※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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クリスマス後日談

カルゴ「…あれ?何だこれ…」

25日の朝。目覚めると、小さな紙袋が1つ、少し大きめの紙袋が1つの、合計2つの紙袋が枕元に置いてあった。
小さな方には「エスカルゴへ」、大きめの方には
「エスカルゴ君へ」と書いてあるので俺宛なのは間違いないらしい。筆跡からして誰からなのかは何となく察せた。

カルゴ「…何だろ?」

小さな方を開けてみる。中にはガラス瓶に入ったパチンコ玉大の黒い玉が数10粒と、1枚のメモが入っていた。メモにはこう書かれている。

Merry X'mas!
折角のクリスマスだから、魔力を全快させる薬をプレゼントするぜ。この前、魔法石ありがとな。そのお礼として、黙って受け取ってくれ。お前の創造魔法で複製が出来るように出来るだけ単純な構造にしておいたから、是非練習してみてくれ。魔力だけでも、十分に戦えるようになるはずだ。単純な構造にした分カプセルが大きくなったが、そこは勘弁してくれ。どうせ飲めるんだろうし。
その薬は、元の魔力量に限らず、その人に魔力が満ちるまで増え続けるから、キャパシティを増やしてから服用するのがオススメだぜ。お前が力をつけたら、魔法だけでの勝負がしてみたいぜ。
魔理ちゃんより☆

P.S.
わざわざ創造しやすくしたのは、いちいち、私に薬をねだられても困るから、自分で作れるようにして欲しかっただけだぞ!親切心じゃないから、余計な勘違いはするなよ!

カルゴ「マジかよ魔理沙…!今度会ったらマジでちゃんと礼言わねーとな…」

スキマ空間(ポケット)にカプセルの入った瓶とメモを仕舞いながらそう呟き、次に大きめの方を開く。中には同じく1枚のメモと、畳まれた黒い布がある。
メモには、短くこう書かれている。

メリークリスマス♪
前に私とピースにご飯奢ってくれたから、お礼に服を贈らせてもらうわよん♪
せっかくだからペアルックね!これからも純狐とピース、それから私をよろしく頼むわ♪
へカーティア

カルゴ「まさ、か……?」

布を開いてみれば、「Welcome Hell♡」の文字が書かれているへカーティアのシャツが姿を現す。
だが、普段彼女が着用しているような肩出しではなく、キチンとしたTシャツだった。そこら辺の配慮はしてくれたらしい。

カルゴ「変Tキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!」

女神からの贈り物が素直に嬉しかった俺は、ただただ喜びの声を上げた。
























人間の復讐

霊愛「霊麗っ、そっちにも行ったよ!!」

 

霊麗「わかってる!霊符『夢想妙珠』!!」

 

ある日私たち姉妹は、人里に突如出現したらしい妖獣の群れを退治していた。お母さんにお惣菜を買ってくるよう頼まれたから、寒い中でわざわざ里に来たのに、まさかこんな事になってるなんて本当にイヤになっちゃう。

どうも、老朽化していた塀をぶち破って里の中に侵入したらしい。妖獣は、元々が獣なだけあってそこそこ力が強い。獣が妖怪を食べて、妖怪的な強さまで兼ね備えて進化した姿、それが妖獣。

獣みたいに群れで行動するから、尚のこと厄介。

妖怪は人間を喰らう。だから侵入してきた妖獣は迷いなく里の内側に入り込んで、人々が多い所にまで侵入してきた。

 

霊愛「鬱陶しいなぁ!霊符『夢想封印 夢幻』!」

 

妖獣「グギュルルルァァァッ!!」

 

そこで、ちょうど里で買い物していた私たち姉妹を見つけた人間が声を掛けてきたワケだけど…。何で最初から巫女に頼るの?何のための自警団?

お母さんや早苗や魔理沙以外だって、妖怪退治が出来る人間は人間の里にだって居る。退魔師やら祓魔師とかなんとかって人たち。

まず自警団に要請がいってそれから博麗の巫女が動くのがこれまでの流れでもあるのに。やっぱり最近の人里は少しおかしい。

幻想入りしたっていうお父さんよりも幻想郷歴が浅い私だけどそれだけはわかる。生まれた時から幻想郷に住んでいるから。

 

霊麗「お姉ちゃんっ、数が多すぎるよ!」

 

霊愛「イラつくなぁぁぁ…!」

 

侵入した妖獣は100を越えているかもしれない。

飢えているのか、ヨダレを垂らしている。それが最高に不快感を与えてくる。

 

霊愛「霊麗、もうキメるよ!合わせて!」

 

霊麗「わかった!」

 

姉妹「姉妹符『緋想封印』!!」

 

紅と白のホーミング弾が溢れ出して、妖獣を尽く消し飛ばす。跡には謎の石がバラバラと残った。これにて私たち姉妹の仕事はおしまい。

ようやくお使いに戻れ──────

 

里人「あああああああああ〜〜〜〜っっ!!!」

 

霊愛「わっ……な、何…?」

 

そばで戦いを見ていた人間数人のうち1人が頭を抱えて叫んだ。私も霊麗も、肩を大きく震わせて驚いた。

 

里人「俺の牛小屋が破壊されてる〜〜〜!!!」

 

霊愛「え゙っ…」

 

その人の視線の先を見てみれば、確かに、小さな牛小屋?らしき建物の壁が吹き飛んでいた。幸い中の牛は無事らしい。木造だから欠片も残さずに吹き飛んだのかもしれない。

ホーミングだからって、油断していた。行き所が無くなった弾幕はいつもどおりランダムになる。それが流れ弾としてあれに当たったんだ。

 

里人「おいおい、どうしてくれんだよ次代の巫女さんよぉ〜?」

 

霊愛「ご、ごめんなさい…」

 

霊麗「ごめんなさいっ!」

 

しくじった…正式に巫女になってないとはいえ、これは酷いしくじりだ…最悪だ…。

 

里人「弁償してもらわねぇと、俺なんて生活すら出来ねぇなぁ〜。牛の肉やら乳やらを売って生活してっからよぉ。建物がねーとそうもいかねぇ。なぁどうしてくれんだよ?」

 

霊愛「ごめんなさい…すぐに河童(建築業者)呼んでくるからそれで勘弁して…」

 

里人「待て待て待て待て。俺はな?お前らに弁償してくれって言ってんだよ?壊した本人が弁償。当然だよなぁ?」

 

霊愛「私たちはまだ子供だよ、まだそんなことは出来ないし…。何ならすぐ親呼んでくるから…」

 

里人「(親が来るとクソめんどくせぇよな…。特にこのガキ2人の親はアイツら…か。)そう言って、逃げおおせる算段なんだろう?大人に対して嘘はついちゃあいけねぇぜ?」

 

霊愛「嘘なんてついてないし!」

 

カッとなった私は、ついそう怒鳴る。するとその男の取り巻きたちまで囃し立て始めた。

 

里人「おいおい、大人に逆らってるぜこのガキ」

 

里人「次代の巫女とか呼ばれて天狗になったか」

 

里人「実際には力の制御すらできてないんだろ?だから牛小屋を壊しちまう」

 

ブチッと堪忍袋の緒が切れるような音が頭の中に響いたような気がした。お祓い棒を握って折り、地面に踏み込んで殴り掛かろうとした時、さっきまで私にガーガー言ってきていた牛小屋男が掌を返したようにその男たちを軽く宥めて、私たちに気持ち悪い笑みを浮かべて話し始めた。

 

里人「まぁまぁ。確かに子供だ。だが、子供には子供なりの償い方があるんじゃないのか?ん?」

 

霊愛「……それはまぁ…そうだけど…」

 

霊麗「…うん…」

 

それを聞くと満足げに頷いて、手を差し伸べた。

 

里人「ならば俺の家に来い。家の手伝いをすれば牛小屋の件については目を瞑ろう。俺も、そしてコイツらも、だ。お前らとて博麗の巫女の評判を下げたりはしたくないだろう?」

 

霊愛「…うん…」

 

私も霊麗もその手はとらない。ただ頷くだけだ。

 

里人「結構だ!さぁ、近くに家があるから来い。手取り足取り、俺の家での仕事を教えてやろう。お前らも来るか?」

 

ほかの男たちは満面の笑みで頷く。

 

霊愛「ちょっと待って、私たちに仕事教えるのにその人たちは関係無いでしょ!?」

 

里人「言ってなかったか?コイツらは全員、俺の召使いだ。つまり、お前らの同僚になるんだよ」

 

霊愛「………牛の肉と乳を売って生活してんのに召使い雇う金なんてあんの?」

 

里人「…お前のようなカンのいいガキは嫌いだ。おい、すぐに捕まえろ!!」

 

里人達「おうッ!」

 

霊愛「イヤっ…!」

 

件の男がそう号令をかけると、取り巻きたちが私たちに手を伸ばしてきた。霊麗はその手を弾く。しかし強すぎたらしく、その男の手は反対に折れ曲がり涙声で絶叫を上げる。私も、向かってくる手はお祓い棒で叩いて、額を突いて指一本として触らせないように努める。

 

里人「ぎゃあああああああああああぁぁぁ!!!腕が!腕があああああああああああッッ!!!」

 

そう大袈裟とも思える叫び声を挙げられたらもう霊麗は動けない。焦りのために、手を止める。

 

里人「よいしょっ…うお軽っ、飯食ってるか?」

 

霊麗「きゃああああっ!!イヤッ、離してぇ!!触んないでっ!!!」

 

霊愛「霊麗ッ!!」

 

まるで丸太を担ぐように、背後から、霊麗を肩に担ぐ。霊麗は暴れるが、その力でうっかりその人を殺さないように、自然と行動を取らなくなる。

そして、そんな妹を見ていた私もまた、背後から腕を掴まれ、抱えあげられ、抵抗不能になる。

 

霊愛「触んないでよっ!このっ!!離してっ!!離してったら!!」

 

里人「よし、ズラかるぞ!」

 

霊愛「いやあああああああああああっっっ!!!お父さん助けてえええええぇぇぇっっ!!!!」

 

里人「ひゃはははははっ、残念だったな!ここはさっきの騒ぎで人が居ねぇ!!ましてやガキの声なんて、どこに居るともしれねぇ親に────」

 

私を担いでいた男が立ち止まって絶句する。他の男たちも笑い声を上げていたのにそれをパタッと止めて黙り込む。

 

カルゴ「ハァイ霊愛?どういう状況かな?」

 

霊愛「おと…さん……」

 

ピンチの時に助けに来てくれる、いつか紅魔館の漫画で読んだ「スーパーヒーロー」のような父の登場に、思わず私は泣き出してしまった。

 

 

 

 

 

霊愛に似た叫び声が聞こえてきたから来てみたら何だこりゃ、誘拐か?…ふむ、死にたいらしい。

 

カルゴ「お前ら、何俺の娘に触ってんの?」

 

里人「おっ、お前の子供はなっ!獣の群れを倒すときに俺の牛小屋を壊しやがったんだ!そんで、俺の家で働かせるために連れて帰るんだよ!」

 

あちゃー…確かに半壊してるねぇ…。

 

カルゴ「じゃあさ。─────────。ほい。これでどう?」

 

里人「何意味のわからんこと…を…………?お前今何しやがった…?」

 

カルゴ「弁償した。元通りだろう?」

 

創造魔法を利用して、壁を創ったにすぎない。

 

里人「へ、へへへへ…。そ、それでもだな、俺はこの2人に用があるんだよっ!だから借りるぜ!良いなっ!?」

 

カルゴ「親の許可も無く?それ誘拐じゃね?」

 

里人「っ…!と、ともかくだ!俺の牛小屋は俺のモノだ、それに関する所有権も俺にある!だからお前の子供に俺ん家で働いてもらう!以上だ!!直ってもこの2人が弁償したとは言えねぇよ!」

 

カルゴ「異常だ?それはお前の頭だよ。確かに、牛小屋の所有権はお前にある。だがな、俺の娘の所有権は俺にあんだよ、それがわかんねーのかよ醜いクソデブジジイがよ?クセェ体臭を俺の娘になすりつけんじゃねーよ穢らわしい」

 

里人「加害者のクセに何を─────!!」

 

言葉は途中で切れた。俺が人差し指で喉に風穴を開けたからだ。

 

里人「ぐ……ぁ…!!お、ま……えぇ…!!」

 

すると取り巻きは俺を囲んで、霊麗を抱えたもう1人の男が逃走を開始した。

 

カルゴ「全員この場で死ね。雷武器『雷銃』」

 

両手に銃を持った俺は、まず霊麗を運ぶ男の腹を撃ち抜いて、次に、喉に穴を開けた主犯格の男のデブっ腹にも大穴を開けて、他の余りに対してはキックで腰骨を粉砕して殺した。

霊愛も霊麗も、男が倒れそうになったらその場で腕から離れて飛び上がり、倒れるのを防いだ。

 

霊愛「お父さんっ…!」

 

霊麗「ありがと、お父さん…」

 

珍しく、霊愛が泣きながら俺に抱きついてきた。

いつもなら「おやぁ〜?泣いてるのかな〜?」と冷やかすだろう。しかしこれに関しては冷やかす気すら起きない。本気で怖かったのだろう。

 

カルゴ「大丈夫かよ、霊愛、霊麗?」

 

霊愛「大、丈夫…おとーさんが、助けて…うっ…助けてくれた、からぁ…ううっ…」

 

霊麗「怖かった…。でもごめんなさい…私たちのせいでお父さんが人殺しに……」

 

カルゴ「…なぁに…あとは神様に任せるさ……。さっ、霊夢が待ってるだろうから、早く帰りな」

 

一昨日が博麗神社だったので、今日は文の仕事場である。里を訪れたのはほんの気まぐれだった。それとも送っていくべきだろうか。父親として。

 

霊麗「今、お使いの途中なの…」

 

カルゴ「何を頼まれた?」

 

霊麗「長ネギ」

 

カルゴ「長ネギ……………ほれ、これでどーだ」

 

霊麗「クスッ…創造魔法、便利だねっ♪」

 

カルゴ「ああ。…ほら霊愛、そろそろ泣きやめ。霊夢に心配されるぞ?」

 

霊愛「ゔん゙…。ぐすっ……怖、かったよ…」

 

カルゴ「ああ…。これからは空を通って移動し、何かあったらすぐに俺を呼べな。わかったな?」

 

霊愛「わかっ、た……」

 

カルゴ「…よしよし…」

 

その後、霊愛が泣き止むまで、静かな土地で暫く抱き合っていた俺たち。姉妹をスキマで神社へと送ったあと、死体を即席のスキマ空間に落とし、血の跡は水や土を掛けて隠蔽した。

その日、人里では5人の行方不明者が出たそう。

しかしその行方は全く掴めずじまいなのだった。

 

そして、里に対して不信感を募らせる俺の不満が爆発する日が、刻一刻と迫っていた─────。

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