「ただいま〜♪」
「おかえりなさい!」
フランが可愛い笑顔で出迎えてくれた。
「おう!」
「なんか機嫌いいわね。何かあったの?」
「い〜や、なにも」
鋭い…。
「ふーん…霊夢となにかしてきたのかと思ったわ」
「無い無い」
当たってるようなハズれてるような…。
「さ、宴会の準備するぜ」
「え?エスカルゴも?」
「咲夜さんばかりに任せてられないだろ?」
「うーん…」
「宴会の準備なら終わってるわ」
ん?
「お、レミリア…。どーゆーこと?」
「なんかね、咲夜が張り切っちゃって…。時間止めてたのね」
「えー……」
「あとは温め直すだけです」
「わっ!?咲夜さん!!」
急に現れんなよ…心臓に悪いぜ全く…。
この人も紫さんバリに神出鬼没だよなぁ。
でも紫さんとは違って、本人の出現直前にスキマとか出てくる訳じゃないからホントの不意討ちなんだよね。
「もうやる事ないんですか?」
「ええ」
「マジすか…咲夜さん仕事早過ぎます…」
早過ぎというか…時間止めてたから関係無いのか?
「ふふっ、なんか気分がノリましたので」
「ほ、ほう…」
なんだそりゃ……。
「暇ね」
「そうねお姉様…」
………。
「ちょっくら妖怪の山行ってきていいか?」
『え?また出掛けるの!?』
「大丈夫大丈夫、すぐ帰ってくるよ」
「あなたまさか…守矢の」
「私も行く!」
「よし、フランは来るのな。レミリアは?」
「話聞いてる!?」
「守矢の…までしか聞いてない」
「…守矢の巫女に会いに行くつもりじゃないでしょうね?」
早苗さん?
「違う違う、にとりに用があるんだよ」
『にとり?』
「まぁな」
「ふーん…じゃ、私はパチェのとこ行ってるわ」
「ん、わかった。行くか」
「うん!」
「ねぇ、なんでにとりのとこに行くの?」
「作って欲しいものがあってさ」
「作って欲しいもの?」
「ああ」
「なになに!?」
「…見てからのお楽しみ♪」
「え〜、教えてよ〜…」
「…強いて言うなら、フランは使えないな。というか使っちゃダメだ」
「ええ?じゃあ誰が使うの?」
「俺」
「エスカルゴが?自分専用?」
「うん」
「ズ〜ル〜い〜!」
「……まぁ、見ればわかるよ。なんで俺しか使えないのかが」
「ぶ〜…」
「よし、着いた」
「そうね」
「朝から、吸血鬼が何の用だ」
来たよ下っ端天狗…。
「にとりに用があって」
「…わかった。ついてこい」
「うっす」
天狗に案内され、着いたのは工房らしき建物。
「失礼します」
ガチャッ
天狗が中に入る。
「─────?」
「────!」
「──」
聞こえねぇ…。
ガチャッ
出てきた。
「中は狭いから、1人しか入れないそうだ」
「そっか。なら俺が」
「早くしてよね」
ほっぺを膨らませ腕を組むフラン。
「わかってる」
「では、私はこれで失礼する」
「ああ、ありがとう」
仕事に戻る天狗。
行くか。
ガチャッ
「失礼しま〜す」
「お〜、エスカルゴだ。どしたの?」
…なんか下着っぽい恰好なんだけど…。
にとりって意外と胸が…。
いや、そーじゃなくて!
「ちょっと、作って欲しいものがあって。というかなんでそんな格好なのさ…」
「これ?動きやすいからね〜。で、作って欲しいものって?」
「注射器型の、ぶっ刺す感じの充電器作って欲しいなって思ってさ」
「注射器型充電器?わかった。何を充電するの?」
「俺」
「え?」
「俺」
「いや…言ってる意味が分からないんだけど。え?エスカルゴを充電?」
「そう」
「いやいやいや、エスカルゴって充電式じゃないでしょ?」
「そーだけど。激戦のあとでも、充電さえ出来たら力戻るかなってさ」
「なるほど〜。でも、注射器型って言ったらさ、体内に直接電気流す訳じゃん?」
「そうだね」
「それは危ないよ。感電するよ?」
「大丈夫」
「なんで?」
「俺、“雷を操る程度の能力”だから」
「とは言ってもな〜…幻想郷の電圧はズバ抜けてやばいから、流石に感電するよ」
「ダメかー…」
「残念だけど…」
うーん…何かあったよーな…なんだっけ、あれ…。
あ!!
「そうだ!抵抗器入れたら!?」
「そうか!その手があったか!流石エスカルゴ!」
「へっへっへ…」
「早速作るね!」
「良いのか?」
「うん!」
「いつ頃完成する?あと値段は?」
お値段以上ニトリ♪
いやいや、そんな事言ったら…(笑)
「スグ出来るよ〜。値段は…500円でいーよー」
「えっ!?」
「エスカルゴはお得意さんだしね〜」
「そ、そーなのかー…?」
館の修繕がほとんどだと思うが…。
「うん!これからもよろしくね〜」
「お、おう!」
お得意さんと言われて悪い気はしないな。
つーか値段も安いし…ドンドン頼っちゃおう。
「あ、そうそう!ちょっと危ないかもしれないから、外に出ててくれるかな?」
「オッケ」
ガチャッ
「あ、エスカルゴ来た!どうだった?」
「スグ出来るってさ」
「凄い!」
「だよなぁ。値段も安いし」
「そーねー」
数分後
「出来たー!エスカルゴ来て来て〜!」
中から声が。
「今行く」
ガチャッ
「どう?」
「これこれ!ほい!」
「おお、ありがとう!」
渡された“それ”は、確かに注射器型だった。
反対の方は、スマホに刺すイヤホンの奴そっくり。
「それにしても、なんで注射器型なの?」
「なんとなくかな」
「な、なんとなくって…」
「へへ。ありがとな、早速使ってみる!お金…ほい!」
「毎度!またね!」
「おう!」
ガチャッ
「ホントに早いわね!」
「ああ!流石にとり!」
「じゃ、帰りましょ!」
「おう!」
今度は徒歩ではなく飛んで帰った。
しばらく飛んで、紅魔館が見えてきた…その時。
グイッ
「ぐえっ!?」
「エスカルゴ!?」
なにかに襟引っ張られ……
「うああああああ!!」
「エスカルゴぉぉぉ!」
「フラァァァァ……」
言葉途中で、俺の視界は闇に閉ざされた。
「ゲホッ…ゲホッゲホッ…」
あー、苦しかった…。
「手荒な真似して悪いわね」
この声は…。
「紫さん…?」
「ええ、そうよ」
「なんすかここ…」
「スキマの中よ」
「へ、へぇ…なるほど」
「今日は宴会あるし…明日からは忙しくなるから、今のうちに言っておこうと思ってね」
「何をです??」
「驚かないで聞いてくれる?」
「は、はい」
「あなたを幻想郷に連れてきたのは私よ」
「……は?」
( `ᾥ´)…??
「だから、吸血鬼化したあなたをここへ連れてきたのは私、八雲 紫よ」
「え…えええええええええええええええ!?」
「うるさいわね…驚かないでって言ったでしょ…」
「驚きますよそりゃあ!」
「ま…そうだけど」
「なんで連れてきて“くれた”んです!?」
「“くれた”って…怒ってないの?」
は?
「怒る?」
「ええ」
「なんで怒るんですか?」
「いえ、なんとなくそう思っただけよ」
「は、はぁ…。それで、なんで連れてきてくれたんですか?」
「吸血鬼化したあなたは、外の世界では異分子として扱われ、家族にも見捨てられ、最終的には自殺していたでしょうね。だから幻想郷に連れてきたの」
「なるほど…。でもなんで、湖のほとりに?」
「あそこに寝かせておけば、吸血鬼が拾ってくれると思ったからよ。実際そうだったじゃない?」
「え、ええ…」
じゃ、薬のせいで幻想入りした訳じゃなかったのか。
「まぁ、話は終わりよ。行きなさい」
と言ってスキマを開く。
「どもで…あれ?」
「どうしたの?」
「フランが居ない…」
「あら…何処に行ったのかしら…」
「フランのそばにスキマ繋げてくれますか?」
「ええ、お安い御用よ。はい」
スゥ…
あ、フラン!
「エスカルゴ〜!どこ〜!?」
声が聞こえる。
「あざした!」
「ええ。また夕方会いましょ」
「はいっ!」
返事をしてスキマから飛び出す。
「フラァァァァァン!!!」
「あ!!居た!!!エスカルゴ〜!!」
ドンッ
「ぐえっ…」
フランの頭が腹に…。
ギュッ…
「何で急に消えたのよ…」
「八雲 紫に呼び出された」
「えっ!?なにかされなかった?」
「ああ。ちょっと喋っただけだよ」
「よかった…」
「よし、帰ろうか!」
「うん!」
とんでもない道具が手に入りましたな。
鬼に金棒…ならぬ、エスカルゴに充電器!w