俺と魔理沙の戦いは、熾烈を極めていた。何度もレーザーをぶつけ合って、互いに互いの背後へと回り込んで、付け入る隙を伺う。俺が移動速度を上げても、魔理沙は俺を越える速さで移動する。
カルゴ「そら、喰らえ!」
魔理沙「こっちだぜ!」
カルゴ「またっ……」
何故そんな速度が出せるのかとずっと考えていた俺だったが、何度も回り込まれやっと理解した。瞬間移動だ。彼女は恐らく、転送魔法を改良し、一瞬で移動しているのだ。
あくまでも仮説だが一番しっくりくる説である。
カルゴ「混合武器『雷槍&雷爆』!」
ドドドドッと触れれば爆発する槍を放ち、彼女の様子を見守る。
魔理沙「恋符『マスタースパーク』!!」
極太レーザーでそれを一蹴した彼女はまたも姿を消し、俺の虚を突こうとする。
カルゴ「もう流れは読め……」
振り返りざまに背後にも槍を放つが、そこに彼女の姿は無く、代わりに彼女の声が降ってきた。
魔理沙「星符『ドラゴンメテオ』!!」
カルゴ「やべ…ぎゃあああああああっっ!!!」
頭上からレーザーを放たれた俺はそれを回避することは叶わず、モロに攻撃を食らってしまう。
死ぬかもと思ったが、顔を庇った左手が消し飛ぶ程度の怪我で済んだ。この程度なら即刻回復だ。治癒魔法を使用するまでもない。
カルゴ「ったく…瞬間移動とはキッツイなぁ…。動きがまるで読めん」
魔理沙「やっぱお前頑丈だな…。確実に上半身は吹き飛ばしたと思ったんだが」
カルゴ「そりゃあ、勇儀に殴られても全身骨折で済んでるからな。強いだろ?」
魔理沙「む…?全身骨折…あ、あぁ…強いのか?強くは聞こえないが…」
カルゴ「魔理沙が勇儀に殴られたらどうなる?」
魔理沙「…なるほど。私ならほぼ確実に死ぬな。やっぱ吸血鬼って強いな」
カルゴ「俺は特に打たれ強いからね。色んな奴と戦ってきたおかげさ」
魔理沙「そりゃーご苦労なこった」
カルゴ「その中には魔理沙も入ってるが…な!」
魔理沙「ッ!!魔砲───」
地を蹴り、気を取られている魔理沙に肉薄する。
真正面から突っ込んでくる俺にミニ八卦炉を向け魔力を流し込む。その刹那、ミニ八卦炉の中心が煌めく。レーザーが発射されようとしていた。
俺はその直前に、背中の妖魔雷霊剣を抜き、剣を魔理沙に向ける。
カルゴ「『
魔理沙に届く、と思った瞬間、ミニ八卦炉からもレーザーが飛び出し、俺のレーザーとぶつかる。
魔理沙「『ファイナルマスタースパーク』!!」
一際太く激しくなったレーザーは、電力と魔力を周囲に飛び散らせながらぶつかり合う。俺はもう全力を出している。擬似雷神化してリミッターを解除したのだから。しかしそれでも魔理沙のこのファイナルマスタースパークを押し返せない。
魔理沙「まだまだァァァァッ!!」
カルゴ「…っ!?うおおっ…押されてる…!?」
魔理沙「よし…!だが油断はしないぜ!」
カルゴ「っ……」
俺の背後には神社がある。つまり今ここから移動すれば結界にダメージがいってしまうのだ。なら俺はここから動くことが出来ない。この攻撃力は霊夢が軽い気持ちで張った結界の耐久力をゆうに超えている。
魔理沙「これでトドメを刺してやるぜッ!!恋心『ダブルファイナルマスタースパーク』!!!」
超極太レーザーの隣に魔法陣を出した魔理沙は、そこからも同じ太さのレーザーを発射してきた。つまり攻撃力は2倍である。
カルゴ「うおおおおおおっっっ!??」
魔理沙「ハハハハハハハ!!!どうだ!!これが修行の成果だぜえええええッッ!!!」
その2本のレーザーを受けた俺は、先ほどよりも強く押され始めている。いくら条件があるからといっても、こういう打ち合いでは負けたくない。
カルゴ「もっと…もっと出ろォォォォッ!!!!うおおおおおおおおっっっ!!!」
声を張り上げ、剣を媒介して力を注ぐ。しかし、その瞬間を待っていたかのように、魔理沙はまた瞬間移動を使った。おかげで、俺のレーザーは、何も無い空間を通り、神社の鳥居を破壊する。
霊夢「鳥居がああああああああああああ!!!」
境内に霊夢の金切り声がこだまする。しかしその声に返事をしている余裕はないので、俺は消えた魔理沙の位置を予想し剣を空に向ける。
魔理沙「こっちだ!!」
カルゴ「────ッ!!」
背後に居た。そして魔法陣とミニ八卦炉は、当然ながら俺に向けられている。更に、続きと言わんばかりに発射してくるが、俺の行動が一足早く、俺と彼女の間にスキマを開く。そのスキマの先は魔理沙の背中だ。
カルゴ「…あれ?」
2本の超極太レーザーは確かに魔理沙に直撃中。なのに彼女がダメージを受けている様子はない。
魔理沙「ハッハハハハハハッッ!!!私の攻撃が私に効くはずが無いだろう!!ハハハハハ!!」
カルゴ「ちょっ─────」
俺と魔理沙は向き合っている。そして、スキマは魔理沙の背中側にある。つまりレーザーは俺にも向いている。
カルゴ「しまったああああ…あ……ぁ…………」
真正面からその攻撃を喰らった俺は、全身を消し飛ばされてしまい、呆気なく死んでしまった。
魔理沙「よっしゃあああっ!条件付きとはいえ、初めてエスカルゴに勝ってやったぜっ!!」
出会って初めて俺に勝った魔理沙は、子供の様にピョンピョンと飛び跳ねて喜びを表現している。当の俺は縁側で休憩中だ。霊夢からの目が痛い。鳥居は創造魔法で創造してしまった。鳥居ほどの大きさならば、もう創造魔法でも作れるらしい。
カルゴ「あーあ…負けちったぁ…」
魔理沙「じゃああの魔法のことは教えられんな!あと、1つだけ命令させてもらうぜ!」
カルゴ「どーぞ、何なりと」
魔理沙「魔法の森のキノコ採集、手伝ってくれ。今みたいな真冬直前だと、冬眠するために動物や妖怪共が辺りをうろついてて危なっかしいんだ」
カルゴ「ぶっ飛ばせば?」
魔理沙「狭い森の中で弾幕か?それともマスパ?森が終わっちまう。だから、お前の方が適任ってワケだぜ。見つけ次第、全部持ってきていいよ。毒キノコでも魔法道具には使えるからな。…ま、素人のお前には見分けがつかないだろうがな♪」
カルゴ「いつやる?」
魔理沙「無論、今日だ。今は3時すぎ…なら6時くらいまでみっちり探して集めてきてくれよ?」
カルゴ「…おやつ食べてからでいいか?」
魔理沙「私は構わないが…」
言葉を切って霊夢を見る。すると、視線を感じたらしい霊夢が俺を睨む。
霊夢「勝利せざる者食うべからず。夕飯も抜き」
カルゴ「俺が作るんだが」
霊夢「今晩は3人分だけ作って。今日は寒いからシチューとかでお願い。ルーは紅魔館から持ってきてあるし」
カルゴ「………料理作ったら外食してきます」
霊夢「冗談よ、バカ…。でもおやつは抜きね」
カルゴ「はーい…じゃ、行ってきまーす」
魔理沙「ドッサリ頼むぜー!」
カルゴ「家の前に置いとくよ」
魔理沙「おうよー!」
魔理沙に負けた俺は、潔く彼女の命令を聞いて、悔しい気持ちを抱きつつ、どこか晴れやかな気分で、暗くなりつつある魔法の森へ飛び立った。
うちの扉、クッソ立て付け悪くて…。
「開かねえええええ…!」って踏ん張ってる時、
「茜…?むふふ…」となりましたwww