俺「何ぞそれ新作か?」
母「は?」
妖獣が増えた魔法の森は、さながらゲームの世界のように感じられた。来る時には目的地しか目に入っていなかったが、いざ目を凝らしてみれば、至る所に妖獣の類が蠢いていた。
妖怪「キシャァアァァアアアッ!!」
カルゴ「早速モンスターのお出ましか」
腕…ツタを振り回しながら現れたのは木の妖怪。
密かに、「じんめんじゅモドキ」と呼んでいる。
ムチのようにしなる腕を振り回しながら俺たちに接近してくる。当たれば物凄く痛いだろう。冬は感覚が鋭くなるから特にだ。
カルゴ「削ぎますかね────!」
アリス「コイツは任せて」
剣に手をかけると、アリスが進み出て人形をその妖怪に叩き付けるように投げる。当然、モドキはそれを払い落とそうと手で叩く。
モドキ「───ギッ…」
触れた途端、人形は小さな爆発を起こしてモドキを焼き殺さんとする。火はあっという間にモドキの身体を包み、あとには緑色の石だけが残った。
カルゴ「燃えるの一瞬だな…。この石は何だ?」
灰の中から、明るい緑色で直径3cmほどの金平糖のような石を拾い上げる。とても綺麗だ。しかし普通の石とは違うような、妙な気配がする。少し禍々しい気配を帯びている。
アリス「魔法石。魔理沙が喜ぶだろうから、全部拾って。帰る時に魔理沙に渡しておいて貰えると助かるわ」
カルゴ「なるほど、魔道具とかに使えるヤツか」
アリス「そういうこと。次行きましょ」
カルゴ「ほーい」
石はスキマ空間に収納しておこうっと。その方が手ぶらでいいし、ポケットに入れなくても済む。
にしても、宝石みてぇだな。ちょっぴり禍々しい気配が無ければ是非とも持ち帰りたいところだ。
カルゴ「おっ…と…?」
アリス「囲まれたわね」
行く手を阻むのはグレーの狼の群れだ。普通の狼かと思ったが、感覚を鋭くしてみればこの狼から微弱な妖気が発せられているのがわかった。
つまり妖獣だ。ざっと見たところ、その数は凡そ10体〜20体ほど。低級なのですぐに滅せる。
カルゴ「殺すか気絶させるか…。前者かな?」
アリス「当然」
カルゴ「了解。雷武器『雷銃』」
両手に銃を装備した俺は、エネルギーを送って、よく狙いを定めて弾幕を発射する。かなり多くのエネルギーを送ったので、威力は上がっている。頭に弾幕を喰らえば頭が吹き飛び、腹に喰らえば胴体に風穴が空いた。おかげで、数秒と経たないうちに、その場に死体の山が完成した。
アリス「流石の手際ね」
カルゴ「へへ、まーね」
アリス「魔法石の回収は任せるわ」
カルゴ「えー…血の中に手を入れるのは嫌だよ。電力で焦がしてから回収するわ」
アリス「別にいいけど、森を燃やさないでよ?」
カルゴ「もちろん」
ジジジジッと焦がして炭の塊にすると、キラキラ輝くグレーの石を発見した。直径1cm程の石だ。恐らく石の色は妖獣や妖怪の色になるのだろう。
これでかなりの数を稼げた。…この石は、妖怪のコアか何かなのだろうか?
カルゴ「思ったより少ないのかな?最初に感じた気配が感じられなくなったんだけど」
アリス「それは無いわ。多分だけど、ここよりも深部に逃げ込んだんだと思う。今通ってきた所は森の入口にも等しいほど浅いからね、奥に行けば仲間とかもいるんでしょ」
カルゴ「そんな感じしねー…」
アリス「住み慣れてると、何となくわかるのよ」
カルゴ「ほーん…まぁ、ここは大人しく従うよ。
………ん?」
アリス「どうしたの?」
木陰に、怪しげな物体を発見した俺は、アリスに
「シーッ」と人差し指で合図を送り、その物体を指さす。黒くて、人型の物体が何やらモゾモゾと動いている。身長は子供程で、大きくはない。
カルゴ「あれも妖怪…だよな?妖気あるし」
アリス「ええ、間違いないわ。駆除ね」
カルゴ「よし。創符『岩石落とし』」
その謎の妖怪の頭上に、巨大な岩石を今回は1つだけ創造すると、岩石は重力に従って落下する。しかしその妖怪は、頭上の岩に気付いたらしく、黒いモヤのような物を作って岩石を受け止めた。ちなみにこれは創造魔法のスペルで、岩の弾幕を飛ばす、当たればとても痛いスペルだ。
妖怪「うぎぎぎっ……重い〜…!」
アリス「えっ?」
カルゴ「ん?」
黒い塊の妖怪は言葉を発し、踏ん張る。だが俺もアリスも、その声を聞いて目を丸くした。確か、俺たちはこの声の主を知っている…はずだ。
カルゴ「雷武器『雷槍』」
槍を投擲して岩石を砕いて、その妖怪を助ける。
すると妖怪は安心したように大きなため息をつき黒いモヤを解除した。
妖怪「急に岩落とすとか酷くない?」
カルゴ「そんな所でモゾモゾしてるからつい…。ていうか何でこんな所に居るんだよルーミア…」
闇を纏ってモゾモゾ動いていたのは、宵闇の妖怪ルーミアだった。
アリス(驚いた…あの子があんな岩を支えたの?
3mはあるような岩を?)
るみゃ「やる事も無いから犬を追い掛けてたの。この奥に行こうとしてたんだけど、どっかの誰かさんの足止め喰らったから見失っちゃったよ…。今ので闇も結構使っちゃったしさー…。あとで、バツとして食べさせて」
カルゴ「わかった」
アリス(食べさせてって何を!?)
るみゃ「エスカルゴとアリスは何でここに?」
カルゴ「害獣駆除。ルーミアが追ってた犬も多分駆除の対象だよ。中途半端に妖獣になった狼だと思うんだ、それは」
るみゃ「まぁ、そんなのはわかってるけど。少しお腹空いたから、取って食べようって思ってた。ついて行ってもいい?」
カルゴ「俺は構わないよ。アリスは?」
アリス「勿論OKよ」
るみゃ「お腹いっぱい食べれる♪」
カルゴ「…腕ならいくらでも食わせてやるから、あんな肉は食うな。体壊すぞ?」
るみゃ「2体食べたけど何ともないよ?」
カルゴ「これから痛くなるかもってこと。だからあんな妖獣の肉なんてやめとけ。てか2体食ったのにまだ食い足りないのか」
るみゃ「うん…。じゃあさ、今度ご飯奢ってよ。腕じゃなくて、ちゃんとしたご飯ね」
カルゴ「わかったよ」
るみゃ「やったっ!でも、駆除にはついてくよ。ストレス発散に丁度よさそうだし♪」
カルゴ「そうだな」
アリス(ルーミアってこんな感じだったっけ…?なんか、私の知ってるルーミアじゃないわね…)
俺とアリスのパーティにルーミアも入り、3人で森の中を進んでいく。すると、他の木とはどうみても幹の色や大きさが違う巨大樹を発見した。
アリス「っ…コイツ、さっきのと同じよ…」
カルゴ「じんめんじゅモドキか」
アリス「じ、じんめんじゅ…?」
カルゴ「ああ、俺がそう呼んでるだけ。にしてもデカイな」
御神木と見紛うほどに巨大な妖樹だ。魔法の森の魔力をその身に取り込んで育ったのだろう。だがその根元からは瘴気のようなものが漏れていて、草やキノコを腐らせていた。
明らかに害しかない。
アリス「こんなに大きかったら燃やせないわ…。周辺に燃え移っちゃう…」
カルゴ「俺とルーミアに任せな。やるぞ」
るみゃ「1口ちょーだい?」
カルゴ「…ほれ」
るみゃ「んっ♡」
アリス(普通に腕を差し出して笑顔で噛み付く…どんな光景よ、これ…)
るみゃ「暗剣『ダークネスソード』!」
僅かながら俺から闇を補充したルーミアは、手に闇を出して剣の形にする。以前彼女と遊んだ時、俺の雷刀を模して作ってみたと言っていた。
チルノのアイシクルソードとは違い、砂鉄の剣のように伸縮自在で、形も思うがままだ。しかし、ルーミアは剣が気に入っているらしい。
そういえば、大人の姿でも大剣を使用していた。
カルゴ「そんなら俺は…雷武器『雷刀』!」
るみゃ「ちゃんと合わせてよねっ!はあぁっ!」
カルゴ「ちょ、素が出てるよ…」
剣を振り上げてモドキに突撃するルーミア。だがその巨大樹の樹皮は堅く、浅い傷しかつけられていないようだった。
カルゴ「刀じゃ不利か、なッ!!」
振り下ろす途中で大剣サイズにした雷刀を、強く振り下ろすと、ザシュッという重い音がした。
しかし、その幹の太さは俺の予想を超えていて、一刀両断とはいかなかった。しかも巨大モドキがこちらを向き赤い目を光らせている。
るみゃ「あーあ、目覚めさせちゃった」
カルゴ「なら動く前に斬るまでだ!『風の……」
妖魔雷霊剣を抜いて構える俺だが、ここが森の中ということを思い出して、技を出すのを抑えた。
やはり森の中というのは行動が制限される。
妖怪「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!」
カルゴ「ッ!?」
るみゃ「ボーッとしない!はぁっ!たぁっ!」
モドキが発した言語に驚いた俺は、枝をこちらに伸ばす隙を与えてしまうが、ルーミアがその枝を細切れに斬る。
カルゴ「わ、
るみゃ「ったく、ホント私が居なきゃダメよね。肝心なところで詰めが甘いのよ」
カルゴ「んなことねーしっ!」
アリス(夫婦かコイツら…。というか、どういう関係なのよこの2人は…)
カルゴ「弾幕使うぞ!」
るみゃ「トドメは任せるからね!」
カルゴ「おう!」
ルミカル「『ダークネスエンカウント』!!」
黒霧異変の際に妖怪の山の中で霊愛相手に使ったこのスペル。これで高密度な弾幕でモドキを圧倒し、ほぼ瀕死状態まで追い込み、トドメを刺す。
カルゴ「符の壱『紫電雷光』!!」
力量だけは神レベルとなった俺は、雷の色の操作なんて造作もない。綺麗な紫色の貫通力に優れた太い雷を放ち、モドキを貫いた。
妖怪「ギャッ……」
短く呻いたモドキは枝の成長を止めて絶命した。しかしその直後───。
アリス「きゃあああっ!!」
カルゴ「アリス!?」
悲鳴がしたので後ろを見てみれば、背後でアリスが別のじんめんじゅモドキに捕まっていた。手も足も、ツタと枝で捕獲されてしまっているので、得意の人形攻撃もできなかった。
カルゴ「野外触手プレイ!?」
アリス「馬鹿な事言ってないで助けて!!」
カルゴ「おうよ!禁弾『降り注ぐ厄雷』!!」
モドキの頭上に超大量の槍を作った俺は、それを振らせてモドキを細切れにし、彼女を解放した。
アリス「何をアホな事言ってるのよあなたは…」
と、パタパタと埃を払いながらアリスが愚痴る。
カルゴ「なはは、すまんすまん…つい口をついて出てきてしまった…」
アリス「変態」
カルゴ「否定はしない」
るみゃ「馬鹿だ」
カルゴ「馬鹿だよ」
アリス「どうせ犯されるなら、あんなキモいヤツより魔…あなたの方が良…いや、まだマシだわ」
カルゴ「そりゃどーも」
るみゃ(いきなりヤバい会話になった…)
カルゴ「あ、魔法石回収しないと」
アリス「それならもう、上海たち操って回収しておいたわよ。この大きい石があの大きいやつで、小さく見えるのが今のやつよ」
そう言って、2つの魔法石を俺の手に乗せた。
深緑色で、大きい方は直径10cmはありそうだ。
るみゃ「どんどん狩ってこー♪」
カルゴ「おーっ!」
アリス「お、おー…」
その後、日が暮れるまで掃討し続けたルーミアとアリスと俺。石の数は50を超えた。ルーミアとは後日また会う約束をして、2人は帰路についた。俺は永遠亭に向かおうとしたが、彼女から「少しくらい休んで行ったら?」と誘いを受けたので、その言葉に甘えさせてもらうことにした。
>>妖獣が増えた魔法の森は、さながらゲームの世界のように感じられた。
いや、幻想郷そのものがゲーム世か(ピチューン!
魔法石については、単にゲーム的要素出しただけなので細かいことは気にしないで下さい。しかしこれが魔理沙の強化に繋がるとか繋がらないとかあーたらこーたらどーのこーのってね。
今回はクエストだったから、次回は報酬!(適当)
魔法の森の中、俺も行きたいなぁ。
アリスとロリスと神綺ママとの関係は次回。
察してる人は居ると思う。神綺ママの性格的に。