※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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くろまく〜

事情聴取を開始して、まず最初に口を開いたのはパチュリーだ。

 

パチェ「それじゃ、紅魔館を出てからの流れを、順序立てて事細かに話して頂戴」

 

ここあ「はい。紅魔館を出た私達は、真っ直ぐに魔理沙さんの家に向かいました。でも、丁度留守だったらしく、今と同じように家は蛻の殻で…。これからどうしようかと玄関の前(ここ)でシガレットと話してる時に、ある人が来たんです…」

 

シガー「左の頬に赤い星マークがあって、左手に星が付いたステッキを持ってて、大きな翼がある悪魔っぽい女の人なんですけど…」

 

パチェ「その人がどうしたの?」

 

ここあ「『暇なら遊んで待ってたらどうかな〜?面白い遊び、教えてあげよっか?』と言うので、その遊びとやらを具体的に訊ねたら…」

 

シガー「『魔力体なら催眠系の技はあるでしょ?それで皆を狂わせちゃおうよ!』と…」

 

パチェ「…悪質ね。(初対面でこの子達を魔力体と見抜いた?一体何者…?)」

 

ここあ「私達もそうは思ったのですが、その人の言う通り暇だったので…狂わせるのではなくて、少しだけ淫乱にして遊んでました」

 

パチェ「全然少しじゃないわよ全く…。あの霧で幻想郷はパニックに陥ったのよ?」

 

シガー「…なのかな?」

 

ここあ「さぁ…。皆、乱れてもお母様ほど荒れてなかったとは思うけど…」

 

パチェ「小悪魔やレミィ達は抜き!あれはかなり荒れてた方よ!異変を起こすならもっとマトモな異変にしなさいよね!」

 

姉妹「はぁーい」

 

マトモな異変とは、一体何だろうか。レミリアが紅い霧の異変を起こしたのは「昼間外で遊びたい

から」で、幽々子さんが春を奪う異変を起こした

のは「満開の西行妖を見たいから」。

まともな理由なんて、俺が知ってる中では1つも無いような気がする。

 

パチェ「…で?その悪魔みたいな奴は、それからどうしたの?」

 

ここあ「えっと…『遠くから見させてもらうわ』みたいな事言って、どこかに飛んでいきました」

 

パチェ「そいつは名乗ったりした?」

 

シガー「あ、はい!アリスって言ってましたよ!姓は無しです!」

 

カルゴ「アリスねぇ…姉ちゃんと魔界のアリスに続いて、3人目かよ?」

 

パチェ「ふむ…よく分からないわね…」

 

うーん、と腕を組んで考え込む俺達5人。しかしその時、俺の頭に母さんこと魔界神神綺の言葉が届いた。

 

神綺《カルちゃん。それ、偽名よ》

 

カルゴ《え…何でわかるのさ?》

 

神綺《魔界に居るのよ。ステッキと翼と左の頬に赤い星を持つ子がね》

 

カルゴ《因みに、名前は?》

 

神綺《その子はエリスちゃんっていうの。一文字違いだから…偽名としては、かなり安直な方ね》

 

カルゴ《なるほど、そう来たか…。本名を出せばバレやすくなるからかな?》

 

神綺《恐らくそうでしょうね。ここあちゃん達を唆したのはエリスちゃんで間違いないと思うわ。でも私とカルちゃんがこんな関係になってるとは思わなかったんでしょうから…もし突き止めたと知ったら、驚くでしょうね》

 

カルゴ《なるほど》

 

そこで一旦母さんの言葉は切れ、俺の頭に静寂が戻る。そして、今聞いたその情報を4人に伝えるべく、物思いに耽ける皆を呼ぶ。

 

カルゴ「皆。今な、母さんからその黒幕について聞いた。どうやら魔界に居るらしいんだ」

 

パチェ「ゲッ…よりにもよって魔界なの…?」

 

姉妹「どこでしたっけ」

 

パチェ「教えたでしょ?魔法のメッカよ」

 

姉妹「そうでした!そこで修行をしたりすると、魔力が上がったりするんですよね!」

 

パチェ「…まぁ、概ねそんな解釈でいいわ。で、どうするのよ。今から乗り込むの?もしそうなら私は絶対に行かないけどね」

 

カルゴ「俺はもう行きます。鈴仙はどうする?」

 

鈴仙「えっ…うーん、どうしよ…さっき無駄に力使っちゃったしなー…」

 

カルゴ「じゃ、幻想郷(こっち)で俺の帰りを待っててよ。すぐに帰ってくるからさ」

 

鈴仙「うんっ…頑張ってね!」

 

カルゴ「ああ。行ってきます」

 

神綺《そうそう。案内するからパンデモニウムにお迎えに来てくれるかしら?》

 

カルゴ《分かった、今行く》

 

俺の瞬間移動は結界などで隔てられていると通用しないので、今度はスキマにて移動する。魔法の森と大して違いのない、少し汚めの空気だ。だがそれでも、大都会と比べればまだマシに思える。

…俺は、どれほど都会の空気が嫌いなのだろう。

そんな事を考えていると、目の前にある玄関から夢子と母さんが出てきた。どうやらこれからは、3人で行動するらしい。

 

神綺「見送りはここまでで良いわ、夢子ちゃん」

 

カルゴ「3人で行くんじゃないの?」

 

神綺「あら、巫月ちゃんとアリスちゃんをここに置いていくの?それはちょっと危ないような気がするけど。…というワケで、宜しくね」

 

夢子「はっ。しかし、神綺様自らあの者の場所へ行く事など…。やはり私が行くべきかと」

 

神綺「うふふっ……たまには、息子ともお散歩に行かせて頂戴♪」

 

夢子「…分かりました。こちらの事はお任せを。神綺様、坊ちゃん…どうかご無事で」

 

神綺「お散歩だもの、危険な事は何も無いわよ♪

ねっ、カルちゃん!」

 

カルゴ「異変解決を散歩って言うのもどうかとは思うけど…それもそうだね。行ってきます」

 

夢子「行ってらっしゃいませ」

 

 

 

それからしばらくの間、俺と母さんは魔界の空を飛び続けた。散歩なのに飛行をするのか…というツマランツッコミはおいといて…これから黒幕を倒しに行く者達の会話とは思えないほど、かなりほのぼのとしていた。

 

神綺「それでさっきね、巫月ちゃんったらね〜、アリスちゃんの魔法全部跳ね除けちゃったのよ?一体どういう教育をしていたらああも強くなるのかしら。想像もつかないわ」

 

カルゴ「そうかな?巫月は頭が良いからね、どう動けば良いのかってのがすぐに分かるんだよ」

 

神綺「あらなぁに?あなたはアリスちゃんの頭が良くないって言いたいの?」

 

カルゴ「あいや、そうじゃなくて。えーっと……なんて言うんだろ、身体が勝手に動くみたいな?あと相性もあるしさ。魔法使いと俺達って、ほぼこっちに有利なんだよ。詠唱とか隙でしかない。だから主にそのせいだと思う」

 

神綺「ふむふむ。どうやらアリスちゃんは、通常弾幕と詠唱の両立が苦手なようでね…。いつも、詠唱してるところに、ズバンと…ね…」

 

カルゴ「うーん……俺にもう少し魔力あればな…少しくらいアリスに教えてあげることは出来ると思うんだけど…何しろ、魔力弾と詠唱なんて普段使わないからなー…」

 

神綺「そうねぇ…。魔力が無いのに魔力弾なんて使ったら、それこそ自滅だものね」

 

カルゴ「そーそー」

 

神綺「魔力の容量、増やしてあげましょうか?」

 

カルゴ「良いよ別に。魔界で練習してりゃいつか今の倍くらいにはなるでしょ」

 

神綺「そうやっているうちに、他の誰かに置いていかれても知らないわよ」

 

カルゴ「(霊夢以外には)置いていかれないよ。俺は常に成長するから」

 

神綺「『霊夢以外には』…って心の声が聞こえたような気がしたけど、気の所為かしら」

 

カルゴ「霊夢になら置いてかれてもいいよ。俺は霊夢の一個下でいいから」

 

神綺「ふぅん…」

 

話はほのぼのしているが、周囲の景色はほのぼのなんてことは全くない。街から離れるにつれて、民家はまばらになり、ついには荒野しか見えなくなってしまった。

 

カルゴ「な、なぁ…母さん?俺達って一体どこに向かってるの?」

 

神綺「この先にはね…もう1つ集落があったの。今向かっているのはそこよ」

 

カルゴ「…過去形だな」

 

神綺「ずっ…と昔に、少し大きめの戦いが起きて滅びちゃったから…。今は『ヴィナの廃墟』って呼ばれてるんだけど…そこに、彼女は居るわ」

 

カルゴ「つまりは、戦争跡地ってわけね。なんでそんな所に居んのかな」

 

神綺「彼女が起こした戦いだからよ。あの集落はいわば彼女の力の象徴ともいえる物なの」

 

カルゴ「……胸糞悪ィ。殺してもいいのか?」

 

神綺「多分あなたには殺せない」

 

カルゴ「いやいや何言ってんだよ、俺に殺せないヤツがいるワケ無いでしょ。彼女でもないのに」

 

神綺「エリスちゃん…あなたの好みにドンピシャなのよ…。幻月ちゃんほどじゃ無いにしろ……」

 

カルゴ「ゲッ…」

 

どうしたものかと2人で考えていると、いよいよ

その“ヴィナの廃墟”が見えてきた。荒れに荒れた

土地に加えて、見るも無残な瓦礫の山。あまりに荒れている為、全てを無に還したくなってきた。

そして、その荒れた土地の中で唯一原型を残して建っている教会の屋根に……彼女は居た。

 

エリス「あはっ♪ あなたから来てくれるなんて、嬉しいなぁ〜♪」

 

無邪気な笑顔を見せ、屋根から飛び降りた彼女。

悪魔のような大きな翼、星のついたステッキに、左頬に赤い星のマーク。まず間違いないだろう。

 

カルゴ「…お前がエリスだな?」

 

エリス「やぁん、本名バレてるしぃ〜♪ そーよ、

私があなたの子供達を唆したエリスよぉ♪ 世にも

珍しい異変、楽しんでくれたかしら?」

 

カルゴ「あぁ、楽しめたよ。百合は尊い」

 

エリス「…へ?」

 

カルゴ「?何かおかしい事言ったか?」

 

エリス「いや…普通そこ『楽しむだと!?』ってキレるところなんじゃないかなーって…」

 

カルゴ「フン、見た目はかなり可愛いが頭が少し足りないようだな。俺は百合が大好物なんだよ」

 

一瞬だけポカーンと間の抜けた顔になったエリスだったが、すぐにクスクスと小さく笑い始めた。

 

エリス「フフッ……あなたって本当に面白い人。ずっと観察してたけど、あなた程の変人には未だ嘗て出会ったことが無いわ…♪」

 

カルゴ「ずっと…だと?」

 

エリス「あれ?気付いてなかったの?この前も、夢幻館の前でくるみと夢幻姉妹をブツけたりして遊んでたんだけど。あれも私の仕業よ?」

 

カルゴ「アレお前だったのかよ!?」

 

エリス「そーよ?割りと近くにいたんだけどね、あの時は」

 

カルゴ「………」

 

自分の気配探知能力の鈍さに頭痛がする。まさかあれすらもエリスの仕業だったとは、全く思いもよらなかった。

 

神綺「…私と八百万の神…武甕槌命が、あなたに忠告をしたの…覚えてる?」

 

カルゴ「『見られてる』ってやつでしょ」

 

神綺「それ、エリスちゃんよ」

 

カルゴ「ゑゑッ!?」

 

エリス「それよりもっともっと前にも、あなたの近くで悪ふざけしてまぁ〜っす!」

 

神綺「!?」

 

カルゴ「何だと…!?いつ何をしやがった!?」

 

エリス「教えてあげな〜い!私に勝てたら教えてあげてもいいよん♪」

 

カルゴ「おう上等だぜ!勝って聞き出してやる!そんで、そういう面倒臭い事はやめるんだな!」

 

エリス「あなたが勝てたらね♡」

 

カルゴ「コンニャロォ…!」

 

神綺「やりましょう、カルちゃん!」

 

カルゴ「おーよ!」

 

エリス(うふふっ…2人の方が好都合、かも♡)

 

そしてとうとう、今回の異変を巡る最後の戦いが始まった。エリスにはそれ相応の仕打ちを受けてもらわなければなるまい。




因みに今回の異変の名前は「淫霧(いんむ)異変」です。
面としては、エリスはEXかな。原作って異変の元凶が6面だから。ここあとシガレットが6面!
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