霊愛「おかえりー…って、お母さんどうしたの?魔理沙んちに行ったんじゃなかったっけ?」
霊麗「おかえりなさーい!途中で合流したの?」
修行を中断した2人は、年相応の可愛らしい子供っぽい走り方で俺達の元へ駆けてくる。確かに、洗脳は解かれているし記憶もしっかりしている。一応、あの時の約束は守ってくれたとみえる。
霊夢「…ごめんね…」
霊夢は若干声を震わせながら、自分の近くにいた霊麗を優しく抱き締めた。何の事だか分からないらしい霊麗はキョトンと両目を丸くさせていて、霊愛もまたそんな顔をしている。
そんな霊夢と霊麗の様子を見た俺は、霊愛の頭に手を乗せ、ワシャワシャと髪を掻き乱してみる。
霊愛「ちょっ、何すんのお父さんっ!」
当然、いつも通りの霊愛ならそう言って手を振り払うが、今の俺にはその反応すら嬉しいものだ。しっかり目を見ながら微笑を浮かべゆっくり首を横に振って、「何でもないよ」と伝える。
だが伝えたい事はもう1つある。
カルゴ「ったくさ……あんまり母さんのこと心配させるんじゃねーぞ?ん?」
霊愛「はぁ…?留守番してただけなんだけど…」
霊麗「私達も、もう子供じゃないんだからね?」
霊夢「12歳と5歳が何を言ってんのよ、全く…。あんた達はまだまだ子供よ。…尤も、私達親から見れば、何歳になろうと子供だけどね…っ♪」
霊愛「そりゃーね…。例え老けてもお母さんから生まれたって事実は変わんないしね、子供は子供でしょ」
霊夢「うーわ、地味に理屈っぽい」
霊愛「もーっ、帰ってくるなり何なの?急に変なこと色々言うからすんごくビビるんだけど??」
霊麗「そーだね…あはは…」
霊夢「んーん……何か、たまには、ね…」
霊愛「…?たまには……何?」
霊夢「…何でもないわ。あんた達はいつまでも、そんな風に馬鹿みたいに元気で居なさいよね」
霊愛「(一言余計な気はするけど…って、わざわざ言うのも一言余計かな。) 勿論、分かってるよ」
霊麗「もっちろん♪」
霊夢「…で、あんたはこれからどうするの?またあっちに行くの?」
抱いていた霊麗を離し、少し心配するような顔でそう問うた霊夢。答えは、とうに決まっている。イエスだ。早く終わらせて、まったりとしたい。
カルゴ「そう…だね。出来るだけ早く戻ってくるつもりだよ」
霊夢「いやいや、そんなの当たり前なんだけど。本当だったら今日は私があんたを独占するのよ?なのにまた慧音のとこなんて…もう…事情が事情だけに許してるだけなんだからね!」
カルゴ「そうだね。じゃ、行ってきます」
スキマを開き、慧音宅の前に移動した。やはり、瞬間移動もいいがこちらの方が妙にしっくりくるような気がしないでもない。
一方その頃…。元凶たる隠岐奈は、未だ両腕から血を流しつつ、フラフラと飛んでいた。片腕でもあれば止血などが出来るかもしれないが、両腕が無ければ押さえることすら叶わない。顔色もより一層悪くなり彼女の目も霞んできていた。傷口は異常な熱を持っていて、心臓のようにドクドクと脈打っているように感じられる。
そんな彼女の前に、銀髪のロングヘアーで、赤い玉が2つ付いたヘアゴムで1つのサイドテールにしている女性が現れた。
隠岐奈「何…者だ……?扉が開いていた訳でも…無いだろうに…私の世界に侵入するなんて……。よもや……私に、トドメを刺しに…?」
??「私はただ、後始末を頼まれただけですわ。今は、魔力が枯渇してて大変ですから…。まぁ、あなたより2人を優先したいのだそうだけど」
隠岐奈「…?話が見えないぞ…。お前の顔も…」
??「見えなくて良いですわ。私の可愛い息子の娘を奪った者になんて見られたくないですもの。やる事が終わり次第、すぐにでも帰りますから、安心して下さいな」
隠岐奈「待て、お前…!私の世界で勝手な行いは許さんぞ…っ…」
??「…両腕を再生させてあげるだけですわよ。では、私はこれで…」
隠岐奈「ッ…!?」
痛みが消えて腕の感覚が戻り、霞んだ目を擦って目の前の謎の女を見ようとする隠岐奈だったが、既にその姿は無かった。
隠岐奈「何だったんだ…今のは……?いや…今はそれより、これからの事だな…」
隠岐奈は、再生した腕を摩りながら自宅に戻り、今後の事に考えを巡らせ始めた。
カルゴ「はぁ〜い慧音ー、ちょっと良いかー?」
扉を叩くと先程のようにドタバタと中から足音が聞こえてきた。しかし、今回はもう1人分多い。里乃と舞だけでなく、慧音もいるらしい。
里乃「あ、さっきのお兄さん!思ったよりずっと早かったですねっ!」
舞「まさか…もう見つかったの?」
慧音「その顔……そのまさからしいな」
カルゴ「まーね。簡潔に言うと……2人はその…親でも親戚でもなくて…全く関係ない奴に、引き取られていたんだ」
里乃「え…?私達のお母さんやお父さんは…?」
舞「居ない…の…?」
カルゴ「……居なくなった原因は、わからない。けど、その人の元で楽しく暮らしてたのは2人も知ってる通りだ」
慧音「だがどうして2人はこっちに来たんだ?」
カルゴ「えっと確か…道に迷ったのかもしれないみたいな事を言ってたな。記憶喪失の理由はよく分からないままだけどさ。でも、身元引受け人は確定したよ。霊夢も過去に、そいつと里乃と舞が一緒に居るのを見た事があるらしいからね、もう間違いないよ」
二童子を交換したなんて事は言わず、道に迷ったかもしれないと誤魔化してみる。本当の事を説明すれば何がどうなるか、予想もつかない。ただ、何かしら良くない事が起こるのはよーく分かる。
里乃「…そう、ですか…」
舞「ねね、その人は僕達に戻ってきてほしいって言ってた?」
カルゴ「うん。連れてけば喜んでくれると思う。2人共…どうする?」
里乃「どう…しよっか?」
舞「どう…しようね?」
慧音との生活も楽しかったのだろう、2人で顔を見合わせて考え込んでいる。だが、そんな2人を見た慧音は、2人に優しく声をかける。
慧音「戻るといい。その人は2人の帰りをきっと待っているよ」
里乃「でも……寺子屋も楽しかったなぁ……」
舞「また寺子屋に行きたいな…」
慧音「そう言ってくれて、教師冥利に尽きるよ。だけど、寺子屋に行く前に家には帰らないとな。また来たくなった時は、その人に言えばいいさ。だから、家には帰りなさい。…な?」
舞「…分かった。僕達また来るよ!ね、里乃!」
里乃「もっちろん!」
慧音「いい子達だ。…エスカルゴ、頼んだぞ」
カルゴ「任せろ」
2人の肩に手を置き、もう一度後戸の国に移動。先程来たばかりとあって、もう驚きはしないし、辺りを見回すこともない。だが、2人はそうではない。記憶を失っているので、珍しそうに周囲を見回している。
カルゴ「隠岐奈ァ。2人を連れてきた、さっさと出てこい」
すると目の前に緑色の大きな扉が現れ、腕が再生した隠岐奈が少しオドオドしながら顔を出した。最初に見たような堂々としている雰囲気は無い。
隠岐奈「本当に…連れてきたんだな…。あの……この腕は…」
カルゴ「里乃、舞。あいつは…摩多羅隠岐奈だ。2人はあいつと楽しく過ごしていた。今の2人にとっては初めましてかもしれないが…いずれまた前のように仲良くなれるだろう」
里乃「えっと…隠岐奈さん、初めまして…。私、爾子田里乃っていいます」
舞「僕は丁礼田舞!」
隠岐奈「…おかえり。よく…戻ってきてくれた。
…ところで…エスカルゴ、だったか。お前…私の腕を再……」
カルゴ「じゃーな、後は3人で仲良くしろよな」
隠岐奈「おい、少しは話を……」
カルゴ「また飯食い行こうぜ、里乃、舞♪」
隠岐奈の話は無視して、俺は博麗神社に戻った。何故無視したか…何となく小っ恥ずかしいのだ。殺す、ダルマにしてやろうか…などとイキがったクセに、両腕を切り落とした事に後から罪悪感を覚えた自分が。まぁ娘を奪ったのは事実なのだ、別にそこまで罪悪感を覚える必要は無いのだが、何となく
里乃「えっと……隠岐奈…さん?私達はこれからどうすれば…?」
隠岐奈「そうだな……記憶を失う前に戻そうか。何をしていたのか、これまでどうしていたのか…全ていっぺんに思い出せるよ。頭を出しなさい」
里乃と舞は、その言葉を少し疑いつつも隠岐奈に頭を向け、彼女は再生したその手を頭に乗せて、
「作り直す」要領で、2人の状態を戻していく。
ただしその際、少しばかり記憶を弄る。隠岐奈にとって都合の良いように……しかし記憶を失った際の思い出も、少しずつ残しながら。
里乃「?あれ…お師匠様?ナデナデ…ですか?」
舞「僕達、何してたんだっけ?」
隠岐奈「……舞に、人里に買い物に行かせたが、お財布を落として仕方なく戻ってきた所だよ」
舞「そ、そうだった…」
里乃「あはははっ、舞ったらやっぱりおっちょこちょいだね〜!」
舞「うるっさいなぁ、もうっ!」
隠岐奈「今度は、里乃と2人で行ってきなさい。ネギと大根と人参だよ」
二童子「はーい!お買い物行ってきまーす!!」
隠岐奈「行ってらっしゃい。………いや。今日は私も行こう。久しぶりに外に出てみたくなった。3人で行こうか」
里乃「良いですね、行きましょ!」
舞「行きましょ行きましょ〜っ!」
今回のやり取りを経て、ほんの少しだけ考え方を改めた?隠岐奈であった……。
その気になれば幻想郷を作り直すこともできる。
これって、色んな解釈が出来ませんか?幻想郷を作り直せるなら他の物も……何となくですけど、作り直せそうですよね。…まぁ、本作ではそんな感じの割とチートな能力って解釈でイキますね。
(だって賢者だもの、チートでも納得というか)
対象の時を戻すというより状態を戻す?みたいな感じで…ちょっぴり初期化に近いというか…。
自然物しか作り直せないかな?でも里乃達も生物ですし、ある程度の応用は効きそうですよね。