※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

436 / 1140
そういえば、前に図書館のシーンを書いた時に、
「Y-SENの棚」っての出したけど、誰も突っ込んでくれなかったな。(野獣先輩)


禍霊夢の暴走

母の飛び立った博麗神社境内では、負傷した娘が作戦を練っていた。が、困惑のためか、なかなか妙案は浮かばないでいた。

 

霊麗「んー…どうしよーね…」

 

霊愛「ったく、急に何なのさ、おかしくなったと思ったら『会いたい』だなんてさー…」

 

霊麗「お母さんらしいけどね…。怪我大丈夫?」

 

霊愛「青タンと擦り傷出来たくらい。こんなの、ツバつけときゃ治るよ。…なんで無傷なの?」

 

霊麗「ううん、私は吸血鬼だから治っただけ」

 

霊愛「あーそーだった…。私は半妖だからなー。まぁいいや、お父さん呼んでくる。どうせ今からお母さん追ったって追いつかないし、紅魔館なら

私1人より戦力あるかもだしね。(半妖の私ですら

こんなに怪我するんだ…今のお母さん、ちょっと危ないなぁ…)」

 

霊麗「私もっ…」

 

霊愛「霊麗は、お父さんがここに来た時のために残ってて。もし来たら、『紅魔館の方に行った』とだけ言っておいて。じゃ、任せたよ!」

 

霊麗「わかったっ!」

 

霊愛(お姉ちゃんなら、もっと良い判断下せるんだろうなぁ…。今日は文の仕事場だったっけ?)

 

妹に簡単に指示を出した霊愛は、妖怪の山にある文の仕事場へと向かった。今日はこの博麗神社であることをよく確認せずに。また、前の日の場所ならば未だに留まっている可能性はあるものの、博麗神社の前は白玉楼である。全く見当違いだ。

 

 

 

 

 

その頃、エスカルゴは─────。

 

カルゴ「おいおいおい、計算合わないぞ!予算と実際の支出も全然合わねぇ!(っていうか早くこれ終わらせて行かねーと…!今日博麗神社の日だし霊夢が待ってるぞこりゃ…。すまん、少し遅れるけど許してくれ…せめてこの計算は…!)」

 

妖夢「食費がああぁぁぁ…!予算の倍って…」

 

妖忌「幽々子様の食欲は、とどまるところを知らないのだろうか…。昔より酷く…ゲフンゲフン、旺盛になっておられる…」

 

妖夢「お祖父ちゃんが居なくなるからでしょ!?もー、しっかりしてよー!」

 

妖忌「儂のせいなのか!?」

 

白玉楼にて、赤字だらけの家計簿を見て、3人で頭を抱えていた。

 

 

 

 

 

禍霊夢「着いタわヨ〜…紅魔館♡」

 

ニタニタと笑いながら、ご丁寧に門の前に着地。

美鈴は、禍霊夢の妖気を感じ取り目を覚ました。

 

美鈴「(霊夢さん…に似た誰か?)あのすいません、

本日は来客の予定は無いはずなのですが…。急用

でしょうか?」

 

禍霊夢「邪魔。邪魔すルナら潰さセてもらウわ」

 

美鈴「ふーむ…生気は霊夢さんですが妖気は霊夢さんじゃないですね。(…いいや、霊夢さんの妖気なんて一度も感じたこと無いですが…。禍々しいなんてものじゃありませんね、これは…)」

 

禍霊夢「エスカルゴはドコ?ココ?」

 

美鈴「紅魔館には居ませんよ。もし居たとしても教えはしませんけどね」

 

禍霊夢「退いテ。私が探スから」

 

美鈴「退きません。侵入者排除は私の仕事です」

 

禍霊夢「はぁ…仕方ナいわネ。力ずクデ退かス。邪符『二人の愛は永久に』」

 

スペルの詠唱をすると、赤黒い弾幕が、幽々子のような螺旋を描きながら向かってくる。ただし、幽々子とは違い、手加減などしていない。触れば酷い痛みを与える。言わば殺し合いで使うような殺傷力の高い弾幕だ。

 

美鈴「むっ……少し守りますか。防備『クラッドアーマー』!」

 

透明な気のバリアを構築する美鈴。しかしそれを見た禍霊夢は、即座に攻撃を切り替える。

 

禍霊夢「もういイ、終ワラせる」

 

美鈴「速────がはぁっ…!?」

 

瞬時に接近した禍霊夢は、強化した拳を、美鈴の腹へとめり込ませ、連続して拳を叩き込み、遥か後方に吹き飛ばす。普通の人間と比べて、かなり強靭な美鈴の肉体といえど、禍霊夢とは力の差がありすぎるために、力負けしてしまったのだ。

吹き飛ばされた美鈴は、守っていた門を壊して、更には玄関の扉をも彼女の背中で壊してしまう。

 

美鈴「ぐぅっ……強い…!」

 

屋内でガラガラと瓦礫をどかしながら、ボロボロになった美鈴は立ち上がる。しかし、その場に、銀髪の吸血鬼メイドが時間操作をして現れる。

 

咲夜「美鈴!?何があったの!?」

 

美鈴「霊夢さんが狂気に目覚めました…それで、門が即、突破されてしまい…!」

 

咲夜「!?」

 

驚き、目を見開く咲夜。そこにカツカツと瓦礫を踏み鳴らしながら、禍霊夢が紅魔館に侵入する。

 

禍霊夢「狂気ィ?私はソんナノ知らなイわヨぉ」

 

咲夜「!?何よあの見た目…酷いわね…。美鈴、狂気って本当なの…?見た目は違うけど、正気…だと思うんだけど?」

 

美鈴「いいえ…。殴られて(接近されて)気付きましたが、あの妖気は、狂気が発現したときのエスカルゴさんの妖気に酷似しています…!」

 

咲夜「……!そうか、霊夢は旦那様の眷属に…!ならあなたの銀のナイフで狂気を祓えば───」

 

美鈴「それが……」

 

咲夜「!!」

 

美鈴へ目をやった咲夜は絶句した。美鈴は既に、銀のナイフを手にしていたのだ。しかしその刃は禍霊夢によって粉微塵に砕かれていた。

装備していたナイフ3本、全てだ。

 

咲夜「…仕方ないわね。力で捩じ伏せましょう」

 

美鈴「わかりました!」

 

目を合わせて小声で会話する2人。だが禍霊夢はその隙に接近し、2人の目の前に来ていた。その手には強化されたお祓い棒が握られており、お祓い棒までもが邪な気配を発していた。

 

禍霊夢「誰ヲ力で捩じ伏セるっテ?」

 

咲夜「なっ……ぐぁっ!」

 

美鈴「咲夜さ…きゃっ!!」

 

2人は棒で殴られ、それぞれ左右の壁に叩きつけられてしまう。と、そこに、館の主とその妹と、もう1人のメインのメイドと、主の娘が、エントランスに到着する。禍霊夢は美鈴と咲夜から目を離し、たった今到着した4人を見やる。

 

レミィ「ど、どういうこと?あれは霊夢…?」

 

フラン「何か酷い妖気を感じるわ…」

 

レーテ「おかーしゃま、怖いよ…」

 

弦月姫「お嬢様方はここで待機なさって下さい。ここは私が!メイド秘技『殺人ドール』!」

 

4人の中から飛び出し、弦月姫が禍霊夢の相手をする。しかし禍霊夢は先程とは打って変わって、弾幕を避けこそすれど、弦月姫に攻撃を与えようとはしない。好機と咲夜は睨むが、そこに事情を訪ねようと主がやってきた。

 

レミィ「これはどういう状況?あの霊夢は何?」

 

咲夜「わかりません…。美鈴によれば霊夢の中の狂気が発現したそうですが…」

 

レミィ「何でこうも狂気持ちが多いのかしらね、ここ数年の幻想郷は…。でも、狂っている感じがしないわね。本当に狂気?」

 

咲夜「“気”に精通している美鈴の言葉ですから、信用していいかと思われます」

 

レミィ「…美鈴は向こうの壁で気絶している…。咲夜も少し休んでなさい」

 

咲夜「しかし────」

 

レミィ「私とフランでやるわ。レイチェルを頼むわよ、咲夜。私の戦い方を、レイチェルに見せてあげなければね」

 

咲夜「…御意」

 

レイチェルは咲夜に抱きつき、咲夜もまた、レイチェルを優しく抱きしめる。

 

レミィ「やるわよ」

 

フラン「はーい」

 

レミィ「弦月姫ちゃん、下がりなさい。あとは、私とフランでやるわ」

 

弦月姫「…!はいっ!」

 

禍霊夢「……」

 

弾幕を発射していた弦月姫が飛び退き、禍霊夢は手持ち無沙汰となり一瞬キョトンとするが、すぐ構え直し2人を迎え撃つ準備をする。

 

レミィ「あの戦い以来かしらね、霊夢?突然館に襲撃だなんて、何が目的かしら?」

 

禍霊夢「私のエスカルゴはどコに居るのカシら?」

 

レミィ「皆の(・・)、ね。今日はここに来てないわよ。別なところに行くことね」

 

禍霊夢「…疑わシイ…。少し探さセテもラウわ」

 

冷めた目で2人を見る禍霊夢。元より、信じる気などはサラサラ無く、彼を探すことだけが、今の禍霊夢の目的だった。だからこの問いには大した意味は無い。

 

フラン「この先は行かせないよ!えぇいっ!!」

 

禍霊夢「鬱陶しイッ!霊符『夢想封印 禍』!!」

 

フラン「きゃっ───…」

 

レミィ「フラ…くっ、紅符『不夜城レッド』!」

 

普通の弾幕を発射したフランに対して、禍霊夢は高威力なスペルを使用する。しかも今回は妖力を抑えるという封印効果付きだ。レミリアも懸命に掻き消そうとしているが、禍霊夢の膨大な霊力と妖力には抗えず、その身に次々被弾してしまう。

 

レミィ「あぐっ…ぐああぁっ…!!」

 

彼女たちの弾幕は妖力主体。しかし、その妖力が抑えられてしまったら、弾幕の発射ができない。彼女たちは、抵抗する術を失いつつある。いや、妖力は弾幕のみならず妖怪そのものの要。それが抑えられれば制圧は容易い。霊夢のように複数の力を持つ妖怪自体が、イレギュラーなのだから。

並々ならぬ強さを持つレミリアたち吸血鬼とて、妖力を主としているので、それが封じられた今、彼女たちは見た目通りの子供だった。

とうとう力が入らない程まで封じられ、フランやレミリアはその場にへたり込んでしまう。

 

フラン「力、入らないよぉ…」

 

レミィ「おかしな効果付きじゃないのよ霊夢…。私たちをどうする気…!?」

 

禍霊夢「どウもコウも、私のあノ人を探すコトが目当てだカラねェ…殺しハしなイわヨ?」

 

レミィ「今日は居ないってば…!」

 

禍霊夢「私が自分デ探すかラ、あんタらはそコデヘタっててイいわヨ」

 

ズンズンと中へ足を進める霊夢だが、その先に、メイドの母娘がナイフを構えて立ちはだかった。その構えは鏡写しのように正反対であり、しかし禍霊夢に対する敵意は全く同じだった。

 

咲夜「この先は行かせないわよ、霊夢」

 

弦月姫「行かせない…です!」

 

霊夢「……夢符『二重結界』」

 

弦月姫「えっ…か、身体が…っ!」

 

2人の言葉には、大した返事もせずに、スペルの詠唱をのみをして、弦月姫の動きを封じる。当然ながら咲夜は焦りを見せる。何故なら、普段なら霊夢がそのスペルを使う時は己の身を守る時で、このように、動きを封じるために結界のスペルを使用したのは咲夜にとって初めてだったからだ。

 

咲夜「弦月姫!?」

 

禍霊夢「霊符『夢想封印 禍』」

 

咲夜「しまった────!!」

 

一瞬の隙を突かれてしまった咲夜は禍霊夢により妖力を封じられ、レミリアとフラン同様に、床にへたり込むより他なくなってしまう。

 

禍霊夢「サテ…と」

 

レーテ「ひっ…!」

 

レミィ「レイチェル…!やめて霊夢!やめて!」

 

エントランスの隅でガタガタと震えている娘に、禍霊夢はその目を向けた。それに危機感を覚えたレミリアは匍匐前進で接近しようとするも、力が入らず言葉でしか反抗できない。

 

咲夜「動いてよ、私の身体…!」

 

力が足りなければ時間も止められない。それは、行動を封じられている弦月姫とて、同じである。また、戦闘訓練はしているものの、あまりに突然なことで、まだまだ幼いレイチェルに正常な判断が下せるはずもない。

 

禍霊夢「ネェ」

 

レーテ「こっ、こないでぇ…うぅっ…こわいぃ…たすけて、おかーしゃまぁ…!」

 

レミィ「レイチェル…!今行くから……!!」

 

禍霊夢は、無言でガタガタと震えるレイチェルの頭に手を伸ばす。レミリアやそれを見ている他の者たちも、皆一様に恐ろしい未来を想像する。

しかし、禍霊夢の行動は少し違った。

 

禍霊夢「…ゴめんネ」

 

レーテ「え……?」

 

禍霊夢は、レイチェルの頭に優しく手を乗せたと思うと、あろう事か、謝罪の言葉を述べたのだ。その発言と行動に当然レミリアたちは困惑する。

 

禍霊夢「アノね…?あなタのお父さンを探すだケだかラ、通してホしイノね?」

 

レーテ「…でも…」

 

チラリとレミリアを見るレイチェル。しかし当のレミリアは、レイチェルの安全のためにコクコクと首を縦に振っている。

 

レーテ「…わかった。いーよ。いないけど…」

 

禍霊夢「そウ。ありガと」

 

本当ならば家探しさせるような真似はレミリアにとっては本意ではない。それでも、娘の安全には変えられないのだ。

 

レミィ「待ってよ、霊夢…」

 

禍霊夢「はぁ…マだ何か文句あンの?」

 

屋内へ進み始めた禍霊夢に声をかけると、彼女はすぐ立ち止まり、あからさまに面倒臭がるような目線をレミリアに向ける。

 

レミィ「何故レイチェルに何もしなかったの?」

 

禍霊夢「何かシテほしかっタの?」

 

レミィ「そういう訳じゃないわよ。でも…弦月姫ちゃんにも何もしてないじゃない。動きを封じただけで。その理由が知りたいだけよ」

 

禍霊夢「…アイツの子供だかラよ。アイツの子供にハ、手を出さナイって決めテるの」

 

それだけ答えると、彼女は早足で屋内へ消えた。

当然ながら彼は紅魔館にはおらず、大きな妖気の探知も出来なかった禍霊夢は、自分が壊した正面玄関から、堂々と飛び立って行った。

その間もレミリアたちは動けないでいた。しかし禍霊夢が館を出ると同時に、弦月姫にかけられた結界が解除され、自由の身となった弦月姫は母や主、主の妹、門番などの介抱に当たった。

 

禍霊夢「次は…永遠亭にデモ行コうかシら?」

 

 

 

その頃、彼女の追い求めている彼は、未だ予算と支出の計算に追われていたそうな………。




☆次回、禍霊夢vs賢者────!?

さて、永遠亭といえばあの方ですな。賢者さんは禍霊夢に対しどのような対応をするのでしょう。
神対応?紙対応?塩対応?はたまた戦闘?



禍霊夢設定(本作品での設定。深くはない。)
吸血鬼霊夢の狂気が発現した姿。普段抑えている反動で大変禍々しい妖気となり、通常弾幕ですら相当な威力となる。その威力は、「弾幕ごっこ」ではなく「殺し合い」に限りなく近い。
霊夢に狂気がある理由は、霊夢を吸血鬼に変えた吸血鬼(エスカルゴ)が狂気を持っていたから。
理性はあるが、思考がぶっ飛んでいる。言わば、別人格のようなもの。また、彼への愛からか彼の子供には手を出したくないと思っている模様。
狂気を操れる段階に来ていないので、もしここで霊夢の狂気が覚めても彼女の記憶には残らない。
そこも、フランのような純粋な狂気と彼のような少し違う狂気の違いである。
霊夢の狂気はエスカルゴ譲りである。迷惑な…。

(補足の説明)
レミリアは狂気を持っていないので、彼女の眷属である咲夜は、狂気をその身に宿してはいない。
…が、彼女と彼の娘の弦月姫は、受け継いでいる可能性がある。彼の血が強ければ強いほど狂気を持っていて、発現する確率が高い。
現在彼の子供たちで狂気に目覚めているのは巫月のみであるが、これは一重に「エスカルゴの血を強く継いでいるから」とも言える。





MUGENの設定は使ってません。MUGENの禍霊夢じゃなく、ただの「博麗霊夢の覚醒形態」とか、そんな感じで捉えて下さい。要は、本作品で出てくる禍は俺が考えたオリキャラ的位置付けです。
禍々しい霊夢の略で禍霊夢です。
まぁそっちの方もそんな感じなんだと思うけど。
なのでMUGENの方と比べるのはやめて下さい。
二次創作と原作を比べるなら兎も角、二次創作と二次創作を比べられるのは個人的に不愉快です。

そっちの設定を使う気がない。つまり調べてすらいないので、「いやMUGENの禍霊夢は(ry」とかそういうコメはやめて下さいね。
「調べてからキャラ使え」ってのも、やめてね。上記の通りここではオリキャラ扱いしてるので。
あくまでも「吸血鬼霊夢が狂気に目覚めた形態を禍霊夢と呼んでるだけ」です。
つまり同名の別人ってわけですね。
変なコメは迷惑ですし不愉快なんでやめてね。

その他、質問や意見があれば、いいよ!来いよ!

ところで、そろそろルーミアのリクのを書きたいんですが、1人しか反応が無いんですよねぇ…。
他の人は「作者に任せるよ」ってことね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。