アリス「急に帰ったらお母さん驚くかしら?」
カルゴ「…うん、多分」
冷たい北風の吹くある日、自立行動をする上海を守矢神社に送った姉ちゃんことアリスは、自分の家に来るよう上海越しに俺に告げた。
何故守矢神社に居るのが知られたのかというと、樹里愛に貸している上海と蓬莱が発信機の役割を果たしているのだそう。アリスの声を届ける為のネットワークを仕込み忘れたと言っていた。
カルゴ「姉ちゃんは、魔理沙みたいな転送魔法は開発してないのか?」
アリス「してないわ。転送する機会が無いから」
カルゴ「それもそうか。じゃ、スキマ使うか」
アリス「ユキとマイの顔も見たいけど……それはまた次にしましょ。パンデモニウム前にお願い」
カルゴ「はいよ。…腕組む意味は?」
突然腕を組まれた俺は狼狽する。柔らかく温かい2つの膨らみに挟まれているのだが、本人は特に気にしていないらしい。弟として見ているなら、割と普通の反応…だろうか?
アリス「姉弟仲良しって事、見せてあげましょ♪
お母さん喜ぶわ♪」
カルゴ「…そうだな」
母さんは常に俺の頭を見ている。なのでアリスのサプライズもバレている。…母さんなら、そんな心配は無用だと思うが。空気を読めてないようで意外と読めてる
神綺《大丈夫よっ!》
カルゴ《良かった》
スキマを開いた俺はパンデモニウム前に繋げた。サプライズなので今日ばかりは出迎えも無しだ。
アリス「この空気、懐かしいわ♪」
カルゴ「アリスにとっては久しぶりだもんな」
アリス「あなたはよく来るの?」
カルゴ「暇があれば顔出しに。たまに巫月にこのパンデモニウムで会う事には毎度驚くがな」
アリス「なんであの子がここに?」
カルゴ「スキマ2回分の電力はあるらしいんだ。帰りもスキマでさ。魔界のアリスと遊んでるよ。切磋琢磨してるんだとさ」
アリス「今の幻想郷で、あの子の相手が出来るのって…限られてるもんね」
カルゴ「ああ。鈴仙じゃもう相手にならないって言ってた。鈴仙はショック受けてたけど」
アリス「肉親にはズバズバ言うものね、あの子。さ、中行きましょ、外は寒いわ」
カルゴ「そうだな」
扉の前で短い雑談をした俺たちは、ノックなどはすること無く、普通に扉を開ける。俺にとっても姉ちゃんにとっても、ここは実家だからだ。
アリカル「ただいまー!」
当然、誰も返事をしない。広いエントランスは、ガランとしていて誰も居ない。広いだけに寂しいところはある。
神綺《おかえりーっ!》
否、母さんだけは返事をしてくれている。
神綺《リビングにみんな居るわよ!夢子ちゃんもアリスちゃんも巫月ちゃんも!》
カルゴ「えっ」
アリス「どうしたの?」
カルゴ「んっ?いや何でも…」
アリス「?」
カルゴ《巫月来てるの!?》
神綺《ええ、さっきね。お客さんが2人来るって言ったら大人しく中に入ってくれたわ。おやつの準備はしてあるから、早くいらっしゃい♪》
カルゴ《わお…》
歩きながらキョロキョロと辺りを見回す。年月を経て、どこか景色でも変わったのだろうか?
アリス「ねぇ、迷いなく歩いてるけど、お母さんなら自分の部屋に居るんじゃない?」
カルゴ「おやつ前だしリビングだと思う」
アリス「んー、そうかなぁ…」
カルゴ「最近の母さんを知ってるのは俺だぜ?」
アリス「そうだけど…」
上海「シャンハーイ!」
アリス「あなたに賛同してる…やっぱりあなたに懐いたらしいわね」
カルゴ「そうか?ふふっ、可愛いなぁ♪」
上海「シャンハーイ♪」
頭を撫でると顔を綻ばす上海。やはり、人形とは思えない。表情豊かで、柔らかく、可愛い。
アリス「そうやってまーた上海ばっかりぃ〜…。お姉ちゃんは可愛い?」
カルゴ「可愛い」
アリス「うふふっ、ありがと♪」
柔らかく微笑んだ姉を見て、少し顔が熱くなる。
「娶らんわ!」と大見得を切ったが…果たして、娶らなくともこの姉に手を出さずに生きていけるだろうか。いつの日か、俺の歪んだ独占欲が暴走しそうに思えてならない。…その時はその時だ。
カルゴ「よし到着」
アリス「あ、何人かの話し声するわね。ホントにここに居たんだ」
小声でそんな会話をした俺と姉ちゃんは、小さく頷き合って、バンッと勢いよく扉を開け放つ。
カルゴ「やっほー、帰ってきたぞー!」
アリス「ただいま、お母さん♪」
夢子「おじょっ…!?」
神綺「アリスちゃん!?どうしたの急に!?」
巫月「あ、エスカルゴとアリスさんだ。(なんで腕組んでんのあの2人?)」
ロリス(アリス…私と同じお名前?しかも…今、お母さんって言った…?)
部屋に入ると、4人がケーキを前に談笑している姿が目に入った。夢子はアリスを見て驚きの顔を浮かべ、母さんは驚いたフリをし、ロリアリスはその名前を聞いて首を傾げて、巫月は姉を睨む。巫月がアリスを睨んでいる理由がわからない。
そして、組んでいた腕を解き、俺は巫月の隣に、アリスはロリスの隣に腰を下ろす。
巫月「やっほ♪」
カルゴ「おう♪」
巫月はいつも通りの子供らしい笑顔に戻り、テーブルの下で手を繋いでくる。
アリス「こんにちは、アリスちゃん」
ロリス「こ、こんにちは…」
アリスが微笑を浮かべて挨拶をするも、ロリスは困惑する表情をするばかりだ。そんな空気を破るように、パンッと手を打つ母さん。
神綺「アリスちゃん!今日はね、アリスちゃんに2つ発表があるの!」
ロリス「…どっち?」
アリスは、今母さんが言っているのはロリスだとわかっているので特に何も言わないが、どちらかわからないロリスは母さんに尋ねる。
神綺「あなたよ、小さいアリスちゃん♪」
ロリス「ち、小さい…」
神綺「あのね!今ここに来た大きいアリスちゃんはね、あなたのお姉ちゃんなのよっ!」
ロリス「え…?」
神綺「少し前までこの魔界に住んでいたの!」
ロリス「で、でも…私が小さい時とかは、ここに居なかったじゃない」
神綺「えっとね、あなたが生まれる少し前にね、幻想郷にお引越ししたの。もっと強くなるって」
ロリス「そうなんだ…。初めまして、アリスよ」
アリス「アリス・マーガトロイドよ。よろしく」
ロリス「! あなたがマーガトロイドさんなの?」
ロリスって姉ちゃんのこと知ってたっけ?なんでそこに食いつくんだ…?
アリス「そうよ?私を知ってるの?」
ロリス「いつもここに来てる魔法使いの人がね、最初、私をマーガトロイドさんと間違えてたの」
あぁ、あったなぁそんな事も…。
アリス「あぁ、魔理沙ね。その話は幻想郷で本人から聞かせてもらったわ」
ロリス「…私もマーガトロイドさんもアリス…。なんて呼べばいい?」
アリス「私の事はお姉ちゃんで良いわよ」
ロリス「っ!わかった!!これからよろしくね、お姉ちゃん!」
アリス「ええ、改めて宜しく。問題はお母さんが私たちをなんて呼ぶか、だけど」
ロリス「あ〜…」
打ち解けるの早くないか?…俺もか。
神綺「大きいアリスちゃん、小さいアリスちゃんって分けて呼ぶから心配しないで♪」
アリス「私は良いけど…あなたは?」
ロリス「うん、良いよ!」
神綺「よかった〜!」
(胸が)大きいアリスちゃん、小さいアリスちゃん
…なんてね。言ったら殺されそうだから怖いな。
神綺《カ・ル・ちゃ・ん♡》
カルゴ《ヒッ!?》
神綺《そんな事は言っちゃダメよ♪》
カルゴ《わ、わかってる…》
巫月(なんか波長乱れた……焦ってる?何で?)
神綺「2つ目の発表よ、小さいアリスちゃん!」
ロリス「うん!」
神綺「そこにいる巫月ちゃんのお父さんはね…!実は、アリスちゃんのお兄ちゃんなのよっ!!」
ロリ巫月「えええっ!?」
カルゴ「へへっ…」
巫月「…え?エスカルゴは元人間で…神綺さんは神様でアリスは魔界人で…?え?んー…?」
神綺「詳しい話は後でカルちゃんから聞いて!」
俺に丸投げなのかよ!!
ロリス「お姉ちゃんの次はお兄ちゃん…?」
カルゴ「ああ、そうなる。隠してて悪かったな。今日のために、秘密にしとけって母さんに言われてたんだよ」
神綺《カルちゃんんんん!?私のせいなの!?》
カルゴ《説明丸投げしたからお返しな》
神綺《んもう…しょうがないわねぇ…》
ロリス「なんか…一気に家族が増えたねっ!」
あ、可愛い。
巫月(ん、波長が…。もしかしてアリスちゃんにデレてる?なんか悔しいっ!!)
カルゴ「うふおぅっ!?」
3人「どうしたの(カルちゃん!)?」
カルゴ「な、なんでも…」
何故手を握り潰そうとするのだ巫月ぃぃ…!
ロリス「お姉ちゃん…お兄ちゃん…。うふふっ、なんだか嬉しい♪」
ロリスカワユス…。
巫月「多分アリスちゃん見て鼻の下伸ばしてる。波長的にそう」ボソッ
カルゴ「おいっ!?」
神綺「あら?カルちゃんってば妹相手にドキドキしちゃうイケナイお兄ちゃんなのかしら〜?」
カルゴ「ちっ、ちが…おい巫月、波長でわかるんだろうが、口に出すことないだろっ…!」
巫月「どうせアリスちゃんのほっぺ触りたいとか考えてるんでしょ」
カルゴ「巫月ぃぃぃぃぃ⤴⤴⤴!!!」
夢子「ぷっ………」
神綺「ふふっ、相変わらずねぇ♪」
顔を赤くして声を裏返らせる俺を見て夢子が軽く吹き出し、姉ちゃんは苦笑いし、母さんはやはり止めもせず…。そして当のロリスは────。
ロリス「大丈夫だよ巫月ちゃん!お兄ちゃんね、いっつも私のほっぺプニプニしてくれるんだよ!ナデナデもしてくれるしっ!」
巫月「ふ〜〜〜ん……?」
カルゴ「ひっ…待て待て待てその拳を一体どこに打ち込もうと言うのかね巫月ちゃ」
巫月「問答無用」
カルゴ「アッー!!」
最大の秘密を暴露してしまうのだった………。
ロリ巫月?巫月は元々ロリです(白目)