守矢神社。妖怪の山の中腹辺りに位置していて、里と繋がっている索道が通っているものの、正月などの行事以外は参拝客はあまり居ないらしい。
策道開通後は暫く賑わっていたそうだが、やはり流行り物はいつかは廃れるものである。幻想郷に住み始めてしばらく経つが、これがまともに人を乗せて動いているのはほぼ見た事がない。
私が神社の近くに行き、客人として潜入しようとすると、タイミングのいい事に守矢神社の三柱が縁側に出てきたので、神社ノ敷地外からこっそり覗くことにした。
緑髪で元人間の東風谷早苗は境内の掃除を始め、目玉のついた変わった帽子を被った祟り神、洩矢諏訪子は縁側で日向ぼっこを始め、注連縄を背につけている八坂神奈子は、体操を始める。早苗と彼の娘、樹里愛の姿は無い。
恐らく、室内で人形遊びに興じているのだろう。
観察対象である洩矢諏訪子が、外から見える所に居るのは大きい。この機会は逃せない。何故彼が諏訪子にゾッコンなのかを突き止めて、見習える箇所があれば見習いたいものである。
諏訪子「ふわぁ〜ぁ……眠いねぇ…」
早苗「もう、そろそろお昼なんですよ?いつまでそうしているつもりですか?相変わらずかなりの遅起きですし…」
諏訪子「神様が規則正しい生活する必要なんて、無いと思うんだけどねェ…。やる事も無いし…」
目を擦ったり猫のように丸くなったりと、見た目通り、かなり子供らしい神様だ。フランドールやレミリアに比べれば、少しは幼女ではないが…。
「見た目は少女で中身は幼女」と言うべきか。
頬は柔らかそうだが異形の翼は無い。果たして、どこに彼が入れ込む要素があるのだろう。今回は見た目だけでは分からない。彼女の性格は、今の私には測れないので、性格は除外して考える事にするが…もしや、その性格なのだろうか。
サグメ「…ふむ…」
試しに私と彼女を重ねて考えてみる。翼は無く、頬は柔らかそう。どちらもショートヘアである。ただし彼女の髪型は少し特殊な縛り方だ。そしてファッション面で考えてみれば…彼女の衣類にはカエルの装飾?があり、私は普通の服装だ。私のスカートは少し特殊らしいが、特に自覚は無い。
私は素足、彼女は白ニーソだ。……もしや彼は、ニーソもフェチの1つなのだろうか。私の太ももさえ揉んでくる彼の事だ、足もニーソも、全てが性癖の内なのかもしれない。
そう思った私は、更に彼女の足に注目してみる。
子供じみた幼い体型ながらも、ムチッとしていて揉みがいがありそうではある。肌のツヤもいい。
しかし、肉付きで言えば早苗の方が良いだろう。豊満な胸に加えてロングヘアだ。しかも早苗は、腋も出している。彼は腋出しも好きだったはず。諏訪子を見れば見るほど…考えれば考えるほど、彼の好みが分からなくなってきた。
ここに彼が来れば分かることもあるのだろうが、そうもいかない。現在彼は、魔界に居るはずだ。
サグメ「…全然分からない…」
謎は謎を呼ぶばかり。それともフェチが多すぎてこのような事になっているのだろうか。少し調査範囲を広げてみるべきだろうか。
それなら、守矢神社から近いのは──────。
サグメ「───誰だッ!?」
背後に気配を感じた私は、諏訪子達を覗いていた事を忘れ、そう声を上げて振り返る。そこには、日傘を持った八雲紫が優雅に佇んでいた。
紫「うふふっ、そんな風に声を上げて大丈夫?」
しまったと思い慌てて口を塞いだものの、背後の彼女達が何か言っている様子は無く、ほっと胸を撫で下ろした。
紫「あら残念、気付かれなかったようね」
サグメ『何か用でも?』
紫「ええ、少しだけね。宴会で見かけても、中々話かけられるような機会は無かったからね」
サグメ「?」
ダメだ、心が読めない。いや、考えていることがまるで掴めない。目からも口からも、目的らしい目的は何も感じない。言葉通りの意味だとしたら拍子抜けだ。コイツならと深読みしている私が、馬鹿らしく思えてくる。
第一次月面戦争、第二次月面戦争…果ては第三次月面戦争にまで関わっている八雲紫の事だ、何か探りを入れてきたとしても、おかしくはない。
紫「ああ…!そうか。もしかして警戒してる?」
サグメ『お前を警戒するなと言う方が土台無理。一体何度私達を月を攻めた?』
紫「さぁ、何回かしらねぇ…。3度目の実行犯は実質彼だけで、2度目は捕まっちゃったしねぇ。初めての時の1度目だけかしら?」
サグメ「………」
コイツ、私の言いたい事を百も承知の上でワザと話を逸らしにきている…。こういう所が面倒で、コイツの嫌いな所でもある。やはり嫌いだ。
サグメ『もう一度聞く。何の用?今私は忙しい』
紫「『何の用』ですって?やぁねぇ、それは私のセリフなんだけど」
サグメ『何?』
紫「いつまで幻想郷に居るつもりなの?私の知る限りだと耐性があってもそろそろキツいはずよ。兎じゃないんだからね」
サグメ「………」
耐性がある者がどれだけ耐えられるかなんてのは個人差だと思うが……現に私は少しダルくなってきている。初期症状は誰でもこんなものだろう。だから早急に不老不死にならねば…とは思うが、別に今すぐ死ぬわけでもない。彼に言えば、後はどうにでもなるだろう。だからそんな事よりも、私は私のやりたい事をやりたい。紫は邪魔なので早く話を切り上げなければ。
サグメ『私は永遠亭…地上に住むことに決めた。もう月の民ではない』
紫「月からのスパイ…という事は無いのかしら。尤も、スパイでもスパイじゃなくても否定するんでしょうけどね」
サグメ『その通り。私はスパイなんかではない。そもそも私は、月を抜け出した裏切り者である。今更何をしようと月からの信頼は取り戻せない。取り戻すつもりも無いが』
紫「……と、見せかけて、潜入捜査だったり?」
サグメ『違うと言っている』
紫「なら何故、月を裏切ってまで地上に来たの?あなたが求めるものは、地上には無いわよ」
サグメ『彼が居る。ただそれだけ』
紫「ただそれだけで…月での地位を捨て…名声も何もかもを捨て、自ら穢土に来た…という事?」
サグメ『そうしなければ彼と決して結ばれない。たとえ両想いであったとしても、私が月に居れば今のような関係にはなれなかった』
紫「月に帰れる事になったとして、もう一度月に寝返る事は絶対に無いかしら?」
サグメ『絶対に無いとは言えない』
紫「ほらやっぱり─────」
サグメ『彼が月に住む事になったら、の話。でもそれは絶対に無いから私が月に寝返る事も無い。私は彼について行く』
紫「……へぇ。確かに彼は、月に住む事は絶対に無いでしょうねぇ。どうせなら都を壊したいとか考えてた時期もあったそうだし」
サグメ『そう。だから私も未来永劫この幻想郷に住まうつもり。月の賢者ではなくて、ただの稀神サグメとして。若しくは、彼の女として。何れは不老不死となり、彼と同じ刻を過ごしたい』
紫「ふーん…。直接話を聞けて少し安心したわ。改めて………幻想郷へようこそ♪」
以前見たような不気味で胡散臭い笑みではなく、純粋に可愛らしい笑みを浮かべた紫は、私にそう言ったあと、スキマを開いてどこかへ行った。
今更だが、紫にそう言われた事で、やっと本当の意味で幻想郷の住人になれた…ような気がした。
サグメ編はもう少し続きます。次がラストか…?
紅魔郷二面道中曲の「ルーネイトエルフ」って、しばしば大妖精のテーマ曲として見られることがあると思います。そう考えられるのは、大妖精が二面中ボスだからですよね。
でも、幻想郷三面道中曲の「Bad Apple!!」が三面ボスであるエリーのテーマ曲として見られるのが多い…ような気がするのは何故でしょうか。かの有名な影絵の動画で、エリーが入っているから?
大妖精理論で行くなら「Bad Apple!!」も中ボスの
テーマ曲扱いでも良いと思うんですよ。ていうか
ほぼ実際に「道中曲=中ボスのテーマ曲」では?
エリーのテーマ曲はエリーのテーマ曲でちゃんと存在しているんですから。
※「ルーネイトエルフ」をチルノのテーマ曲だと考える人も中には居ますが少なめだと思います。
「ルーネイトエルフ」アレンジの動画を見ても、原曲が大妖精のテーマ曲扱いされている事が多いのが何となく分かりますね。
てワケで、「Bad Apple!!」は闇鏡のテーマ曲って説をここに推したいと思います。
※闇鏡は通称であり正式名称はやはり不明です。
闇鏡はもっと有名になって、どうぞ。ていうか、夢幻世界侵攻編で闇鏡もチラッと出しましたね。見た目カッコよすぎでは?描写下手だったけど。何て言うか…厨二心を擽られると言いますか…。
それと、連休中に2日だけバイトが入りました。また、かの大企業〇〇〇〇〇HIさんに行きます。
お給料は、皆さんお察しの通り原作に当てます。
買いたいものが買えた場合には輝針城、紺珠伝、天空璋の順でプレイしようかなと考えています。その時はまた更新頻度が落ちると思われますのでよろしくお願い致します。
短編が2日間もランクインしてて泣きそうです。皆さんありがとうございます。下手だけど本編も伸びてほしいというのが本音です(笑)