禍霊夢「到〜着♡ きっトコこネ♡」
竹林を破壊しながら真っ直ぐ突き進んだ霊夢は、永遠亭の前に到着し、扉に手をかける。
禍霊夢「ッッ……!」
しかし、結界に阻まれた禍霊夢は、顔をしかめて手を引っ込め破壊しようと構える。と、そこに、結界を張った術者、八意永琳が現れる。
永琳「あらあら…禍々しい妖気が近付いてきたと思えば、あなただったのね、霊夢」
禍霊夢「邪魔ヨ、永琳」
永琳「…?どうしてそんな姿になったのかしら」
禍霊夢「アノ人はどコ?コこに居ルンじャナい?隠し立テスるトためニナらナいワよ?」
永琳「残念ながら今日は来ていないわ。私が反撃する前に帰って、次は正気で来なさい」
禍霊夢「ウるサイ、私ハ正気よッ!!」
永琳「エスカルゴよりかはまともねぇ。ふーん、ちょっと面白いわ」
土を高々と舞い上がらせるほど強く地を蹴って、弓を持つ永琳に接近する禍霊夢。しかし、流石は永琳。落ち着き払った様子で、自身の周りに球形の結界を展開すると、彼女の攻撃を難なく弾く。
禍霊夢「チィッ…邪魔くさイわね、そノ結界…。面倒ネ、こレでやるワ。霊符─────」
『夢想封印 禍』を発動しようとする彼女に永琳は言葉で宥めようと試みる。
永琳「落ち着いて?本当にここには居ないのよ。また別な場所に居るの」
禍霊夢「うルサイウるサいうルさイ!!探スの!私が自分デ探すノよッ!!」
永琳「はぁ…それじゃ滅茶苦茶非効率でしょう。折角だし、エスカルゴの居場所教えてあげようと思ったのにな〜。どうしよっかな〜?」
わざとらしく笑い、ニヤついたまま彼女を見る。
通常の彼女ならば、そんな言葉には耳を貸さないだろうが…今の彼女は違う。
禍霊夢「ホント!?教えテ!今すグ教えなサイ!チッ、邪魔なのヨ、この結界ィィィッ!!!」
永琳に掴みかかろうとするが、やはり結界がその手を阻み、バチバチと強く弾く。永琳は、未だに結界を攻撃し続ける霊夢に対して、落ち着いて、対応を始めた。結界が破られる心配など、微塵もしていないらしい。
永琳「さて、霊夢?ここに、月の技術で作った、特別な水晶玉があるわ」
そう言って懐から水晶玉を取り出す。それを見た禍霊夢は、一旦は落ち着くが、またすぐに攻撃を再開した。すると永琳は脅しをかけるように言葉を返す。
永琳「10秒でいいから落ち着きなさい。落ち着かなかったら居場所は教えないわ」
禍霊夢「…チッ…足元見て…。覚エてナさい…」
是が非でも居場所を知りたい禍霊夢なので、そう言われてしまっては落ち着くかさらに暴れるかの2択だろう。永琳は上手くそこを突き、さらには落ち着かせることに成功した。
永琳「いい子ね。…この水晶玉は、豊姫の能力を応用した物でね。遠くの様子や探したい人を探すことに使えるのよ。悪用されないよう持ち主しか扱えない仕様なんだけどね。とりあえず、白玉楼辺りでも見てみましょうか」
突如、水晶玉は光り輝き、白玉楼の玄関が映る。
白玉楼の玄関では妖夢、妖忌、エスカルゴの3人が和やかに会話していた。
永琳が一発で
禍霊夢「何で白玉楼────…あぁっ!」
結界に触れないよう、禍霊夢なりに気をつけて、水晶玉を見ると、その様子を見るなり、白玉楼に向けて飛び立とうとする。
禍霊夢「白玉楼かぁ…♡」
永琳「まだ約束の10秒経ってないわ。ほら、彼の行動を見なさい。動くのはそれからよ」
禍霊夢「行動ォ〜…?あ……!」
話し終わった彼は、スキマを開いたのだ。今から白玉楼へ向かっても、到底間に合わない。つまり彼の行き先を見るしかないのだ。
永琳「角度変えましょうか。そうすればスキマの出口が見えるからね」
禍霊夢「早く!早く変エテぇぇっ!!」
永琳「焦りなさんな。ほら、どう?あなたなら、この景色がどこなのかわかるんじゃない?」
ガランとしている境内。正面にはお賽銭箱がありその前には紅白の巫女服を着た幼女がちょこんと座っている。
また、その幼女の背中からは翼が生えている。
禍霊夢と彼の次女、霊麗である。
禍霊夢「博麗神社だぁ♡ あはぁっ♡」
その様子を見た禍霊夢は、ドゴッと轟音を立てて地面を蹴って空に飛び立ち、永琳でもすぐに姿を見失う速度で神社へ向かって飛んでいった。
永琳「あーあ、竹林が滅茶苦茶ね…。成長促進剤でもぶっかけてやりましょ。…ウドンゲ居るー?ちょっと仕事頼みたいんだけどー?」
カルゴ「ん…?」
博麗神社に到着した俺は、神社の異様な雰囲気に気付き、眉をひそめる。賽銭箱の前では、霊麗が寂しそうな顔で座っていて、しかもこの境内には邪悪な妖気が風に流されるでもなく残っている。
そして彼女は俺の到着に気付くなり、軽い足取りでこちらに走ってきた。
霊麗「お父さんっ!」
カルゴ「どーした霊麗?なんでそんな所に?」
霊麗「あのね、お母さんが急におかしくなって、お父さんを探し始めたの!」
カルゴ「霊夢がおかしくなった…?」
霊麗「うん!それで、紅魔館の方に────…」
カルゴ「紅魔館だな、よし分かった!」
霊麗「待って!」
スキマを開こうとする俺だが、霊麗はそんな俺の腕を掴んで引き止める。
カルゴ「どうした?」
霊麗「近付いてくる…お母さんが…。この妖気、間違いないよ」
彼女の言葉を聞いているうちに、俺にも遠くから接近してくる妖気を感知した。並々ならぬ速度で飛来してきているらしい。強さも尋常ではない。
カルゴ「おお、来たか霊………夢?」
俺の前に現れた霊夢の容姿は、明らかに普通ではなかった。
☆賢者、言葉と結界のみで禍霊夢を圧倒───!
戦わずして勝つ、これが本当の賢者……!