ありがとうございました!!
「エスカルゴ、フラン。朝だから起きろ」
「むにゃあ…………?」
「ふわぁ……炎火、おはよう……」
俺は炎火に起こされ目を覚ました。
起こされてばっかだなぁ…俺は。
ここに来て、1回も自分で起きてないじゃん…。
そして今日は…「その日」だ。
祭りのようなあの宴会から、およそ半月が経過していた。つまり、こちらに来てから1ヶ月……。
「最後の仕事だけど、今まで通り、ちゃんとやるぞ!」
炎火…相変わらず元気だな。
俺も、もう少し明るく…。
「あぁ、そうだな」
そう。今日は、元の世界へ帰る日だ。
そして、俺らはいつもの通り、兎達を起こし、朝ご飯を作り、そして配り、自分らも朝ご飯を食べ、そして食べ終わる。
普段ならここからはほぼ自由…なのだが、今日は違う。俺ら全員庭に出る。そこには既に様々なメンバーが集まっていた。永遠亭のみんな、霊夢に魔理沙、妖怪の山で闘った奴に、地底で闘った奴ら。
そして、萃香、幽香さん、紫さん。
ここで知り合ったみんなが集まっていた。
「紫、準備は?」
「昨日、徹夜で頑張ったわ。いつでも帰すことができるわよ」
「ありがとう」
寂しいなぁ…。
「世話になったわね」
「霊夢…」
「あんたのその力、中々頼りになったわ」
「そっかそっk…って、力!?俺自身は!?」
「んー…そこそこ」
「そこそこって…この“怠惰巫女”!」
炎火がよく使うこの言葉…胸に刻んでおこう。
これも、立派な思い出だからな。
「怠惰怠惰〜!」
フランも便乗して怠惰を連呼する。
「うっさいわね吸血鬼共!」
「なんだ〜?血ィ吸うぞ〜?」
「やれるもんならやってみなさいっ!」
『………』
「へっへへ…」
「ふふふっ…。元気でね」
「おう」「うん!」
「妬ましい妬ましい…」
「…相変わらずだな…」
思わず苦笑する。
「フンっ…せいぜい、仲良くすることね」
「!?…お、おう」「うんっ!」
驚いたな…パルスィからそんな言葉が出るとは…。
パルスィも案外良い奴…なのかな。
「あなたはもっと強くなれるわ」
「!?」
「ただ、攻撃が単調かもね。もっと多彩な技も使えるはずでしょうから…まぁ、頭を使いなさい。頑張ってね」
「はい。頑張ります!」
「私が言えるのはこれくらいかしらね…。手合わせしてくれて、ありがとうね」
「こ、こちらこそ、ありがとうございました!」
「元気でね」ニコッ
「はい!」
威圧感ある…と思ってたのだが、いざ話してみるとそんなでもないのかな、と思う。わざわざアドバイスくれるなんて…幽香さん、いい人だ。おっと、妖怪だったか。
「エスカルゴ〜!」
「お、フラン!」
こっちのフランにも、エスカルゴと呼ばれるようになっていた。でも、相変わらず見分けつかねぇ…。
「元気でね!」
「おうよ!」
「向こうのお姉様にも、よろしく言っといて!」
「もちろん!」「わかったわ!」
「もう帰るのね」
「おう」
「もっと早く出会ってればね…」
「ん?」
「か、勘違いしないでよね!もっとちゃんと戦いたかったなって意味よ!?」
「…なるほど」
ベタ…だな。
「あの時は一瞬で負けちゃったからね…」
「そんなでもないと思うがなぁ…」
「私には一瞬だったの!」
「ははは…」
こっちのレミリアもツンデレなのかな…?
「宴会料理、手伝ってくれてありがとうね」
「!?…あ、こちらこそ。助かったよ」
そーだ、こっちの咲夜さんは、俺らんとこの咲夜さんとはちょいとだけ口調が違うんだった。
咲夜さんなのにいつものデスマス調じゃないから驚いてしまった。
「野菜炒め、美味しかったわ」
「そうかな?咲夜さんの料理、凄く美味しかったよ」
炎火の料理もな、と心の中で付け足す。
「そうかしら…」
「ああ。俺には炒め物くらいしか出来ないからね…もっとレパートリー増やせるように頑張るよ」
「頑張って!」
ガッツポーズをとる咲夜さん。
「あと…お元気で!」
ニコッと笑って付け足す咲夜さん。
デスマスの咲夜さんもイイが、これはこれで…!
「うん!」
このあとも、しばらくはこういった挨拶が続いた。
そしてとうとう…その時が訪れる。
「……いよいよお別れだな」
「そうだな、炎火。…………トラブルから始まったことだけど、楽しかったぜ」
「あぁ、俺もだぜ」
「私も楽しかったよ……!炎火……!妹紅……!」
フラン…少し涙目になってるな。あと、妹紅も。
ダメだ、このままだと泣いちまう…!
俺、涙腺緩めなんだよ……。
泣く前に…。悲しいけど、泣く前に帰ろう…。
「それじゃ……」
「ちょっと待ってくれ」
『?』
な、なんだろう…?
思わず首を傾げる。
すると炎火はズボンのポケットから、3つのペンダントを取り出す。ペンダントは炎の形をしている。
「これは、俺と妹紅から、お前達…フラン、レミリア、エスカルゴの吸血鬼にプレゼントだ。ちょっと……特殊な効果付きでな……。日除けの効果付きだ。これが、俺達2人の感謝の気持ちだ」
「!!……ありがとう、炎火、妹紅」
ダメだ、ありがとうとしか言えねぇ…。
本気で泣きそうだ。
それに、これまたとんでもないものを…。
日除けってことは…弱点克服じゃないか!
改めて異変起こす必要無くなったな。
「ありがとね!!」
「じゃあ……俺達は行くよ」
ああああ……寂しい寂しい寂しい…。
この1ヶ月、ずっと一緒に居たんだ。
向こうには、妹紅は居ても炎火は居ない。
それが堪らなく寂しいんだ。
「……あぁ!元気でな!」
「元気で過ごしてね!」
2人の言葉が終わると、紫さんがスキマを展開する。……あれが、俺達の世界に繋がってるのか。
最後は、やっぱり明るくいこう。
「じゃあな!!ここでの生活楽しかったぜ!!」
贅沢言うなら…もう1回炎火と戦いたかった…かな。
でも、共闘も楽しかった!
「ありがとうねー!!」
俺らは最後に一言ずつ残し、スキマの中に入った。
ここを離れる寂しさ…元の世界へ帰れる喜び…。
なんとも言えない気持ちに苛まれながら。
うー……やっぱ悲しいし寂しい!
俺も、書いていて楽しかったです!!
同じ話を別視点から書く…というのはかなり勉強になりました!!!!
場面想像したら泣きそうになりました…。
俺、ほんと涙腺緩いな…。
改めて、風峰虹晴さん!ありがとうございました!