鈴瑚「いらっしゃいエスカルゴさん!サグメ様も一緒とはめっずらしい!」
カルゴ「そう?まぁ、サグメとデートするなんて割と珍しいし、そのせいかな?」
鈴瑚「へ?デート?」
サグメ「ちょっ、あなたって人は何でそうモロに言っちゃうの…///」
森を出て昼ご飯を食べた私達は、鈴瑚の団子屋に来ている。私は勝手にデートと認識していたが、彼の方もそうらしい。同じ事を考えていただけにそれがとても嬉しい。
鈴瑚「へぇ〜……確かに、会う度に嬉しそうにはしてたけど………そぉだったんですねぇ〜♪」
口元に手を当てて、ニヤニヤ笑いながら私の顔を覗き込む鈴瑚。何を考えているのか、何となくは分かるが…やはり少し恥ずかしい。しかしあまり嫌な感じはしない。
鈴瑚「…サグメ様、地上に来てからかなり表情が豊かになりましたよね〜。生を謳歌できてるって感じ?私にも伝わってきますよぉ」
サグメ「そう…?自分ではよく分からない…」
鈴瑚「月も良いですが、穢土だの何だの言っても地上の居心地の良さは否定出来ないですよね〜。って、ヤベッ、上司の前で私は何を…」
サグメ「大丈夫。今の私はもう玉兎達の上司でも何でもないし……何より、私もそう思っている。思っていることは素直に吐露してしまえばいい。それで楽になれるのなら」
鈴瑚「!?っ……???ねぇエスカルゴさんっ、ちょっと良いかな!?」
カルゴ「んー?」
サグメ「ちょっと鈴瑚、あなた何をっ…」
屋台を飛び越えて、こちら側に来た鈴瑚は、彼の手を引っ張って屋台の向こう側に戻って、何やら彼にヒソヒソ話をする。
「エスカルゴさんサグメ様に何したの!?何か、すんごく別人だよ!?サグメ様の皮を被った別人かって疑いたくなるくらい!!」
「そんな変わったのか?月でのサグメを知らないからな、俺は何とも…。まぁ、出会った頃とはちょっと変わったなーとは思うけどね」
「ちょっと!?全ッッ然違うよッ!!なんか妙に喋るし、すごい笑顔だし!?意外な一面が垣間見えるどころか、意外な面しか見えてこないよ!?」
「けど、可愛いだろう?」
「そりゃあ…まぁね。でもこの変わりようには驚くしかないよ!?この前も買いに来てくれたけど、全然喋らなかったもん!!てか、見慣れてないからか恐怖しか感じないんだけど!?」
「あー、それは俺の能力?特性?のせいもあるんだ。俺居るとサグメの舌禍の能力を無効化させられるからさ。俺が無意識に運命を正しい方…いや、俺の都合の良いように捻じ曲げる、みたいな感じで」
「強っ!?ヤバすぎじゃん!え、だからサグメ様があんなに素直に喋ってるってこと!?もしかして、あの人の本性ってあんな感じなの!?」
「だと思うよ、俺は。意外とおしゃべりさんだろ?」
「はへぇ〜………月ではずっと、我慢してきたんだろうなぁ…」
「だろうな。だから、俺が癒してやらねーとな。一緒にいる口実にもなるし。…ンフフッ…♪」
「ちゃあんと幸せにしてやんなよ?サグメ様の未来はエスカルゴさんに掛かってるっ!」
「へへ、任せな!」
サグメ「さっき…鈴瑚と何を話していたの?」
鈴瑚の屋台から離れた私は、早速彼にそう問う。私も彼も、手にはお団子を持っている。彼と手を繋ぎたいとは思っているが、まだ里から出てないので、また後で今日は私から手を握ってみたいと思う。そろそろ博麗神社に向かうであろう彼と、もう少しだけでいいので、一緒に居たい。
カルゴ「んー?サグメが変わったなって話だよ。月じゃいつも無表情だったらしいから…」
サグメ「…顔に出せば、言葉も出してしまうかもしれない。そうなれば能力が…」
カルゴ「まぁ、ね。サグメが、思いを顔だけに…なんてそんな器用な事が出来ると思えねーもん。不器用だもんな、サグメって」
サグメ「そこまで言うことない」
カルゴ「ははっ、悪い悪い。でもさ、不器用って必ずしも悪い意味だけじゃねーと思うぜ?現に、不器用なサグメってめっちゃくちゃ可愛いもん」
サグメ「えぇ…あなたそういうのも好きなの…?ホント、よく分からない人…」
カルゴ「俺の彼女達には、そういうトコも含めて可愛くないやつなんて居ねーの。ダメなトコも、良いトコも…全部引っ括めて『可愛い』のさ♪」
そう言ってパチンとウインクする彼。言っている事は女たらしの発言そのものだが、何故だか胸が熱くなるような感覚を覚えた。それと、確か彼はあまりウインクをしないはずだったが…何となく彼の珍しい一面を見れた気ようながする。それが嬉しいと感じると同時に……顔が少し熱くなったような感じがする。
カルゴ「今度は俺が聞く番だぜ。サグメ、なんで森の中に居たんだ?体は月の民のままのサグメがあんな所に居たら危ないだろ?まだ不老不死じゃないんだからさ」
サグメ「
カルゴ「…まさか…決めたのか…!?」
サグメ「決めた。八意様に報告するから…その後すぐに私を不老不死にしてほしい。…できれば、なんだけど…あなたならば直ぐに準備ができると思っている。頼んでも…良い…?」
カルゴ「勿論…!そういう事だったら、ドンドン
俺を頼ってくれよっ!(よしっ…!やった…これで
穢れなんて気にしねーで色んなとこに行ける…!
ありがとう、サグメ…決めてくれて…。絶対に、
不老不死になったの後悔させねーからな…ッ!)」
サグメ「ありがとう…。沢山、頼るからっ…♪」
そう思いを伝えるのと同時に、彼の手を握った。一瞬だけ強ばったが、すぐに握り返してくれる。私も彼も…顔はとても赤くなっている。
カルゴ(ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッ!!マジで
可愛すぎかよ、デレサグメぇぇぇぇっっ!!!!デレ期キタァァァァァァァッッ!!!)
永遠亭に到着した私は、準備を始める彼を中庭において、八意様の自室に早歩きで向かう。私も、とうとう不老不死になる。その喜びや緊張からか特に意識せずとも自然と早歩きになってしまう。
サグメ「八意様」
永琳「入って良いわよー」
その声を聞き、私は八意様の部屋に入る。何かの本を読んでいるらしい。表紙を見るに薬学や医学などの本らしい。自室でもそういった類の書物の読書をするとは…つくづくこの方は凄い。地上にやってきても尚、気高さを保っているような…。
永琳「どうしたの?」
サグメ「実は────」
私は、八意様に私の思いを話し、彼と同じ方法で不老不死になると結論を述べた。私が不老不死を望んでいる事は八意様も知っていたらしいので、驚いた様子は特に無かった。
永琳「本気………なのね?」
サグメ「はい。たとえ不老不死になろうと、私は私。稀神サグメです」
永琳「そう…。あなたが本気だと言うなら…私は止めないわ。だけど、後悔は絶対にしない事ね。もし蓬莱の薬とは違う方法で不老不死になれば…私の薬で元の身体に戻れなくなるかもしれない。後戻りは不可能よ。絶対に」
サグメ「戻るつもりは毛頭ありません」
永琳「…分かった。あなたの幸運を祈ってるわ。報告、わざわざありがとうね」
サグメ「いえ」
永琳(まぁ尤も、蓬莱の薬の効果を消す薬なんて作れそうにないけどね…。そんなの作れてたら、あの時輝夜に飲ませてシラを切ったんだから…。今の私でも、これだけは無理かも、ね)
その後、彼の待つ中庭へ行くと、大きく膨らんだビニール袋というものを持った彼が居て、それについて聞くと丁寧に説明してくれた。
吸血鬼が日光に当たると気化する。その気化した気体を吸った者は不老不死となる。…なんとも、信じ難い話である。けれども彼自身がその被験者なので、疑う余地はない。
袋の中の気体を吸う。たったのこれだけで肉体が生まれ変わるのは恐ろしい。けれど、このままの肉体で居て、いつか彼と離れ離れになってしまう事の方が、遥かに恐ろしい。
確信した私は、躊躇いもなく気体を吸い始めた。彼が、私の為だけに身を削ってこの気体を作ってくれたのだ。彼の思いに報いる為に…それから、私が満足する為に、気体を吸った。
……こうして私は不老不死となった。穢れなんてものを一切気にしなくて良くなった“新生活”が、今から楽しみでならない。
これから何があるか、先のわからない「新生活」だけれど、確信を持って言えることが一つある。
今までより間違いなく楽しく、幸せになれると。
清蘭?………今回は出演見送りで。
清蘭「こちら清蘭、仲間外れにされたので攻撃を開始する」