指輪の基礎の部分は、俺のエネルギーを集めたものだ。電力で型を作って、妖力でコーティングして、金属で仕上げ。蓄電してカウンターするくらいの機能を付与するくらい造作もない」
いや、逆にそれしか出来ないのだが。
霊夢「でもこの前は、あなたの雷喰らったけど…何とも無かったでしょ?」
カルゴ「そりゃ俺の雷以外の雷に反応するようにしてるからな。静電気すら吸い取るぞ、それは。
一定以上溜まるとドカンだ」
霊夢「でも、何年もつけてるけど静電気で暴発はしたことないわ」
カルゴ「静電気なんて微々たるものだ。静電気で手足とかは痺れないだろう?妖力の混じった雷を喰らうとカウンターするけど、自然の雷とかだとただ蓄電するから、めっちゃ溜めれば、俺の弾幕より強いぞ」
霊夢「妖力の混じった雷…?」
カルゴ「俺や巫月、衣玖、屠自古とかが発する雷の事だ。普通の雷じゃないだろ?そういう異質なモノに反応するんだ。分身のは蓄電するだけかもしれないんだけどさ」
分身は俺のエネルギーの塊。俺のエネルギーなら溜めるだけというなら、分身のもきっとそうだ。
瞬時に吸収できなかった分、ダメージを与える。
先日の戦いでもその様子は見て取れた。
霊夢「…そうなんだ…♪」
カルゴ「何かあったのか?」
霊夢「…巫月ちゃんの不意打ちで喰らったけど、弾幕が発射されたから…」
カルゴ「なるほどな…」
霊夢「喰らっても、すぐに痺れが消えていって…指輪が光り始めたの。…それでね、痺れが完全に消えたら、すごい密度の弾幕が発射されて…逆転したの」
一旦は痺れた…ということは、生命に関わるほど強い雷じゃなかったってことか。そうじゃなきゃ喰らうのと同時に吸収するから。
痺れてから吸収なんて機能にしてみろ、自然の雷だった場合、耐性がなきゃ吸血鬼すら危ういぞ。
カルゴ「それだけで逆転したのか?そこまで密度濃かったの?」
霊夢「うん。皆して油断してたから、特にね」
カルゴ「ふむ」
霊夢「またあなたに助けられちゃった♪」
カルゴ「助けたうちに入んねーよ。霊夢のために付与した機能が上手く発動したってだけだ」
…5年後に初めて発動したということは、霊夢はこれまで、膨大なエネルギー量の雷を俺以外から受けた事無かった、という事だ。流石に、段幕は避け慣れているな。
霊夢「あれで負けてたら…大変な事になってた」
カルゴ「どうして?」
霊夢「『5年は博麗神社への寝泊まり禁止』って条件だったから…」
カルゴ「マジか」
霊夢「でも、おかげで勝てたわ…。結局、流れは昔みたいに戻すけどさ」
カルゴ「…うん…」
霊夢「助けてくれて、ありがとうね」
カルゴ「いつでも助けるよ。ただしフランたちと俺の事で喧嘩しないことだ。いいな?」
霊夢「うん、気を付ける」
カルゴ「それならいい」
霊夢「ありがと、エスカルゴ…愛してる…」
水面下で握っている手に力が込められる。俺も、お返しとばかりに握り返し、言葉を返す。
カルゴ「俺も愛してるよ、霊夢…」
少し寂しくなるが、本来あるべき姿に戻るというだけだ。それに、二度と霊夢と会えなくなるわけでも無いのだから、寂しがる必要なんかない。
これからは、より一層心配りに気を付けよう。