ホワイトデー当日。今日は、幸か不幸か、またも博麗神社の日だ。永遠亭の皆にお返しをしたあとそこを出た俺は、里の団子屋には寄らず真っ直ぐ神社に行き、霊夢母娘にチョコのお返しをする。
霊夢からは、
そして、本当なら俺が各地に出向いてお返しするべきなのだろうが、俺の手間が省けるからと皆が集まってきてくれている。毎年の事だが、とても助かっている。…このまま甘えていて良いのかは甚だ疑問だが。
境内が少し賑やかになってきた頃を見計らって、俺は行動を開始する。縁側に出てみれば、即座に俺を見つけたレイチェルがレミリアの手を離して飛び付いてきた。
レーテ「おとーしゃま!おかえしー!どーなちゅちょーだーい!」
レミィ「こらレイチェル、催促はダメって言ったでしょう?はしたないわよ」
カルゴ「まぁまぁ。ほれ、レイチェルの大好きなチョコかかってるドーナツだ」
レーテ「わあぁぁっ!ありがと、おとーしゃま!ねーねーおかーしゃまー!」
ドーナツを受け取ったレイチェルはそれを持ったまま母親の方へ駆けて行った。相変わらずとても元気な娘だ。フラン、小悪魔母娘は来ていない。紅魔館で俺のお返しを待ち受けているのだろう。その方が俺としても気が楽だ。流石はフランだ、俺の考えることをよく分かっている。
カルゴ「レミリアには、今年はストロベリー味のクッキー作ったんだけど……口に合うといいな。咲夜さんには特大ミックスパフェで、弦月姫にはショートケーキ!」
咲夜「あらあら、とてつもなく大きいですね…♪
私のお腹で食べ切れるかしら…」
弦月姫「おとっ、お父様の手作りですか!?」
カルゴ「毎年そうだぞ…。だから味は…咲夜さんよりかは下だが……」
レミィ「ありがt……咲夜の大きくない!?」
カルゴ「特大って言ったじゃない」
レミィ「それでも大きすぎじゃないかしら!?」
カルゴ「んーと…余ってるのはカップケーキしか無いんだけど…。それでも良いか?」
レミィ「もうっ…後で、フランと一緒に私の事も相手してよね…?」
カルゴ「おうよっ♪」
レミリア達の頭を撫でたりしていると、もう1人ここに来ているある人物が、ちょっぴり頬を膨らませて俺を見上げている事に気がついた。
カルゴ「今日はパチュリー様も来てたんですね!パチュリー様には紅茶とチョコのマカロンです!俺のマカロンもご賞味あれ♪」
パチェ「ありがと。早速頂くわ…///」
カルゴ「…………どうです?」
パチェ「モソモソしてない…。美味しいわよ♪」
カルゴ「へへっ、まぁ手慣れてますからねっ!」
パチェ「魔力が全く感じられないし…。いつからこんな精密な創造魔法を…」
カルゴ「あいや、それも手作りです」
パチェ「むきゅっ!?これもなの!?」
カルゴ「全部です…」
パチェ「ぜっ……全部ってまさか、今ここにいる全員分ってこと!?」
カルゴ「もちろん」
パチェ「し、信じられない…どうして…!?」
カルゴ「そりゃ…手作りの方が気持ちとか伝わるかなーって…」
パチェ「…やっぱり凄いわね、あなた…」
カルゴ「そうですかね?じゃ、小悪魔達と美鈴とフランには後で返すんで、他の所行ってきます」
そう断りを入れ、今度は妖夢のところへ向かう。妖舞は妖忌と修行中なので、ここには幽々子さんと妖夢しか来ていない。
カルゴ「おっすおっす。妖夢にはだな、半霊型の巨大クッキー作ってみたぜ」
妖夢「ありがとっ♪(ちょっと大きいかもなぁ〜…食べ切れるかな?…どうやって焼いたんだろ?)」
幽々子「私には何も無いのかしら〜?」
カルゴ「幽々子さんは…何でも好きそうなので、俺が作れる限りの菓子類を作ってきましたんで、もしよければ縁側でどうぞ召し上がって下さい」
幽々子「あらそぉ?なら、お言葉に甘えちゃおうかしらね〜♡」
幽々子さんを縁側にエスコートして、スキマから大量のお菓子を取り出す。バレンタインデーには幽々子さんから「あ〜ん♪」してもらった。妖舞からの視線が少しキツかったような気がしたが、多分気の所為だろう。それから、今度は樹里愛と早苗、諏訪子の方へ向かう。
カルゴ「樹里愛はみかんゼリーで…諏訪子は…」
諏訪子「ワクワク…ドキドキ…♪」
カルゴ「…諏訪子に何あげようとしたんだっけ。ホワイトチョコ(意味深)だっけ」
諏訪子「そーそー、良いよ良いよぉ♡ あと羊羹もあると嬉しいなぁ♡」
カルゴ「ん、羊羹なら作ってあるよ。あげようとしたのってもしかしてそれかな。あっ、早苗には
GO〇IV〇のチョコね」
早苗「ええっ!?そっ、そんなに高いものを…!いいんですか!?」
カルゴ「大丈夫大丈夫。喜んでくれればそれで」
早苗「じゃあ…私にもあなたのホワイトチョコ、たっぷり注いで下さい…♡」
カルゴ「順番だよ。まずはフランだ。その次に…えっと、小悪魔か。そんでここあ、シガレット…諏訪子、それから早苗な」
早苗「はぁ〜い…」
カルゴ「あ、神奈子様には海苔煎餅渡しといて。いつもバリバリ食べてるでしょ」
早苗「あははっ、そうですね!」
神奈子《有難く頂くことにしよう。貢ぎ物なんて久方振りだな…》
カルゴ《貢ぎ物……まぁそれでもいいですけど。いつもお世話になってますって意味ですがね》
次は姉ちゃんことアリスの元へ向かう。どうやら魔理沙と話していたが、俺の接近に気付くとすぐこちらに向き直り、お菓子をみせてもいないのにニコニコと微笑み始めた。
アリス「可愛い弟君は、お姉ちゃんに何を返してくれるのかしら♪」
カルゴ「アップルパイとかどう?初めて作ったんだが…割とよくできた方だと思う」
アリス「美味しそ♪…あーん…」
カルゴ「…ほい」
アリス「んっ♡ 良いわぁ、美味しい♡」
カルゴ「マジ?味覚狂ってなくて良かった〜…。んで、魔理沙は…」
魔理沙「待て。スキマから取り出す前に聞くぞ?今年もキノコ型チョコなんて事は無いよな??」
カルゴ「流石に毎年それじゃ飽きるよな。だから今年は、ちっとばかし趣向を凝らしてだな…」
魔理沙「ワクワク…」
カルゴ「キノコのソテーにしてみたんだ」
魔理沙「お菓子ですらないのかよッ!!!??」
鋭いツッコミを貰った所で、スキマから、彼女に渡す物を取り出す。それを見た途端に、魔理沙の驚きに染まった表情も元に戻っていった。
カルゴ「…と見せかけて、キノコ型マフィンだ。これも初めて作ったんだがな、中々だと思うぞ」
魔理沙「マフィン!?おおっ、ありがとなっ!」
カルゴ「いえいえ〜」
姉と魔理沙の次に向かったのはこっそりお寺から抜け出したとみえる響子だ。後から行くと言ったはずなのだが…。
カルゴ「抜け出してきて良いのか?」
響子「大丈夫じゃないから送って!」
カルゴ「分かった。響子には胡麻煎餅ね。あと、寺の皆にはお茶に合う和菓子な。響子の分もあるけど白蓮の分は無しだ」
そう言って、どこかのファストフード店のテイクアウト品のような紙袋を彼女に手渡す。
響子「あははっ、ひっどーい!」
カルゴ「…冗談だ、中見てみ」
響子「ひぃふぅみぃ……ほんとだ!」
カルゴ「ちゃんと全員分入ってるから安心しろ。白蓮だけハブるのは良くないからな」
響子「そうだね!」
カルゴ「送るのは縁側で良いのか?」
響子「それでお願い!」
カルゴ「はいよ。じゃ、また逢いに行くよ」
響子「うんっ、待ってるよ♪」
響子を寺へ送った俺は、近くの木の上から境内を撮影している文と穹の元に瞬間移動をした。
文「あやや…瞬間移動とは恐ろしいですねぇ…。残像すらも残りません…」
穹「私のように飛んで移動しているわけではないですから、それはそうですよ…」
カルゴ「文と穹には…今渡すと荷物になるだろうから、仕事場に送っといたよ。新聞映えしそうな金平糖と細かい造形の水飴だ」
文「おおっ!ありがとうございます!わざわざ、新聞映えしそうという配慮まで…っ!食べるのが勿体ないのがたまにキズですが…」
カルゴ「勿体ないのは分かるが食べてくれよ?」
母娘「はいっ!!」
次に向かうのは可愛い妹と母さんと夢子の所だ。目が合うとはにかんだ笑みを浮かべる妹がとても可愛らしい。イエスロリータ、イエスタッチだ。それを信条としている俺は迷わず妹の頭を撫で、頬をムニムニと触らせてもらう。
カルゴ「アリスと夢子にはレモンパイ作ったよ。味は…まぁ、三流レベルかな」
アリス「ありがとっ、お兄ちゃん♪」
夢子「ありがとうございます、坊ちゃん…。身に余る光栄です…!」
神綺「カルちゃん、お母さんには?」
カルゴ「母さんにはフルーツタルト。色んな果物混ざってるから、色んな食感や味を楽しめるよ」
神綺「カラフルで綺麗ね♪ ありがとう♪」
カルゴ「へへっ…どういたしましてっ♪」
母さん達の次に向かったのは、さとり達地霊殿組である。地霊殿の主さとりは、サードアイを俺に向けて顔を赤らめている。俺が何を考えているか読んでしまった…いや、読んだのだろう。
お空「お兄さん来たぁ〜っ!どーんっ!」
両手を広げて突進してくるお空。胸の赤い宝石が俺の胸にも当たり、ミシミシと嫌な音を立てた。しかしお空はそんな事は知らんとばかりに、俺に抱きつく腕に力を込める。
宝石が押し付けられるのと同時にその両脇にある2つのやわ肉も押し付けられ、少し心臓の鼓動が速くなったような気がする。
カルゴ「んぐぐ…苦しいぃ…」
お空「えへへ〜、ごめ〜んねっ♪」
抱擁は解くお空だが、その腕は俺の脇の下に滑り込み、今度は腕を組んだ。やはりお空は、ボディタッチが激しいような気がする。
カルゴ「わざわざ来てくれてありがとな。ここ、かなり遠いだろ?」
お燐「まーね!でもお菓子のためならこの程度、なんて事ないさ!」
さとり「ですね」
お空「うんうんっ!」
こいし「そーそー!」
カルゴ「おっ、いつの間に現れたんだこいし…。お空とさとりへのお菓子はポッキーな」
スキマから湯のみに入れた大量のポッキーを取り出す。飽きないよう、ストロベリー味や極細や、ココアパウダー付きのも混ぜてある。
お空「わ〜っ!すごいね、いっぱいある!ねー、お兄さんも一緒に食べよ!?」
さとり「ありがとうございます…。(うぅ…ついにこの時がっ…!嬉しいような恥ずかしいような…何とも言えない気分ですね……。エスカルゴさんったら、私が読むことを分かってて…)」
カルゴ「…お空。ポッキーゲームっつーゲームがあるだが…やってみないか?」
お空「ポッキー…ゲーム?うんっ、やってみる!やり方教えて!」
カルゴ「うん。このお菓子の両端を、俺とお空の2人で咥えて、折らないように食べていくんだ」
お燐(ん〜…?それってもしかして…とうとう、シちゃうってことかい…!?)
お空「2人で…両端を?ん〜…?」
さとり「…仕方ないですね…ここは私が、お手本プレイをしてあげましょう…///」
カルゴ「!」
さとりはポッキーを1本咥え、俺の腰に手をかけ上を向く。緊張と羞恥の為に顔は赤くなっている上、俺を掴む手は震えている。
カルゴ「い…良いんだな?」
さとり「元々そのつもりだったのでしょう?今更確認する事なんて…ないですよ…///」
カルゴ「それもそーだな…。じゃあ…」
地霊殿組や他の皆も見ている中で、さとりとポッキーゲームを開始する。身長差があるので、俺が膝を折って高さを合わせている。
さとり(私までドキドキしてきました…。ついにシてしまうんですね……キスをっ…!私は絶対にミスしませんからね…///)
互いに目を瞑ってはいるが、同じようなリズムと呼吸で食べ進め、ついに唇が………触れる前に、ちょんと鼻が触れ合った。俺は比較的落ち着いているが、さとりの息が荒いような気がする。少し薄目を開いてみると、顔を真っ赤にさせて震えている彼女がいた。口元も震えている為に、ポッキーは今にも折れそうになっている。
さとり(待って待って待ってっ!!近すぎますよエスカルゴさんんんっっ!!何でそう冷静にしていられるんですかああああああっっ!!!あっ…出来ていたはずの心の準備が──────)
カルゴ「っ!」
力が入り過ぎたのか、残り少しの所でポッキーが折れてしまった。折れた分はそれぞれが食べて、
「ミスっちゃったな」と声をかけようとした丁度その時。
さとり「もう無理っ…!」
カルゴ「ん゙っ…!」
飛び付いてきたさとりは、俺の首に手を回して、周りの目を気にせずに唇を合わせてきた。お燐をはじめとする他のみんなは、そんなさとりを見て目を丸くしている。
さとり「…散々焦らしといて離れるなんて…そんなの、反則…ですっ…///」
カルゴ「っ…今、さとりから……!?」
さとり「シたくなったんですから…シたって良いでしょう?…恋人…なんですから……///」
カルゴ「そっ…そうだな…あはは…///」
お空「うにゅ……そっか、わかった!お兄さん、私達とちゅーシたかったんだ!私もシたーい!」
カルゴ「ッ!?」
お空「ちゅー…♪」
結論的には何も間違っていないが、お空の短絡的思考回路でどうしてその結論に至ったのだろう。そして口を窄めて目を閉じ、キス待ち顔のお空。
お燐「……据え膳食わぬは?」
カルゴ「男の恥ってか…」
荒くなりかける呼吸を深呼吸で抑え込み、彼女の背に手を回し、ゆっくりと唇を重ねた。ぷにっと柔らかく、それでいてちょっぴり甘い。砂糖とは違う甘さだ。
お空「えへへ…ちゅーしちゃったぁ…♡」
カルゴ「しちゃったな…♪」
再びハグしてきたお空を、両手で抱き締め返す。キスだけでこんなにも緊張したのは久しぶりだ。よく分からないが、お空やチルノと居ると純粋な気持ちになれるような気がする。…気の所為かもしれないが、そんな気がするのだ。
お燐「良いね良いね〜!良いよお空ぅ〜っ!」
お空「イエーイっ♪」
なんの事を言っているのか分からないが、お燐とお空はパチンと良い音を立ててハイタッチした。緊張の為に汗をかいたので、汗臭くなってないか内心ヒヤヒヤしている。
お燐「そ・れ・で!あたいには何を返してくれるのかなぁ〜?」
カルゴ「えーとな、お燐にはスポンジケーキで、こいしにはキャラメルプリンを用意したぞ」
こいし「ありがとっ、お兄ちゃん♡」
お燐「おぉ〜…嬉しいけど大きくない?」
カルゴ「あー…それなら、お燐とお空で食べたらどうかな?フォークも2つある」
さとり(スキマから取るフリをして、今こっそり創ったの見ましたよ。…ていうか…とうとうキスしちゃったぁぁ〜〜……今夜寝れないぃ〜…///)
お燐「良いねぇ!お空、一緒に食べよう!」
お空「うんっ!いただきまーっす!」
互いに食べさせあっているお燐とお空を見て目を細める。やはり……女子×女子の組み合わせも、とても素晴らしいと思う。
神綺《あなたのわりに、緊張してたわね♪》
カルゴ《よくわかんないんだけどな……なんか、すごく緊張した。初心に返れた気がするよ》
神綺《良い事じゃない♪ ほらほら、幻月ちゃんと
夢月ちゃんが待ち構えてるから、早いとこ渡して
あげなさい♪》
カルゴ《あ、あぁ…そうだな。2人共、目のギラ付きがすごいような…》
神綺《カルちゃんったら、手首切る時にすんごくニヤニヤしてたわね〜…病み気質あるの?あぁ、バリバリあるわね、ごめんなさいね》
カルゴ《知らんがな!てかニヤニヤしてねー!》
神綺《してたらしいわよ?だってあなたの行動を見てた夢子ちゃんが言ってたし》
カルゴ《チッ…言わんでもいいことを…》
神綺《やっぱり本当じゃないの》
カルゴ《あっ》
神綺《…誘導尋問と女の子には弱いのね♪》
カルゴ《うっ、うっさいなぁっ!自分でもそれはよくわかってるよ!》
神綺《はいはいっ♪》
それからもしばらく、賑やかなお返しは続いた。
しかしその最中、幻想郷のどこかでとてつもない妖気と電磁波が跳ねるのを感じた。