チルノ「はーっはっはっはーっ!みんな凍って、芯から震えるがいい!サイキョーの妖精である、あたいの恐ろしさと強さに!あーっはっはー!」
妖怪の山にある大蝦蟇の池にて、ほとりで跳ねるカエルを凍らせていくチルノ。リリーが現れて、気温も上がってきた。冬眠していた生物たちも、もう目覚める頃だ。そして、目覚めたらチルノの襲撃である。目覚めたカエルからしたら溜まったものではないだろうが、彼らには為す術もない。彼らは黙って、ただチルノに凍らされるのみだ。
大妖精「蛙さんが可哀想だよ〜…」
チルノ「甘ァい!甘いよ大ちゃん!所詮この世は実力主義!弱きものは
大妖精「どこから覚えてきたのそんな言葉…」
チルノ「巫月が言ってた!」
大妖精「あ〜…………そんな事言ってたっけ?」
チルノ「んーと…多分ね!」
大妖精(スペルカードルールは完全な実力主義を否定する為にあるから多分それは違うような…。まぁ、私達妖精にはあまり関係無いんだけどね…元々非力だし…)
そんな事を考える大妖精だが、その間にチルノはスペルによる氷の剣を作っていた。それは日光に照らされて、キラキラと眩しく光り輝いている。
チルノ「切り刻んでやるっ!たぁーっ!!」
カエルを凍らせて出来た氷塊を投げ、それを言葉通り切り刻んだチルノ。氷塊は、凍ったカエルの破片諸共空中に飛び散り、ダイヤモンドダストのように日光を反射しながら輝く。
チルノ「はっはっはー!今日もあたいの剣捌きは鋭く冴え渡っているぞー!」
よほど機嫌が良いのか、今日は普段よりチルノの高笑いが多いような気がしている大妖精。しかしそんな彼女も可愛いな、と内心で思っている。
チルノ「もう少しであたいの季節は終わるけど…まだまだ、力が溢れてくるぞーっ!今日は誰にも負ける気がしないね!」
???「ほぉう…それは凄いねぇ…?」
チルノ「ッ!」
空に剣を掲げて「負ける気がしない」と言い切るチルノだったが、その背後に巨大な影が現れて、彼女を弾き飛ばさんと勢いよく突進してきた。
チルノ「おっとっ!そんな攻撃、当たらないよ!あたいの先生を誰だと思ってる!」
巨大な影の突進を避けたチルノはしたり顔でそうドヤった。影の正体は、巨大な蝦蟇蛙と、それに乗った諏訪子だった。人間の子供や妖精程度なら一口で飲み込めそうなほどに大きなカエルだ。
諏訪子「エスカルゴでしょ?知ってる知ってる。でも、彼の教えを妖精の君が実践できるかなぁ?大口を叩くのは辞めた方が良いと思うけどなー?
(お空は倒せても私は無理だもんね!)」
チルノ「大口じゃないし!今日はホントに誰にも負けないし!お前にだって勝ってやるぞっ!!」
諏訪子「神をお前呼ばわりした挙句…勝てると?思い上がりも甚だしいねッ!」
チルノ「何を〜!?」
チルノが、手に持つ剣に更に力を与えると、剣がビキビキと氷が割れるような音を立てて、一回り大きくなった。空気を冷やすほどに冷たいのか、白い冷気が地面に降りていく。
ニッと歯を見せて笑う諏訪子はカエルから降り、チルノはそんな諏訪子に立ち向かおうと構える。しかしそんな2人の間に、大妖精が割り込んだ。
大妖精「やめてよチルノちゃんっ!自信持つのは良いけど、神様になんて勝てっこないよ!」
チルノ「大丈夫!あたい、サイキョーだから!!今日はホントのホントに!!」
大妖精「神様の方が強いよっ!ダメったらダメ!負けたら何されるか分からないよ!」
諏訪子「そっちの妖精はお利口だねぇ。そうさ、お咎め無しなワケが無いだろう?負けたら、このガマちゃんに食べられてね?」
大妖精「ッ…!ダメだよチルノちゃん!ホントにダメったらダメッ!」
チルノ「大ちゃんが止めても無駄だぞ!あたいはもっと上を目指すんだッ!本気のエスカルゴにも勝てるようになるくらい!」
諏訪子「夢見がちなんだねぇ、妖精ってのは…。まぁ、妖精って存在そのものが、メルヘンチックだがね〜。本気の彼に勝てるようになるなんて、考えない方が身の為だと思うよ」
チルノ「いつか勝てるし!けど、その前にお前を倒す!覚悟しろ、カエルの神!」
諏訪子「カエルの神様じゃないし!ただ、ここのカエル達とはお友達ってだけだよ!さぁ、カエル達の仇討ちだ!」
チルノ「来いッ!!」
大妖精「…チルノちゃん…」
止めることを諦めた大妖精は、少し離れて2人の戦いを見守る事にした。諏訪子はいつの間にか、両手に金属の輪を持っている。
諏訪子「弾幕だけってより、こっちの方がお好みでしょ?君の得意なパターンにノッてあげるよ」
チルノ「へへん、後悔したって遅いぞ!」
諏訪子「そっちもね!」
チルノ「ジョートーだっ!たぁぁっ!!」
ダッと駆け出して、諏訪子に斬り掛かるチルノ。そして頭上に構える剣を真っ直ぐ振り下ろそうとするが、諏訪子は避けようとせず黙って鉄の輪でそれを受け止める。
チルノ「うっ…!?何で斬れないの…?」
諏訪子「ガラ空き」
チルノ「ぐぅっ!!」
剣を受け止めていない方の輪で、彼女の腹を強く殴ると、チルノの小さく軽い身体は、後方に吹き飛ばされてしまう。
諏訪子(やっぱり、お馬鹿だねぇ…。得意な方で負けたら言い訳できないじゃないか。まぁ、私はどっちも得意だから、別にどうでもいいけどね。叩き潰してやる!)
チルノ「痛たた……お腹に食い込んだ…」
大妖精「チルノちゃ────」
チルノ「来ちゃダメ、大ちゃん!!」
諏訪子「余所見なんてしていいのかい?」
チルノ「ぐぅっ…!!」
戦いの場に飛び込んでこようとする大妖精を呼び止めたチルノだが、それが隙を作ってしまい敵の攻撃を再びその幼い身体に食らってしまう。
チルノ「氷符『アイシクルフォール』!!」
諏訪子「フン!その程度、倍にして返してやる!土着神『宝永四年の赤蛙』!!」
チルノ「ッ!」
諏訪子の半透明な分身が現れ、素早い動きで氷の弾幕を弾き飛ばしながらチルノを追尾していく。そして分身は、移動した軌跡に赤い弾幕を残す。
分身を生み出した諏訪子本人は、微動だにせず、祈るように手を合わせている。
チルノ(しめた!アイツは目を瞑ってる!多分、薄目にはしてない!)
先程肥大化させた剣を構え、スペルによる弾幕に紛れて諏訪子に立ち向かうチルノ。しかし、剣を振り下ろそうとした瞬間に、半透明な分身がもう1人飛び出してきた。その分身は、先程と同様に赤い弾幕を残しながら勢いよく体当たりした。
チルノ「ぎゃああっ…!!」
体当たりで後方に吹き飛ばされるが、その先には一体目の分身が残した赤い弾幕がある。それらは白く色を変え、一辺ごとに花火のように弾けて、チルノに更にダメージを与えていく。
チルノ「ぐぅぅぅっ…」
諏訪子「…まだ終わりじゃあ無いよ?」
目を瞑ったままで呟く諏訪子。すると、3人目、4人目の分身が飛び出してきて、次は白い弾幕を残しながら機敏に動き始めた。もうチルノの周辺には、大量の弾幕がバラ撒かれており、逃げ場が全く無くなっていた。
チルノ「ぎゃあぁあああぁっっ……!!!」
それらは一斉に爆ぜて、これまでに無いほどの大ダメージを与えていく。服はボロボロになって、翼の氷は溶けかけ、ヒビが入ったりしている。
諏訪子「殺されたカエルの恨み、伝わったかな?妖精のおもちゃにされるのがどういう気持ちか。それから、私にとっちゃあお前なんて、いつでも殺せる対象だって事も。お前がカエルを殺すのと同様に、ね」
チルノ「う……うぅ…っ……!」
諏訪子「…うん、少しはスッキリしたな。今日の所はこれくらいで許してあげる。次は殺すから、これからはそのつもりで生活しなね〜」
チルノ「くっそぉ……ッ!!」
諏訪子「行こっか、ガマちゃん♪」
大妖精「…チルノちゃん…」
喉に何か絡んだようなダミ声で鳴いた大蝦蟇に、ぴょこんと飛び乗った諏訪子。しかしチルノは、そんな彼女をフラフラな足取りで追う。
チルノ「っ……イヤだっ…!負けたくない…っ!いや、まだあたいは負けてないぞ…!あたいとの戦いから逃げるな、カエルの神ぃっ!」
諏訪子「ったく…、往生際の悪い妖精だ。お前はもう十分に弱ったし、ガマちゃんに食べさせてもいいんだよ?今のうちに降参しておきな?今回はそれで許したげるからさ?」
チルノ「イヤだ、降参なんてしないッ!あたいはお前に勝って、強さを証明するんだっ!!」
諏訪子「…ガマちゃん、チルノ食べちゃって」
チルノ「─────ッ!!」
大妖精「チルノちゃあああああんっっっ!!!」
待ってましたとばかりに口を大きく開いたガマ。そしてガマが舌を伸ばそうとした瞬間、彼女からとてつもない冷気が溢れ出す。ガマは口を閉じ、更には動きが鈍り始めた。
諏訪子「うぉう…さっむ…。何これ冬みたい…」
そして、諏訪子は見た。チルノの足元の草花が、段々と透明な氷に覆われていくのを。それはピキピキと音を立てて、氷で覆う範囲を広げていく。
チルノ「…こうなったらもう…ラストワード使うしかないっ…!」
諏訪子「っ!?いつの間にそんなの…!?」
チルノ「喰らえ!!『絶対氷帝チルノ様』!!」
諏訪子「もっと何か良い名前あるでしょ!?う、うわぁぁぁぁっ…!!」
ラストワードの詠唱をすると、チルノを中心に、小さい氷塊と雪が吹き荒れる。諏訪子の視界は、すっかりホワイトアウトしてしまった。
チルノ「あたいの全力を以て…完全に凍らせて、ブッ倒してやる!!変身ッッ!!!」
チルノがそう叫ぶと、彼女を中心にして、青白く光り輝く光の柱のようなものが立ち上った。その光が晴れるとそこには、幼女から十代後半ほどの少女が姿を現した。
チルノ「…サイッコーに寒い冬限定の、あたいの真の力!喰らえ、カエルの神っ!冷符『瞬間冷凍ビーム』!!!」
ビームを2本発射したチルノ。1本は大蝦蟇に、もう1本は諏訪子に直撃した。ガマの方は一瞬でその身を凍らせて、諏訪子は足元からジワジワと凍っていく。チルノが調整したからだろう。
諏訪子「ぐぬぬぬぬぬっ……こんな…こんなことってぇ…!あって良いわけがぁっ………うわあああああああああああぁぁぁぁぁっ……」
チルノ「〜♪」
帽子を含め全身が凍り、諏訪子は氷像と化した。
チルノに向けて手を伸ばし、その表情は文字通り恐怖に凍り付いている。
チルノ「えへへ…やった、勝った…!」
変身を解いた彼女は、氷の大地に大の字になって倒れ込むが、戦いを見ていた大妖精はそのチルノに駆け寄り、膝枕をするように頭を抱き抱える。
大妖精「もう…ビックリさせないでよ…」
チルノ「へへ…。でも勝ったからいいじゃん♪」
大妖精「うんっ…そうだね!」
チルノ「ほーこく、しないと…エスカルゴに…。カエルの神に勝ったよ…ってさ♪」
大妖精「でも、今日はどこに居るんだろうね…」
チルノ「紅魔館でしょ?」
大妖精「紅魔館には一昨日居たような…。ほら、美鈴さんと話してたから」
チルノ「んー…まぁ、行けばわかるよ!よいっ…しょっと……」
大妖精「立てる?大丈夫?」
チルノ「ヘーキヘーキ!」
多少フラつくチルノだが、大妖精に支えられて、何とか歩き出す。ゆっくり山を降りて、紅魔館へ向かうつもりらしい。
大妖精「…ねぇ、最後のあれ、どういう技なの?今まで、あんな特訓はしてなかったような…」
チルノ「周りを寒くさせてね、あたいの周りだけ冬にしてやったんだ!」
大妖精「スゴいなぁ…。それもエスカルゴさんに教わったの?」
チルノ「まーねっ!『自分の能力で自分にとって都合の良い
大妖精「チルノちゃんにとって都合の良い世界…そっか、だから冬に…」
チルノ「へへんっ、そーゆーことっ!」
大妖精「スゴいね…。エスカルゴさん、こういう状況になるのも見抜いてるのかなぁ…」
チルノ「さーねー。あたいバカだから、そういうことはよくわかんないや」
大妖精「神様に勝てるのにバカなんて事無いよ♪きっと、良い子だって褒めてくれるよ!」
チルノ「えへへ…。ね、もう飛べるから飛ぼ!」
大妖精「そだね!」
手を繋いで、中腹より少し下辺りから紅魔館へと飛び立った。2人を見た天狗たちは、ボロボロになったチルノを見て何事かと驚くも、妖精の遊びだという思考に落ち着き、2人が来た方向…氷像にされた諏訪子の方へ向かう事はなかった。
チルノ(『真の切り札は最後の最後まで』…なんだよね、エスカルゴ……♪)
カルゴ「(……さて、紅魔館行くかな。)霊夢ー。
俺ァ、ちっとだけ出掛けてくるぜーぃ」
霊夢「はいはーい、気を付けて〜」
チルノにとって諏訪子はカエルの神です。あと、ひな祭り編はやりません。多分。でも女の子の日らしいから…うーん、どうしましょうか。
あと、本作品関連のクイズを作りました。ぜひ!
クイズ1↓
https://quiz-maker.site/quiz/play/cc8xxp20190301233545
クイズ2↓
https://quiz-maker.site/quiz/play/yJRKgd20190302002906
クイズ3↓
https://quiz-maker.site/quiz/play/Fu9NM220190302095531
クイズ4↓
https://quiz-maker.site/quiz/play/m4vgNk20190302103854