魔理沙「よーし、やるか!」
カルゴ「前もって言っておくけど、まだ魔法には不慣れだから…ガチで来ないでくれよ?マジで」
魔理沙「分かってる分かってる、皆まで言うな。八割くらい、だろ?」
カルゴ「悪いな。…いつかはガチでやりたいな」
魔理沙「どうせお前なら、来年の今頃には魔法も極めてるだろうさ。自分の使える範囲のは…な」
カルゴ「だと良いんだがな…」
自分では、そんな感じは全くしない。無意識魅了にて常時消費している魔力も、まだ0ではない。魔理沙と話している今この時も、ほんの微量だが消費している…かもしれない。俺が完璧に魔力を制御できるようになるのは、いつになる事やら。
カルゴ「あと、通常弾幕は雷のも使わせてくれ」
魔理沙「言われなくとも、分かってるさ。魔力が少ないヤツに魔力での弾幕を張らせたら、ロクに戦えなくなっちゃうからな」
理解があるとは、なんと素晴らしいのだろうか。以心伝心とまではいかなくとも、言いたいことが丸々伝わっている。これほどまでに誰かに対して有り難さを感じた事などあまり無い。
カルゴ「っし、やるか!」
魔理沙「おうよっ!」
俺は電力弾を、魔理沙は魔力弾を発射し始める。相変わらず、星弾は避けにくい。当たり判定とかいうやつが分かりにくいのだ。その点俺は雫形や稲妻マークを模している弾幕なので、当たり判定などは極めてシンプルで、分かりやすいだろう。
カルゴ「いくぜ魔理沙っ!一発目は星の魔法…!明暗『銀の月、金の太陽』!!」
今回は、攻撃というより美しさを重視している。銀色の三日月形の弾に加え、金色の大玉である。色には無頓着な俺だが、それだと美しさの面では圧倒的に不利だと最近気付いた。なので、魔法の開発のついでに、こちらも特訓しておいたのだ。まさに一石二鳥だ。
この弾幕は、発射されてから進めば進むほど加速するタイプだ。まるで、重力に従って落ちていくかのように。つまり相手と離れれば離れるほど、弾が相手のそばに行った時にはかなり速いという仕組みになっているのだ。
魔理沙「なるほどな…何となく掴めたぜ、コレ!だが消し飛ばす!恋符『マスタースパーク』!」
三日月弾の窪みに入ってみたり、大きく迂回して大玉を避けていた魔理沙だったが、ミニ八卦炉をこちらに向け、虹色の光線を放った。折角放った弾幕は尽く掻き消されてしまったので俺はそれを回避するしかなかった。
カルゴ「あークソ、消されたか…。だが第二波もあるからなッ!」
魔理沙「いーや、関係無いぜ!!」
第二波は、第一波と違って三日月弾が回転する。なので、窪みに入って避けるのは不可能となる。が、マスパの前にはそんなことは関係無かった。
余談だが、何かを象るというのは魔理沙の弾から想を得た。星型だと丸パクリになるので三日月形という結論に至った。
因みに、銀は女性で、月は夜。東洋思想における陰の考え方の象徴であり、金は男性、太陽は昼。同じく東洋思想における、陽の考え方の象徴だ。
…とまぁ、俺も俺で色々考えていたワケだが…。
マスパで一掃されてしまえば考えたも何もない。
魔理沙「よっしゃ、次は私の番だぜっ!喰らえ!符の壱『スターダストレヴァリエ』!!」
カルゴ「おっ…?符の壱っつーことは、いつものレヴァリエとは違…うわああああぁぁっ!?」
目の前に迫る箒に乗った魔理沙。回避することは叶わず、腹で箒を受け止めてしまい、後方に吹き飛ばされてしまう。それから、青白い大小様々なサイズの星弾が追い討ちをかけてきた。
カルゴ「んぎゃっ……イテテテ、今のは効いた…って、うわああああっ!タンマタンマタンマ!!待て待て待て待て待て待t…ごふぉっ…」
体勢を立て直す暇も与えず、何度も突進して弾を振り撒く魔理沙。こんな事なら普段のレヴァリエの方が遥かにマシだった。そして弾や箒に打たれながらも、対策を考えた結果、なんとか相応しいスペルを発見した。これもまた、先程紅魔館にてようやく名前が確定したものだ。
魔理沙「もう1発ブチ込んでやるぜぇぇぇっ!!そォら、よォォォォッッ!!」
カルゴ「もう好きにはさせねぇぜ、魔理沙ァ!!巨星『ウルサ・マヨル』!!」
魔理沙「うッ…!?オイ待て、これじゃ回避とか出来るワケが…うわああああぁぁっ!!」
目の前に巨大な弾幕を7つ配置した。おかげで、真っ直ぐに突っ込んできた魔理沙は見事に自爆。だが不可能弾幕ではない。魔理沙の動きを読んだというだけだ。
ウルサ・マヨル、直訳で北斗七星だ。もしくは、巨大な熊、またはおおぐま座とも訳される。今回俺は、星の方の意味で解釈したので、大きな星を模した7つの弾を発射したのだ。
勿論、7つだけで終わりではない。こんなに短いスペルがあっていいものか。いや、ダメだろう。
今のはあくまでも第一波。これからは、第二波や第三波を放つ。
魔理沙「デカすぎるだろ…。遅いからイケるが、もしこれが速かったら……!」
カルゴ「ヘタすれば、不可能弾幕になり得るな」
魔理沙「ただでさえお前は不可能弾幕っぽいのが多いんだしな…これ以上増やされちゃたまらん。符の弐『アステロイドベルト』!」
ふわりと浮かび上がって弾幕を避けながら、次のスペルの詠唱をする。空を指さして色とりどりの星をばら撒いてこちらを攻撃してくる。
ばら撒き系は比較的得意だ。だが回転しているとなると少しだけやりにくい。というよりどこまでセーフなのかが分かりにくいというのが大きい。
魔理沙「さぁ、次のスペルを見せてくれよっ!!お前の事だ、まだまだあるんだろう?」
カルゴ「もう2枚も披露したってのに、よくまだあると思ったなぁ…。あるんだけどね」
魔理沙「へへ…お前がスペルを開発する時はな、3枚から5枚ほどまとめて開発するのが常だ!」
カルゴ「なるほど、行動を読んだわけね。流石の観察眼だ、恐れ入るよ。じゃ、お望み通り…!」
魔理沙はまだ空中にいる。あのスペルを最大限に生かすチャンスと言えよう。いいや、これで被弾させることが出来れば、もはや俺の勝ちだ。
試運転にしては上出来、という意味でだ。試合に負けても勝負に勝てばいい。今日ばかりは負けず嫌いの俺もそう考えている。どうせ、魔法対決で今の俺が魔理沙に勝てるわけが無いのだから。
カルゴ「星符『オールトの雲』!!」
魔理沙「ゲッ…何だこりゃ!?まさか……!?」
空中に居る魔理沙から見て、上下と左右、前後の全方向を細かい星弾で球状に覆い尽くした。もう囲まれている本人は、これが何か悟ったようだ。
魔理沙「耐久、か…!!」
カルゴ「そう。包み込まれている弾を避けきればそれで終わりだ。逆に言えば…」
魔理沙「ぶち抜けばそれで終わりだ!!残念だが惜しかったな、枚数設定でもすればこれで勝てたかもしれないな!」
カルゴ「そう簡単にいくと良いけどね」
魔理沙「そう簡単にいってやるさ!伊達に星弾の扱いには慣れてないぜ!さぁぶち抜けッ!符の参
『マスタースパーク』!!!」
いつものマスパより細い。だが貫通力は普段通りである。星弾を軽々と消し飛ばし、俺はマスパを回避する。けれども今回のマスパは俺の予想とは少し違っていた。発射の余韻を残すこと無く次のマスパを発射する。一発放ったら、少し間を置くのが常だったので、これには驚いた。
魔理沙「そら、もういっちょ…ぐっ……!クッ、頭に当たっちまったぜ…」
カルゴ「っ!!」
やはり、全方向というのは警戒が難しいらしい。そりゃそうだ。俺なら発狂するか自爆して全てを掻き消して突破するだろう。
弾はゆっくりで、相殺可能。しかも避けるだけの隙間だって十二分にあるのだ。それでさえ全方向警戒するのは厳しい。
因みに、このスペル名にしたオールトの雲というのは、俺達が住まうこの太陽系を、球殻状に取り巻いていると考えられる仮想的な天体群の事だ。あくまでも仮想的な天体郡であって、存在が確認された訳では無い。だが、なんともロマンがある話ではないだろうか。
魔理沙(チッ、思ったよりキツイな…。アイツがどんな奥の手を隠してるかも分からんし、魔力の無駄遣いは出来ないな。さて、アイツの思惑通り耐久してやりますか…!)
しかし、流石そこは長年異変解決に携わってきたというだけはある。初見であるはずの全方向耐久すらも、慣れてしまえばこんなモンとでも言わんばかりにスイスイ避け始めてしまう。
彼女の箒操縦能力にも、目を見張るものがある。
そしてついに、一分を超える長い耐久を、完全に避け切った。先程の一度の被弾は偶然かと自信を失ってしまった。
魔理沙「ふぃ〜…。中々の大技だったぜ!さぁ、ドンドン来いよ!」
カルゴ「でも、魔力がそろそろ底を突くな……。これで今日は打ち止めにしてやんよ、魔理沙!!
魔符『
魔理沙「甘い!光線は相手の動きをよく見てから放つもんだ!!星符『ドラゴンメテオ』!!!」
カルゴ「へっ…?」
俺の光線を回避し、何処かへ飛び去った魔理沙。自分の放っている太い光線のせいで彼女の動きが見えなかった。
魔理沙がどこに行ったのかというと…………。
魔理沙「はっはァ!!もらったぜッ!!!」
カルゴ「うっ……上だと!?」
見上げた瞬間、全身に極太光線を受けてしまい、俺は境内に叩き付けられた。試合も勝負も今日は俺の負けである。その後、魔導書の封印を解いた霊夢からそれを受け取り、ボロボロになりながら紅魔館へと帰宅した俺であった─────。