カルゴ「何してんの?」
霊夢「きゃっ…」
梁に結び付けられた縄を千切って、霊夢を助けた俺は、男たちに問うた。しかし返ってくる反応は怯えた視線のみ。
カルゴ「何してんだって聞いてんだよクソ野郎共がァッ!!!」
佐助「皆の衆、防護壁展開じゃ────」
叫ぶと同時にエネルギーを発散させ、辺り一帯を完全に吹き飛ばす。神社は跡形もなく消し飛び、石畳にも亀裂が走る。
霊夢「ちょっ、神社が……!」
防護壁とやらに守られた退魔師や封魔師連中は、境内に吹き飛んではいるが大した傷は負ってない様子だった。俺は主犯と思われる佐助の胸ぐらを掴みあげ、問いかける。
カルゴ「テメェだろ。主犯はよ」
佐助「くっ…ふ、ふふふふっ…!おかしいのォ…里の守護者が里の守護者に手を出すのか……?」
カルゴ「あ?」
佐助「ぐふぉっ!?」
掴み上げていた佐助を、ヒビ割れた石畳に、軽く叩き付けてやる。佐助は目を白黒させ、痙攣したかのようにピクピクと動く。意識はあるらしい。
カルゴ「テメェ俺の霊夢に手を出そうと…いや、手ぇ出しやがったな?」
佐助「クッ…ククククッ…!妖怪となり、堕ちた巫女はもはや不要じゃ…!我ら自警団は、人里の平和を守る!妖怪巫女なんぞ危険でしかない…!妖怪と子を成し、自らも妖怪と成り果てた巫女に里が守れるか!?否、守れん!だいだらぼっちの襲来だってそうじゃ!巫女の力が及ばないから、あのような惨状になっ───ぐべらぁぁっ!!」
腹を踏み潰された佐助は、血を吐きながら白目を剥く。
里人達「佐助殿ッ!きっ、貴様ァァァッ!!」
御札を構え、投げつけようとする里人達。しかし俺は、あくまでも冷静に、スペルの詠唱をする。
カルゴ「雷爆符『ペタサンダー』」
里人「ぼっ、防護壁を展開せy────!」
刹那、爆音が響きわたり、神社の瓦礫もろとも、愚かな人間どもは塵芥となって消え失せた。本来なら苦しませたかったが…まぁ、いい。どうせ、里を破壊してくるのだから。
霊夢「じ、神社が……」
カルゴ「…魔空『
魔力の上限を増やした俺は魔理沙の薬を口に放り込み、噛まずに飲み込む。すると、途端に魔力が満ちて、神社を再建できるほどの魔力になった。すぐ創造魔法の詠唱をし、頭の中に神社の間取りなどを思い描くと、全てが元に戻った。
カルゴ「……その手の御札、もう剥がれるだろ」
霊夢「え、ええ…」
術者が死ねば、術は自然と解除される。それが、こういう封印系統の術式の理だ。
カルゴ「大丈夫か、霊夢」
霊夢「あんたも…心は大丈夫…?人を殺して…」
カルゴ「ああ…どうやらもうダメみたいだ」
あの時、霊夢が超音波を発さなかったら……遊覧飛行をしていた俺はあの状態に気付けなかった。というか、文がまだ出掛けていたから遊覧飛行をしていたのだから、今回霊夢を助けられたのは、全くの偶然だ。霊愛の時や樹里愛のときとはまた状況が違う。
霊夢「ごめんなさい…私が気軽に触れたせいで、こんなことになっちゃって……」
カルゴ「そんな事はいい。1人になったところを狙う人間がクソなだけだ。魔術『
霊夢「っ…な、に…………?」
カルゴ「寝てろ。起きる頃には全て片付いてる」
霊夢「ダメ…よ……こら…え……て……………」
強烈な眠気に襲われる霊夢は、しかし、ついには眠気に負け、境内にて崩れ落ちるように眠った。俺はそんな霊夢をスキマで寝室に送り、次に里の上空にスキマで移動した。
カルゴ「流石の俺も堪忍袋の緒が切れたぜ……!クソバエ共が…!融解『地上の人工太陽』!!」
暗くなりつつある里の上空に小さな太陽を作る。
里人「ん?何だありゃ、星か?」
里人「星があんな近くにあってたまるかよ…」
小鈴「あれっ…あれってもしかして、隕石というやつでは!?」
里人「なっ…!?聞いたことあるぞ、星が地上に降ってくるやつだ!!」
里人「お、おい、見ろ!近付いてきてないか!?いや、大きくなってきてないか!?」
小鈴「隕石です、皆さんすぐに逃げて下さい!!できる限り遠くに─────わっ!?」
里人「あれっ、小鈴ちゃん!?」
カルゴ「………あ?」
クソバエ共が避難を始めたか。どこに逃げようと無駄だ。この火球は、人里全域を吹き飛ばす。
ま、鈴奈庵と稗田家は人里の外に飛ばしたがな。それに加えて結界も張ってある。敷地の外へは、決して出れないだろうな。これで心置き無く里を破壊できるってもんだ。鈴瑚や赤蛮奇らは太陽を見るなり里の外に逃げた。小傘ももう逃げたが…あの工房は後で再建しよう。小傘は悪くないし。
カルゴ「吹き飛べや、カスバエ共がアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!」
腕を振り下ろし、火球を発射する。あと10m程で地上につく。もう少しだ、と思った瞬間、火球の下部に巨大なスキマが開き、火球を飲み込んだ。
カルゴ「なっ………邪魔すんじゃねえ八雲紫ィィィィイイイイイイイイッッ!!!!!」
紫「廃線『ぶらり廃駅下車の旅』」
カルゴ「効くかよォォ!!」
背後に迫る古ぼけた列車を振り向きざまに殴り、破壊してしまう。そこに居たのはやはり、妖怪の賢者、八雲紫だ。
紫「自分が何をしようとしてるかわかってるの?人里を…幻想郷の根幹を成す大切な場所を、破壊しようとしているのよ?」
扇子で口元を隠しながら……しかし、その瞳には強い怒りを湛えながら、そう問い掛ける。
カルゴ「だったらどうする!?このクソッタレな野郎共は俺の娘を誘拐し、挙句には俺の嫁に汚ぇ手を出しやがった!俺に黙って見てろってのか!いくら紫でもそれは許さねぇぞゴルァ!!」
紫「…どうやらお仕置きが必要らしいわね」
カルゴ「っせえんだよ!!いつまでも影の支配者気取ってんじゃねえぞ!!!外の世界の汚ぇことばかり俺にやらせて自分は結界の管理管理管理!
っざけんな!ここ数年の俺にゃ家庭もあんだよ!丁度いいぜっ、紫んことも、跡形もなく消し飛ばしてやらァ!!!!」
紫「思い上がりも甚だしいわね。神に等しい力を得たところであなたは神には成りえないわ」
カルゴ「知った風な口利いてんじゃねぇ!俺より神のことを知ってるっつーのかよ!?大妖怪とはいえただの妖怪である紫がよォ!!」
紫「知ってるかどうかは関係無いわ。あなたは、関係の無い人間を巻き込もうとした。それだけで万死に値すると、身を以て知りなさい……!!」
紫から息が詰まるような妖気が溢れ出す。確かにそれは、彼女を大妖怪と認めざるを得ないような強烈な妖気だった。
カルゴ「…やっぱ、わかってねぇ」
紫「何がわかってないというのかしら。それとも賢者である私よりもあなたの方が賢くて?たかが元人間の吸血鬼が」
カルゴ「神の怒りってのァ、個人じゃねぇんだ。人間という種族全体に向くモンなんだよ」
紫「あははっ、面白いことを言うわね。確かに、それは知ってるわ。でもあなたは吸血鬼であって神ではない。身の程知らずとは、あなたのためにあるような言葉ね」
カルゴ「……眷属とは乃ち神の代弁者、代行者。その眷属を怒らせたことを、未来永劫後悔するがいい。俺がこの手でぶっ壊してやんよ、お前が作りあげてきたこの世界の根幹、人間の里をな!!!」
紫「傲慢に…己の思い通りに運命を運ぶあなたのその姿勢は好きだったけれど…こうなったらもう仕方ないわね。あやふやになったあなたの生死の境界を操って、不老不死じゃなくさせて…殺す」
カルゴ「やれるもんならなァッ!ぶっ飛ばす!!はああぁぁぁっ!!!」
剣を抜き、真っ直ぐに紫に突撃する。…が、俺の目の前にスキマを開き、俺を飲み込まんとする。
紫「あなたの境界をいじるまでも無いかしら」
カルゴ「しゃらくせぇっ!『冥道斬月波』!!」
紫のものより大きなスキマを放ち、紫のスキマを飲み込みながら進む。
紫「くっ……相変わらず力任せね…」
堪らず紫は回避し、弾幕を放ってくる。しかし、俺はそんな事には構わず、鎧も出さず突入する。
カルゴ「ソ、ダルァァァァァァ!!!」
紫「特攻するなんて聞いてないわ───よっ!」
持っている傘を正面に突き出して、特攻する俺にそれを突き刺そうと身構える。
カルゴ「ガッ………ァアアアッ、セィヤッ!!」
傘は腹を貫通した。だがそれでも飛翔をやめず、口から血を流しつつも剣を横に振るう。紫の首は剣のリーチ内に入っている…が、彼女の首が飛ぶことはなかった。
傘を抜き、顔を仰け反らせたのだ。
紫「あ、あなた今、本気で私を殺そうとした!?跡継ぎの為とはいえ何度も体を重ねた私を!?」
カルゴ「そっちが俺を殺す気だからだろうがよ!自分が殺されかけたからってチョーシの良いこと宣ってんじゃねぇぞ紫ィ!『風の傷』ッ!!!」
紫「きゃっ────」
スキマを開いた紫は、すんでのところで風の傷を回避した。しかし隙は作れた。
カルゴ「『妖魔封結』!!」
右手に持った妖魔雷霊剣に結界を纏わせ、それを紫の胸元を狙って振り上げる。
紫「フッ─────!!」
小さく息を吐くのと同時に、閉じた扇子で剣戟を受け止める紫。剣を受け止められ、一瞬安堵するような表情になりかける紫だったが、そこは流石賢者である。すぐに追撃せんと弾幕を展開する。だが、彼女に異変が現れ、驚愕の表情になる。
紫「何…ですって……?」
カルゴ「弾幕が発射出来なくて不思議、か?」
答えを漏らしたりはしない。紫は賢者、もし俺が答えを漏らせばすぐに対策を思いつく事だろう。
『妖魔封結』、妖忌との戦いで使用した、妖力や魔力を封じる結界を、剣から相手の武器を介して相手に纏わせるという、特殊な結界術。紫は俺の剣戟を扇子で受け止めた。そこで結界が崩れて、紫を囲んで再形成されたまで。
しかし今回はスペルカードルールに則っていないので、術者以外の妖怪の目には見えない結界だ。ルールさえ無ければ、好き放題してもいいのだ。
紫「待って……空も飛べなく………」
カルゴ「ゆっくり下ろしてやるから、そこは安心するといい。重力も操れるからな、俺は」
紫「待ちなさいエスカルゴ!お願いだから、里は破壊しないで!あなただって人間に救われた事が何度もあるはずよ!」
カルゴ「黙って人里が壊滅する様子を見ていろ。創符『スターダストフォール』!!」
上空に幾つもの隕石を創造する。それを見た紫は今度こそ顔色を変えて慌てる。
紫「やめなさい!!こんな事をして、他の賢者があなたを放っておくわけがないわ!!きっと、死よりも酷い苦痛があなたに与えられる!そんなの嫌でしょう!?今ならまだ間に合うわ!一旦心を落ち着けて冷静になりなさい!!」
カルゴ「っせぇ…!ようやく昔の血が騒いできたんだからよ、あんまうるせぇと紫も殺すぞ?」
紫「やっ…やってみなさいよ…!ただし、もしも私が死ねば幻想郷は終わりも同然よ!なんたって管理を行ってるのは私なのだから!知ってるわ、あなたが心から幻想郷を愛してること。だから、その幻想郷を壊す事は避けたい!それがあなたの真意でしょう!?」
カルゴ「…ならどうした?幻想郷を盾にするか?何の為に茜を産んだ?『私が死んだ時の為』が、最初の理由じゃなかったか?」
紫「……ぁ…………」
徐々に降下しながら紫は悲痛な表情を浮かべる。
紫が跡取りを欲したのは、それがそもそもの理由だったのだから。
カルゴ「そもそも、幻想郷を盾にする時点で紫は負けてんだよ。戦闘に美学が足りねぇよ。…まぁ確かに、俺は幻想郷が大好きだ。間違いないよ。だがそれは、邪魔者が居ない幻想郷が、だ。今の俺には、人間そのものが邪魔にしか思えねぇ!」
紫「邪魔だからって消すの!?それはちょっと、傲慢じゃないかしら!?」
カルゴ「傲慢だが?紫も己の意思くらい通したらどうなんだ?」
紫「だったらあなたを今すぐ消すわ……!それが今の私の意思よ!!」
カルゴ「妖力を封じられた紫に一体何が出来る。せいぜい身体が丈夫なのが取り柄だろ」
紫「対策はわかっているわ…この結界を破壊して妖力を戻せば良いだけだもの…!」
カルゴ「だが時間が経ちすぎている。結界は既に完成してる。紫にその結界を破壊する力はない」
紫「いつからここに居るのは私だけだと錯覚していたのかしら…?」
カルゴ「何…?」
その時、背後で気配を感じた。そして振り向くと同時に弾幕が発射されて、俺を撃ち抜くと共に、紫に張った結界をパキィィンと破壊した。
カルゴ「チッ…余計な真似を……」
藍「貴様ァァァ…とうとう本性を表したな…!」
カルゴ「どいつもこいつもうるせぇなあぁぁ…!俺に言う前にクソバエ共を躾けたらどうなんだ!娘を連れ去られ嫁を汚されかけたんだぞ!!」
藍「だからと言って、人殺しを黙認する理由には成り得ない!」
カルゴ「テメェには汚される相手や守りたい者が居ねぇからそんな寝言を言えんだろうがよォ!!誰かを守りたいと思った事があるかよ!?」
藍「あるに決まっている!紫様は─────」
カルゴ「主従じゃねぇよ、ンな基本的な事もわかんねぇのかよクソが!愛する者っつってんだろ!賢者の式のクセにその程度もわかんねーのか!」
すると、藍の妖気が爆発的に膨れ上がる。
藍「貴様貴様貴様貴様ァァアアアァァァッ!!!下郎のくせによくもそんな口を…!賢者に仕える誇りを汚してくれたなァァァッッッ!!!!」
カルゴ「愛も知らねぇくせに、何が賢者だ!何が賢者の式だ!!娘を
藍「黙れ下郎!!お前こそ茜と向き合っ───」
カルゴ「そっちが黙れ式!!茜は俺と紫の子だ!お前にゃ何の関係もねぇんだ!口出しすんな!」
藍「貴様よりも長く茜の触れ合っている私が何故茜の教育に口出ししてはならんのだ!!」
カルゴ「第三者が教育に口出しすんなつってんだわかんねーのかクソ!!言ってもわかんねーなら力で分からせるしかねぇなぁ!!!」
藍「面白い!!貴様と私、格の違いというものをその傲慢な目に焼き付けてくれるわッ!!!」
瞬間、獣のように飛びかかってくる藍。だが俺はそんな藍に指を向けて、スペルの詠唱をする。
カルゴ「重符『グラビティ6』」
藍「っ!?うわああああああぁぁぁ………」
紫「らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」
藍にかかる重力を6倍にすると、瞬時に俺の視界から消え去った。そして次の瞬間、地面から爆音が聞こえてきて、同時に砂埃が舞ってきた。
紫「あ……ぁぁ…そんな……嘘、よね………?」
ガタガタと肩を震わせ呟く紫。
カルゴ「妖力が戻ったとて、紫も地面に叩きつけられればタダでは済まないぞ」
紫「藍の仇はとるわ…!それが、主としての私の責務だから…!!」
カルゴ「さっさとこの里を破壊したいから、早く終わらせてやる。召喚『姉妹降臨』」
??「わわっ…」
??「んもうっ、急に喚び出さないでってばっ!ビックリするでしょ!」
紫「コイツらは……!!!」
スキマから現れたとある姉妹を見た紫は明らかに嫌悪感を露わにする。
カルゴ「幻月、夢月。スペルカードルールはガン無視で構わない。好きに暴れよう」
夢月「えっ、本当に!?やった、久しぶりぃ♪」
幻月「へーぇ。どういう風の吹き回しか知らないけど…面白そうじゃん!」
カルゴ「あの発狂弾をカマそう」
幻月「オッケー、ダーリン♪」
カルゴ「まだダーリンじゃない」
夢月「今日はご機嫌ななめだね。そんな所も何か好きかもしれないなぁ♪」
カルゴ「………やるぞ」
姉妹「はーいっ♪」
紫「イヤッ………」
3人の超高密度&超高速の弾幕を、全身に浴びた紫は、あっという間に気を失い、藍と同じように地面に墜落していった。
カルゴ「邪魔者は消えた…!ハハハッ…ヒャハハハハハハハハッッ!!!よぉし、お前らァ!!!隕石衝突を合図に、里に攻め込むぞ!!!」
幻月「きゃっほーっ♪」
夢月「楽しんじゃうぞーっ!」
カルゴ「そぉれ、降り注げえええええっっ!!」
数十個もの隕石が、里に降り注ぐ。グシャアッと建物が押し潰され、ズズンと地面が震える音が、上空にいる俺たちの耳にも届く。それに混じり、阿鼻叫喚の悲鳴が上空にまで響いてくる。
夕飯時だからか、各地で一斉に火の手が上がる。
まるで阪神・淡路大震災のようである。
カルゴ「行くぞ!殺戮ショーの始まりだ!!!」
俺たち悪魔3人は、喜び勇んで燃え盛る里の中へ飛び込んで行った。
☆賢者、圧倒的敗北────!!
スクイズの誠並にクズな主人公では……?
ここまで紫さんに逆らって、ましてや人里を破壊する主人公おるか?多分オリ主ものって、大抵は人里の人間とよろしくやってるよね。
エスカルゴだって、定食屋の人とかとはよろしくやってたけど…これは、憎悪が遥かに勝るよね。
投稿開始して、丸々1年が経ちました!
ワァ───ヽ(*゚∀゚*)ノ───イ!!
1周年記念がこんな話ってどうなのかな?www