※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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どうにでもなるんだけどね

華扇「青娥!青娥!!どこに行ったの!?まさか逃げるつもりじゃないでしょうね!?」

 

青娥が消えた穴の中に向かってそう叫ぶも、当然ながら返事は返ってこない。私の声は虚しく穴の中を反響して、そして消えていった。

まんまとしてやられた。まさか、ほんの少しだけ目を離した隙に逃げられるとは。しかも地面の穴はもう塞がりつつある。

 

華扇「くっ……やられた…!」

 

カルゴ「塞がりきる前に、追い討ちかけますか。催眠『惑星麻酔』」

 

地面に手を置き、一瞬だけ電気を流す。その瞬間とても眩しい白い光が辺りを覆って、私の視界を奪う。地面に電気を流して動きを止める作戦か。

 

カルゴ「声も何もしない…か。くそッ…逃げられちまいました…」

 

華扇「そうですか…わかりました。あの、芳香は今どこに居るんですか?」

 

カルゴ「あぁ、芳香ならスキマ空間に閉じ込めてました。移動式スキマって、戦力を分断するのに丁度いいかなと思いまして」

 

そう言ってスキマを開くと、芳香が落ちてきた。疲れたからか、はぁはぁと肩で荒い呼吸を何度も繰り返している。

 

芳香「疲れたー…はぁ…」

 

華扇「何故こんなに疲労しているんですか?」

 

カルゴ「出ようと足掻いたんじゃないですかね。でも今の今まで出れなかったから疲れた…とか」

 

華扇「成程。…さて、これからどうしたものか」

 

カルゴ「本人に解除させるのはもう諦めますか。どうせ、しばらくの間は出てこないでしょうし」

 

華扇「そんな無責任な…!」

 

カルゴ「なので俺がやります」

 

華扇「へっ…?」

 

カルゴ「青娥に反省させて、本人にやらせようと思いましたが…逃げられたら仕方ないですよね。どこに居るのか分からないのに手は出せません」

 

華扇「…?おかしいですね。いつもより、やけに消極的ではないですか?あなたなら辺りを完全に吹き飛ばしてでも引きずり出そうとするはず…」

 

カルゴ「そりゃ、俺だってそうしたいですけど…この墓地の近くに何があるのかご存知では?」

 

華扇「えっと……命蓮寺…?あっ…(察し)」

 

カルゴ「ここで無闇矢鱈に力を振るえば、まーた白蓮から追われることになるんですよ…。マジでもうアレは勘弁ですね…。なんで幻想郷にバイクあるんだか、ホントに意味がわからないですよ。アレで追われるのはもうイヤです」

 

華扇「わかりました。しかし、どうやって呪いを解くつもりですか?失礼ですが、あなたが呪術に精通してるとは…」

 

カルゴ「そこはまぁ…ちょちょいのちょいとね」

 

華扇「???」

 

次の瞬間、彼を中心にして真っ白い光の柱が高く立ち上る。昼間よりずっと明るい。まるで太陽が地上に落ちてきたかのような明るさだ。

元の暗い墓地を視界に捉えられるようになると、目の前には、普通とは違う姿をしたエスカルゴの姿があった。左目は黄色く輝いていて、頭上にはバチバチと帯電した天使の輪の様なものがある。

 

華扇「え……そ、その姿は…?」

 

カルゴ「擬似雷神形態です。俺が持つ雷の能力のリミッターを外したんです。それから、雷神から力を借り始めると……!!」

 

すると、今度は彼自身が酷く帯電した。本人は、少し苦しげな表情を浮かべるが、すぐ元の表情に戻った。

 

カルゴ「これが雷神形態です。これで、神の力を受け止める準備が出来ました」

 

華扇「既に雷神の力を借りているのでは…?」

 

カルゴ「八百万の神ではない神の力ですよ。俺の母さん、唯一神なので」

 

華扇「えっ」

 

カルゴ「神から受ける力のバランスを変えれば、俺の神としての属性も変わる─────…」

 

帯電していた電気が、スゥゥッ…と吸い込まれるように彼の中へと消えていった。それに加えて、彼から感じられるようになった気配も、ガラリと変わった。攻撃的な気配から、神聖な気配に。

 

カルゴ「本物(ガチ)の神に成れば負担は減るんですが、あれは後始末が面倒臭い。なので、擬似的な神に成ってます」

 

華扇「は、はぁ……そうなんですか……?」

 

カルゴ「概念をも操る唯一神。呪いという形無いものを消し去ることなんて造作もない」

 

華扇「…凄いですね」

 

カルゴ「あくまでこれは最終手段なんですがね」

 

首を傾げたままの芳香に、手を翳すエスカルゴ。すると額の御札が剥がれ落ちて、芳香の目に光が戻る。そして、肌が血色の悪い肌色から、私達のような普通の肌色になった。

文字通りに、生気が戻った。それを見届けると、彼はその形態を解除した。帯電してる輪も消えて目の輝きも治まった。

 

芳香「あれー?何ここ、お墓?うわ臭っ!何この変な匂い…誰?え、私!?」

 

華扇「芳香…!!」

 

呪いが解けたらしい芳香は、1人で話し始めて、周囲を見渡し始め、状況の整理をしようとする。しかし私は、思わず目頭が熱くなり、ついつい、芳香に抱きついてしまった。

 

芳香「うわっ、華扇!?待って、よくわかんないけど臭いから近付かないでぇっ!」

 

華扇「臭いなんて私は気にしないわ芳香…。もう大丈夫…あなたを縛るものは何も無い…」

 

芳香「えーっと…イマイチ分かんないんだけど…これどういう状況?ん?あなたは……物の怪?」

 

カルゴ「…ども」

 

華扇「芳香、落ち着いて聞いてね────」

 

 

 

 

 

それから華扇さんは、キョンシーから人に戻った芳香に軽く事情を説明した。何故生き返ったか。何故死臭がするのか。ここは何処なのか。彼女の疑問は尽きなかったが、流石元から頭が良いだけあって、飲み込みは早かった。

その間俺は、華扇さん達の仲睦まじそうな様子を少し遠くから眺めていた。

 

カルゴ「はぁ……何だかなぁ…」

 

芳香を救えたのだから満足だ……とは言えない。誰かの為とはいえ…俺は、あの邪仙に買収されてしまっているのだから。

そんな暗い気持ちに陥っていると、説明を終えた華扇さんと芳香が俺のそばにやってきた。

 

芳香「初めまして…になるのかな?私の主観じゃ初めましてなんだけど…」

 

カルゴ「初めましてで良いよ。俺はエスカルゴ。まぁ…簡単に言えば物の怪だ。よろしく」

 

芳香「私、宮古芳香!よろしくね!」

 

カルゴ「ああ」

 

芳香「ところで……何から話せばいいのかな…。あなた、熱盛の生まれ変わりって本当…?」

 

カルゴ「…どうやら…そうらしい。だからもう、熱盛は居ないんだが…」

 

芳香「うん…さっき華扇から聞いた…。でも、今思い返してみると私が死ぬ必要は無かったんじゃないかなって思うの。熱盛はきっとそんなことは望んじゃいなかったのかな…って。どう思う?」

 

カルゴ「そうだな…俺が熱盛の立場ならきっと、芳香には生きてほしいって願うな」

 

芳香「…だから私、決めたの。華扇と同じ仙人に成るって!長生きして、熱盛の分も生きて、それ以上にとにかく長生きするの!もちろん修行は、華扇の家に住み込みでね!」

 

カルゴ「…そっか。仙人になるための修行は大変だろうけど…頑張って。応援してるよ」

 

芳香「うんっ、私頑張る!私が仙人に成ったら、その時は勝負してね!」

 

カルゴ「分かった」

 

芳香「まだまだ分からないことが多いから、色々教えてね!この世界の事や…あなたの事も!」

 

カルゴ「いいよ。…俺も、たまには華扇さんちに遊びに行ってもいいかな?」

 

芳香「私は良いけど…」

 

言葉を切り、隣の華扇をチラ見する芳香。黙って会話を聞いていた華扇は、それに笑顔で頷いた。

 

華扇「ええ、構いませんよ。あなたからは大恩を受けましたから」

 

カルゴ「いえ、大恩だなんてそんな…。ところでこれから華扇さんはどうするんですか?青娥には逃げられちゃいましたが…」

 

華扇「芳香が救えたので何とも…。しかし警戒は続けるつもりです。…それじゃ、私達はそろそろ行きましょっか♪」

 

芳香「そだね!早くこの体臭を何とかしたいし!じゃーまたね、エスカルゴさん!」

 

カルゴ「うん。またね」

 

そのまま墓地で解散し、華扇と芳香は妖怪の山に向かっていった。俺はそれを見送り、墓地にて、1人で大きな溜め息をついた。

 

カルゴ「はあぁ〜……」

 

青娥「あらあら、溜め息なんてついては、幸せが逃げてしまいますわよ♪」

 

地面からひょっこり現れた青娥を見て、もう一つ追加で大きな溜め息をつく。

 

カルゴ「っせーな…気乗りしねーんだよ、華扇を騙すような感じして…」

 

青娥「でも、ご協力感謝致しますわ♡」

 

カルゴ「金輪際手ェ組まねぇけどな」

 

青娥「それは残念♪…それにしても、これからは常に1人で行動するのね〜…寂しいわぁ。ねぇ、あなた私と組まない?」

 

カルゴ「日本語わからないのか?」

 

青娥「冗談よ、冗談。でもそんなに気負うことは無いと思うけどぉ?私と芳香の、2人の命を救う結果になったんだから♪」

 

カルゴ「………」

 

青娥はこうなる事を読んでいた。流石に永い時を生きているだけあって、危機回避能力は備わり、一種の未来予測なども出来るのだとか。年の功…というやつだろうか。

華扇が小町に依頼した瞬間から、こうなる未来は予想していたとか。青娥曰く「華扇は顔が広く、もしも華扇を本気にさせたら鬼神長以上の厄災が自分に降りかかることになる」…そうだ。流石の青娥も、自分の命は惜しいため、可愛がっていた芳香を手放す決意をした。

ただし、普通に手放したところで華扇から色々と疑われるのは必至。そこで、俺と組んで、一芝居うつ事にした。

俺を選んだ理由は、俺が熱盛の生まれ変わりで、華扇が俺に接触してくるのも読んでいたからだ。結局、その結果的に華扇は、今この場では青娥を見逃すカタチになった。そう、計画通りだ。

 

青娥「ホント助かったわぁ♪」

 

カルゴ「…勘違いすんなよ。あん時は、またまたムラムラしてたから買収されてやったんだ」

 

青娥「そう?うふふっ、残念ねぇ♪ またいつか、相手してくれると嬉しかったり♪」

 

カルゴ「…帰る。じゃあな」

 

青娥「はーい、また〜♪」

 

どの選択が一番良かったのかな、と思考を巡らせながら、俺も帰路についた。もしかして俺までも青娥の手のひらの上で踊らされているような気もするが………面倒なので、考えるのをやめた。




今回の芳香編、「インモータルフィロソフィー」という曲を聞いて思い付きました。是非どうぞ。
幼霊夢と霊々夢でお馴染みの、ジョイフルさんがイラストを描いてます。あれ聞いて泣きました。

芳香が仙人にっていうのは、元ネタ通りですね。
都良香…。


アンケご協力ありがとうございました( •̀ •́ゞ)ビシッ
回を経る毎にアンケに参加して下さる人も増えてきているようで、とても助かっております。活動報告に一言コメントするだけで良いので、どうかこれからもよろしくお願いします。
(結果はTwitterと個人、報告コメの総合です!)

1位:射命丸文
2位:紅美鈴
3位:霊烏路空&古明地さとり
3位:稀神サグメ
5位:八雲紫
6位:純孤

アンケ消化は(・・・・・・)この順でやっていきます。尚、途中○○のエロ回と○○のエロ回挟めたらな〜なんて考えてます。GLのタグも足さなきゃか。

コメ欄ではサグメが少なかったですが、Twitterで挽回してて嬉しかったですね。10票中4票です。
あとの6票は美鈴とお空&さとりで分けました。
純孤は0票でした( . .)

毎回ではないにしろ、暫くエロが頻発しますね。というワケで、次は○○のエロの予定です(笑)
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