すみません。巫月〜魅玖の間に謎の1人が…(汗)
「…それで?一体何なのよ、子供に関する大事な話ってのは。わざわざあのラジオ使って知らせるとか…只事じゃないんでしょ?」
「気になる〜。ね、お姉ちゃん」
「だね」
「えっとだな…その……」
衣玖との娘、魅玖の存在を認知したその次の日。ラジオのお便りを通して家族全員を紅魔館に招集した俺は、中々魅玖について言い出せずにいた。
完全に自分のミスだと分かっていながら、今回は暴露するのを躊躇っている。既に全員が紅魔館に集っているというのにだ。霊夢達が急かすのも、仕方ないだろう。
大きく息を吸い、繰り返し深呼吸した俺は、漸く腹を決めた。
「実は…俺にはもう1人、娘が居て……」
「「「はああぁぁぁぁっっ!!?」」」
館をビリビリと震わせるほどの大きな声が、皆の口から飛び出した。だがこれも仕方ない。全ては俺が悪いのだ、どんな酷い叱責も暴力も甘んじて受け入れなければ。
「もっ、もう1人ってどういう事!?いつの間にデキてたのよ!?」
「まぁまぁ、落ち着いて下さいお嬢様。これからその説明もあるでしょう」
「そ、そうだけど…。誰かしら…パチェ?美鈴?
…フランじゃないのはわかるけど…」
「おかーしゃまおちついてっ!めんたまやきとかたべよ!」
「何で今それなのよ…」
「誰だと思います?お母様は、ずっとメイド長の仕事をしてましたし…」
「そりゃー咲夜は違うでしょ。アレじゃないの?不良天人」
「いやー、その人だけは違うでしょー…。お母さん、アイツのことは割と嫌ってるっぽいし…妊娠させたらまずいことくらい、お父さんなら分かるって」
「そーそー。エスカルゴでもそれくらいの分別はついてるって。だって私のエスカルゴだもん♪」
「ふむ…全く予想出来ませんね。あ、勿論、母上でもないですよ」
「「無論、私達の子ではありませんよっ!」」
「そりゃあまぁ…そうだよね。茜はどう思う?」
「そもそもお父さんの行動範囲が読めないからなぁ…。純狐とか…諏訪子とか…にとりとかも有り得るかもしれないね?天魔様も」
「諏訪子様でも神奈子様でも、ママでもないよ。お腹とか大きくなってないもん」
「まさか幽々子さんか!?」
「「「それは無い」」」
「というか声大きいよ」
「ご、ごめん…」
子供達を含め皆がヒソヒソ話などをしている中、やけに落ち着いている者が2名。現在妊娠中の、鈴仙と霊夢だ。
「ねぇエスカルゴ、その子って誰との娘なの?」
「そーよ、誰との?…まさかとは思うけど、あの天人じゃないでしょうね?別に、それがどうしたって話だけど」
「…衣玖さん」
一言そう答えると、霊夢はどこか安心したように小さく息を吐き、強ばっていた表情をほんの少し緩ませる。怒っている様子などは特に無い。
「あの言い方だともう生まれてるのよね?その子何歳なのよ?ここあちゃん達よりも上?下?」
「あの双子より下だよ。生後半年くらいなんだ」
「ふーん…そう。へぇ〜…
「え?う、うん…まぁ、そうね」
「そーなのか?何で?」
「何となく、13って数字は嫌だからね…。その、衣玖との子は12番目でしょ?次は13じゃないの。だから…ねぇ?次は避けなきゃ」
「あー、なんか前に言ってたな…。数字なんて、そんな気にする事でもないでしょ。気にする?」
「気にするわ。巫女としては不吉な事はなるべく避けたいものでしょ。鈴仙も、医者の助手としてそれに近い考えのはずよ」
「そだね。やっぱり不吉なものは避けたいしね」
「4番目の弦月姫も9番目のレイチェルも普通に大丈夫だけどねぇ…」
「…ていうか、何で生後半年くらいの今更、それ言うのよ。まさか、知らない間にデキてたなんて言わないでしょうねぇ?」
「………」
「……まさかなのね。ま、私は察してたけどね。あんたってやっぱり隠し事が下手だから」
「だね。そうだと思った♪」
「面目ない…」
「これで分かったでしょ、誰彼構わずヤッてると後々面倒な事になるって」
「子供増えるのが面倒とは思ってないけど…概ねその通りです、はい…」
「『山の英雄、まさかのデキ婚か?』…と。母上、こんなタイトルはどうでしょう!?」
「ボツ」
「そんなぁ!?」
文と穹は縮こまる俺の写真撮影中だ。この自白もあの2人にとっては大して衝撃でもないらしく、もう普段通りの様子だ。
「記者というのは時折、自分達に都合の悪い事は隠匿するものなのですよ、穹」
「ええっ!?でも、真実を伝えるのが仕事では!?」
「結婚するかがまだ不明ですし、相手方…永江氏に許可を取ってませんし、そもそも実父のスキャンダルを報じてどうするんですか。報じた後の事も少しは考えてみてください」
「…むぅ…。納得いきません…」
「社会の荒波に揉まれれば、あなたもその理由を理解できるようになりますよ。…何れは」
俺のスキャンダルを記者授業の代わりにするなと言いたいところだが、今回の場合はあんまり強く言えない立場なので、我慢するしかない。記事にされないことが唯一の救いだと言えそうである。
「それで、どんな子なの?エスカルゴの事だし、今日はここに連れてきてるんでしょ?」
妖夢がそう言うと、彼女達や子供達が一斉に俺を見た。霊夢の勘に似たその鋭さに、思わず内心で舌を巻く。そして、彼女を褒めた上でその質問に答える。
「流石妖夢だなぁ…やっぱ俺の事分かってるね。うん、連れてきてるよ。衣玖さんも一緒だけど」
「へぇ、良いじゃないの。子供達のことだから、新しい妹のこともすぐ受け入れてくれるでしょ。今までもそうだったし」
「あぅぅ…」
全く以て、霊夢の言う通りである。あの子達は、そういう環境で育ってきた。すぐ受け入れるのがごく自然な家庭環境なのだ。
だから、魅玖がこの子達に馴染めないなどという心配はしていない。問題は衣玖の方だが……皆とあの衣玖のことだ、きっと大丈夫だろう。
「あまりにも我慢できなくなったら、すぐに私を頼って下さいね?神の肉体はあなたの性欲全てを受け入れますよっ!無闇に子を成すより、自然に中出し可能な
「何で皆の前で堂々と言えるの!?」
「あぁ、確か神は受精をコントロールできるとか何とか、諏訪子様が以前言ってたわね。だけど、早苗じゃ耐えきれなくて気絶してしまいそう」
「いえいえ!咲夜さんのように吸血鬼の強い肉体じゃなくとも、一晩中くらいは余裕ですから!」
「旦那様の性欲を全て受け入れたら、一晩中じゃ到底足りないのよねぇ…。ねぇ、小悪魔?」
「そーですねー…少なくとも半日…長くて1日は使いますからね」
「時間止めてないとヤッてられないくらいね♪」
「ひぃっ!?」
「1日中真剣に剣の修行してても、あそこまでの体力は使わないよ…。一晩中は少しキツいかも」
「夜の早い内から朝まで…。当たり前よねぇ?」
「お嬢様御自身もそのパターンですもんね」
「勿論よ。レイチェルには、早寝早起きを心掛けさせているけどね。喋るようになってからはもう夜泣きが収まったから、かなり楽になったわよ。朝までエッチし放題で♡」
「吸血鬼なのに早寝早起きなのね…って、巫月も似たようなものか…」
母親達が集ってそんな話をしているのを尻目に、この部屋と紅魔館のとある一室をスキマで繋げ、衣玖と魅玖をこの部屋に呼び寄せる。
「………っ!」
が、直ぐには出てこないで、スキマから首だけを出してキョロキョロ周囲を見回し、自分が皆から注目を浴びていると分かると、気付いたように、ゆっくりと一歩を踏み出した。
魅玖もそれに続いて、飛び越えるようにスキマを越えて、部屋に入ってきた。
「皆さんお久しぶりです。龍宮の使いの永江衣玖です。この度、ご主人様の娘を出産致しました。どうぞ、よろしくお願い致します。…それから、娘の永江魅玖です」
「みくです!よろしくおねがいしますっ!」
子供らしく、一文字一文字をゆっくりハッキリと発音し、衣玖同様に深々と頭を下げた。つられて頭を下げる子供達も何人かいる。
「因みに、魅玖の能力はご主人様と同じ、《雷を操る程度の能力》です」
「じゃー私とも同じだね」
「そうなの?…えっと…うさぎおねーさま?」
「一番上のお姉ちゃんの巫月だよ〜。これからは姉妹としてよろしくね、魅玖」
「博麗霊愛。よろしく」
「射命丸穹です!写真よろしいでしょうか!?」
「十六夜弦月姫です。この紅魔館でメイドとして働いています────」
子供達も次々に自己紹介を始める。魅玖は、目を輝かせてそれを聞いていて、衣玖は目を細めて、娘の様子を見守っている。何となくだが、魅玖は巫月と相性が良さそうな気がした。魅玖や衣玖が望めば、俺と巫月でこの能力の使い方等の指導をしてもいいかもしれない。
そしてその後、母親達による会議が為され、俺の新しい宿泊サイクルが決まった。今日から始まる新しいサイクルには衣玖の家も追加されたので…
永遠亭→博麗神社→文の仕事場→紅魔館→白玉楼
→博麗神社→守矢神社→紅魔館→衣玖宅
で1周となった。
子供達の年齢順(茜とここあ達は除く)なので、そこまで難しくはない。
魅玖も子供達の輪にすぐ馴染めたようだし、親の衣玖もまた、親の輪に馴染めたようなので、俺も一安心である。だが、一安心したからと、油断して同じ過ちを繰り返さないよう気を引き締めて生活しなければ。
台本形式をやめて初めて子供達が集合しました。誰が喋ってるか伝わりますかね…?