魔理沙「よーっす、
霊夢「いらっしゃい」
ある日、魔理沙は転送魔法にて博麗神社に遊びに来た。魔理沙は、そこまで横着者ではないので、転送魔法を習得してからも箒に跨り移動しているのだが…何分今日は普段よりも冷え込む。故に、今日は転送魔法を使用して楽をしたらしい。
偶には楽をしたって、バチは当たらないだろう。
そして、彼女は屋内に入るなり、辺りを見渡す。
そこに居るのは、コタツで暖をとっている霊夢の姿があるばかりであった。
魔理沙「…あれ?エスカルゴと霊愛たちは?」
霊夢「エスカルゴは屋根で昼寝してるわよ。霊愛たちなら、紅魔館に遊びに行ったわ。噂の双子を見に行ったんでしょ」
魔理沙「あぁ〜、そういや新聞に載ってたなぁ。でも、ちゃんとした血の繋がりは無いらしいから親子じゃ無いんじゃないか?」
霊夢「さーね」
俺は、ここあとシガレットの双子の姉妹を彼女に産んでもらった次の日から、各家庭に行く際にはその説明をした。レイチェルの時に、秘密にしておくと後が少々厄介だと学習したからだ。いや、姉妹間の蟠りなどそういう話ではない。文や鈴仙などの、他の嫁・彼女たちからの風当たりが少しキツかったのだ。
妖夢から「サプライズしたかった気持ちはわかるけど、子供とかなら話してほしい」と言われた。
その通りだ、と思ったので、今回は話したのだ。
当然ながら文にも話したので、彼女はその翌日に紅魔館に取材に行った。
レイチェルの時は文がお披露目会の会場に居た、というのもあるし、今回は、生まれた時から成体という事も伝えたから、本人たちからも何か話を聞きたかった、というのがあるのだろう。
白玉楼でその話をした際に、妖忌の逆鱗に触れ、またも決闘を申し込まれたのは、また別の話だ。
霊夢「私は、血の繋がりとかそんなことに興味は無いわ。本人からも聞いて把握してるし。まぁ、アイツは子供として認知してて、数にも入れてるらしいけどね」
魔理沙「…って事は、アイツの子供の数は11人になるってワケか。多いな…。んじゃ、ちょっくらエスカルゴ借りるぜ」
霊夢「また挑むの?死なない程度に頑張ってね。応援してる」
魔理沙「応援してるようには聞こえんが、まぁ、素直に受け取っておくよ」
ニッと笑い、帽子を被り直して縁側から外に出る魔理沙。屋根へ飛び上がろうとした彼女は、一旦屋内の霊夢を振り向き、こう告げる。
魔理沙「…今日は、いつもの私とは違うぜ」
霊夢にも聞こえるような声量で呟いた魔理沙は、静かに襖を閉めて屋根へ登った。
霊夢(魔理沙には勝って欲しいけど、アイツにも負けて欲しくないのよねー…。でも、魔理沙にも負けて欲しくない。なーんか、複雑ねぇ…)
魔理沙「おいおい、そんな所で寝てるってマジの話だったのかよ」
カルゴ「ん…?おー魔理沙…おはよ。どした?」
魔理沙の声を聞き、俺はムクリと身体を起こす。
手が悴むほどでは無いが少し身体が冷えている。
魔理沙「久しぶりに挑みに来たんだ。いい加減、お前に勝ちたいからな」
カルゴ「おー…数ヶ月ぶりじゃん。最近はあんま挑んで来ないから、飽きられたのかとカルちゃんしょんぼりしてたんだぜ?」
魔理沙「全然そうは見えないが。…ところで何でこんな日に屋根で寝てんだよ?」
カルゴ「夏と冬は俺の季節。ここに居りゃ、普段よりも早く、自然に充電されるんだ。まぁ、もう充電の必要は無いんだけどね」
魔理沙「…?イマイチわからんな。まず夏も冬も苦手じゃなかったか?暑さと寒さはダメだし」
カルゴ「夏は雷、冬は静電気。そういうことだ」
魔理沙「ああ、なるほどな。だが『充電の必要は無い』って言葉が引っかかる」
カルゴ「…そこは、戦いながら教えてあげるよ。さて、そろそろ降りよっと」
ペチン、と軽く頬を叩いて目を覚まさせた俺は、立ち上がって埃を払い、境内に降りる。縁側にはお茶と煎餅を用意した霊夢が控えていた。
カルゴ「おやおや。面倒臭がりな霊夢が寒い日に縁側でお茶とは。どういう風の吹き回しだい?」
霊夢「別に。あんたが私以外の奴に負けないか、監視に来ただけよ」
マジでやる気出るわ〜…流石、俺の嫁ですわ…。
身体は冷たいが心は熱いぞ…むふふふ…♪
魔理沙「私のこと応援してなかったか!?やっぱ応援する気なんて無いじゃんかー、もー!」
霊夢「どっちも頑張れって言ってんの。あんたら2人の勝敗なんて私には関係無いけど…見といて損は無いし。単に興味あるし」
カルゴ「俺の勇姿が見たかったとか?ふふふ♪」
霊夢「はぁ!?別にそんなんじゃないし!この…バーカ!!見ててやんないわよ!?///」
カルゴ「『バーカ』…って…何の捻りもねぇな。
………ま、見ててくれよ。霊夢が居りゃあ、俺が負けることは無いさ。たとえ魔理沙が相手でも」
魔理沙「ふっふふ〜…。だが今日の私には、勝つ秘策があるんだぜ!お前次第だが!」
カルゴ「俺次第?」
魔理沙「…恥を偲んでお前に頼みがある。お前の複数ある力のうちで、2力だけで戦ってくれ」
カルゴ「別にいいけど理由を教えて欲しいな」
魔理沙「即答かよ…。正直…その、なんだろ…。お前さ、暴走とか闇堕ちとかで自己強化をして、何度か館が壊れかけたり、死にかけたりしたろ?それだと、命のやり取りになりかねないからな、もっと安全な場所でやるべきなんだよ。……と、今朝思いついたんだ」
カルゴ「じゃ、どっか行くか?」
魔理沙「いいや、霊夢が居るなら境内でやろう。だから力を制限してくれ、普段のお前ならできるはずだろう?だが闇堕ちや暴走だとそんなことはほぼお構い無しだ。…まぁ私が危ないからだが。へへへっ♪」
カルゴ「それが本音だろ。…確かに周りの危険はあんまり考えたことがなかったな。神社は霊夢が守るだろうが自然がめちゃめちゃになる。ふむ。よし、その話にノろう」
魔理沙「よっし…!」
魔理沙の事だし、何か悪いことは企んでいたりはしないだろう。何かしらの力を封じれば俺に勝つ秘策があるのかもしれない。ならば俺のさらなる強化の礎としてそれを受け止めてやろう。
魔理沙(封じる力は2つ。あまり制限した所で、面白みに欠けるし、倒し甲斐がない…。それでも力を封じてもらうのは少ない力でお前がどう戦うのか観察するため。今までの私は、ただ正面から向かって行っただけだ。でもそれじゃ相手の力を測ることは出来ない。戦い方を見なければな)
カルゴ「んで、封じる力は俺が決めていいの?」
魔理沙「ああ」
…うーん、俺が決めたら、俺に有利になるように決めるに決まってるだろ…純粋だなぁ…。
カルゴ「いいや。魔理沙が決めていいよ」
魔理沙「へ?何で?」
カルゴ「悔しいが、今の俺は、暴走か闇無しには魔理沙に勝てない。…多分。そこで、その2つの力から手を離そう、という訳だ。…まぁ、これはあくまでも提案だからね、ちゃんとした条件は、魔理沙が決めていいよ。余裕って訳じゃないが、体術だけなら、ほぼ確実に魔理沙の方が致命傷を負うだろうからな、せめて弾幕を放てるタイプの力にしてくれると助かる」
魔理沙(…!そういやコイツ、最近私と戦う時は毎回暴走か闇堕ちのどっちかを使って、ゴリ押ししてたな…!何故そこを見落としていたんだ私!もう答えは見えてるじゃんか!コイツの戦い方は
『力で圧倒』!だからそれを封じればいいんだ!本当なら私だって正々堂々と戦いたいけど、今の私には無理だ。下手をすれば事故で死ぬ。それは私がパチュリーほどのレベルに達してからだな。それか、強い魔法を身に付けてモノにした場合。強者にも屈しない、それが私。だが、命が絡めばいくら私でも信念を曲げるしかない。だってまだやりたい事があるんだ、死んでられるかっての。身の丈にあった戦い方をしなければな。だから、私が封じるべきアイツの力は………)
カルゴ「…そんなに悩むか?」
魔理沙「いや、決めたぜ!暴走と闇堕ちは禁止!どーだ!」
カルゴ「…2力だけで戦うんだろ?それだと2力だけを封じることになるが」
魔理沙「お前の力が多すぎて混乱してんだよ…。何の力があるんだっけ?」
カルゴ「妖力、電力、闇、魔力、霊力、体力に…重力、精力かな?」
魔理沙「8つもかよ…。いや待て、サラッと暴走抜かしてるじゃんか!あと体力って!それ違う!精力っての、聞いた事無いが多分違うよな!?」
カルゴ「暴走は俺の体質だよ。もしくは、妖力にカウントだな。暴走時の妖力は溢れてくる感じがするから、妖力のリミッターが解除された姿が、暴走なんだろう。正しくは狂気だがな」
精力を聞いた事がないとは…純粋だなぁ…。俺の手で純粋無垢な魔理沙を汚したいな…とかそんな事は思わないが、その純粋さには素直に脱帽だ。
ちなみに、「暴走=妖力のリミッター解除説」は俺の仮説ではない。パチュリー、霊夢、それから母さんの仮説を合わせた結果、こうなった。多分これで正解だと思う。霊夢の暴走した姿を見れば何となく確信できた。
魔理沙「なるほどな。じゃあ…電力と魔力、この2力だけで戦ってくれ!」
カルゴ「っ…!」
クソ…中々痛い所を突くじゃないか、魔理沙…!
魔理沙「魔法の訓練、してるんだろ?私にもその成果見せてくれよ。ちなみにお前の訓練のことはパチュリーから聞いてるんだぜ」
カルゴ「白蓮みたいに、魔法で強化するかもな」
魔理沙「自己強化の魔法は練習していない。そうパチュリーから聞いている」
カルゴ「………参った」
魔理沙「お前の習得した魔法の9割はパチュリーから聞いている。対策もバッチリだ。雷の方は、出会ってからずっと見てきた。……こっちの方はバッチリとは言わないが、対策はあるにはある」
やれやれ、本当にやれやれだな。自分で言った事だが、それに負けそうになってるぞ。…まぁね、霊夢が居れば負けることは無いけどね。
が、ヤバい状況なのには変わりないな。
妖力×→狂気が使えない
闇×→闇堕ちが使えない
霊力×→神の力を借りる事が出来ない
重力×→押し付けられない
まだ開いていない「刻まれた記憶」があっても、キツい状況だ。伝説の軍師・諸葛亮孔明よ、俺に知恵を授けて下され〜……なーんてね。
俺に諸葛亮は必要無い。必要なのは力だ。何事も可能にする力が。いつの日か、単体で神を超えてみせる。八百万にせよ異国にせよ唯一神にせよ、神が敵にならないという確信は無いんだからな。
神の力ではない力で神を制したい。…それには、もっと俺自身が強くなる必要がある。まぁ、単に俺が負けず嫌いなだけだがな。
電力は雷神級になった。が、雷神
神様そのものの力ではないのだ。
母さん、建御雷、諏訪子から力を借りて神になることも出来る。月で発揮して、この前は魔理沙を蘇生した時に成ったあの形態だ。だが、どうやら99%は神であって、純粋な神ではなかったとか。
母さん曰く「眷属の限界」らしい。
それでも神に相違ない力である事は間違いない。
ややこしいが、簡単に言えば「眷属と神は、似て非なるもの」というワケだ。
それでも俺はあの形態になったなら神を名乗る。
…ただの意地だ。
母さんたちからも神を名乗る許可は得ているし。
魔理沙「どうした?えらく考え込んでいるな」
カルゴ「魔力と電力でどう戦おうかを、ね」
母さんから受け取った「刻まれた記憶」にはこう記されている。
「リミッターを解除せよ」と。
神(建御雷)の眷属となったエスカルゴは、神に近い力を操れるようになった。
「量」は雷神級でも、「質」は………?
魔力と電力のみで、「対策」を講じた魔理沙に、どう立ち向かうのか…?
霊力を封じられれば力を借りることは叶わない!
さぁどうする…!
魔理沙は悪くないんですよ。一度でも死んだら、蘇生できない(と思ってる)から、命を守る為に彼に枷をつけたわけです。
彼、ヒッドイ暴走癖があるからね。まぁ彼自身は何か壊そうとしてなくても、流れ弾がね…(白目)
しかし魔理ちゃんは自分が力をつけたら正々堂々戦いたいと思ってる良い子なので…!!
魔理沙は良い奴なんだよォッ!!!