カルゴ「寒〜い…息も白いぜ…」
ある日、俺は朝から地底に向かって穴の中を飛び進んでいた。昨晩は文の仕事場に泊まったので、普段ならばまだ彼女の仕事場に居るのだが、文は人里に取材に、娘は自然を撮影に行くそうなので2人とは別行動だ。先日の、人間の男たちの妬み嫉みの発言が未だに頭の中に残っている。だから里には行きたくない。たかが人間の戯言なのだ、俺が気にする道理はない。…しかし、メンタルは未だに人間だ。ああもストレートに言われれば、多少とはいえ傷つく。
つくづく人間を滅したいと思う。やはり邪魔だ。というか俺を含め男の嫉妬ほど醜いものは無い。
いや、俺は嫉妬よりも独占欲だから、また別か。
各店舗の人間以外は、全て消し去りたい。まぁ、紫さんからの怒りを買うのでそんな事はしない。あくまでも心の中で、そう憎悪を滾らせている。
パル「こんな所で会うなんて久しぶりね」
穴の中を進んでいると、なんとパルスィの方から俺に話しかけてきた。珍しいこともあるものだ。
カルゴ「久しぶり。穴の中は丁度いい気温だな」
パル「そう?地底はここよりポカポカしてるからそっちの方が居心地がいいわ」
カルゴ「なるほど」
やはり避寒地に地底はもってこいであるらしい。
穴の中でも地上に比べるとポカポカしているが、地底は更にポカポカしているらしい。
パル「また地霊殿?」
カルゴ「そ。ちっとお空たちと遊ぼっかなって」
パル「さとりは執筆中だから、あんまり邪魔とかしない方がいいわよ。お空は…多分、いつも通りお燐と居るかも。どっちか見つけたらもう片方も近くにいるからわかりやすいでしょ」
カルゴ「そうだな。サンキュ!」
パル「…気軽に遊びに行くなんて妬ましい…」
カルゴ「パルスィも一緒に行くか?」
パル「私は…後で」
カルゴ「オッケー」
じゃあな、と軽く手を振った俺は穴の中を進む。何故スキマを使わないかというと、気温差に体を慣らすためだ。急激な温度変化は体に良くない。
今日は霜が降りた。屋外の気温はおよそ0度だ。道理で寒いわけである。その点この穴の中は20度前後はある。もはや、ここに住みたいくらいだ。
カルゴ「あっつ…初夏かなここは…」
地底に到着した俺の額には薄く汗が滲んでいる。
体感温度23度ほどだ。こんな所に来てしまったらもう地上には戻れない。さて、どうしようか…。
……いや、そんな事を考えるより先に地霊殿だ。
今日は地霊殿に居るだろうか?間欠泉センターに居なかったことはここに来る前に確認済みだ。
黒猫「にゃぁ〜」
ボーッと地霊殿の方を眺めていると、すぐ近くで猫の鳴き声が聞こえてきた。どこからだろうかと探すと、足に擦り寄ってきた黒猫が目に入った。
カルゴ「お、黒猫だ!おいで!」
猫…特に黒猫が好きな俺は、その場にしゃがんでその猫に手のひらを向ける。黒猫は、俺の手にもスリッと顔を擦りつけ、ザリザリと舐める。
カルゴ「はは、擽ったいなぁ…って、もしかしてお前…お燐か?」
黒猫「うにゃ?」
何?と言わんばかりに首を傾げる。クリクリしている目がとても可愛らしい。
カルゴ「違うか。まーいーや。地霊殿行くんだがお前も来るか?動物いっぱいいるぞ」
黒猫「にゃあ♪」
カルゴ「うおっ……おお…」
頭を撫でながらその黒猫を誘うと、ピョンと俺の肩に飛び乗った。言葉を理解しているらしい。
もっとも、尻尾が2本あるので普通の猫ではないのはわかるが。
カルゴ「重すぎず軽すぎず丁度いいな。野良猫?飼い猫?…さすがに答えられないか」
黒猫マジ可愛い…見た目悪魔だけど中身は普通に天使だ。悪魔というのは黒いからということだ。
猫は自由奔放で、寒い時は寄ってくるのが良い。
カルゴ「肩周りあったけー…」
黒猫「グルグルグルグル…」
カルゴ「喉鳴ってる!?…懐かれちゃったなぁ、むふふふふ…ふごっ!?」
黒猫「ふみゃっ!?」
突然、頭及び首に衝撃が走り、笑い声から一変し間抜けな声が漏れた。衝撃を受けた瞬間、首からパキンと変な音が聞こえた。
こいし「お兄ちゃんやっほー♪」
カルゴ「頭の上に飛び乗るなって言ってるだろ…首折れるかと思ったぞ?」
やはりこいしだった。毎回頭に乗ってくるので、流石に学習した。気配も無いので彼女の襲撃まで気付けないのだ。
こいし「お燐のことは乗せてるのに私は乗せないなんて、酷いお兄ちゃんだな〜」
飛び降りたこいしは、手を後ろで組んでニヤニヤ笑いながらそんな事を言う。
カルゴ「猫又の黒猫だろ?」
こいし「ううん、お燐だよ。妖気隠してるけど」
カルゴ「えっ」
すると黒猫は俺の肩から降り、ポンッと弾ける。
そこに現れたのは、てへへ、と笑うお燐だった。
こいし「ねっ?」
カルゴ「マジか」
お燐「散歩まで穴の近くまで来たのは良いけど、地霊殿まで帰るのダルくてさ〜。このまま乗って帰っちゃお〜なんて思ってたよ。でもこいし様が来るなんて全くの予想外だったね」
こいし「えへへー♪」
お燐「お空とさとり様に会いに行くんでしょう?お空だったら地霊殿に居るよ。さとり様は部屋に篭ってるから待ってた方がいいかもね」
カルゴ「おお、地霊殿に居るのか。お燐とお空は一緒にいるイメージが強いから、この近辺にいるかもなーなんて思ったわ」
お燐「そんなに?確かに普段は一緒に居るけど、互いに自分の時間はあるよ?」
カルゴ「そりゃそーか」
お燐「それにしても、撫でるの上手いんだねぇ。このままお兄さんの猫になりたいくらいだよ」
カルゴ「えっ、そんなか?…あれ?お兄さん?」
お燐「あぁごめん、お空のクセが移っちゃった。お空ったらいつもお兄さんって言ってるからね」
カルゴ「いや、別にどっちでもいいんだけどね。お燐の呼びやすい方で」
お燐「そう?じゃあ、あたいもお兄さんって呼ぶことにするよ♪」
カルゴ「おうよ」
こいし「仲いーねー♪お燐も付き合っちゃえば?お兄ちゃんならOKしてくれるよ?」
お燐「えぇっ?あたいじゃあ、お兄さんには全く釣り合わないですよ。第一、お兄さんの事は好きだけど恋愛感情は無いからね」
カルゴ「釣り合わないなんてことは無いが…まぁなんでもいいや。お空、元気にしてる?」
お燐「うん…元気にはしてる。けど…」
カルゴ「けど?」
お燐「この前、間欠泉センターに侵入してきた、氷の妖精に負けたらしくて…。強くなりたいって稽古してばっかりなんだよね」
カルゴ「氷の妖精っつーとチルノか?」
…なんかごめん、お空…。
お燐「そうだと思う。あいつの力は異常だしね。まーね、私がお兄さんの話題を振るとすぐ元気になってくれるからまだいいんだけどさ。また、昔みたいに稽古つけてやってくれないかい?」
カルゴ「お空が言ったら喜んで手伝うよ。俺から言うものでも無いだろうし」
お燐「そうかもね。…もうさ、
カルゴ「そうなの?」
こいし「そーそー。だから私も地上と繋がってる穴の方を散歩してたんだ〜。まだ涼しいからね。地上は寒いし…」
お燐「あたいもそうです…。しかも地霊殿の中は更に暑いから大変で。暴走してた時みたいに奥の奥で稽古してるからだと思うんだけど。暑いのにはそろそろ慣れとかないとまずいかな、夜も眠れなくなるかも」
カルゴ「暑い方に近付かなきゃかよ…辛いなぁ。いや、寒いよりいいか。よし、スキマで行こう」
地霊殿の玄関(屋内)にスキマを繋ぐと、ムワッとした熱気が溢れてきた。確かに暑い。25度か、それ以上ありそうだ。
まず俺が飛び込み、こいし、お燐の順で入る。
お燐「あっつ〜〜〜〜〜………」
こいし「暑いよお兄ちゃーん…。ねーお兄ちゃんってばー」
カルゴ「何でそう言いながらくっつk……!?」
こいし「あ♡ お兄ちゃん私のおっぱい見たね♡」
カルゴ「みみみ見てない!!断じて見てない!」
こいしは左手で服をパタパタさせながら、右手で俺の腕を抱えたのだ。そして俺がこいしを見たら黒いブラジャーが見えたのだ。これは不可抗力。間違いない。俺は絶対に悪くない。…多分だが。というか、こいしの胸が思ったよりも大きい事に素直に驚いた。C〜Dはあるだろうか。
大妖精やミスティア、響子と同じくロリ巨乳…?
こいし「何色だった〜?」
カルゴ「黒!………あ、あれ?何で言っちゃうのそこで…無いわー…」
お燐「うわぁ…バッチリ見てるじゃん…」
カルゴ「引かないでお燐ー!!あれは酷いよ!?俺のこと呼びながら服パタパタは酷いってば!!そりゃ見えちゃうってもんだよ!!」
こいし「今ポロッと言っちゃったのはねっ、私がお兄ちゃんを無意識にさせたからでーす♪」
カルゴ「やめろぉぉぉ…」
お燐「イタズラも程々にしてくださいよー?」
こいし「わかってるよー♪」
そんな会話をしながら、俺たち3人はお空の居る地霊殿の奥へ進んでいく。お空を稽古するにせよしないにせよ、今回はまったり出来そうだな、と内心で思う俺であった…。
こいしはイタズラっ子!