今日は…俺らの帰還を祝う宴会。
でもやはり…なにか……。
「どうしたの?そんな暗い顔して」
「へ?暗い?…俺が?」
「うん。なんか…暗いというか寂しげだったよ?」
「そんなこと…無いぜ」
「ならいいんだけど…」
そんな顔してたか?
フランに言われるまで気付かなかった。
『ごちそうさまでしたー』
モヤモヤした気持ちのまま朝食を終えた。
「ちょっと、博麗神社行ってくる」
「え?どうして?」
「…身体の調子、大丈夫か聞いてくるよ」
「わかった、いってらっしゃい」
「おう」
バシュッ
まぁ、嘘ではないな。大丈夫か聞くと同時に…このモヤモヤは何なのかを相談したかったってのもある。
巫女だからカウンセリングなんて専門外だと思うが、呑気なアイツのそばに居れば、少しはこのモヤモヤがマシになるかと思ったんだ。
スタッ…
華麗に着地し、中に呼びかける。
「怠惰巫女霊夢〜、居るか〜?」
「…………」
返事は無い。朝だから寝てるのか?
「仕方ねぇな…」
チャリーン…
バァン!
「!?」
ふすまが勢いよく開いた。
「あんた今何したの!?」
霊夢キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
「おはよう。来たついでに(100円だけ)賽銭入れたぜ」
「ありがとう!!」
「お、おう…」
天使のような笑顔だったので、思わず目を逸らしてしまった。
「それで、今日は何しに来たの?」
「ん?あぁ、身体の調子、どうだ?」
「もうなんともないわ」
「そ、そりゃ良かった…」
やっぱお前普通じゃねぇわ、うん。
「それだけ聞くためにこんな朝早くから来たの?」
そんなに朝早いか…?
「うーん…」
「何よその煮え切らない感じ…」
「いや…その…なんつーかさ…こっちに帰って来て」
スッ
「霊夢〜、おはよ〜」
「!?」
俺と霊夢の間にスキマが出現。
そこから八雲 紫が姿を現す。
向こうでもこんな様子見たけど慣れねぇや…。
「おはよ…って、また来たのねこのスキマ妖怪…」
「まぁね♪でも、今日はあなたじゃなくって…」
言葉を切って俺を見る。
「エスカルゴに用があるのよ」
『は?』
「『は?』は酷いわねぇ…」
「す、すいません…」
「そういえば…あなたとは初めましてかしら?」
「あ…」
そうだった。
「初めまして、エスカルゴ・スカーレットです」
「八雲 紫よ。よろしくね」
「は、はい…」
ま、マジで何の用だよ…??
優しいお姉さんって感じがするけど、少しでも機嫌を損ねようものなら殺されそう…。
「何の用なのかって顔ね」
「え?ああ…まぁ…」
「単刀直入に言うとね。新聞を読んで、あなたに興味が湧いたの」
「!?」
「それで、あなたがこっちに帰ってきてからはずっとあなたを観察してたの」
「…ゑ?」
紛うことなきストーカーじゃないですかヤダー。
「ずっと、心ここに在らずって感じだったわね」
「ちょっと…ええ…」
「飛ばされてた世界に、なにか未練でもあるのかしら?」
未練……そーだ、もう1回炎火と戦いたかったんだ。
てゆーか…会いたい。
「…そうですね」
「別に、出来なくはないけど?どうする?あなたが願うなら、スキマ出してあげても良いわ」
「!?」
なんでそこまで…?
「でも、1ヶ月はかかるって向こうの紫さんに…」
「え?そんなに?」
「はい…」
「へぇ〜…それじゃ、その世界のこと教えて?探しやすくなるから」
「はい。世界のことっていうか、個人のことですが…。焔 炎火っていう男が永遠亭で暮らしてる所です」
「焔 炎火………能力は?」
「確か……炎を支配する程度の能力……だったはず」
「…ああ、ここね」
「もう見つけたんですか!?」
「ええ。向こうの私は何やってるのかしら…」
「繋げるのはどうですか?出来ますか?」
「簡単よ?」
「わ〜お…」
え…?こっちの紫さんの方が力が強いって事かな?
「今すぐ行く?」
「う〜ん……」
はっ!!
「いや…行くんじゃなくて…来てもらおう!!」
「あらま…。まぁ、私にかかれば楽勝だけど」
「私もそいつに会ってみたいわね」
霊夢も炎火に興味があるようだ。
「っしゃ!そんで、今日の宴会にゲストとして招待だ!」
「良いわね!」
「じゃ…繋ぐわよ」
「あ、ちょっと待って下さい!」
「?」
「霊夢、書く物貸してくれ!」
「良いけど…何に使うの?」
「“招待状”だ!」
「直接言った方が良いんじゃない?」
「まぁそうだろうが…つい先日帰ったばかりの奴から手紙届いた方が驚くと思うんだ!」
「ふーん…まぁ良いわ、待ってて」
霊夢が中に戻る。
「ねぇ」
「はい?」
「繋ぐのは出来るけど、長時間繋げるのは難しいわ。だから、サッと行ってサッと帰ってきてね」
「了解」
「持ってきたわよ〜」
「サンキュ!」
俺はさっさと手紙を書き……ある仕掛けを施した。
「お願いします、紫さん!」
「はい、どうぞ♪」
スゥ…
わお…すげぇな。
「行ってきます!」
「1分しか繋げられないわよ〜」
「!?」
そーゆー大事なことを今になって…!
「わかりました!」
俺はスキマに飛び込む。
スタッ…
「ふぅ…」
スキマを出た先は、竹林だった。
でも目の前に永遠亭が見える。
中がガヤガヤしてんな…いい匂いもする。
朝ご飯作ってるのかな。
「どこに置こう?」
10秒ほど思案する。
「そうだ!!」
炎火の部屋のふすまに挟んでおこう!!
「ただいま!」
忍び込むの大変だったぜ……。
足音聞かれちゃったかな…?
「おかえり」
「ありがとうございました!あと、今日の夕方もお願いします!」
「ええ、わかったわ」
「あざます!!!」
「ふふっ、元気出たじゃないの」
「紫さんのおかげです!」
「やっぱり未練があったのね」
「へへ…」
「ねぇ、手紙になんて書いたのよ?」
霊夢が尋ねてくる。
「秘密♪」
「教えなさい!」
ツンっ!
「はうっ!」
お祓い棒で脇腹をツンツンつつく。
「わ、わかった、言う、言うから!」
「最初から素直に言えばいいのに…」
はぁ…。
「えーと、手紙の中身は…
焔 炎火へ
久しぶりだな!と言っても、2日や3日の話だが。
1ヶ月、本当に世話になったな。
急ではあるのだが、俺らの帰還を祝う宴会を行うから、是非炎火と妹紅にも来て欲しい。
(ちなみに、こっちの紫さんの方が力が強くて、繋げるのに1ヶ月もかからなかったぜ。)
来たる満月の日……つまり今夜だな。
午後6:00に、永遠亭玄関前に迎えにいく。
炎火のことだから、仕事はとっくに終わってるよな?
あと、この紙にはある仕掛けがある。
その仕掛けが何か…お前ならわかるはずだ。
雷速の吸血鬼 エスカルゴ・スカーレットより
……ってな!」
「へぇ…仕掛け…ねぇ…」
「ああ。あいつは炎を支配するからな、炙るくらい楽勝だ」
「炙り文字か…」
「あ、言っちゃった」
「なんて書いてあるの?」
「それは秘密♪」
「教えなさい!」
「それはダメだ♪」
「な〜に〜?」
「まぁまぁ。人には誰しも秘密があるものよ?霊夢、あなたにも秘密があるわよね?エスカルゴに言っても良いのかしら?」
「!?いいい、言ったら殺すわよ!?」
顔を真っ赤にしてお祓い棒を振り回す霊夢。
余程恥ずかしい秘密と見える。
「あらあら、物騒ねぇ。なら私はここで退散させてもらうわ。夕方、またここで会いましょ。じゃあね♪」
「はい!お願いします!」
手をヒラヒラさせてスキマに消える紫さん。
「ふぅ……全く、あのスキマ妖怪…」
「なぁ、お前の秘密って、なんだ?」
「教えるかぁぁぁ!」
ぶおっ
俺にも棒を振る。
「あぶね!じゃ、また後でな、霊夢!」
「…チッ!」
紅魔館へ帰る。
炙ったら、こう出るようにした。
追伸
これ読めてるってことは、上手く炙れたってことだな。流石炎火だぜ。
早速本題に入るぜ。
炎火。俺と戦ってくれ。
この3日で、俺はまた強くなった。
本気では無かったらしいが、霊夢のこと倒したぜ。
別れ際の、幽香さんのアドバイスのおかげだ。
あと、お前からもたくさん学ばせてもらった。
そこで、自己流にアレンジを施した。
もちろん、妹紅やフランを巻き込む訳じゃない。
俺とお前、男同士サシの勝負をしよう。
飛びながら、隠し文字を反復する。
ふふ…ノッてくれるかな?炎火…。
今なら…今の俺なら、勝てるはずだ。
霊夢を倒した……………あの技なら。
ちょっと無理矢理だったけど…ま、良いか♪