「ほらッ、中に出すぞ鈴仙ッッ!!!」
「んあああぁぁっ♡ せーしたっぷり出てるぅぅっ♡」
サグメ「………」
ああ、またコレだ。永遠亭の生活には慣れたが、コレには未だに慣れない。エスカルゴと鈴仙の、夜の営み。彼らの隣の部屋だから、喘ぎ声などはよく聞こえてくる。聞こえていないと思っているのか、声を抑えようとしているとは到底思えない声量だ。…巫月は確か、寝たフリをしてこっそり聞いているとか何とか前に言っていた気がする。しかしながら、2人もそれに気付いているとか。どうにもあの2人は、性に寛容……というより、緩いらしい。
サグメ「…はぁ…」
コレがある日は気になって眠れやしない。別に、布団に潜れば直ぐに眠れることは眠れる。しかしやはり気になるものは気になる。エスカルゴは、混ざってきていいと言っていた。でも、あの中に混ざれるだろうか。性に関して全く無知な私が。彼ら…主に鈴仙に対して、迷惑をかけてしまうのではなかろうか。そう思うとどうしてもあの中に混ざろうという踏ん切りがつかなくなるのだ。
やはり事前に調べておくべきか。羞恥心よりも、迷惑を掛けたくないという思いの方が強い。
元・月の賢者としても浅はかな行動は避けたい。
彼と同じく、「善は急げ」の精神で行動しよう。まだ夜遅くでも無いし、八意様は起きておられる時間帯のハズ。…あの方は常に起きているようなイメージがあるのは一体何故だろう。
サグメ「八意様」
永琳「あら、サグメ?」
扉をノックしながら呼んでみると、やはりすぐに返事が返ってきた。いつ眠っているのか、本当に気になる。が、今そんな事はいい。性についての知識を、どうにかして集めてみることが先決だ。八意様に訊ねる以外にも方法は幾つか思い浮かぶけれども、手近な事から始めた方がいい。
サグメ「少々、お訊ねしたいことがありまして」
永琳「そうなの?中にいらっしゃいな」
サグメ「失礼します」
ここからはスケッチブックの出番だ。迂闊に口を開いては運命が逆転してしまう…かもしれない。いや、ほぼ確実に逆転してしまう。この場に彼が居ないからだ。彼に関することだから、その時が来れば、自然と彼の都合のいいように運命は動き始めるとは思うが…用心に越したことはない。
永琳「どうしたの?」
サグメ『性に関する知識が欲しいのです』
永琳「性?…あぁ…あの2人に触発されたのね。主に何が気になるの?」
サグメ『性行為のやり方等です』
永琳「…そこからかァ〜……」
手に持っていたペンを置き、苦笑混じりに大きな溜め息をつく八意様。やはり八意様は性的な事も知っているらしい。それより「そこからか」とはどういう意味だろうか。私が、性的な事を詳しく知っているとお考えだったのだろうか。
永琳「あのね?性行為と一口に言っても、様々なものがあるのよ。それこそ今この時ウドンゲ達がヤッている事や、頭を抱えたくなるような事も。実に多種多様よ」
サグメ『では、基本的な事を教えて下さい。彼と交わる時が来たとしても、私が無知では彼の足を引っ張ってしまう。それだけは避けたいのです』
永琳「なるほどねぇ…。事前に知っておくのは、確かに良いわね。ウドンゲも他の子達もそうして彼と交わってきたそうだし…」
サグメ『やはり…』
永琳「本で勉強する?彼が居た世界で『保健』と呼ばれている種類の本で。幸い私は、薬師であり医者だからね、そういう本だったら沢山あるわ」
サグメ『お願いします』
永琳「じゃあ基本的なプレイからね。あと、彼の好きな体位とかは網羅しときなさいねー」
そう言って、引き出しから一冊の分厚い本を取り出し、私に差し出した八意様。歴史書物のように手にズッシリと重みが伝わってくる。だが表紙が卑猥すぎる。何故全裸の男女なのだろう。見てるこちらが恥ずかしくなってくる。
サグメ『八意様は好みをご存知なのですか?』
永琳「ええ。輝夜からよく聞かされてるからね、エスカルゴとのことは。ぶっちゃけ、話されても困るんだけどねぇ、惚気話は」
そういえば、姫様も彼とそういう間柄だった…。確か、彼女とかではなくまた別な関係らしいが。セフレ…だったか。詳しい事はよく分からない。
永琳「…と、その前に…。あなたがシたいのは、どっちのエッチなのかしら?楽しむ方?それともガチの方?」
サグメ『ガチの方とは?違いがあるのですか?』
永琳「(純粋無垢ねぇ…。)楽しむのは今彼女達がヤッているヤツで、ガチの方は……俗な言い方をすれば、子作りってヤツよ。避妊無しの」
サグメ「子づっ……!?/////」
永琳(へぇ…サグメったらウブな反応するのね。あの頃じゃ考えられなかったわ。可愛いこと)
思わず口を開いてしまった私は慌てて口を塞ぐ。別にこれだけで運命が逆転するとは思わないが、大きな声が出そうになったのでそれを防ぐ為だ。
私と彼との子供…つまり鈴仙と彼でいうところの巫月だ。子供が欲しい…とは考えた事も無いが、性行為の方には、興味がある。彼が誘ってくれたというのもあるし、あんな声ばかりを聞かされてドキドキした、というのもある。そんな、様々な要因が積み重なって現在に至っている。
でも………欲しい、かもしれない。
サグメ『子供は、まだ早いと思います。けれど、何れは私も彼と子作りしたいと思います』
永琳「そう…。それなら、避妊はしっかりとね」
サグメ『その、避妊とは?』
永琳「教科書19ページ!」
サグメ「は、はい…」
本を開いてみると、更にとんでもない内容が本に書かれていた。子供とは精子と卵子が結び付いて出来る。ならば結び付かないようにすれば妊娠は避けられる、とある。確かに理にかなっている。
永琳「生理から遠い日に交わるか、避妊具を使用するか、薬で事前に排卵を防ぐ、行為の後に薬で精子を殺す…。方法は沢山あるわ。だけど、この幻想郷にはその避妊具が無いから、私が作って、彼に有料で提供してるのよ。あまり使ってないと思うけどね。はい、次のページ」
次のページには、男性と女性の生殖器が、大きく描かれていた。絵だからなのか生々しさはあまり感じられないが、作りが案外複雑な事に驚いた。特に男性のだ。血液によって大きく膨らむとは、よく分からない作りである。私は何故か、空気によって膨らむ風船を頭に浮かべた。
永琳「ソレを突っ込むの。あなたの大事な所に」
サグメ「痛そう…ですね」
永琳「そりゃあ、初めては痛いでしょうね。でもそこを痛くないようにしてくれるのは男の役目。女は身を任せていればいいの。優しい男だったら優しくシてくれるからね。無理矢理と解したあとでは、痛みの度合いが全然違うらしいわ」
サグメ「らしい…とは?」
永琳「実は
サグメ「…無理矢理…」
永琳「エスカルゴは悪くないからそこは安心していいわよ。てゐが悪戯で強い媚薬を打ち込んで、そうなったワケで」
サグメ「えぇ…」
永琳「まぁ最初はアレだったけど、その性行為があの2人の距離を更に縮めたのは間違いないわ。やっぱり、裸の付き合いってヤツは凄いのよね」
サグメ「ふむ…裸の付き合い…」
仲を深めるには、それが最短なのかもしれない。少しワクワクしてきた。彼からの誘いを待つか…私から誘ってみるか…。どちらにしよう。
永琳「彼ね、何だかんだでヤリ慣れてない子には自分から本気では誘わないからねぇ、あなたから押すのもアリかもしれないわね。この問題には、どちらの選択が正しいとかは無いわ。時の流れに任せるのもよし、全てを彼に委ねるもよし、よ」
サグメ「…迷います。今よりも先へ進みたいとも思いますし、まだ早いのでは、とも思ってます。楽しむ方ならば…或いは…。ですが自分で自分の考えがよく分かりません」
永琳「うふふっ…よく悩むといいわ。そうして、自分の後悔しない道を見つけて、望む未来をその手で掴み取りなさい」
サグメ「はい」
永琳「…じゃあ、性知識の方はその本を読んで、覗いて学びなさい。私からは言いにくいからね。幸運を祈っているわ」
サグメ「ありがとうございます。失礼しました」
深々と頭を下げて、八意様の部屋をあとにする。廊下の床はとても冷たくて、真夜中特有の、変に底冷えする寒さに襲われる。足音は最小限に留めつつも、早く自室に戻るために早歩きで急ぐ。
寒い夜中だからか、既に性行為は終わっていた。隣の部屋はしんと静まっている。
「寒いねー…まだ冬って感じする…」
「リリーはもう来たってのにまだ冬だな…」
「そうだね…」
壁は決して薄くないはずなのだが、静まっている中だとそんな会話も聞こえてきてしまう。
「桜が咲いたら、またお花見しようね♪」
「ああ。けど今年からは、サグメも一緒だぜ?」
「分かってる分かってる♪」
私の話をしてる…。意外だ。しかも鈴仙が肯定的だとは思わなかった。そういう時ばかりは、彼を独占したがるとばかり…。そう考えるのは、私が彼を独占したがっているからではないだろうか。まさか私が、そんなはしたない事を…?いいや、あくまでも憶測だ。可能性の域を脱していない。
「月は桃の木が少しだったかんな〜…地上の桜見たら、喜んでくれるんじゃねーかな?」
「間違いないよ、月ってほぼ自然無いもの」
「だろーな。自然多き所に妖精アリ、だしな。だが月の民は妖精みてーな生命の力…穢れを嫌ってるし、自然が多いワケない」
「あー、そっか。結局そこに行き着くんだね」
「俺はそう考えてるよ。何で桃なのかは知らねーけど」
「そうだねぇ…」
考えた事もなかった。やはり、考え方が違うと、着眼点も違うらしい。もう少し彼の考え方なども見習ってみるべきか。彼から学べるものは多い。そんな事を考えている間にも、2人の話は続く。
「ねねっ、もう寝る?」
「俺はそのつもりだけど。どうする?」
「んー…もうパジャマ着ちゃったしなー…」
「今、風呂も入ってきたしね」
「うーん……」
「…なにでそんな悩んでるんだ…」
「そうだっ!セで始まってスで終わる、私達がいつもヤってるのは、なーんだ!」
「セフィロス」
「へっ?」
「冗談。セリヌンティウス」
「んぅぅ〜…外の言葉は分かんないよぉ〜…」
「くふふっ…困り顔鈴仙マジ可愛いすぎ…」
「んもーっ、分かってるなら困らせないでぇっ!」
「ははははっ、わりーわりー!ほら、よく言うだろ?好きな子はイジめたいってさ?」
「も…もうっ…エスカルゴってば…///」
「暗くてもよく見えるぜ?鈴仙の赤くなってるほっぺがさ♪」
「むぅ…ほっぺフェチぃ…」
「胸より触り心地いいわ…ずっと触ってたい」
「それはそれでショックかも…」
「えっ…なんで?」
「女にとっては大事な所だからかな…」
「そーなのか…よく分からんな。けど、俺にとっては皆の全部が大事だけどな♪」
「ふふっ…ありがと♡」
2人は思ったよりずっと熱くイチャついている。こうして壁越しに聞いている私の方が恥ずかしくなってきてしまった。顔が赤いことまでわかる。何年もこんな生活を続けてきたのか。
「…やべっ…抱きついたら…」
「シたくなってきた?」
「うん」
「いーよ、シちゃおっ♡」
「悪いな、もう風呂入ったってのに…」
「いいのいいの、条件は同じよ♡」
「それもそうか。よし、だったらもう着衣でヤるか。全部また中に注いでやる」
「イイよ、キて♡」
サグメ「早速…覗いてみるか」
その後、襖の隙間から覗きをし始めたはいいが、そのあまりの激しさに、最後まで見ていることは叶わなかった。今のままではきっと、私から彼を誘うのは無理だろう。
もっと性に関する知識を得て、耐性を身につけ、万全を期して彼と交わろう。
次回ッッ!!!第1位のあの人ッッッッ!!!!
乞うご期待!!!(そんな期待しないでネ!!)
ここ2日くらい、何故か胸(特に心臓の周辺)が痛いので、近々病院行きます。完結させるまでは死なないし、死ねないので安心して下さい(笑)
てかよく考えたら入院状態でも小説書けるやん。