※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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ド正論

サリエル「……戦いになる前に、お尋ねします。あなた方は何用でここへやってきたのですか?」

 

相変わらずの澄んだ声で問いかける。もし外で合唱団に入れば、もて囃されるであろうという美声である。そんな声に対し、俺は堂々と答える。

 

カルゴ「最近魔界で起きてる事件を追っている。その犯人はお前だな?大天使サリエル」

 

サリエル「成程、事情は把握致しました。しかし生物である以上、死は逃れられぬ秩序なのです。私は、その秩序を安定させているだけなのです」

 

カルゴ「それはまぁ…言いたいことはわかるが。けど、魔界人の寿命は数十年前よりも伸びてる。それに合わせてもらうわけには…いかないのか?それさえ出来るなら俺らは大人しく引き下がる」

 

サリエル「そもそも寿命とはそう簡単に伸びては良いものでは無いのです。秩序とは世界の根幹を成す、言わば決まり事のようなものです。それが簡単に崩れて…死、つまり秩序を司るこの私に、それを見過ごせとあなたは仰るのですか?」

 

カルゴ「ド正論すぎる」

 

妹紅「全くだ」

 

サリエル「でしたら、早々にお引き取り下さい。我々は古くからの秩序を守りたいだけなのです。それをご理解頂けましたら幸いです。魔界神にもその旨を伝えておいて下さるとなお有難いです」

 

カルゴ「……あれ?魔界神から言われて来たって言ったっけ…?」

 

サリエル「己の創造した人民に甘い。それだけで魔界神神綺の差し金である事は予想がつきます。私とて神と争うつもりは無いのですよ。しかし、秩序は守らねばならぬものです。…その為ならば神に弓引くこともありえましょう。そのように、彼女にお伝え下さい」

 

カルゴ《…だってよ?》

 

神綺《参ったわ…。でも、折角皆で医療の技術を発達させて今の世界を作り上げてきたのに……。それを壊されかねないのは見過ごせない案件よ。だから……》

 

カルゴ《わかった。あとは任せて》

 

神綺《…悪いわね》

 

カルゴ「大天使サリエルに、魔界神神綺の言葉を伝える。皆で医療の技術を発達させて今の世界を作り上げてきた。魔界人の寿命が伸びたのは私の力だけではなく努力の結果である。故に、それをみすみす壊されるのは本意ではない」

 

サリエル「そうですか…ご理解頂けず残念です」

 

カルゴ「神の代弁者として、俺らが戦う。もしも俺らが勝てば、今の時代に合わせて秩序とやらを少しだけ捻じ曲げてもらう。そっちが勝てば……好きなようにするといい」

 

サリエル「その言葉、ゆめゆめ忘れることの無いように。…今日は日が悪いようですね…」

 

カルゴ「日が悪い?」

 

サリエル「聞こえていましたか。あなたは、耳がよろしいのですね」

 

カルゴ「まぁね。それで、どういう意味?」

 

サリエル「あなた方の相手をした夢月には、実は双子の姉がいます。名を幻月といいます。もしもその者ならば、あなた方をここへ連れてきたり、敗北してしまうようなミスは犯さなかったのかもしれない、と思いましてね」

 

カルゴ「その姉とやらは今どこに?」

 

サリエル「…夢月と幻月の姉妹は、とある世界の主です。主はそう易々と己の世界を離れません。2人が主なので、1日交代で私の仕事を手伝って下さるよう契約したのです。残虐非道なこの姉妹ならば、無情にこなしてくれますから」

 

確かに残虐非道な感じがしたな。夢月のさっきの発言からも、そんな感じがよーく伝わってきた。

 

サリエル「…と、思っていたのですが…やはり、仕事は自分の手で行うのが一番効率的且つ早い。先程の夢月の戦いを見て、そう思い至りました。

…故に、この戦いが終わった暁には、私は1人で仕事をこなす事にします」

 

カルゴ「俺らがお前の暴走を止めるからしばらく仕事は楽になるぞ」

 

サリエル「私の司るものをお忘れですか?私は、死を司ります。この戦いの決着はあなた方の死。それ以外には有り得ません」

 

カルゴ「生憎だが、俺も妹紅も死なないよ」

 

サリエル「傲慢な。お喋りは終わりです、秩序を守るため、私が勝利します」

 

妹紅「傲慢はどっちか、その身に教えてやる!」

 

カルゴ「気を引き締めていくぞ、妹紅!」

 

妹紅「ああ!」

 

サリエル「死をあなた方に教えてあげましょう。死とは決して抗えぬものだという事を───…」

 

言葉を切って、殺意に塗れた凶悪な弾幕を発射し始めるサリエル。こうして、最後の戦いの幕が、切って落とされた。

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