※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

583 / 1140
唐突の霊夢目線。霊夢が彼との出会いについて、少しだけ回想します。(何故か霊夢目線で初めての霊夢vsエスカルゴを書きたくなりました。)


東方妖恋談

暖かい春の日差しが降り注ぐ、博麗神社の縁側。私はそこに座り、ボーッと青空を見上げながら、愛する人や大事な親友、今日の夕飯の献立などについて、アレコレ思いを馳せる。

魔理沙とはそれなりに長い付き合いだ。それこそお互いが幼い頃から。所謂幼馴染というやつだ。

だがエスカルゴは違う。16年と少し前出会って、それから付き合いが始まった。…だというのに、今では親友である魔理沙達と同じくらいに大事な存在になっている。もしかしたら上かも…いや、順番なんてつけられない。皆が大事だ。

アイツとの出会いは……そう、紅霧異変の時だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルゴ「…紅魔館へようこそ。…博麗霊夢」

 

美鈴を撃破した私は、堂々と正面から中に入る。魔理沙は、別ルートで図書館へ向かったらしい。結果は魔理沙の勝利で終わるだろうし、私は私のやることをやるだけだ。

そして、咲夜が出てくるだろうと思っていたら、まさかまさかの、知らない男が出てきた。こんな男の吸血鬼が紅魔館に居ただろうか。否、聞いたことすらない。

そこまで瞬時に考えた私は、正直に訊ねてみる。

 

霊夢「…?あんた、見ない顔ね。誰?」

 

カルゴ「俺はエスカルゴ・スカーレット。フランドールとレミリアの恋人にして同居人だ」

 

それを聞いて、それなりに前に読んだ文の新聞を思い出した。どうやら恋人だのどうのというのは捏造ではないらしい。そしてこの男の存在自体は魔理沙からも聞いていた…が、そんなことは心底どうでもよかったので、頭の隅にすらも置いていなかった。

 

霊夢「あぁ…随分前に新聞で見た気がするわ」

 

カルゴ「…………」

 

答えた時もだが、コイツはどうやら、誤魔化しが下手らしい。溜め息はモロにしているし不快感を隠しもしない。そのクセ、私が来てからビクビク声を震わせている。見た目に反して情けない。

こんな雑魚にかまけているほど暇じゃない。次(ボス)へ行かないと、この異変は終わらない。

 

霊夢「レミリアはどこ?」

 

カルゴ「…レミリアに会わせる訳にはいかんな」

 

霊夢「あっ、そう。なんでもいいけど、あの霧、迷惑だから止めてほしいのよね。白いものが緑に見えるし」

 

魔理沙は来る途中に、この現象を補色残像だ、と言っていた。流石、私よりも現象などには詳しいだけあって、そういうところは頼りになる。

アイツもそれはわかっているのか、そこに疑問を呈すること無く素直に言葉を返してきた。

 

カルゴ「すまない。しばらく遊んだら元に戻すから」

 

霊夢「はァ?遊ぶ?そんなことの為だけにこんな大掛かりなことしたって言いたい訳?」

 

カルゴ「そうだ。俺達吸血鬼は太陽光が苦手だからな。夜ではなく、昼間の外で思いっ切り遊んでみたいんだ」

 

日傘を持って外にいる様子は見かけるが、確かに思いっ切り遊べている様子は見た事が無い。その種族特有の弱点に苦しめられている、という点は共感できる。が、私は異変解決の巫女。スルーをする訳にはいかない。

直ぐにキメても良かったが、ここは寛容なふりをして、相手の出方を見るのもいいかもしれない。いや、場合によっては─────。

 

霊夢「あらそう。…どれくらい遊ぶつもり?」

 

カルゴ「…1週間だ」

 

霊夢「1週間ですって!?」

 

カルゴ「ああ」

 

間があったところから考えるとコイツの意見では無さそうだ。さしずめ、私にコイツをけしかけたレミリアの意見だろう。そしてコイツは、それに僅かながら反対している。だからこそ、あんなに間があったのだ。言いにくいと感じたのだろう。

 

霊夢「何わがままな事言ってんの?半日だったら見逃してあげても良かったのに…」

 

カルゴ「じゃあ…開戦といこう。俺らが勝ったら1週間だけ認めてもらうぞ」

 

霊夢「ええ、望むところよ!そんな厄介なこと、絶対にさせない!」

 

ポッと出の吸血鬼なんかに私は絶対に負けない。半日なら許してやろうと思ったのは実は本当だ。何故なら、時間制限というのは、確実に時が解決してくれるのがわかる指標だからだ。もしこれを過ぎたら嘘だった、となる。

異変を解決するのは私の仕事。でもそれ以前に、幻想郷のバランスを保つのだって、私の仕事だ。今日遊ばせることによって、吸血鬼という強大な種族の不満を解消させてやれば少しはワガママも収まると考えたのだ。

しかしその交渉は決裂した。

 

カルゴ「いくぜ!雷武器『雷砲』!発射(サンダァァ)ッ!!」

 

霊夢「!?」

 

小型の大砲を構えたあの男は、早速それを放つ。弾は私の目の前に着弾し光を放ちながら爆ぜる。そこから弾幕が展開される様なことは無かった。

 

カルゴ「チッ、外したか!」

 

霊夢「クッ…!」

 

爆風に乗じて後ろに飛び退く。あまり威力は無いものの、眩しさは目に突き刺さった。攻撃まではそれなりに距離を保たないとこういうタイプとは戦えない。というか、ルールを理解しているとは思えないのは何故だろう。普通は、通常弾からの今のような特殊な弾だ。何も無く突然あんなのを放つとは品性を疑う。何にせよ潰しておかないと後々面倒な事になりそうだ。

 

霊夢「やってくれたわね!次はこっちの番よ!」

 

カルゴ「うおっ…!」

 

御札の通常弾で既にアタフタしている。魔理沙がコイツの話をしていた気がするが、何でコイツが魔理沙に勝てたのか訳が分からない。単に相性の問題なのか、魔理沙が手加減をし過ぎたのか…。

何にせよ、通常弾でフラつくようなら私の敵には到底なれっこない。掌底でもぶち込めば、それで終わりだ。

 

霊夢「ハァァァァァ!!」

 

カルゴ「やべっ!雷壁『雷纏反撃壁』!!」

 

咄嗟に放電する壁を作り、自己の防御を図った。でもそんなものは何の意味も為さない。感電する間すらなく、壁を粉砕した。触れた瞬間は、少しだけピリッとしたが、所詮その程度。

 

カルゴ「クソが…!雷速『クイック』!」

 

霊夢「!」

 

目標を見失った私は、そのまま壁に突っ込んで、壁を破壊した。煙幕のようにもうもうと煙が立ち込めているので周囲がよく見えない。でもそれはアイツも同じだ。この隙に御札の分身を作って、私は煙に乗じて奴の頭上に移動する。

 

分身「いったた…」

 

分身は、頭を押さえてフラつく演技をする。敵を誘き寄せるには、疲れたアピールをすればいい。特に、こういう直情タイプにはよく効く。

 

カルゴ「っしゃ、今だ!『雷速断刀』!!」

 

先程発動させた『クイック』とやらの影響なのかかなりスピードが増している。離れなければ姿がよく見えないほどだ。が、今奴が持っているのは刀に見える。妖夢の様に切り付けてくるらしい。

そのまま分身に突っ込んで、真一文字に斬った。

 

カルゴ「これは…お札!?」

 

バラけた分身は、その御札全てがホーミング弾となって向かっていく。極めて近距離なのでこれで終わりだ、と思ったのだが。

 

カルゴ「この至近距離じゃ…っ!雷鎧『サンダーアーマー』!!」

 

全身に、黄色いオーラのようなものが出現した。それに御札が触れると一気にジュワジュワと音を立てて消えていった。

御札に対する守りだけは、強いらしい。けれど、そんなのが私に通用するわけがない。

 

カルゴ「…フゥ…」

 

こんなので一息ついていたら到底レベルが違う。何も無ければ次で終わる。けれど油断はせずに、念の為に準備した私は天井近くから声をかける。

 

霊夢「へぇ、中々やるじゃない」

 

カルゴ「どこだっ!?」

 

妖怪なのに気配の探知もできないのか、と内心で驚きながら、より声を張り上げて位置を教える。

 

霊夢「ここよ、ここ。上よ」

 

カルゴ「!?…チィッ…!(平気なのか…どんだけ強いんだ、博麗霊夢…!)」

 

霊夢「もう終わりにしましょ。面倒なことは早く終わらせる主義なの」

 

カルゴ「それなら、俺が終わらせてやるよっ!!雷符『Midnight☆Thunder』!!」

 

霊夢「っ…見えなくなるなんて聞いてないわ!」

 

と、慌てるフリはしてみる。見えなくとも気配が探知できるのでもはやそれは見えてるのと同義。問題は弾幕すらも見えない事だ。だったら結界で防げばいいだけの話。

 

霊夢「夢符『二重結界』!」

 

カルゴ「…は?」

 

直後、結界に比較的強めの雷系の弾幕が当たる。正解だ。目くらましさせて攻撃するのがコイツの常套手段なのだ。

 

カルゴ「うっそぉん…」

 

弾幕が無くなると自然と目くらましの闇は晴れ、元の視界が戻る。外は紅いが、じきに元に戻る。私と魔理沙がレミリアを倒せば。

 

霊夢「あら?もう打つ手無しかしら?」

 

もうおしまいかと言ってやりたいが、余計に挑発するのも考えものなので、その言葉をぐっと飲み込んで言葉をそれだけに抑える。

 

カルゴ「クッソぉ…」

 

歯を食いしばり拳を握る。もうアイツに打つ手は無い。もしかしたらと警戒していたがその必要はなかったのかもしれない。

 

霊夢「…終わらせるわ。…ハァァァァァッ!!」

 

コイツに夢想封印はオーバーキルだ。蹴ったり、掌底をかますだけでいい。それでもう終わりだ。

 

カルゴ「ははっ…雷符『Midnight☆Thunder』」

 

霊夢「何度やっても同じよッッ!!!!」

 

ブレーキをかけ、突っ込んでくるのを止め、雷の弾幕に備えて結界を張ろうとする。だがその前に奴が動いた。

 

カルゴ「よし!紅眼『吸血鬼の本質』!」

 

暗闇の中から聞こえてくる、耳障りな音。さっきから聞こえていたが、より大きく嫌な音になっている。今宣言したスペルは恐らく強化系らしい。

 

霊夢「何するつもり!?」

 

カルゴ「からの…『キュッとしてバチバチ』!」

 

霊夢「なっ…!?」

 

背後から手が伸びてきて、私を拘束する。たとえ技の内だとしてもまさか初対面の私に抱きついてくるなんて思ってもみなかった。胸こそ触られていないけど、知らない男と密着するなんて最悪な気分だ。コイツを思い切り蹴飛ばしてやらないと気が済まない。

様々な罵声を浴びせたいところだが、生憎そんな状況ではない。全身に電気を流されて、少しでも気を抜けば意識がオチてしまいそうなほど。どうやらコイツは電気を操る能力を持ってるらしい。

 

霊夢「うぐぐぐぐ……っ」

 

カルゴ「なんで耐えられるんだよォ…ッ!うおおおおおおおっっ!!」

 

霊夢「─────ッ!?」

 

電気の威力が更に上がる。身体強化は継続中だ。それでもかなりのダメージを受けているのが自分でもわかる。コイツの土手っ腹に肘を思いっきりめり込ませてやろうと思ったその瞬間。抱きつく攻撃をするための目くらましに使ったのであろうスペルの雷が、時間差で襲い掛かってきた。

まさかの自分諸共である。捨て身にも程がある。

 

カルゴ「くっ……ダメだ…もう…」

 

霊夢「フンッ!」

 

カルゴ「ぐあっ…」

 

手を振り払うとこの男は床に倒れ込んだ。かなり消耗している。今の捨て身のせいもあるだろう。だがボロボロなのは私も同じだ。巫女服が、所々焦げているし穴が空いてしまっている。呼吸すらろくに出来なかったので、肩で大きく息をする。

 

霊夢「ハァ…ハァ…ハァ…。何…今の…」

 

カルゴ「力……上げ…た…だけ…」

 

霊夢「…その様子じゃ…もう終わりね」

 

カルゴ「……………」

 

霊夢「これで終わりよっ!フンッッッ!!」

 

カルゴ「グフゥゥッ……」

 

思い切り腹を蹴って、玄関の方へ吹っ飛ばした。扉を破壊しても尚飛び続ける男の肉体。しばらく後に、湖に落ちた音が聞こえてきた。少し、強くやりすぎたかもしれない。

…それから、館の中の気配を探知するが、主犯の気配は探れなかった。外に居るのかもと思い外に出て、紅に染まった空を見上げると、時計台の前にて妹と並んで浮かんでいる姉妹がいた。

 

霊夢「レミリア!やっと見つけたわ!!今そこに行くから、そこから動くんじゃ…」

 

カルゴ「動…くな……ゲホッ…」

 

背後で咳き込むあの男。近付いてきているのは、気配で分かってはいた。コイツ、気配の隠し方が下手すぎる。私が直ぐにレミリア達の気配を探知できなかったのも、それを隠蔽していたからだ。

 

霊夢「………何よあんた、まだ気絶してなかったのね」

 

カルゴ「…まぁ…な…。俺は人一倍…打たれ強い

んでね…ゲホッ…。(くそ…変なとこに水が入って

息苦しい…)」

 

霊夢「…しつこい男は嫌われるわよ?」

 

無論、こんな奴を好くなんてそんなのは物好きな奴だけだ。私の中で、こういう男は嫌いな部類に入るかもしれない。嫌いというか、避けたい。

 

カルゴ「構う…もんか。お前を倒し…あいつらと過ごせれば、それでいいんだ…」

 

霊夢「なんでそこまでして…」

 

湖に落ちた時、水が気管かどこかに入ったのか、咳が治まる気配はまるで無い。息も極めて荒く、咳もしつこい程にしている。

 

カルゴ「おしゃべりの時間は…ゲホッ……もう、終わりだ…。差し違えてでも………博麗の巫女、お前をッ…!雷神…『Thunder☆Fall』…!」

 

霊夢「!?」

 

カルゴ「これで…終わらせてやるよ…!」

 

霊夢「こンのくたばり損ないが…!やってくれるじゃないの!ハッ!」

 

頭上に現れた黒ずんだ雷雲。何が来るのか察した私は、再び結界を張る。だがこの男は、とうとうフラついて倒れそうになった。そんな時コイツは自分の目を覚ますためか、咄嗟に自分の腕に噛み付いた。

 

カルゴ「いっっってぇぇぇぇぇ!!!」

 

霊夢「あんた馬鹿じゃないの!?」

 

カルゴ「へへ…。(どーせ傷なんかスグ治る…)」

 

口元を赤く汚しながら、結界で身を囲む私を見て弱々しく笑う。その瞬間、落雷が大量に発生し、結界に当たり始める。

 

霊夢「クッ!………ッ!」

 

結界を強化しようとしたが間に合わず、呆気なく砕け散ってしまった。でも私は手を打ってある。今の今までここで対峙していたのも御札の分身。本物の私は、また「高みの見物」をしている。

 

カルゴ「…は?」

 

落雷により御札は相殺されるが、あいつの弱った心を折るには、それでも十分すぎるほどだった。何せ、渾身も渾身の一撃だったのだから。

 

カルゴ「…え?嘘…だろ…?またフェイク…?」

 

霊夢「あんたがあれくらいでくたばるタマだとは思ってなかったけど…、予想通りでよかったわ」

 

私のその言葉を最後まで聞いたかわからないが、か細い声で呻いたアイツは、地面に倒れ付した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「おーっす霊夢ー。昨日はお疲れ様だぜ。

…って、どうしたんだ?えらく不機嫌そうだな」

 

突然縁側から入ってきた魔理沙は、帽子を取って座り込むなりそう言う。不機嫌そうだと言うなら放っておいてほしいものだが、魔理沙はこういう奴だ。今更感満載である。

 

霊夢「あー?別に?あぁ、そうそう。後で永遠亭行って宴会のヤツ言ってくるわね。レミリアならまだあそこに居そうだし」

 

魔理沙「だな。でさ、昨日エスカルゴと戦ったんだろ?どうだった?手応えとかさ」

 

霊夢「あんなのに負ける要素無いわね。ホントにアイツが魔理沙を倒したの?御札如きでワタワタ慌ててたし」

 

魔理沙「相性の問題なのか?私の時はキビキビと動いてた気がするがなぁ…」

 

霊夢「しかもすごくしつこい。何なのよアイツ。何か気に入らないわ」

 

魔理沙「まぁまぁ。アイツさ、普段からフランと弾幕ごっこしてるだけあって、結構打たれ強さはあるんだぜ。フランってば容赦無いからなぁ…。たまに練習に付き合うが、避けるので手一杯だ」

 

霊夢「…フランのは避けられるのに私のはダメ?どういう事だかサッパリね。向こうの方が難易度高いでしょうよ、どう見ても」

 

魔理沙「いやぁ…霊夢のは結構ホーミングだし、初見じゃかなり戸惑うと思うぞ?私のはほら……ホーミング類は少ない…というかほぼ無いしさ」

 

霊夢「魔理沙ってば、やけに肩を持つのね。あのナヨナヨした男の」

 

魔理沙「まぁ、悪い奴じゃないしな。好きなものには真っ直ぐで、私的には好感持てるし。てか、やけにアイツの話をするな?」

 

霊夢「なんかイラつくのよね、ああいうヤツ。今こうして話してるのはイライラを発散する為よ」

 

魔理沙「どこがイラつくんだよ?」

 

霊夢「んー…何て言うんだろう。よく分からないけど、なんかダメなのよね」

 

魔理沙「ほ、ほう…。そうだ、決着はどんな感じだったんだ?」

 

霊夢「あー?殴ったり蹴ったりで最後はアイツがぶっ倒れた」

 

魔理沙「……霊夢の暴力は基本的にオーバーキルだからな…そりゃ妖怪もぶっ倒れるってもんだ。とりあえず宴会では謝っとけな」

 

霊夢「何で?異変起こしたのあっちでしょうよ。私は巫女として当然の仕事をしたまでよ」

 

魔理沙「んー……やられた側の気持ちを推し量るのは、お前には到底無理だろう。だが謝っとけ。悪い事は言わん。敵が増えるより、とりあえずは仲直りだけでもしておくんだ」

 

霊夢「仲直り……って、異変終わったら向こうで宴会して、それからいつも通りの日常じゃない。敵も味方も無いでしょ?」

 

魔理沙「そりゃ幻想郷での話だ。だがアイツは、外から来た。きっと喧嘩したらそれっきりだぜ。菫子とはまた少し違うタイプの元人間だからな」

 

霊夢「う、うむむ……でも悪く無いのに謝るのはなんか癪ねぇ…」

 

魔理沙「アイツが力を付けて、霊夢に復讐を始めたりしたら……想像しただけで怖いな。妖怪は、その気になったら人間なんて一瞬なんだぜ?」

 

霊夢「確かに…。スペルカードルールをまともに理解しているとは思えないしね…」

 

魔理沙「いや、不可能弾幕って意味じゃなくて、普通に殺しに来るって言ってるんだ」

 

霊夢「アイツにそんな根性あるの?」

 

魔理沙「思い出せ霊夢。諦めずしつこい。それがアイツ、エスカルゴという男だぜ」

 

霊夢「…………」

 

魔理沙「私が思うに、アイツはまだ妖怪になって間もない。だから、力もまともに使えていない。通常弾すら妖力じゃなくて雷だ。そんな奴が力をつけたら…一体どうなると思う?」

 

霊夢「…………」

 

魔理沙「私はお前よりアイツとは付き合いがあるから、分かることもある。アイツの口から、偶にとんでもない言葉が出る事があるんだ。フランは普通に聞いているが…あまり言いたくはないが、あれはまともな人間の思考じゃない。まるで元々心だけは妖怪だったかのような……そんな危険を孕んでる感じがしたんだよ。だから……本当に、アイツとだけは本当の意味で敵対しちゃダメだ。表向きだけで良いから関係は保っておいてくれ。

……頼む……霊夢……」

 

早口、そして長く話した魔理沙は真剣な顔付きで軽く頭を下げた。魔理沙は魔理沙なりにアイツを警戒しているらしい。私はまだアイツの事をよく知らないし…確かに色々言うには早計だったかもしれない。よく観察してから結論付けよう。

 

霊夢「…分かったわよ。とりあえず表面上だけは仲良くしておくわ。でも、向こうが拒否ったら…いや、その時はその時で対策を練りましょうか」

 

魔理沙「あぁ…そうだな」

 

…結局、宴会ではアイツの発言でたまに笑わせてもらう事も多少はあったし、萃香の邪魔…いや、合いの手もあって、良好な関係は築けたと思う。お酒の力や宴会の空気に助けられた事もあった。

それによって私の考えは180°…とはいかないが、ほとんど逆転した。第一印象だけで決め付けてはロクなことにならないと、この時に私は学んだ。

話せば話す程…たまに気になる部分はあったが、アイツの人柄が段々と分かってきた。確かに少し危ういところはあるが、魔理沙の言う通り、悪い奴ではないらしい。私は、そう結論付けた。

それからしばらく経って…私は自分でも知らない内に恋に落ちていた。その相手はそう、アイツ。この気持ちに気付いた時は正直かなり困惑した。

けれど、魔理沙や紫の手引きもあって…やっとの思いで、気持ちを伝える事に成功した。

色々と無理矢理なところもあったが、私は結果に満足している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「…懐かしいなぁ…」

 

霊愛「…?何が?」

 

霊夢「ううん、何でもないわ」

 

霊麗「何でもないのに何か懐かしがるって…変なお母さん」

 

霊夢「っさいわねー」

 

今では2人の子宝にも恵まれ…今私のお腹にも、3人目が居る。出会ったばかりの私では、想像もつかないほど幸せに暮らせていると思う。これも全てアイツのおかげなんだと思うと…なんだか、とても嬉しくなってくる。

 

霊夢「ちょっと出掛けてくるわね。くれぐれも、客には気を付けて留守番お願いね」

 

霊愛「良いけど…どこに行くの?魔理沙んち?」

 

霊夢「あのバカのところに…ね♪」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。