※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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暴食の妖怪・ルーミア

カルゴ「ハァイ、到着ぅ!!」

 

るみゃ「ふふふ、食べまくるわよぉっ!」

 

ルミカル「おおーーっ!!」

 

里の入口に到着した俺たちは、テンション高めに拳を空へと突き出した。恐らく、吹っ切れた俺のテンションに、彼女が合わせてくれたのだろう。

 

里人「また来てやがる…」

 

里人「しかもまた別な女かよクソ…」

 

里人「単に長続きしねーんだろ」

 

里人「ちょ、それは笑える…ぶふっ!!」

 

カルゴ「んだとゴラ゙ァ…!」

 

るみゃ「はいはい、気にしない気にしない。逆にどうしてやるんだっけ?」

 

拳を握り、拳圧で頭を吹き飛ばそうと構えるが、ルーミアにその拳をフワリと包み込まれて、そう諭すように言われた。どうやら、今の俺は沸点が下がっているらしい。気を付けなければ。もしもこの場で暴力沙汰になれば、自警団の連中からの信頼も地に叩き落とされるだろう。魔理沙の際に自警団の連中が居なくて本当によかった。居ても記憶改竄を行ったが。

自警団の連中は男女問わずまともなヤツなので、彼らとはこの先も上手くやっていきたいと思う。

 

カルゴ「…見せつけてやるんだろ?」

 

るみゃ「よく言えました。見せつけましょ!」

 

ニッと笑ったルーミアは、自分から俺の手を取り恋人繋ぎをする。

 

カルゴ「て、手ぇ…!?」

 

るみゃ「たまにはイイわね、こういうの♪」

 

カルゴ「…急にとかびっくりするじゃんか…///」

 

るみゃ「可愛いわね、照れ屋さん♪」

 

カルゴ「っ……///」

 

手を繋いでいない方の手で俺の頬をツンと優しくつつくルーミア。それを見た人間たち……男が、嫉妬心を露わにする。

 

里人「うわぁぁぁ!!!早苗様に続き、あの謎の美女にまで頬を触られるだとぉぉぉ!!?!?」

 

里人「羨ましすぎんぞゴルァァァ!!!」

 

里人「見せつけてんじゃねえええええ!!!!」

 

カルゴ「…はぁ、ウザイな…」

 

るみゃ「仕方ないわよ。所詮、普通の人間なんてこんなものよ。あなたはどうだったの?」

 

カルゴ「女には興味なかった。ウザイだけなのが分かっていたからな。…幻想郷に来て、考え方は180度変わったけどね」

 

るみゃ「ふぅん…まぁ、たまにそういう変わった考え方の人間も居るわよね」

 

カルゴ「ああ」

 

里の人間は、何故自分たちがこの幻想郷で普通に暮らせているのかを考えた事など無いのだろう。

何故16年前から人里周辺の落雷被害が0なのか。

水・風害が軽いのは何故なのか。

里は妖怪によって守られている。それに気付かず一時は妖怪を排除しようとしていたなど全く以て滑稽な話だ。恩を仇で返すとはこの事だと思う。

そして、妖怪に管理されていることに不満を感じ自らが妖怪になろうとしたのが、易者。今どこで何をしているのか、俺にはわからない。しかし、頭の回るアイツの事だ。きっと今も、俺の分身の人格と共に、幻想郷中を放浪しているのだろう。

 

カルゴ「はぁ…ため息出てくるな」

 

るみゃ「まぁね」

 

別段、俺も河童も天狗も、何か見返りを求めてる訳では無い。ましてや礼なんて求めてはいない。

だが何故自分たちが妖怪だらけの幻想郷で普通に暮らせているのかを考えればそんな事は出来ないだろうと思う。

全体的に昔より寛容になったとはいえ、個人的な思想で過度な排他的行動をとる人間が居るのが、やはり嘆かわしい。

 

るみゃ「漏れてる漏れてる」

 

カルゴ「んぁ?何が?」

 

るみゃ「闇」

 

カルゴ「闇って漏れるものか?」

 

るみゃ「黒ーいオーラが出てる…みたいな、ね。いつも私が纏ってるような闇が出てたわよ。何を考えていたのか知らないけど何となく察せるわ」

 

カルゴ「気付かなかったな。無意識って怖いね」

 

るみゃ「そうね。私も、気が付いたら人間1匹の首千切ってたりするし」

 

カルゴ「ありゃまぁ…」

 

るみゃ「どうせ美味しくも無いのにねぇ。でも、里を出ればそこは妖怪の領域。仕方ないわよね」

 

カルゴ「そうだな」

 

里人「笑顔でどんな会話してんだ!?」

 

里人「チラホラしか聞こえねぇ!」

 

里人「美味しくない、仕方ない、だけ聞こえた!」

 

里人「何が美味しくないんだ!?」

 

カルゴ「…………」

 

るみゃ「コラコラ。落ち着いて?」

 

カルゴ「…?」

 

るみゃ「今日のあなた、心が不安定気味?また、闇が漏れ出てたわ」

 

カルゴ「ありゃ…。ま、気を取り直して、どこか飲食店入ろうぜ。もう昼だし」

 

るみゃ「そうね。今はお昼だけど、今日のためにお腹空かせてきたからガッツリ食べるわ♪」

 

カルゴ「いつ食べに行くかわからないのにか?」

 

るみゃ「ううん、あなたが紅魔館に来る日はもう承知してるからね、危ない事はしないわ。だからその日に合わせて5日絶食したの」

 

カルゴ「5日!?」

 

るみゃ「覚悟してね、財布♡」

 

カルゴ「俺が5日絶食したら…うん…死ぬ…」

 

るみゃ「妖怪だからそう簡単には死なないと思うけど、精神的にクるかもね」

 

カルゴ「うへぇ…。あ、ここで定食食べないか?ここの定食、どれも美味いんだぞ」

 

るみゃ「そうなの?それじゃお言葉に甘えて♪」

 

里をしばらく歩いて、定食屋の近くに来た。先日純孤とへカーティア、クラウンピースと来たあの定食屋だ。俺の目的はもちろんスタミナ定食だ。

 

店員「いらっしゃーせー!何名様ですか?」

 

カルゴ「2人で」

 

店員「(うわーぉ、ガッチリ手ぇ繋いでぇ…。仲が

良いんだねぇ。俺にもそういう人出来るかなぁ。)

空いてるお席にどーぞー!」

 

窓際だと外から様々な人間に見つかるが、堂々としていると言った以上、コソコソと隠れるようなダサい真似はしまい。

そう思った俺は、少し躊躇ったあと、窓際の席へ彼女をエスコートし、席に着いた。運ばれてきたお冷に口をつけ、乾燥した喉を潤す。

 

カルゴ「ほい、お品書き」

 

るみゃ「あなた先に見ていいわよ」

 

カルゴ「俺はもう決まってる」

 

るみゃ「そう?ならお言葉に甘えて。……へー、色んな種類があるのね。日替わり定食も中々…。あなたは何を食べるの?」

 

カルゴ「スタミナ定食」

 

るみゃ「これだけ一回りも二回りも大きいわね。でもあなた、ニンニクはダメなんじゃない?」

 

カルゴ「克服した」

 

るみゃ「ふふっ、流石ね♪」

 

カルゴ「まーね♪」

 

まぁ、永琳のワクチンのおかげなのだが。

 

るみゃ「決めたわ」

 

カルゴ「早いな。店員さーん」

 

店員「へいっ!」

 

カルゴ「スタミナ定食(いつもの)1つ。今回は2倍盛りで」

 

るみゃ「焼肉定食大盛りを5つ」

 

店員「へい!…はい?」

 

るみゃ「?だから、焼肉定食大盛りを5つよ」

 

店員「??????????」

 

カルゴ「この娘、とんでもない大食いなんだよ。だからそんな気にしないでくれると助かる」

 

店員「了解しやしたぜ!えーと、スタミナ定食でニンニク生姜2倍盛りが1つ、焼肉定食が5つ…で、間違い無いですね?」

 

カルゴ「ああ」

 

るみゃ「ええ」

 

店員「焼肉定食は、完成次第1品ずつ持ってきた方が良いですかね?」

 

るみゃ「そうしてもらえると助かるわ」

 

店員「へいっ、少々お待ちを!」

 

注文を取った店員が、厨房でオーダーを料理人に伝えたのだろうか。彼が戻った直後に、厨房からとんでもない声量の驚愕の声が聞こえてきた。

 

るみゃ「そんなに驚くのかしらね」

 

カルゴ「そりゃ、1品で1人分だからな。それが5人前ってなったら、驚くのも無理は無いよ」

 

るみゃ「人間って少食なのね」

 

カルゴ「……」

 

しばらくしてスタミナ定食と焼肉定食が届いた。

倍になっているニンニクと生姜が、店の中を全て覆うかのように凄まじい匂いを放っている。当然だが、焼肉定食はまだ1品目だ。

 

ルミカル「いただきます!」

 

手を合わせて食べ始めて、俺とルーミアは同時に料理を食べ始める。途端にニンニク生姜の風味が口内を支配する。とんでもなく多いからか、少しピリ辛に感じられる。が、それがまた美味しい。

 

るみゃ「んっ、美味し♡」

 

幸せそうな表情で食べているルーミアを見ると、心が安らいでいくのを感じる。見た目は大人だがやはりどこかにいつものルーミアの面影がある。それはきっと、彼女の笑顔なのだろう。

 

るみゃ「店員さーん、次の焼肉定食まだー?」

 

店員「ただ今焼いてますんで少々お待ちをっ!」

 

るみゃ「お腹ペコペコよー」

 

店員「へ、へいっ!!」

 

俺がボーッとルーミアを眺めている隙に、彼女はもう1品目の焼肉定食をペロリと平らげていた。5日も絶食した甲斐がある。

 

カルゴ「早くね!?」

 

るみゃ「あなたが遅いのよ」

 

カルゴ「えぇ…」

 

ボーッとはしていたがそんなに長時間ではない。

そしてルーミアはお腹を空かせていた。…やはりルーミアが早いのだろう。

 

るみゃ「あなたのも美味しそうね。…あーん…」

 

カルゴ「箸貸して。間接キスになっちまう」

 

るみゃ「そんなの気にしないけど?」

 

カルゴ「…はい」

 

るみゃ「ん〜♡ ニンニクが凄く効いてるわね!」

 

カルゴ「だろ。これが食欲を誘うんだよ」

 

そう言いながら俺も料理を口に運ぶ。すると次はニッと笑い、してやったりな顔をするルーミア。

 

るみゃ「あ♡ 間接キスしちゃった♪」

 

カルゴ「俺もそんなの気にしないよ。さっきのはルーミアが気にしないように言っただけだから」

 

るみゃ「お気遣いどうも。だけど前に言った通り

『そういうコト』には興味あるからね、いつでもあなたのお誘い待ってるわよ♪」

 

カルゴ「間接キスから話が飛躍しすぎだぞ」

 

るみゃ「間接キス、キスからの本番じゃないの?私はそう聞いてるけど」

 

カルゴ「え…誰から聞いてるんだよそんなの…」

 

るみゃ「ミスティア。あの子もあなたの女の1人なんでしょう?聞いた時は驚いちゃったわ♪」

 

カルゴ「あー…なるほどね、理解した」

 

るみゃ「…もし私があなたを好きって言ったら、あなたは信じてくれる?」

 

カルゴ「唐突だな。…まぁ、信じるよ。だって、ルーミアと俺の仲だもんな。けどルーミアの場合

『闇として好き』って意味が含まれてそうだな。そう分かってても素直に嬉しいけどね」

 

るみゃ「読心術も身に付けてるのね。チート?」

 

カルゴ「図星かよ」

 

るみゃ「『肉として』も入ってれば満点中の満点だったんだけど、惜しいわ。及第点ってとこね」

 

カルゴ「あー…」

 

それから約20分後、残りのスタミナ定食と残りの4人分の焼肉定食大盛りを食べた俺とルーミアは腹を休ませること無く退店する。

次なる目標は、甘味だ。

 

るみゃ「何がオススメ?」

 

カルゴ「大福、団子、砂糖菓子、ババロア……。大福屋でも行くか?」

 

るみゃ「あなたのオススメなら食べたいわ。案内してちょうだい♪」

 

カルゴ「おーよ!」

 

店の前に行くと「イチゴ大福始めました」の貼り紙を発見した。そういえばもうイチゴの季節だ。それからミカンもである。今年も暖をとりなからミカンを頬張る季節がやってきた。

 

るみゃ「美味しいのかしら?」

 

カルゴ「間違いない、美味い。空いてるし、外の椅子で座って食べれるぞ」

 

るみゃ「それは重畳(ちょうじょう)」

 

半ば小走りでカウンターへ行き、5個ずつ注文。

ベンチのような長椅子に座り、それらを頬張る。

 

るみゃ「へぇ…これは美味しいわね!」

 

カルゴ「だろ!」

 

1口食べると大きな赤いイチゴが顔を出し、口の中はイチゴのジュワッとした酸味と果汁と、更に柔らかな甘さの白餡と、まるで赤子の頬のようなモチモチとした餅が何とも堪らないのだ。

 

カルゴ「…ん?」

 

るみゃ「………」

 

そんな味を楽しんでいると、毎度の如く、人里の不良大人たちがガンを飛ばしながら歩いてきた。まるでヤクザのようだ。相手は5人だ。数に頼り獲物を狩ろうとする雑魚だろう。

 

里人「おうおう兄ちゃんよぉ。いつだったのかは忘れたが、二度と来るなって言わなかったか?」

 

魔女狩りの時の事だろうか。しかし、魔女狩りの記憶は消したので、「いつだったのかは忘れた」のだろう。

 

カルゴ「その他大勢の言葉なんて知らないな」

 

里人「てんめぇ…!だがなぁ、そう言ってられるのも今のうちだぜぇ!?」

 

カルゴ「…どういう意味かな?」

 

すると、5人のうち2人が銃を抜いた。その武器にはどこか見覚えがある。銃剣…江戸時代後期、新政府軍が使用したとされている武器だ。また、戊辰戦争でも使われたと記憶している。

なるほど、時代が明治から進んでいないのなら、幻想郷にも銃剣くらいあってもおかしくはない。

 

カルゴ「その銃剣で、何をするつもりかな?俺の事は殺せないよ。逆に君たちが死ぬよ。確実に」

 

里人「誰がお前を殺すと言ったよ?そっちの女に用があるんだ」

 

確かに銃剣はルーミアに向けられている。しかし当の本人は澄ました顔…いや、呆れたような顔でその人間達を見上げている。

 

カルゴ「俺の女を殺すのか?」

 

里人「ハッ!女を殺して何が始まるよ?俺たちでこの女をキズモンに────」

 

カルゴ「催眠『惑星麻酔』」

 

足から5人に向けて電気を流し足を痺れさせる。

筋肉が硬直した5人はその場に立ち尽くす。

 

里人「へ…へへへっ…足動かねぇんなら…最悪、お前殺して女を攫えば良いだけ…っ!」

 

里人「そもそも妖怪はここに居るべきじゃない!特にお前のような女子供を誑(たぶら)かすような奴は!」

 

カルゴ「妖怪が里を守ってるとも知らず…哀れな奴だな。怒りを通り越して、可哀想にすら思えてくるよ。はぁ…可哀想に…」

 

里人「は?里を守ってるのは神様だろ?」

 

里人「そうだ、妖怪なんて悪でしかない!」

 

カルゴ「黙れ屑が。蒙昧なテメェらに神の言葉を授けてやろう。来年は未曾有の大凶作。せいぜい死なねぇように神様にゴマすりでもしてやがれ。そんな取り繕いは、神には届かねぇだろうがよ」

 

里人「大凶作?ハ、こいつは傑作だぜ!あのな、ここ数十年、ず〜っと飢饉とか起こってねーの!今さら急に飢饉なんて起こらねーから!!」

 

里人達「ギャハハハハハハッ!!」

 

カルゴ「秋の神に祈ってるものな。しかも収穫祭開く時はその神を呼んでいる。だが、残念だな。お前らが怒りを買った神はそれより数段上の力を持つ祟り神だ。秋の神の力なんて遠く及ばない。

…とはいえ、見えないものは信じられないだろうからな。最後に一言、言っておいてやる」

 

里人達「っ…!」

 

カルゴ「来年をお楽しみに♡」

 

ニタリとドス黒い笑みを浮かべた俺は、隣に座る彼女へ手を差し出し、立ち上がるようエスコートする。話すことは無いから去ろうというわけだ。

 

里人「意味わかんねーよ、ンなこと!」

 

里人「言われたままでいられっか!殺れ!」

 

里人達「おう!」

 

気配がした。どこよりも大切な頭を狙われているような、妙な気配が。しかし俺ではない。ならば狙っている対象は隣のルーミアだ。

 

カルゴ「闇符『暗黒魔法術(ドルマドン)』」

 

里人達「うぎっ…ぎゃああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!」

 

振り返らず、あくまでも背中越しに、闇と魔力による複合スペルを発動させて、黒い弾幕で背後の5人を彼方へ吹き飛ばす。

攻撃力よりも速度を優先したので、被弾する度に身体は奥へ奥へ押されたことだろう。

 

通行人「ひっ…!」

 

その攻防を見ていたらしい通行人達は、一瞬俺を見て怯えた表情を浮かべて後ずさる。しかしその顔はすぐに元の表情を取り戻すことになる。

 

カルゴ「────さて。今のやり取りを見ていた通行人の諸君に問う!たった今俺は、怒りに任せ人間達を5人、遥か彼方へ吹き飛ばした!しかしその元凶たるは奴ら!この場合、俺はどうなる!裁かれるか?裁かれないか?裁かれる場合、俺の事を遠慮なく自警団の元へ連れてけ!俺は逃げも隠れもせん!」

 

静まり返る大通り。近くの店の店員も通りかかる普通の里人たちも、俺の演説に耳を傾けている。

 

カルゴ「もしも諸君が『俺は裁かれない』と判断したなら!拍手で俺の行動を正当化してほしい!俺は無罪だと、アイツらと同じ人間である諸君に認めてほしい!本来ならば妖怪が里で人間に手を出すなどあってはならない!だが!妖怪とてあのような言い草は、受け入れられるものでは無い!心があるからだ!人と同じ心が、俺たち妖怪にもあるからこそ、あのような行動に出た!!だからどうか、諸君に判断してもらいたいッ!!!」

 

そこで言葉を切る。一瞬、風の音すらも止んで、時間が止まったのかと思われた。しかし、すぐにそんな静寂は破られた。

 

子供「吸血鬼の兄ちゃんカッコイー!」

 

男性「女を狙うなんて、同じ男として恥だな…。自信持っていーぞー!お前さんは間違ってねー!むしろよくやったー!」

 

女性「エスカルゴ様〜!」

 

そして大通りは割れる様な拍手の音で包まれる。

俺の演説が効いたワケじゃない。人望だ。所詮、毎月里に通って行商人めいた商売をやる男と何もせぬ男では、こちらに意識が向くのも仕方ない。

見知らぬ子供から「吸血鬼の兄ちゃん」呼ばわりされるのももう慣れた。やはり、子供は可愛い。女性達がこのようにキャーキャー騒げば、男達が嫉妬するのも仕方ないとは思うが。

 

カルゴ「諸君の判断に心から感謝を申し上げる!ありがとう!!」

 

腰を90度に折り深々と頭を下げると、更に拍手の音量が上がった。ちらとルーミアを見れば、やれやれと言わんばかりの笑みを浮かべて俺のことをじっと見ていた。

もしもここが外の世界なら、「過剰防衛」などと判断されたことだろう。しかしここは幻想郷だ。文化などは明治初期で停滞している。その頃には過剰防衛という概念すら無かっただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

るみゃ「はぁ〜ぁ、食べた食べた♪」

 

カルゴ「満足した?」

 

るみゃ「ええ、満足♪…途中、女子供に囲まれて時間を潰さなければ更にね」

 

カルゴ「すまない…。あの人混みの中に自警団の連中が居た場合を想定したらああせざるを得なかったんだ」

 

るみゃ「わかってる。だけどよく全員がオッケー出したわよね。同族に対して薄情すぎない?」

 

カルゴ「…大多数が認めれば、個人が判断してもその考えは周りに流される。そしていつしか己の意見もそれに染まる。つまりは群集心理を上手く操ったに過ぎない」

 

るみゃ「確かに、あの空気の中で『裁かれるべきだ!』とか言えば、人間から攻撃を喰らいそうな雰囲気だったしね」

 

カルゴ「そういうコトさ」

 

里を出た俺たちは、暗くなった幻想郷の大地を、まったりと歩いている。まだ手は繋いだままだ。

 

るみゃ「今回は絡まれたけど次のデートはあんな面倒事はゴメンだわ」

 

カルゴ「そうだな。…え?デート?」

 

るみゃ「私は、今日のこのお出かけを、デートと捉えてたわ。手まで繋いだもの♪」

 

カルゴ「…ふふふふっ…そうか…俺とルーミアがデートか…ふふっ…良いかもしれないな♪」

 

るみゃ「さっきは腕も食べれたし、満足満足♡」

 

カルゴ「それは良かった」

 

るみゃ「…送るの、もう大丈夫よ。さ、私に封印施して?」

 

カルゴ「妖力を押し返す様に封印するんだよな。任せて」

 

数分後、俺の目の前には幼女のルーミアが居た。

少し時間は掛かったが上手くできたと思う。

 

るみゃ「奢ってくれてありがとうね!」

 

カルゴ「こちらこそ一緒にあの里まで来てくれてありがとうな。これで堂々としていられる」

 

るみゃ「今度のデートはぁ…エッチしちゃう…?興味、あるよ…♡」

 

小声でそう囁きスカートをクイッと持ち上げる。

しかしパンツは履いておらず、ツルツルの綺麗なスジだけがクッキリと見えた。

 

カルゴ「馬鹿な事やってないで、パンツ履け!」

 

るみゃ「服とか私の闇の力で作ってるものだから着脱楽々だよ〜」

 

カルゴ「わわっ、わかったからとりあえず履け!そんなことは、また今度考えてやるからっ!」

 

るみゃ「やった♪」

 

ニコッと子供らしく笑い「エッチ、エッチ♪」と繰り返している。…何を言っているのか、本人は分かっているのだろうか。分かってるのだろう。

 

るみゃ「…ひと騒動あったけど、楽しかったよ♪

デートしてくれてありがとうね♪」

 

カルゴ「ああ。こちらこそな」

 

互いにもう一度礼を伝えあった俺たちは、その場から解散し、それぞれ帰路についた。




《検索》おれがいつか
もしかして:オルガ・イツカ

(試しにGoogleで検索してみたら「もしかして:俺がいつか」だったけどその下がオルガ・イツカのpixivページで草生い茂った)


そして演説シーン書きながら思ったこと。
こいつ、寄生獣の広川に似てね?
「地球上の誰かがふと思ったのだ…生物の未来を守らねばと…」で有名なあの人。市長さん。
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