※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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妖怪が鍛えた双剣に斬れぬものなど…割とある

カルゴ「おーい、勇儀〜」

 

勇儀「おぉーエスカルゴじゃないか、どうした?珍しいな、お前から私を呼ぶなんて。どういった風の吹き回しだ?ん?」

 

カルゴ「ちょっとさ、勇儀にしか頼めない頼みがあって。そのとんでもない力貸してくれないか?俺じゃどうしても上手くいかなくて」

 

勇儀「おーっ、勿論だとも!」

 

地上が本格的な春に近付いてきた頃。地底は地上よりも少し暖かくなってきている。無論、お空の暴走などではなく、ただの自然現象だ。地底は、春夏秋冬いつでも地上より少し暖かいのだ。

そんな所に、剣を携えた俺は朝から乗り込んだ。

誰かを倒したりする為、彼女に会いに来た…などではなく、主に剣術修行をする為である。その後ならばお空やさとりの所に行こうと思っている。

そもそも何故剣術修行のステージに地底を選んだのかというと……ことの発端は昨晩、白玉楼での妖夢との会話である。

 

カルゴ「なぁ妖夢、斬れないものってあるか?」

 

妖夢「斬れないもの?…うーん…まだ時間とかは斬れないね。お爺ちゃんは斬れるみたいだけど」

 

カルゴ「ううん、そういう事じゃなくてさ。机や椅子、家、石みたいな物体のことだよ」

 

妖夢「えー…特に無いかも。何なら、世界で一番硬い物だって斬れるかもね♪」

 

カルゴ「ほほう…そこまで言うなら、少し試してみてもいい?」

 

妖夢「良いよ良いよ。でも、世界で一番硬いものって何だろ?」

 

カルゴ「それは分かる。ダイヤモンドっていう、すんげぇ綺麗な宝石だ」

 

妖夢「ほ、宝石なんて斬っていいの!?」

 

カルゴ「まぁ、創造魔法でチョチョイのチョ〜イだと思うけどね〜」

 

これまで創った事は無いが、詠唱してみるとすぐ煌びやかに輝くダイヤモンドが現れた。向こうがなんとなく透けて見えなくもないが、表面が酷く凸凹しているおかげで、光の乱反射が凄まじい。

 

カルゴ「これを外で売れば大儲け…グフフフ…」

 

妖夢「え、エスカルゴ…?」

 

カルゴ「あースマン、何でもない。とりあえず、ちゃんと創れてるか確に…」

 

言葉途中だが、試しに落としてみると、呆気なく割れてしまった俺特製ダイヤモンド。衝撃に弱い

ダイヤモンドではあるが、約1.4mほどの高さから落ちて割れる…とは思いにくい。

見た目こそダイヤモンドだが、中身がスカスカの全くの別物らしい。

 

カルゴ「ちぇっ、失敗か。ちょっと待ってて」

 

妖夢「えっ?どこ行くの?」

 

カルゴ「神頼みに、ね」

 

魔法による瞬間移動ではなく、貰った能力による瞬間移動で、魔界へとひとっ飛びする。

 

カルゴ「…てワケでお願いっ!硬ぇモン斬る練習したくてさ…!」

 

神綺「ダイヤモンドより硬い物だって創れるけどどうする?」

 

カルゴ「んー…とりあえず、ダイヤモンドで!」

 

神綺「練習用なら大きくて多い方が良いかしら。何れは自分で創れるようにしましょうね♪」

 

カルゴ「一応、そのつもり。いつまでも母さんに世話かけてらんねーしな…」

 

神綺「お世話をするのは大好きだから大丈夫よ?でも、お母さんが創ったダイヤを売るのはダメ。分かってるようだから大丈夫でしょうけどね♪」

 

カルゴ「うん、勿論。売るのは自分のだけだよ。いつになるかは分からないけどね…」

 

…そう、以前パチュリーは言っていた。「極端な物は創造魔法を極めないと創造できない」と。

ダイヤモンドのように極端に硬い物、星のように極端に巨大な物、魂のように極端に難解なモノ。ここでいう「極端」とは日常生活にはないものを指すらしい。

俺が創造魔法で人間を創造しても、ただの肉人形でしかないワケもここにある。が、まさかダイヤモンドすらも創れないとは全くの予想外だった。

創造魔法を扱えてはいても、まだまだ俺は極めていない、ということだろう。そんなのは俺だって分かってはいたが。もし俺が創造魔法を極めたらダイヤを量産して外に売りにでも…と考えたが、何となくそれは気が引ける。というかそれは唯の

「取らぬ狸の皮算用」でしかない。

……そんなこんなで、本物のダイヤモンドを複数入手した俺は白玉楼へと戻って、妖夢…それから妖忌にも斬ってもらった。ついでに妖舞にもだ。

結果としては、妖夢も妖忌もしっかり真っ二つにして、妖舞は斬れずに割った。一方俺は砕いた。

そんな事があって、本格的に斬る練習をしようと考え付いた俺は、次の日は朝から地底に行く事にした。地底を選んだのには、勿論理由がある。

「硬い物だけ斬るのではない。全てを斬ってこそ斬るという事なのだ」と、妖忌に言われたのだ。

なるほどと思った俺は、地底に来てからは多くの知り合い達の色々なものを斬った。

パルスィの大中小様々な弾幕を斬って、キスメの桶を斬って、ヤマメの糸を斬って、石桜を斬る。お燐が腐りかけの死体を投げてきたなら、斬撃を飛ばしてそれを真っ二つにした。

そこまで来たところで、やはり何か物足りなさを感じ、一旦硬い物を斬る練習に戻ろうと考えた。そこで、俺の知り合いの中で最高の馬鹿力を持つ勇儀なら、ダイヤモンドを創れるのでは…というお遊びに近い疑問が浮かんだので、地底の街中で彼女を探す事にしたのだった──────。

 

カルゴ「…それで、勇儀にダイヤモンドを創ってほしいんだ。俺にはまだ創れなくてさ…」

 

勇儀「Die殺悶怒って何だ?」

 

カルゴ「んーと…炭素を超高温高圧で圧縮させた世界最硬度の物質」

 

勇儀「ん〜…?スマン、全く分からない」

 

カルゴ「えーとな…ダイヤモンドには確か別名があったはずなんだが…何だっけかな……犬夜叉の技で出てきた…金剛槍破……そうだ、金剛石だ!金剛石なら分かるか?」

 

勇儀「あー金剛石な!何かとてつもなく硬いって聞いた事あるぞ!それの事か!」

 

カルゴ「そうそう!それを勇儀に創ってほしいと思ってさ!」

 

勇儀「ゑっ…アレって作れるのか?宝石だろ?」

 

カルゴ「勇儀のその神憑り的な力で、炭素の塊を握り潰すのさ!炭素の塊だったら俺も創れるし。石炭だけどな」

 

勇儀「石炭か…。握り潰したら普通に粉になると思うんだが、そうならないのか?」

 

カルゴ「粉にならないように、一気にギューって殺るんだと思うんだよね。その場面を見たことが無いから、何とも言えないんだけどさ」

 

勇儀「ふ〜む…とりあえずヤラせてくれ!」

 

カルゴ「おうっ!」

 

勇儀の手は俺より大きい。リンゴ大でもスッポリ収まってしまいそうな、大きな手だ。そういえば勇儀の腕も斬り落とせない。これまでの戦闘で、勇儀は一体何度俺の剣戟を腕で防いだことやら。

全く、鬼の異常な頑丈さには舌を巻くばかりだ。

 

カルゴ「ほい、炭素」

 

勇儀「よし潰すぞ。…フンッッ!!!」

 

炭素の塊を持った彼女が手を握った瞬間、風船が弾けたような高い破裂音が、周囲に響き渡った。彼女の手はギュッと閉じられている。ゆっくりとその手を開くと、そこには粉だけが残っていた。何が起こったのかまるで分からないが、当の勇儀ですら目を丸くさせ、パチパチと瞬きしている。

 

勇儀「あ…あははは…見事に砕けちまったね…」

 

カルゴ「うーん…俺やってもそうなるんだよな…やっぱ出来ないのかな?」

 

勇儀「いーや、きっと出来る!次だ!」

 

カルゴ「はいよ!」

 

それからしばらく握り作業を繰り返し…TAKE100くらいにはなっただろうか。刹那的に天文学的な圧を加えるようになったおかげで、少しずつだがダイヤモンドが出来つつある。少しは破片として砕け散ってしまったものの残りは硬化している。それは光を反射し、キラキラと光り輝いている。

 

カルゴ「うおぉっ…もう少しだ…!」

 

勇儀「よォし、やっとコツが掴めたぞ!次は能力使って、一気にキメてやるッ!さぁ、特大の塊をくんな!両手で押し潰して、見たこともないほど大きな金剛石を創ってやるよ!」

 

カルゴ「りょ、了解っ!」

 

少し長めに詠唱した俺は、勇儀の手にバスケットボール大の炭素の塊を出す。それを持った勇儀はニッと歯を見せて笑い、能力を発動させる。

ゴゴゴゴ…と地響きが発生し、勇儀の腕には太い血管が浮き出て、筋肉が膨張する。

 

勇儀「ハァァァァァ…………ヌァァッッ!!!」

 

カルゴ「ッ…!!」

 

勢い良く炭素の塊を押し潰す勇儀。潰した瞬間は思わず目を閉じてしまったが、目を開けると彼女の手には、巨大なダイヤモンドの塊があった。

 

カルゴ「おぉ……おぉぉっ…!!」

 

勇儀「ふぃ〜……さ、出来たぞ!これで思う存分出来るな、斬る練習!何ならまた作るぞ?」

 

カルゴ「あっ……姐さぁぁんっ!!ありがとうございましたァァッ!!!」

 

勇儀「姐さん!?」

 

こうして俺は、巨大なダイヤモンドを入手して、斬る練習を開始することが出来たのだった。だがそれと同時に、勇儀の神話的パワーに心の底から震え上がった俺であった………。




平成最後の更新です。
仮にもう1話更新できるとしても、本編ではなく短編の方書くと思います。弦月姫、ゆかりんと、
R-18連発の方も是非是非!

超高温高圧の高温の部分はどうなったんだって。
まぁそこは、某格闘漫画のスクネもですけど…。
その某漫画の中で、ダイヤモンドの形成に必要な圧力は「100t」と言われてました。勇儀姐さんの握力は、片手で能力未使用時でも100t超えという事にしますね。何か、超絶馬鹿力にしたい(オイ)
※100t=10万気圧

グリウサヤヴァイ…読み応えヤヴァイですよ…。
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