※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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セリフ多め…。地の文の入れようが無いというか入れるタイミングが分からないというか…。




天使のような悪魔と天使のような女神

幻月「へ〜ぇ、ここが人里ねぇ…」

 

夢月「なんか、ちょっと触ったらすぐ壊れそうなもので溢れてるね。ヒトもモノも。建物なんて、凄く脆そう。よく住む気になれるね」

 

幻月「そだねー」

 

ある日、幻月と夢月の姉妹は、以前自分らも破壊に加担したとも知らず、のんびりと里を散歩していた。2人は主に、文化の違いなどを見ている。

 

幻月「でもさ、魔界とかには無い、色んな店あるじゃん。食文化がちょっと違うのかもね」

 

夢月「かもね。…あ」

 

幻月「ん?……ゲッ…」

 

そんな中、夢月は団子屋に並ぶある人影を見つけ目の色を変えた。そして姉は、そんな妹の視線の先にいる人物に気付き、顔を引き攣らせた。

 

夢月「見・ツ・ケ・タ♡」

 

幻月「ストップ夢月!ストップ!タンマタンマ!ほ、ほら、あっちに別の団子屋があるからさっ!あっちに行こ、ね!」

 

夢月「姉サンダケ行ッテテ…♡」

 

幻月「あーもう目がイッてる〜!ねーそこの人間じゃない人ー!早く逃げて、妹に殺されるー!」

 

???「???」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、俺が遊覧飛行をしていた時の事だった。

俺は、永遠亭から妖怪の山へ向かう際、大抵里の上空を通っているのだが、年末の一件によって、里を避けるように通ろうとしていた。

だが、迂回ルートに入ろうとしたその時、唐突に里から爆音が聞こえてきた。そして、小さくだが土煙まで上がっている。

 

カルゴ「何だぁ、ありゃあ…」

 

うどんや天ぷらなどの粉物を作ろうとして、舞い上がった粉が火に触れて粉塵爆発…有り得ない話ではないだろう。だが、その仮定を否定する事実が、煙の中から飛び出した。

人影が3つ、風圧で煙を掻き消しながら、空中で素早く動き回っている。先頭は逃げて、真ん中は先頭の者を追いかけ、最後尾は真ん中、もしくは2人を追いかけている。

追いかけっこにしては、ただならない雰囲気だ。真ん中は全方位に弾幕を発射して、周囲の建物を軽く破壊している。追いかけられている者の顔は完全に青ざめている。

 

カルゴ「ん?あれって……」

 

最後尾は天使の翼を持つ悪魔、幻月だ。そして、幻月が追っているのは、双子の妹である夢月だ。その夢月が追っているのは、月の賢者の1人の、稀神サグメだった。

つまり、幻月が夢月を、夢月がサグメを追いかけているという状況なのである。

 

カルゴ「えぇ…夢月めっちゃ殺気立ってる…」

 

サグメを追いかける夢月は笑っている。しかし、狂気に侵食されたフランに似た、どこかが壊れたような狂った笑顔だった。

口を開けば「アハハハ!ミンナ壊シテアゲル!」などと口走りそうな顔だ。夢月も叫んでいるが、弾幕が建物を破壊する音に掻き消されて、あまりよく聞こえない。

 

サグメ「!!」

 

カルゴ「ん?」

 

俺に気付いたらしいサグメは、方向転換して俺の方に向かってきた。狂った夢月を、通りすがりの俺になすり付けるつもりらしい。

 

幻月「あっ、ダーリン!夢月を止めてぇ!私じゃ止められないの!!」

 

幻月も俺に気付いたらしくそう叫んだ。サグメは幻月と俺が知り合いである事に驚いたのか、口を手で塞ぎながらも目を丸くしている。

 

カルゴ「わかった!おい、こっちだ!」

 

サグメは俺の肩を掠めるようにスレ違い、直後、夢月がサグメと同じルートを通ろうとしたので、俺は猛スピードで飛翔する夢月を抱き止めた。

 

夢月「離シテッ!翼ァァ…私ノ、モノニ…!」

 

捕らえてもやはりすぐには動きを止めない夢月。満足に動けないのにも関わらず、手足をバタバタ動かし、拘束から逃れようとする。

 

カルゴ「どういう事だよ…。幻月、説明求む…」

 

幻月「それより、まずはオトして!夢月、放っておいたらあの弾幕(・・・・)発射するから!!」

 

カルゴ「なっ…!?わ、わかった!」

 

夢月「邪魔スルナラ────…」

 

邪気が膨れ上がった瞬間、首に強めの電気を流し夢月を気絶させた。ガクリと項垂れて力が抜けたので、普通に抱っこする体勢からお姫様抱っこの体勢にする。

 

幻月「ありがと、助かった…」

 

カルゴ「どういう事だ?」

 

幻月「実は夢月にはコンプレックスがあって…。それを刺激されると、こう暴れるの…」

 

カルゴ「どんなコンプレックス…?」

 

幻月「翼…それも私みたいな天使のような白翼。ほら、私たちって双子でしょ?なのに何故か夢月には翼がないから…。翼が欲しいのよ、夢月は」

 

カルゴ「あー…でもサリエルも白い翼じゃん」

 

幻月「でも私の方が綺麗な白い翼でしょ?あれは青い部分あるし」

 

カルゴ「そうだな」

 

幻月「で、たまたまこの里を散歩してたらその人の翼が目に入って…スイッチ入ったっぽい」

 

カルゴ「何しようとしてたんだろうな」

 

幻月「殺して翼を千切るの。過去に何度も天使が夢月に殺されたし」

 

カルゴ「うわーぉ…」

 

ていうか、やっぱり天使って居るんだ…。何だかあんまり会いたくないなぁ…悪魔の方がいいよ。

 

サグメ「…ありがとう、エスカルゴ。助かった」

 

静かに、しかし綺麗な声で、サグメがゆっくりと口を開いた。

 

カルゴ「おーよ。…って、喋っていいのかよ?」

 

サグメ「…既に終わった事だから逆転する運命は無い。その者はもう気絶している」

 

カルゴ「あー確かに。すぐには目覚めないしな」

 

小さく頷くサグメ。背中から生える片翼もそれに呼応するかのようにファサリと揺れた。

 

幻月「どういう事?逆転?運命?」

 

話していいものかとサグメを見てみると、「私の代わりに説明頼む」と、目で訴えてきた。確かに目は口ほどに物を言う。

 

カルゴ「この人は稀神サグメ、月の賢者の1人。

《口に出すと事態を逆転させる程度の能力》っていうシチメンドクセー能力を持っててな…。この能力は、干渉した運命を逆転させるっぽいから、良くも悪くもチート能力だな。だからこの人は、普段はこう手で口を押さえたり、スケブに書いて会話してる」

 

幻月「ん〜…?難しくてよくわかんない…つまり何なの?『エスカルゴのハーレムは完成しない』とか言ったらそうなるワケ?」

 

カルゴ「俺自身この能力をよく理解してないから何とも言えないな。ただ、良い方向には行かないだろう」

 

サグメが手話使えて、俺らがそれを理解出来たら何と便利な事だろう。

 

カルゴ「あれ、そういやスケブは?」

 

サグメ「…並んでる時に弾幕が飛んできたから、咄嗟に受け止めて…壊れてしまった」

 

カルゴ「ありゃ…」

 

幻月「腕取り押さえてるのに暴れまくってさ…」

 

カルゴ「夢月怖い…」

 

幻月「本性は、多分私よりも残虐かもね」

 

まぁそんな感じはしてたけど…。

 

カルゴ「今創るから、キャッチして」

 

サグメ「…?」

 

紙の質なら、本を創造するときに練習したので、しっかり書ける紙で出来たスケッチブックを軽く創造してしまう。サラサラと気持ちよく書ける、ボールペン付きだ。

俺は夢月を抱えてるので、完成したスケブは彼女にキャッチしてもらった。

 

カルゴ「はい」

 

サグメ「…ありがとう。助かった」

 

幻月「なーんか、書かなきゃ会話出来ないなんて不便な能力ねー」

 

すると受け取ったスケブにサラサラと書いていくサグメ。幻月への返事を書いているのだろう。

 

サグメ『慣れれば何て事は無い』

 

幻月「…書くの早くない?超速筆なの?」

 

サグメ『何年もこんな生活をしていれば、嫌でも慣れてしまうものである』

 

幻月「確かに…」

 

カルゴ「ところで今日は何しに来たんだ?月から地上の団子を買いに来たとは言わない…よな?」

 

どうやって行き来しているのか本当に気になる…宇宙船なんて無いし…。

 

サグメ『八意様に逢いに来たんだけれど、手土産に団子を買おうとしていて、こんな目に遭った』

 

カルゴ「何かゴメン…」

 

サグメ『何故あなたが謝るの?』

 

カルゴ「いや…この子も俺の彼女だからさ」

 

サグメ『へー』

 

カルゴ「『へー』って!反応薄っ!?」

 

サグメ『…?どんな反応が欲しかったの?』

 

カルゴ「え、あ、いや…特に何も…」

 

サグメ『?』

 

幻月「ていうか、随分親しい感じね」

 

カルゴ「普通じゃないか?」

 

サグメ『普通というかあなたが馴れ馴れしいだけだと思う』

 

カルゴ「え、そう…?」

 

サグメ『私が普通に喋れないことをいいことに、普通に話しかけてくる。割とウザイ』

 

幻月「あははは、ダーリンったら嫌われてる〜!なんかおっかしー!」

 

サグメ『嫌いではない』

 

幻月「へ?でもウザイって…」

 

サグメ『ウザイ=嫌いの方程式は成り立たない。私という反例が存在している』

 

幻月「え…そういうモン?嫌いなヤツにそういう言葉掛けるもんじゃないの?」

 

サグメ『地上ではそうなのだろうか…?』

 

幻月「まぁ…大抵はそんな感じでしょ」

 

サグメ『一種の馴れ合いだから、そこまでは深く気にしないでほしい』

 

カルゴ「お、おう…」

 

サグメ『感謝こそすれども嫌うことは無い。彼の

(無駄な)明るさは、私の気を楽にしてくれる』

 

カルゴ「無駄な!?」

 

サグメ『褒めてる』

 

カルゴ「褒められてるのかな…」

 

幻月「ね、ダーリンについて何か話してみてよ。運命を逆転させるところ見てみたい!」

 

カルゴ「おい!?」

 

サグメ『そんな事はしない。この人は多くの者の運命を背負っている。私が余計な事を口にすればそれら全てをダメにする事になる』

 

幻月「それが目的なんだけどなー」

 

カルサグ「『は?』」

幻月「んーん、何でもない」

 

サグメ『過去に一度、あなたの運命を変えそうになった事はある。けれどあなたはそれを跳ね除け今に至っている』

 

カルゴ「よくわからん」

 

サグメ『つまりあなたは私の能力が効きにくい』

 

カルゴ「便利だなー」

 

サグメ『…私の能力が効きにくいことについて、八意様に訊ねたことがある。すると、八意様は、

「彼女の細胞を取り込んだからかもねー」…と、軽く仰っていた』

 

幻月「え?どういう事?」

 

カルゴ「…レミリアか」

 

サグメ『運命に関する能力を持つ者には、私の能力は多少軽減される…というのが八意様の見解。その者は《運命を操る程度の能力》らしいから、都合の良いように出来るのだろう』

 

カルゴ「あー…なるほど…?」

 

賢者×賢者の会話、まるで分からねぇ…。やっぱ俺って馬鹿だなぁ…。

 

サグメ『つまりあなたにも運命に抗う力がある…のかもしれない。ならば私があなたについて口にしても大丈夫なのかもしれないが、不確定要素が多すぎるからそんなリスクは負わない。私にも、その飛び火が来ないとも限らないから』

 

カルゴ「今度は何とかわかった」

 

レミリアが俺について、「あなたほど運命がコロコロ変わる人は珍しいわ」と言ってたのは、俺が自分の運命を知らず知らずの内に変えていたからということだ。ようやく、レミリアの言っていた事が理解出来た。

 

幻月「ふーん…あなた、ダーリンにご執心?」

 

サグメ『何でそうなる…?』

 

幻月「だって、たかが能力が通用しないからってそれを他の人に聞くんでしょ?それ、ダーリンを気にしてるからそういう行動に出るんじゃない?

…って思うんだけど」

 

サグメ『気になったから調べた。ただそれだけ。ご執心も何も無い』

 

幻月「またまたぁ♪そういう事言ってる人ほど、後からラブラブになるのよ〜?」

 

サグメ『そういうものなのだろうか…?』

 

幻月「多分ね!」

 

サグメ『多分って…』

 

幻月「あなた、ダーリンのことが気になってるんでしょ!恋愛的な意味で!」

 

サグメ「そうではないッ!!///」

 

幻月「あ、喋った」

 

サグメ「!!!」

 

カルゴ「幻月…余計な事を…」

 

サグメ『…大丈夫、あなたならまた運命を都合の良いように変えてくれるはず…』

 

カルゴ「字が震えてるぞサグメ…。ていうかさ、今発言したのって俺関連の発言じゃなく、サグメ自身についての発言じゃないか?」

 

サグメ「あ……」

 

カルゴ「つまり…この場合ってどうなるんだ?」

 

幻月「いや、多分それは違うわよ。『ダーリンが気になってる』についての発言だからダーリンのことが気になっちゃうのかも?」

 

サグメ『いや、この能力は、関係すると思われる人物に向かって口にすると逆転し始める。だからその心配はない』

 

幻月「あなたとダーリンに関係してる事でしょ?あなた自身もダーリンも今の発言聞いてるけど」

 

場の空気が凍り付いた。

 

サグメ『彼は運命に抗える…が、私は……』

 

幻月「もしかして?」

 

サグメ『もし私か彼の運命が狂ったら…それは、きっとあなたのせいという事になる』

 

幻月「あははははっ!ゴメンね☆」

 

ペロッと舌を出す幻月。可愛い。

 

カルゴ「あーあ…どうなる事やら…」

 

サグメ『あとは頼んだ…』

 

カルゴ「ああ…俺のことは気にするな。どうせ、何事も何とかなる」

 

サグメ『「何とかする」では?』

 

カルゴ「知らず知らずの内に何とかなってるものなんだよ、俺の場合は」

 

サグメ『やっぱり八意様から聞いた通りあなたは不思議な人だ。ウザくて何でも自分の思い通りになると思っている傲慢な人……だけど、実際に、そうしてしまうから恐ろしい』

 

カルゴ「もしその気になったら俺は歓迎するよ。

…なーんてね」

 

サグメ『それはどういう意味だろう?』

 

カルゴ「えー…」

 

サグメ『教えて』

 

カルゴ「その時になったら、自然とわかるよ」

 

サグメ『わかった。…手が疲れてしまった』

 

カルゴ「あぁ、結構書いてたものな…」

 

サグメ『普段、ここまで話す書くことは無い』

 

カルゴ「永琳先生とは長時間話してるけど…」

 

サグメ『あの方は別。そこまで手を酷使しない。短文で済む』

 

カルゴ「なるほど」

 

サグメ『…そろそろ永遠亭に行きたいが、鈴瑚の屋台が壊されてしまった。どう手土産を調達したものか…何か案はあるだろうか?もしあるのなら私は素直に従おう』

 

屋台のあった所は、周辺の家屋と共に破壊されてしまっている。夢月…流石は悪魔である。

 

カルゴ「…わかった。何とかするから、少しだけここで待ってて」

 

サグメ『わかった』

 

カルゴ「幻月、夢月を頼む」

 

幻月「オッケー」

 

数分後、俺は屋台や周辺の家屋を直して、更には鈴瑚からお礼の団子を受け取って、サグメの元に戻った。

 

カルゴ「屋台直したお礼に、ベリーベリーダンゴ全部くれたよ。20串もあるけど」

 

サグメ『10串で十分。半分はあなたにあげる』

 

カルゴ「そう?じゃあ有難く受け取るよ」

 

サグメ『色々と助かった。ありがとう^^』

 

カルゴ「顔文字付き…」

 

サグメ『顔文字は素晴らしい。己の感情を簡単に他者に伝えることが出来る。まだ練習中だけど』

 

カルゴ「どこで知ったの?」

 

サグメ『あなたの娘が母親に話して、母親が兎に伝えて、噂話してた所を私が聞いた』

 

カルゴ「巫月か」

 

サグメ『そう』

 

カルゴ「永遠亭まで送る?」

 

サグメ『空から行けば問題無い。それじゃ』

 

カルゴ「ん、またね」

 

そのまま上空でサグメと別れて、俺たちは2人の館に向かった。気絶させた夢月はちょうどその頃目覚めたが、人里での暴走の事は、あまり覚えていないようだった。

つくづく、悪魔の暴走は恐ろしいな、と客観的に見ていて思った俺であった。




何らかの事象に対して(特に関係すると思われる人物に向かって)口にするとその事象は逆に進み始める。 天邪鬼は、自分が反対の事を言うだけに対して、彼女は言った事で世界を反対に動かす。 何かを成そうとしているのなら、それは尽く失敗するし、 悪い事が起きているのなら、何かしらの打破が見られる能力である。
必ずしも、自分に対して好転するわけでは無い。

(pixiv(omake.txt)より引用……。俺の読解力ではまともに説明出来ないのです…)

世界の動きを反対にするという非常に強力な能力だが、使うための条件がややこしい。
サグメ本人が事象の当事者に対して、その事象について語らなければいけない。
逆転する事象は選べない。都合の悪いことも良いことも同時に反転する。
すでに起きた事を書き変えられるわけではなく、あくまで「運命の車輪」≒「流れ」を変えることしかできない。
言った事と正反対の事が起きる能力ではない。
あくまでも事象に対して「語る事」が運命反転のトリガーで、どんな内容を言ったかは関係無い。

(pixivより引用。こっちの方がわかりやすい…?)



つまり、過去の事だったら普通に喋れる、という解釈で行きます。それ以外はスケブで…w

いつの間にか、サグメの画像ファイルが1000枚を超えてたので満を持して登場させてみましたー。
本当に扱いにくい能力だよね…ここはもう簡略化させて、「言った事と反対の事になるよう運命が動き始める」にしたいくらいだよ…。
ていうか、初登場回から恋愛フラグ?鈴仙以来?

2人の出会いは次回!
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