カルゴ「ただいまー。来たぞアリスー」
ロリス「お兄ちゃん、おかえりーっ!」
カルゴ「相変わらず出迎えが早いな、アリスは」
今は巫月が来ていないらしく、子供っぽさ全開でリビングから飛び出してきた。そして、兄である俺の腰に飛びついて、顔を綻ばす。ロリスの友人であり俺の娘でもある巫月が居ないからか、見るからに普段よりデレている。
ロリス「だってお兄ちゃんだもんっ♪」
カルゴ「ったく、可愛すぎかよ俺の妹は」
ロリス「もー、お兄ちゃんったら〜♪」
娘達と大して身長の変わらない妹を抱え上げて、頬と頬を擦り合わせる様に抱きしめる。すると、彼女に遅れて母さんと夢子も広いエントランスにやってきた。
ちなみに、パンデモニウムは母さんの家…つまり俺にとって実家のような扱いなので、ここに来る時も、「こんにちは」ではなく「ただいま」だ。
夢子「おかえりなさいませ、坊ちゃん」
神綺「おかえり。ゆっくりして行きなさい♪」
カルゴ「ゆっくりする前にさ、今日もちょっと…アレ、お願いできる…?」
夢子「!」
ロリス「うんっ、いーよ!やろっ!」
神綺「相変わらずカルちゃんは熱心で良いわね!アリスちゃんにとっても、良い練習になるし♪」
ロリス「そーそー!」
パチュリーから魔力の制御方法を教えてもらい、約1週間が経過した。技術はいつも通りに数日で習得し、魔力は以前と比べものにならないほどに激増した………なんて事は無く…。
技術は覚えたものの、未だに完璧ではないので、基礎的な魔力の量自体はあまり増えてはいない。
数字で表すなら、1000だったのが1500程に増えた
程度だ。吸血鬼の本来の魔力量とは、あまりにも
かけ離れている。
レミリアと合体した事で、吸血鬼本来の魔力量を感じたが、それに比べたら全く足りてやしない。
しかし、技術を習得してもすぐに治らないのは、ある意味仕方が無いことなのだ。吸血鬼歴16年の俺であるが、その16年間ずっと、無意識に魅了を使っていたのだから。
16年もの長きに渡って無意識に行ってきたクセがそう簡単に治るわけがない。
通常の生物は、歩く際にいちいち「右足を出して左足を出すと歩ける」なんて事は一切考えない。
「歩く」という動作は、遺伝子に刻まれ、本能で理解し、自然と実行している。
…通常の吸血鬼なら、「歩く」と同じようにごく自然に魔力の流れを制御出来るようなのだが…。俺はまだ、意識しないと制御できない。いつか、無意識でも制御できるようにしたいものである。
神綺「カルちゃん、今の魔力量はどんな感じ?」
カルゴ「…まぁまぁ。悪く無いけど足りてない…ような気がするよ」
神綺「あら…」
カルゴ「母さんどうする?今日も見学?参加?」
神綺「今日こそはお母さんも参─────」
ロリス「見学ー!見学よ見学!相手は夢子よっ!お母さん来ると強すぎるんだもん!」
神綺「……じゃあ…見学で……」
ロリスが大声+早口で捲し立てると、目に見えてしゅんとなって拗ねる母さん。俺が魔界で魔法の特訓をする時は、大抵の場合1人では行わない。俗に言う実戦練習の方式で特訓しているからだ。俺とロリス、俺と夢子で戦ったりするが、たまにタッグマッチも行う。その時は俺とロリスが組み母さんと夢子が組む。
……とまぁ、数日はこの方法で特訓していた俺達だったのだが、魔界神である母さんは、手加減の仕方がまるで分からないらしく…。初めて俺達と戦った時のような容赦の無い弾幕を放ってくる。建御雷の力を借りねば、俺は母さんに勝てない。故に俺とロリスが組んでも母さんには勝てない。それを不満に思った妹が、母さんは参加するなと言い放ち、それからは専ら、俺とロリスvs夢子を繰り返し行って、互いを高め合っていた。
負けるのも特訓の内だと言ったのだが、母さんに負けるのは何故か譲れないほど悔しいのだそう。
アリス姉ちゃんが「強くなりたい」と言って家出した理由を、俺はその時に悟った。後ほど彼女に聞いてみたら全くその通りだったので、その時は思わず苦笑してしまったものだ。
カルゴ「よーしっ、今日は最初からトバすか!」
ロリス「うん!」
夢子「加減はして下さいよ?特にお嬢様…」
ロリス「加減したら負けちゃうも〜ん」
夢子「はぁ……仕方ありませんね。いつも通り、強気でやらせていただきます」
カルゴ「来い!」
ロリス「来なさい!!」
パンデモニウム前の大地…初めて
彼女は苦無とナイフを創造・発射して、こちらは2人で魔力弾を発射する。ただし、俺の方は力が込められていない為、攻撃力はシャボン玉並だ。つまりほぼ0である。
夢子「っ…お2人が組むとえげつないんですよ、弾幕の密度が…!避ける方の身にもなってほしいものですよ、ホントに…」
そう愚痴る夢子だが、彼女の弾幕の方が攻撃力は高いのだからお互い様だと思う。何せ、彼女のは刃物そのものだ。弾幕とぶつかっても、相殺せずただ掻き消して、そのまま突き進んでくるのだ。やはり咲夜さんのナイフとはワケが違うらしい。こちらとしては、弾幕が掻き消されてしまうなら密度を増やすしかまともな対抗手段が無いのだ。
ロリス「お兄ちゃん、アレやろっ!複合スペル!とびっきりカッコイイやつよ!」
カルゴ「よし、
ロリス「やっぱり最初は〜……」
兄妹「『橙の魔法』!!」
ロリスは炎の弾幕をばら撒き、俺は雷魔法で細い弾幕を断続的に発射する。これはまだ初歩の初歩なので、密度を濃くしたところでそこまで効果は見込めない。しかし相手の出方を見るには良い。
夢子「剣道『魔界の大剣聖』!」
カルゴ「うっ…ちょっ、最初から上位互換…!」
等間隔、そして極めて規則的に発射される苦無とナイフ、レイピアのような細い剣。夢子の弾幕は殆どがこういった刃物系なので、被弾にはかなり気を付けなければならない。しかも苦無は曲線を描くので非常にイヤらしい。
ロリス「う〜、痛そう…っ!」
夢子「……お2人共、お忘れですか?初期位置が安置である事を」
ロリス「あっ…!」
カルゴ「ゲッ……忘れてた…」
そうだった。このスペルと下位互換のスペルは、発動時に受ける者達が立っている場所が安置だ。だから、カーブが来たからと下手に動くと、逆に大変な目に遭うのだった。
ロリス「きゃっ…」
カルゴ「おいっ、ちゃんと見て避けろッ!」
妹の首元に飛んできたナイフを殴り壊して、既のところで守る。その際、少し切って血が飛ぶが、そんな事は気にも留めない。
ロリス「ごめんなさいお兄ちゃん…痛かった?」
カルゴ「あぁ、ちょっとな。けど、アリスが無事ならどーでもいいぜ、どうせすぐ治るしな」
ロリス「お兄ちゃんはもっと自分を大切に…」
夢子「戦闘中にお喋りとは余裕ですね」
カルゴ「うっっ────!?」
弾幕に紛れて、両手に剣を装備して突撃してくる夢子。俺は咄嗟に妖魔雷霊剣を抜いて片方の剣を受け止め、もう一方は暗黒斬月剣で受け止める。いくら夢子が強かろうが、種族的に考えて、力は俺の方が上だ。直ぐに上に弾き飛ばして、彼女が着地する前に妹と共に次のスペルの詠唱をする。
兄妹「『黒紫の魔法』!!」
ロリスは闇属性の闇弾幕を、俺は月属性闇分類の弾幕を発射。俺のは三日月のような軌道を描き、ロリスのは横移動する幾つもの魔法陣が現れて、そこから直線軌道を描く弾幕を断続的に発射する。
カルゴ「空中じゃ避けらんねぇぜ、夢子ぉっ!!覚悟するんだな!!」
夢子「甘く見られたものです、ねッ!!」
空中で剣から発せられた閃光が煌めく。光に遅れ夢子に斬られた弾幕は、ポンと音を立てて爆ぜ、そのまま彼女に着地を許してしまう。
カルゴ「ちぇっ。もっと濃くするかァ…!」
ロリス「そうだね!!」
アリスは更に魔法陣を増やし、そこから出てくる弾幕は速度が上がってきた。俺はそれに便乗し、カーブをさらに鋭くさせる。三日月のような緩さから、新月の次の日の月のようなカーブに。
夢子「くっ…これは…っ!!」
カルゴ「そォら、まとめて当たれえええっ!!」
ロリス「えぇぇぇいっ!!」
両手の剣が折れた所を見逃さず、弾幕の密度を、このスペルでは最高まで引き上げる。だが夢子もタダではやられない。新たに大剣を創造し、その刀身を撫でる。すると赤いオーラのようなものが剣を覆う。
夢子「………絶剣『魔界断絶斬』ッ!!」
体重をも乗せるように、勢いよく真上から大剣を振り下ろし、地面に叩き付ける。途端に、轟音を立てながら地面は真っ二つに裂け、更に凄まじい衝撃波が放たれる。咄嗟に飛んで回避はするも、赤い風の刃のような三日月型の弾幕が多く発生し空中に居る俺達を狙い撃ちにする。
それらはかなり鋭く、弾幕に当たっても尚直線に進み続けている。俺は飛んで回避出来るが、妹は俺のように細かく調整して空を飛べない。ここは相殺よりこうするのが良い。
カルゴ「アリス、障壁展開だッ!カンタ!」
ロリス「分かった!」
兄妹「魔術『
夢子「なッ…!?」
透明な壁に弾かれた赤い刃は、そのまま夢子へと向かっていき、予想していなかったであろうその事態に困惑した彼女は、何度か被弾しメイド服を少しばかり切ってしまう。
兄妹「喰らえ!『黄金の魔法』!!」
ロリスが放った弾幕は綺麗な星型弾幕だ。妹曰く魔理沙の弾幕を参考にしたとのこと。そしてその大中小様々な大きさの星弾幕が回転して、直線の軌道を描きながら降り注ぐ。俺が放つのはユルいホーミング弾、それと断続的に放たれる雷の透過レーザーだ。
魔力の交じった透過レーザーは、普段のに比べてあまり攻撃力は無いが、その分痺れさせるのにはかなり向いている。魔力で痺れさせる効果を強化させているのだ。
ロリスの「黄の魔法」と俺の雷魔法の複合スペルなので、黄と黄ではなく黄金と名付けた。
強そうな名前になっているが、実際これは俺達の複合スペルの中ではそこそこ上位に入る。だが、竜巻系の方が攻撃力も難易度もアップしている。次のスペルはそちらを使うべきだろうか。因みにこのスペルは初公開だ。
そして夢子は、大剣を地面に刺して手放したかと思うと、両手に新たな剣を創造して、弾幕を切り裂き始めた。
夢子「こんなもの…!斬り裂いてあげますッ!」
ロリス「…斬ったらどうなるかなっ♪」
夢子「え────」
透過レーザーは避けるが、星弾幕は斬ろうとする夢子。ロリスはそんな彼女にそう声をかけるが、彼女は止まらない。いや、違う。寧ろ「斬っても何も無い」と、ロリスの言葉を振り払うように、そして自分に言い聞かせるように剣を振るった。
大きいか、もしくは中ぐらいの星弾幕を斬ると、細かくなって散らばり始めた。これは地面や壁に当たったりしたら弾ける。これは、早苗の顔文字弾幕を参考させてもらった。
夢子「こんな至近距離で…あぐっ…!」
カルゴ「よし、押してる!いいぞアリス、もっと濃くするぞ!」
ロリス「うんっ!」
夢子「ですから…甘く見過ぎなんですよ…っ!!創符『フォーリンソード』!!」
カルゴ「ゲッ…」
アタックカンタの効果は、先程切れた。そこまで長くしてしまうと、戦いが一方的になるからだ。だが、こうして空に浮かぶ大量の刀剣を見ると、もう少しだけでも長く設定しておけば良かったと後悔の念が湧いてくる。
ロリス「きゃっ……」
カルゴ「下手に動くなアリスッ!俺が逸らす!」
ロリス「お願い!」
金属だったら電気の力である程度操作が可能だ。降ってくるだけの場合は特にやりやすい。だが、夢子もただそれを見ているだけではない。地面を蹴って、剣を構えている俺に再び突進してきた。
夢子「ふっ────!!」
両の剣を真横に振る独特な剣さばき。初めて見るその動きに戸惑い、目の下を深く切ってしまう。垂れてきた血を舐め、妖魔雷霊剣を地面に刺し、力を流し込む。
カルゴ「喰らえっ…!獄雷『
夢子「ぐっ……ぎゃあああああっ……!!」
地面から噴出して降り注いだ雷に撃たれ、夢子は悶絶する。剣を地面に刺して、何とか立っているという状態だ。本当ならもう終わりでもいいが、夢子がその目に敵意を秘めている。まだ、終わるつもりは無いらしい。
夢子「まだ終わりませんよ、坊ちゃん…お嬢様…やられっぱなしだと、思わないで下さい…ッ!」
ロリス「ううん、もうトドメ刺してあげるわっ!私達の最強の魔法でね!」
カルゴ「オーバーキルのような気もするがな…。歯ァ食いしばれよッ!」
夢子「!!」
兄妹「『
残りの魔力を全て使って、虹色の爆発が起こす。
夢子の放った苦無、刀剣類も全て消し飛ばして、フラフラだった彼女の事も、母さんが居る方へ…パンデモニウムの方へ吹き飛ばし、勢いよく壁に叩き付けた。
夢子「っ……また、負けてしまった………」
神綺「夢子ちゃん……惜しかったわね…」
夢子(今のさえ耐えられれば…っ…)
ロリス「やったね、お兄ちゃん♪」
カルゴ「おうっ♪」
ロリス「動いたら汗かいちゃったねー…。もう、お風呂行っちゃわない?」
カルゴ「そだな、そうするか」
ラストは力押しで夢子を撃破した俺達は、彼女に治癒魔法を掛けたのち、2人でパンデモニウムの広い風呂に向かった。
巫月と霊愛の声のイメージにピッタリすぎる声を発見して30分くらいずっとニヤニヤしてました。
声で興奮する日が来るとは思ってませんでした。
どこまで性癖を開拓するつもりなんでしょうね。
Help me, ERINNNNNN!!森羅万象Ver.の高い方が
巫月、ちょい低い方が霊愛です。
こんな感じのめちゃんこ可愛い声が好きです…。
エスカルゴとロリスの略称どうしようかなー、としばらく考え、「カロリ」「兄妹」で悩んだ末に後者になりました。
ロリスとエスカルゴの複合スペルは滅茶苦茶多く思い付いたけど少ししか出せなかった…。
光の三原色は混ざれば白になる?……君のようなカンのいいガキは嫌いだよ。