カルゴ「やっぱ門番って居るんだな」
???「そうよ!」
夢幻館に到着した俺は、曲がりくねった鎌を持つ少女を前にしてそう言った。やはり館には門番が付き物らしい。この門番は鎌を得物としている。ナイフよりリーチがある分、厄介かもしれない。
カルゴ「ところで君は?」
???「私?ここを見張ってるエリー」
カルゴ「エリーか、よろしく。俺はエスカルゴ・
スカーレット、吸血鬼だ。俺ちょっと夢幻世界に行きたいんだけど、この夢幻館がその境界にあるって本当か?」
まだ先々代の記述の通りだとはな。時代がまるで進んでないように思える。なら、この後出てくるのは間違いなくアイツかな。信じ難いが…。
エリー「本当よ。館の名前もそこから来てるし。館の最奥に夢幻世界への入口があるわ」
カルゴ「そりゃ厄介だな」
エリー「そうでしょ。早く帰りなさーい?」
カルゴ「そうやって追い返そうとしてやられたんだろう?数十年前も」
エリー「仕方ないじゃない、仕方ないじゃない」
カルゴ「なら俺も通してくれる?」
エリー「って言われて、素直に通すと思う?」
カルゴ「思わないから、先手必勝でブチのめす。絶技『天翔雷霆零槍』!!」
エリー「また戦闘は久しぶりだけど、ぽっと出の若いヤツに負ける訳にはいかないよ!えいっ!」
カルゴ「投げるのかよっ!?」
エリーは、逆刃の鎌をブーメランのように投げ、さらに四角の弾幕を発射してくる。ブーメランは直線にしか往復しないので回避は余裕だ。しかし速度がある弾幕と組み合わさっているとキツい。
今回は、長引くほど俺に不利になりかねない。
ヤケクソ気味に槍を投擲して、鎌を弾き飛ばす。
カルゴ「召喚『愛娘降臨』!!」
弾幕を避ける俺のすぐ隣にスキマが開く。すると鉛筆を持った巫月が現れた。
巫月「えへへっ、
チルノ「のわーっ!巫月が消えた!?」
大妖精「ええっ!?」
リグル「うっそ!?目の前から急に消えた!!」
慧音「何だとっ!?」
みすちー「これはもしや…」
るみゃ(エスカルゴの仕業ね…)
カルゴ「力貸してくれるか?」
巫月「もっちろん!でもまだ授業中だから1発でキメちゃおーね♪」
カルゴ「おうよっ!」
微笑みながら手を握ってくる娘。やはり可愛い。
カル巫月「極雷『
フニフニとした手を握り返して、反対の手で空に手を翳し、共に複合スペルの詠唱をする。これは俺と巫月2人の全力を尽くすスペルだ。今の俺は無尽蔵になっているので、溜めると威力は上がるようになっている。
しかし今回は溜めない。授業中だからだ。
エリー「ギャッ─────…」
短い悲鳴を上げたエリーは、夢幻館の門ごと吹き飛び、瓦礫の上に落ちて気絶した。
カルゴ「サンキュー巫月、助かったよ」
巫月「何かあったらまた喚んでね♪」
カルゴ「はいよ♪」
巫月をスキマで寺子屋へ送り返し、夢幻館の玄関へと足を進める。
巫月「ただいま戻りましたー!」
慧音「巫月!?どこに行ってた、授業中だぞ!」
巫月「エスカルゴに召喚されてました♪」
ルーみす(やっぱり…)
慧音「う…む…今度会ったらアイツに説教だな。よし皆、続きを始めよう」
カルゴ「おじゃましますよーっと……ん?」
ご丁寧に玄関から入った俺は、広いエントランスの向こうに寝間着姿の女性を発見する。女子ではなく女性だろう。家主かはわからない…が、強い妖気を感じる。館の外から感じていた妖気だ。
ならばこの女性が夢幻館の家主の可能性が高い。
???「もう、うるさいなぁこんな時間に……」
あちゃー…寝てたところ起こしちゃったか……。
そうなると、大抵は不機嫌なんだよなぁ。
カルゴ「も、申し訳ない…夢幻世界への行き方を教えて欲しい…てか、夢幻世界に行きたくて…」
???「…おやすみ…」
カルゴ「寝るなっ!!」
???「で?」
カルゴ「『で?』って…。まぁ、寝てるときなら家探しするのも楽だけどね」
???「失礼ね、寝てないわよ」
カルゴ「ふーん…」
???「自己紹介がまだだったわね。私はこの館の主人の幽香よ♡」
カルゴ「幽香…」
風見幽香が2人か……あ、苗字はないんだっけ。
こっちは本気の幽香の時みたいにロングなのか。ぜってー強えよなぁ…。
カルゴ「まぁいい、戦うんなら相手するぞ」
幽香「あんた、吸血鬼でしょ。生意気ね。長生きしたければ大人しくしてた方がいいかと」
カルゴ「つまらない人生を送るなら、死んだ方がマシだな。まぁ、俺は死なないけど」
幽香「う〜ん……眠たくて何を言ってるのかよくわかんない〜………とりあえず倒す…」
目を擦りながら、扇状に広がる黄色い星のような弾幕を発射してくる。またも突然の事で驚いたが今回は被弾はしなかった。だが魔界といいくるみたちといい、弾速が全体的に速いのが困る。申し訳ないが、早く決着をつけねばならないだろう。
カルゴ「雷装備『勇者の纏い』」
右手に鎌を持ち左手に盾を持ち全身に鎧を纏い、ジワジワと距離を詰める。
幽香「…ねむ……ふあ〜ぁ………」
カルゴ「っ!?」
欠伸をしながら、手を俺に向ける。すると弾幕が止み、一瞬だけ静寂が訪れる。しかし次の瞬間、俺の目の前には、青白い超極太レーザーが眼前に迫っていた。
カルゴ「うっぎゃわあああああぁぁっっ!!?」
回避が遅れて右半身が消し飛ぶが、何とか意識はある。まさか、マスパを放つとは思わなかった。それより不意打ちがすぎる。なるほど、そりゃあスペルカードルールが必要になるわけである。
直撃なら死んでいた。人間ならこれで死んでる。
右半身が無いおかげで利き足ではない左足のみで体を支えている。ケンケンはキツい。
…とんだ初見殺しだ。
幽香「あらぁ〜、けっこー脆いのねー……。ならもー1発…」
カルゴ「ちょ、待って────…」
幽香「えい♡」
スキマを開こうとする俺だが、形成が間に合わずその全身にレーザーを浴びてしまい、消し飛んでしまった。
カルゴ「あー危ねぇ危ねぇ…まさか死ぬとは…。んで、これが夢幻世界への入口だな?」
幽香に殺された俺は、魂の状態で家探しをして、こことは違う雰囲気…気配が流れ込んでくる妙な扉を発見した。魔界と幻想郷との境界のように、幻想郷と夢幻世界の境界も扉によって仕切られているらしい。
鍵穴が無いので、鍵は掛かっていないとみえる。ドアノブに手をかけるも、ノブは動かせている。
カルゴ「よーし、夢幻世界に殴り込…」
幽香「そこまでよ」
カルゴ「ッ!?」
背後に幽香が現れた。膨大なエネルギー量を背中越しに感じる。手を向けられているらしい。またあのレーザーを浴びるのかと思うと寒気がする。いや、寒気しかしない。
カルゴ「幽香…だっけ。夢幻世界に行くだけだ、許してくれないか?一度だけ行ければいいんだ」
それ以降はスキマで行けるからな。
幽香「ダメ。夢幻世界は私が侵略するから」
カルゴ「俺は侵略しない。侵略するもしないも、お前に任せるからさ。今はただ、通るだけだ」
幽香「もう一度消されたい?それともさっきは、目にも止まらぬ速さで避けたって事かしら?」
カルゴ「さぁ、どっちだろうね」
幽香「私の目に止まらないなんて有り得ないわ。よってあなたは、復活が出来る特殊な体質の人。どう?当たってるでしょう?」
カルゴ「さぁね。…もしかしたら、お前の目にも止まらないくらい速く動けるかもしれないぜ?」
幽香「生意気に!消えな!!!」
刹那、エネルギー量が膨れ上がり、扉や壁に光が青白い光が写った。レーザーが来ると悟った俺はスペルを発動させた。
カルゴ「神速『スウィフト』」
チュン、とレーザーが掠ったが、なんとか回避に成功した俺は、幽香の背後に回り込んだ。扉は、レーザーを喰らっても壊れていなかった。特殊な扉は特殊な力によって守られているらしい。この幽香が手加減するはずがないからだ。それに先程背中で感じた膨大なエネルギー量は本物だった。
幽香「…なるほど、速いのね」
カルゴ「さっきは不意打ち喰らったが、一度でも喰らえばもう喰らわん」
幽香「それは残念だったわね♡」
カルゴ「何っ?」
幽香2「えいっ♡」
カルゴ「後r────ッッ!!!」
幽香の背後に居たはずの俺の背後には、もう1人幽香が居た。突如湧いてきたかのような気配に、俺は反応しきれず、またもレーザーを喰らった。
幽香「あーあ、1人消えちゃった♡…さーてと、パジャマに着替えて二度寝しよっt………!?」
カルゴ「いってきまーす♪」
背を向けた幽香を見て肉体を再構築して、堂々と扉を開けて中に入る。当然、幽香は焦って、一瞬だけだが隙ができる。
幽香「ちょっ、何でそこに…はあぁぁっ!!」
カルゴ「おっと」
扉を盾にした俺は、そのまま夢幻世界へ足を踏み入れ、幽香のレーザー攻撃を回避した。
幽香「あ〜〜っ!!行かれちゃった〜〜〜っ!!もうっ、何なのよあのスカした男ー!!!次に会ったら絶対絶対、絶対ブチ殺してやるー!!」
カルゴ「ここが夢幻世界…」
??「思ったより遅かったね、エスカルゴ!!」
カルゴ「…お前が幻月か」
夢月「やっほ、昨日ぶりだね♪」
カルゴ「……」
扉の向こうには、夢月と幻月が待ち構えていた。