巫月「はぁ…はぁ…」
カルゴ「ふぅ……やっと落ち着いたか?」
巫月「…まぁね…。でも、勝手にアリスちゃんとそんな関係になってたのがなー…」
カルゴ「悪かったって…」
巫月「今度団子奢って」
カルゴ「よしきた」
嫉妬から始まった巫月の暴走を、何とか鎮圧した俺は、改めて手を繋いで席に着く。まさか零距離から殴ってくるとは思わなんだ。もし今のが狂気だったら、せっかく夢子が作ったケーキが大変な事になっていただろう。
そもそもの話、ロリスの頬を触った程度で巫月が嫉妬に走るほど俺を好いていてくれたとは、全く予想外だった。
人里の男共の嫉妬とはまた違う嫉妬が、少しだけ嬉しく感じる。
ロリス「あはは…なんかごめんね、お兄ちゃん、巫月ちゃん…」
カルゴ「大丈夫だ、問題ない」
巫月「アリスちゃんは全然悪くないよ。悪いのはアリスちゃんを触ったことを隠してたエスカルゴなんだから。ね?」
カルゴ「…はい…」
巫月「私以外の女子は触らないで?」
カルゴ「…うっす…」
巫月「私たち姉妹なら良いけど」
カルゴ「でもアリスは俺の妹だかr」
巫月「今まで隠してたでしょう?」
カルゴ「はい」
巫月「チューはダメだよ?」
カルゴ「しないしない」
巫月「ならいいんだけど」
アリス「えっ、ダメなの?私とはもうしちゃったじゃない」
巫月「………」
カルゴ「姉ちゃん!なにもこのタイミングでそれ言う必要無いだろ!?しかもほっぺだし!」
アリス「唇でもほっぺでも同じでしょう?」
カルゴ「全っ然ちげーよっ!!!」
巫月「へ〜…まだ隠してたんだぁ…」
カルゴ「ヒィッ!?」
数分後
カルゴ「はぁ…痛い痛い…」
巫月「ったく…もう隠してないよね?」
カルゴ「大丈夫…」
巫月「次何か隠したら永遠亭に閉じ込めるから」
カルゴ「…うす…」
またもや巫月を怒らせてしまった。怒ると巫月は殴りかかってくるらしい。その怒りが最高潮まで達すると狂気が発動する。なので気を付けねば。
神綺「あらあら、大きいアリスちゃんとキスするまで仲良くなったのね♪」
カルゴ「仲は元々良いよ。姉弟だってわかって、少し進んだってだけだし。ねぇ?」
アリス「そうね」
カルゴ「だからまぁ…怒らないで…ね?」
隣に座る巫月に、そんな言葉をかける。まさか、隠し事がバレて娘に殴られようとは思わなんだ。まぁ、可愛いので特に何も気にしていないが。
巫月「もう怒ってないよ。でも、気を付けてね。アリスさんとアリスちゃんはもうイイけど」
カルゴ「姉ちゃんと妹だからな」
巫月「でも姉弟でチューってするものなの?」
カルゴ「…!」
ロリス「お母さんからはされたことある〜♪」
アリス「私も。あと弟とはしたわね」
カルゴ「…な?」
巫月「でも妖舞としたくない」
カルゴ「しなくていい。巫月の唇は俺のものだ」
巫月「うんっ♡」
そう言って、隣に座る俺の頬にぷにっと唇を押し付ける巫月。もしもここが白玉楼だったならば、巫月とキスする俺を見た妖忌がまたも何か騒ぐんだろうな、とふと思った。
神綺「ふふっ、仲が良いのね♪」
アリス「見てて微笑ましいわ」
ロリス「…お姉ちゃん。お兄ちゃんとお姉ちゃんってホントにキスしたことあるの?」
アリス「あるわよ」
すると、ロリスは姉ちゃんに顔を寄せて、巫月と俺に聞こえないようにヒソヒソ話を始める。だがやはり、地獄耳である俺の耳には入ってしまう。あくまでも自然に。
ロリス「ドキドキ…した?」
ふんわりと優しく微笑んだアリスは、俺の耳にも届いているだろうということを知りながら、一応ロリスの耳元で、囁くように返事をする。
アリス「ドキドキしたわ」
ロリス「どんな気持ち…?」
心中まで尋ねるロリスは、さながら恋する乙女のような表情をしている。しかもそれが初々しい。
アリス「嬉しいけど恥ずかしい…だけどもう1回キスしたくなる…。そんな感じの、何故か上手く言葉では表せない幸せな気持ちになるわ。こう…満たされてるって感じがするの。お母さんからのキスとはまた違う…ね」
ロリス「…お兄ちゃん、私ともしてくれるかな?嫌がられたりしない…?」
するわけがない。
アリス「大丈夫よ。照れるだけだからね」
ロリス「…今度、してみる…!」
アリス「無理しなくてもいいのよ?」
ロリス「ううん、お兄ちゃんにお礼がしたいの。ここに来た時は私の面倒を見てくれるし、魔法の実験台にもなってくれるの。お母さんが、キスは気持ちを伝えるのにも有効だって言ってたから、キスしてお礼がしたいの」
アリス「ふぅん…本当にそれだけ?」
ロリス「!そ、それだけだもんっ!お礼だけ!」
顔を赤くしたロリスは、アリスから顔を背ける。
その言葉はガッツリと全員に聞こえているので、何の事やらわからない夢子は黙って首を傾げる。
巫月「アリスちゃん、あんまりチューしすぎないでね!エスカルゴ、調子乗るから!」
ロリス「わかってるよ。巫月ちゃんって、本当にお兄ちゃんが大好きなんだね♪」
巫月「えへへへっ♪」
あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~。
その後、しばらくイチゴケーキを食べながら皆で談笑し、太陽が沈んだ夕方頃、巫月と姉ちゃんをそれぞれの家へ送り届けた俺は、母さんの部屋に呼び出された────。