てゐに騙された霊夢は、自分が騙されたと知らず紅魔館へと向かった。門前では相変わらず美鈴が何らかの拳法を嗜んでいた。シャドーボクシングのように、見えない相手と戦っているかのような機敏な動きをする。だが、霊夢の存在に気付くとその運動をやめ、首を傾げて声を掛けてくる。
「霊夢さん?どうしたんですか、こんな夕方に。いや、もう夜ですけど…」
「どうしたもこうしたも、うちのバカ亭主がまだ帰って来ないから迎えに…じゃなくて、捕まえに来たのよ。隠し立てするとためにならないわよ、言葉で交渉してるうちにアイツを返しなさい!!どうせ、チルノと特訓した後はここでレミリアやフランや小悪魔とヤッてんでしょ?」
「いいえ?今日はエスカルゴさん来てませんよ。いつの話ですか?」
「今朝の話よ。まさかとは思うけど…寝てた?」
「寝てませんね。仕事中は不眠ですよ。ここ数年ずっ……とです」
「じゃあ昨日のラジオは聞いた?私は聞いてないけど、チルノがここでの特訓をあのバカに頼んだらしいわよ」
「ラジオでしたら暇潰しに毎晩聞いてますが…。そんなお便り読まれてたかなぁ…?うーん……」
「読まれたっていう情報があるの。だから、もしあんたが寝てなきゃ、アイツがここに来たことを認知できるはずよ。それを知らないってことは…今朝は寝てたわね?」
「いやいや、私は寝てませんって!」
「じゃあ家宅捜索するわ、そこを退きなさい!」
「いいえ、通しません!」
お祓い棒と御札を構える霊夢に対して、負けじと拳を構える美鈴。いつになくやる気満々である。しかし隙の無い美鈴の構えに怯む事なく、霊夢は真っ直ぐに突撃する。
「甘いです、よッ!!」
「くっ…!」
美鈴も真っ直ぐに拳を突き出して、霊夢の顔面を殴り飛ばそうとするが、霊夢はこれを、紙一重で身を低くして回避した。更にそのままお祓い棒を振り上げて、物理攻撃に及ぼうとするが、膝蹴りによる追撃が目前に迫っていた。
「ッ─────!!」
お祓い棒は既に振り上げ初めていたので棒によるガードも出来ず、更に身を低くしていたために、足での防御も遅れてしまって、美鈴の膝が霊夢の腹に深々と突き刺さる。
「ガハッ…………おぇっ……」
「ハァァァァッ!!」
美鈴は両手を組んで、それを高々と振り上げて、かなりの威力で霊夢の背中に振り下ろした。その瞬間、地面にぶつかった衝撃と背中に走る痛みによって一瞬気を失いかけた霊夢だったが、自分を倒した上で更に追撃が来ると本能的に察知して、自分を踏みつけようとする足を回避、飛び退いて距離をとる。
「おや、今ので倒せたかと思いましたが。流石にあなたほどになると、一筋縄ではいきませんね」
「ゲホッ……やってくれるじゃないのよ、門番のくせに…!」
「門番ですから!」
「ていうか……危ないじゃないのよッ!今、私のお腹には3人目が居るんだけど!?」
「えええええええええええええっっ!!?どど、どうしよおぉぉぉぉっっ!!!私ってばついつい強く蹴っちゃったぁぁぁぁっ!!!」
「これでもし流産したらどーすんのよバカァ!」
「うわわわ…どうしようどうしようどうしよう…もしそうなっちゃったら私は……」
「……隙あり!!」
「!!」
美鈴の背後に瞬間移動と言えるような高速移動をして、お祓い棒で彼女の首を強く叩いた。美鈴は膝から崩れ落ちて、ピクピクと痙攣する。漫画のようには上手くキメられなかった、と霊夢は内心落胆するものの、そんな事を考えている場合ではないとすぐに思い直す。
「あんたもそれなりにバカね。この私が、身体を強化してない訳が無いでしょ。それとお腹の子が無防備な状態で勝負を挑む訳が無いじゃないの」
「うぅぅ……卑怯…者ぉ……」
「何とでも言いなさい。通らせてもらうわよ」
「どーぞー…」
門を軽々と飛び越え、今度は玄関から中に入る。そこで軽く気配の探知を行ったが、目的の気配は見つからなかった。地下の大図書館にいるかもと考えた霊夢はそこへ向かおうと足を踏み出すが、目の前に1人の子供が瞬間移動してきた。…否、時間を停止して移動してきたので、霊夢には瞬間移動のように見えてしまったのだ。
「…弦月姫ちゃん…」
「霊夢さん。何のご用ですか?」
ナイフを構えつつ、真っ直ぐ霊夢の目を見つめる弦月姫。相手があの博麗の巫女とあり少なからず恐れているのが、彼女の足からよく読み取れる。本人は隠しているつもりだろうが、弦月姫の足は少しだけ震えている。
「あのバカを探してるんだけど、アイツがどこに居るのか教えてくれない?」
「あのバカとは誰の事でしょうか?私の知る限りでは、バカと呼べるのは弟しかおりませんが」
「あなたのお父さんよ。で、どこにいるの?」
「お父様はバカではないです」
「…そうね。それで、アイツの行方、知ってる?今朝紅魔館前に来たはずなんだけど」
「いいえ。今朝紅魔館前に来た者はおりません。メイド妖精達が湖上で遊んでいたのならそれかもしれませんが」
「チルノ来てなかった?」
「来てません」
「昨晩のラジオを通して連絡したっていう情報を入手してるんだけど?」
「昨晩のラジオには、チルノと思われる者からのお便りは読まれませんでしたよ。もしや霊夢さんラジオ聞いていませんね?その情報はどこからの情報ですか?信用に足る情報源でしょうか?」
「ええ、私は聞いてないわよ。霊愛達が聞いてるのを少し耳に入れてる程度で。…情報はてゐからもらったものだけど、アイツもラジオは聴いてるっぽかったわよ」
「完全に騙されてますね、それ」
「騙そうとしてるのはそっちでしょ?今アイツは紅魔館のどこかでヤッてるんじゃないの?」
「一旦冷静になりましょう、霊夢さん。そして、よく考えてみて下さい。いつも巧妙な嘘で周囲を騙すてゐさんですよ?アテにしてはいけない人物ランキング一位ともいえるのではないですか?」
「……!」
「お父様もチルノも、朝どころか今日は紅魔館の周辺には来てません」
「う…うぅむ…じゃあアイツはどこに……」
「と言われましても…。予定も何も把握してない私からは何も言えません。ただ、紅魔館及びその周辺には居ない、としか」
「くっ…何でこんな事になったのかしらねぇ…!本当に面倒よ、全くもう…。今夜はお触り厳禁にしてやるんだからねっ!」
「……。用が済んだのなら速やかに館及び敷地内から出てほしいのですが」
「ええ、分かったわよ。仕事中、悪かったわね。
それじゃ。(アイツが行きそうなのって、紅魔館の
他にどこがあったっけ。守矢神社…純狐の仙界…
地底…天界…魔界…それと夢幻世界…?うむむ、候補が多すぎて分からない……!行動範囲広すぎでしょ、アイツ!!)」
開けっ放しだった玄関から、勢いよく飛び出した霊夢。溜め息混じりに扉を閉めた弦月姫の傍に、彼女の母親である咲夜が時を止めずに現れる。
「霊夢の対応お疲れ様。マニュアル通り…いや、それ以上の良い働きをしてくれたわ」
「ありがとうございますっ!」
「…旦那様が今何処に居るのかなんて、私達には知る由もないけど…バカ呼ばわりは好かないわ。弦月姫じゃなくて私だったら、弾幕ごっこに発展してたかもしれないわね…」
「お母様、霊夢さんが相手だと何故か堪え性が…ゲフンゲフン、あー喉が痛いですー…」
「お嬢様からもそれについてお叱りを受けたわ…何で私ってこうも自制が効かないのかしらね…」
「たまたまですよ、たまたま」
「またまたよ、またまた…」
霊夢を言葉で追い返した弦月姫と、それを陰から見守っていた咲夜は、キッチンに戻って夕ご飯を仕上げた。そして、久しぶりに母から褒められた弦月姫は、それからしばらくの間気持ち悪いほど上機嫌だったそう………。
萃夢想の霊夢、瞬間移動みたいなのやって上からキックお見舞してくるんですよね。ほんと霊夢の能力って謎が多い。
またオリキャラだらけの話書いても良いですか?原作キャラも勿論数人出ますが出番は少なそうです。
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勿論OK
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出来れば暫く控えてほしい