カルゴ「おーい、勇儀〜」
勇儀「おぉーエスカルゴじゃないか、どうした?珍しいな、お前から私を呼ぶなんて。どういった風の吹き回しだ?ん?」
カルゴ「ちょっとさ、勇儀にしか頼めない頼みがあって。そのとんでもない力貸してくれないか?俺じゃどうしても上手くいかなくて」
勇儀「おーっ、勿論だとも!」
地上が本格的な春に近付いてきた頃。地底は地上よりも少し暖かくなってきている。無論、お空の暴走などではなく、ただの自然現象だ。地底は、春夏秋冬いつでも地上より少し暖かいのだ。
そんな所に、剣を携えた俺は朝から乗り込んだ。
誰かを倒したりする為、彼女に会いに来た…などではなく、主に剣術修行をする為である。その後ならばお空やさとりの所に行こうと思っている。
そもそも何故剣術修行のステージに地底を選んだのかというと……ことの発端は昨晩、白玉楼での妖夢との会話である。
カルゴ「なぁ妖夢、斬れないものってあるか?」
妖夢「斬れないもの?…うーん…まだ時間とかは斬れないね。お爺ちゃんは斬れるみたいだけど」
カルゴ「ううん、そういう事じゃなくてさ。机や椅子、家、石みたいな物体のことだよ」
妖夢「えー…特に無いかも。何なら、世界で一番硬い物だって斬れるかもね♪」
カルゴ「ほほう…そこまで言うなら、少し試してみてもいい?」
妖夢「良いよ良いよ。でも、世界で一番硬いものって何だろ?」
カルゴ「それは分かる。ダイヤモンドっていう、すんげぇ綺麗な宝石だ」
妖夢「ほ、宝石なんて斬っていいの!?」
カルゴ「まぁ、創造魔法でチョチョイのチョ〜イだと思うけどね〜」
これまで創った事は無いが、詠唱してみるとすぐ煌びやかに輝くダイヤモンドが現れた。向こうがなんとなく透けて見えなくもないが、表面が酷く凸凹しているおかげで、光の乱反射が凄まじい。
カルゴ「これを外で売れば大儲け…グフフフ…」
妖夢「え、エスカルゴ…?」
カルゴ「あースマン、何でもない。とりあえず、ちゃんと創れてるか確に…」
言葉途中だが、試しに落としてみると、呆気なく割れてしまった俺特製ダイヤモンド。衝撃に弱い
ダイヤモンドではあるが、約1.4mほどの高さから落ちて割れる…とは思いにくい。
見た目こそダイヤモンドだが、中身がスカスカの全くの別物らしい。
カルゴ「ちぇっ、失敗か。ちょっと待ってて」
妖夢「えっ?どこ行くの?」
カルゴ「神頼みに、ね」
魔法による瞬間移動ではなく、貰った能力による瞬間移動で、魔界へとひとっ飛びする。
カルゴ「…てワケでお願いっ!硬ぇモン斬る練習したくてさ…!」
神綺「ダイヤモンドより硬い物だって創れるけどどうする?」
カルゴ「んー…とりあえず、ダイヤモンドで!」
神綺「練習用なら大きくて多い方が良いかしら。何れは自分で創れるようにしましょうね♪」
カルゴ「一応、そのつもり。いつまでも母さんに世話かけてらんねーしな…」
神綺「お世話をするのは大好きだから大丈夫よ?でも、お母さんが創ったダイヤを売るのはダメ。分かってるようだから大丈夫でしょうけどね♪」
カルゴ「うん、勿論。売るのは自分のだけだよ。いつになるかは分からないけどね…」
…そう、以前パチュリーは言っていた。「極端な物は創造魔法を極めないと創造できない」と。
ダイヤモンドのように極端に硬い物、星のように極端に巨大な物、魂のように極端に難解なモノ。ここでいう「極端」とは日常生活にはないものを指すらしい。
俺が創造魔法で人間を創造しても、ただの肉人形でしかないワケもここにある。が、まさかダイヤモンドすらも創れないとは全くの予想外だった。
創造魔法を扱えてはいても、まだまだ俺は極めていない、ということだろう。そんなのは俺だって分かってはいたが。もし俺が創造魔法を極めたらダイヤを量産して外に売りにでも…と考えたが、何となくそれは気が引ける。というかそれは唯の
「取らぬ狸の皮算用」でしかない。
……そんなこんなで、本物のダイヤモンドを複数入手した俺は白玉楼へと戻って、妖夢…それから妖忌にも斬ってもらった。ついでに妖舞にもだ。
結果としては、妖夢も妖忌もしっかり真っ二つにして、妖舞は斬れずに割った。一方俺は砕いた。
そんな事があって、本格的に斬る練習をしようと考え付いた俺は、次の日は朝から地底に行く事にした。地底を選んだのには、勿論理由がある。
「硬い物だけ斬るのではない。全てを斬ってこそ斬るという事なのだ」と、妖忌に言われたのだ。
なるほどと思った俺は、地底に来てからは多くの知り合い達の色々なものを斬った。
パルスィの大中小様々な弾幕を斬って、キスメの桶を斬って、ヤマメの糸を斬って、石桜を斬る。お燐が腐りかけの死体を投げてきたなら、斬撃を飛ばしてそれを真っ二つにした。
そこまで来たところで、やはり何か物足りなさを感じ、一旦硬い物を斬る練習に戻ろうと考えた。そこで、俺の知り合いの中で最高の馬鹿力を持つ勇儀なら、ダイヤモンドを創れるのでは…というお遊びに近い疑問が浮かんだので、地底の街中で彼女を探す事にしたのだった──────。
カルゴ「…それで、勇儀にダイヤモンドを創ってほしいんだ。俺にはまだ創れなくてさ…」
勇儀「Die殺悶怒って何だ?」
カルゴ「んーと…炭素を超高温高圧で圧縮させた世界最硬度の物質」
勇儀「ん〜…?スマン、全く分からない」
カルゴ「えーとな…ダイヤモンドには確か別名があったはずなんだが…何だっけかな……犬夜叉の技で出てきた…金剛槍破……そうだ、金剛石だ!金剛石なら分かるか?」
勇儀「あー金剛石な!何かとてつもなく硬いって聞いた事あるぞ!それの事か!」
カルゴ「そうそう!それを勇儀に創ってほしいと思ってさ!」
勇儀「ゑっ…アレって作れるのか?宝石だろ?」
カルゴ「勇儀のその神憑り的な力で、炭素の塊を握り潰すのさ!炭素の塊だったら俺も創れるし。石炭だけどな」
勇儀「石炭か…。握り潰したら普通に粉になると思うんだが、そうならないのか?」
カルゴ「粉にならないように、一気にギューって殺るんだと思うんだよね。その場面を見たことが無いから、何とも言えないんだけどさ」
勇儀「ふ〜む…とりあえずヤラせてくれ!」
カルゴ「おうっ!」
勇儀の手は俺より大きい。リンゴ大でもスッポリ収まってしまいそうな、大きな手だ。そういえば勇儀の腕も斬り落とせない。これまでの戦闘で、勇儀は一体何度俺の剣戟を腕で防いだことやら。
全く、鬼の異常な頑丈さには舌を巻くばかりだ。
カルゴ「ほい、炭素」
勇儀「よし潰すぞ。…フンッッ!!!」
炭素の塊を持った彼女が手を握った瞬間、風船が弾けたような高い破裂音が、周囲に響き渡った。彼女の手はギュッと閉じられている。ゆっくりとその手を開くと、そこには粉だけが残っていた。何が起こったのかまるで分からないが、当の勇儀ですら目を丸くさせ、パチパチと瞬きしている。
勇儀「あ…あははは…見事に砕けちまったね…」
カルゴ「うーん…俺やってもそうなるんだよな…やっぱ出来ないのかな?」
勇儀「いーや、きっと出来る!次だ!」
カルゴ「はいよ!」
それからしばらく握り作業を繰り返し…TAKE100くらいにはなっただろうか。刹那的に天文学的な圧を加えるようになったおかげで、少しずつだがダイヤモンドが出来つつある。少しは破片として砕け散ってしまったものの残りは硬化している。それは光を反射し、キラキラと光り輝いている。
カルゴ「うおぉっ…もう少しだ…!」
勇儀「よォし、やっとコツが掴めたぞ!次は能力使って、一気にキメてやるッ!さぁ、特大の塊をくんな!両手で押し潰して、見たこともないほど大きな金剛石を創ってやるよ!」
カルゴ「りょ、了解っ!」
少し長めに詠唱した俺は、勇儀の手にバスケットボール大の炭素の塊を出す。それを持った勇儀はニッと歯を見せて笑い、能力を発動させる。
ゴゴゴゴ…と地響きが発生し、勇儀の腕には太い血管が浮き出て、筋肉が膨張する。
勇儀「ハァァァァァ…………ヌァァッッ!!!」
カルゴ「ッ…!!」
勢い良く炭素の塊を押し潰す勇儀。潰した瞬間は思わず目を閉じてしまったが、目を開けると彼女の手には、巨大なダイヤモンドの塊があった。
カルゴ「おぉ……おぉぉっ…!!」
勇儀「ふぃ〜……さ、出来たぞ!これで思う存分出来るな、斬る練習!何ならまた作るぞ?」
カルゴ「あっ……姐さぁぁんっ!!ありがとうございましたァァッ!!!」
勇儀「姐さん!?」
こうして俺は、巨大なダイヤモンドを入手して、斬る練習を開始することが出来たのだった。だがそれと同時に、勇儀の神話的パワーに心の底から震え上がった俺であった………。
平成最後の更新です。
仮にもう1話更新できるとしても、本編ではなく短編の方書くと思います。弦月姫、ゆかりんと、
R-18連発の方も是非是非!
超高温高圧の高温の部分はどうなったんだって。
まぁそこは、某格闘漫画のスクネもですけど…。
その某漫画の中で、ダイヤモンドの形成に必要な圧力は「100t」と言われてました。勇儀姐さんの握力は、片手で能力未使用時でも100t超えという事にしますね。何か、超絶馬鹿力にしたい(オイ)
※100t=10万気圧
グリウサヤヴァイ…読み応えヤヴァイですよ…。