※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

615 / 1140
だって私の日だもん

「ええっ!?アイツは朝から魔界に行ったぁ!?永琳、それって本当!?」

 

「嘘なんてついてどーするのよ…あとであなたに報復される未来しか見えないというのに…」

 

紅魔館から出た霊夢は、一旦は守矢神社に向かいかけたものの、永琳に訊ねてもらっていることを思い出し、迷いの竹林にある永遠亭へと蜻蛉返りした。そして先程のように扉を叩いて、食事中の永琳を呼び出し、訊ねてもらった答えを聞いた。

答えとしては「魔界に行った」とのこと。魔界は霊夢の中の候補にも上がっていた場所だ。そこは彼の母や妹が住んでいる異世界で、特訓するのに頻繁に通っている場所でもあるからだ。

 

「流石ね、分かってるじゃないの。だから次あの兎を見かけたらコテンパンにしてやるんだから!止めたって無駄なんだからね!」

 

「止めないわよ、てゐの自業自得なんだもの…。おバカとしか言いようがないわねぇ。ウドンゲや私に怒られても、全く懲りてくれないんだから」

 

「食事中呼び出して悪かったわね、助かったわ。それじゃ」

 

「ええ、気を付けてね」

 

「分かってるわ」

 

今度こそ正確な情報を掴んだ霊夢は、魔界へ行く為に、博麗神社の裏山を目指して、竹林から勢いよく飛び出した。永琳はそんな霊夢を見送って、小さな溜め息を漏らす。

 

「…気を付けてっていうのは、あなたじゃなくてお腹の子の方なんだけどね…。まぁ2人産んでる霊夢の事だし、多分分かってるわよね。さーて、霊夢も帰った事だし、早く食べないとねぇ。生活リズムが狂っちゃうわ…」

 

竹林を越え野を越え田畑を越え、そして魔界への扉も通過し、霊夢は単独で魔界入りを果たした。目的地は魔界の最奥に建っているパンデモニウムである。《空を飛ぶ程度の能力》ではなく吸血鬼本来の身体機能を駆使して、超高速で魔界の空を翔ける。

全速力で十数分飛翔し続けてようやく氷雪世界を抜け、目的地が見えてきた。何故か門の前からは地割れが発生していて、始点には、クレーターが残っている。激しい戦いでもあったのだろうか。そんな事を思いつつ門を飛び越えて扉を叩くと、建物の中を走ってきたのか、ほんの少しだけ息を切らせた夢子が出てきた。

 

「どうしました?」

 

「アイツはどこ?今朝、ここに来たはずだけど」

 

「坊ちゃんでしたら数時間前に幻想郷にお帰りになりましたよ。お嬢様とご一緒に」

 

「はぁ〜!?幻想郷に帰ったぁ!?折角ここまで来たっていうのに…!それからはどこに行ったかわかる?」

 

「存じません」

 

「チッ……。あんたの言うお嬢様って、アリスのことよね?それじゃあアリスの家に行くしか手は無いようね…。あーあ、またこの長い道程を行くなんてねー…。疲れちゃうわ、ホントに…」

 

「お疲れ様です」

 

若干イラッとした霊夢だったが、そんな気持ちを表に出さぬよう表情を取り繕い、再び飛び立つ。氷雪世界を抜け、街の上空を通り、扉を通過し、先程通る際に倒して未だにノビているサラの前も通り過ぎて、味噌汁の良い匂いが漂ってきている博麗神社の真上を通り、木々の蠢く魔法の森へと翼をはためかせた。

暫く飛び続け目的地に到着した霊夢は、アリスの家の前に静かに降り立ち、小さく呟いた。

 

「…微かにだけどアイツの気配がする…。まさかもうここから離れたのかしら…?夢子は数時間前とか言ってたし、その可能性も無くはないわね。

ま、居なかったら聞き出すまでだけど。……まだ居るわよね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姉ちゃんの人形としての生活が始まって数時間が経過した。確かに俺の変身が解ける気配は無く、この体の支配権は相変わらず姉ちゃんのものだ。助けも未だに来ない。俺1人に出来ることは何も無く、文字通りの操り人形になっていた。

せめて、会話くらいは出来るようにしてほしい。そうすれば叫ぶなり何なりできるのだが。無言で魔法を詠唱しようとしても、やはり俺から行動を起こす事は不可能らしい。どんな姿に変身してもスペルは使えるので、身体の支配権さえ戻れば、この状況を変えられるのだが…そうもいかない。気配の察知すら出来ないのは辛い。

 

「…嘘でしょ?」

 

姉ちゃんが暗い声で呟く。どうしたんだと思い、彼女の方に意識を集中させる。次の瞬間、身体がフワリと浮かび上がり、姉ちゃんの顔の高さまで浮かび上がった。窓の外を見ている。そこに赤と白のリボンが見えた瞬間、思わずガッツポーズをしそうになった。(できないが)

 

「流石は霊夢ね…もうここが分かったんだ……。あなたの気配なら最大限に抑えてるはずなのに」

 

(霊夢は多分、姉ちゃんが相手でも手加減無しで襲ってくるよ。俺を解放するなら今だぜ?)

 

「お姉ちゃんを守るつもり?ふふっ、大丈夫よ。霊夢は、あなたを操ってる私に攻撃出来ない」

 

(ンなワケ無いって…。俺が相手でも平気で攻撃かましてくるよ霊夢は。いや、寧ろ俺だからこそガチなのかな。俺は不死身だし、手加減の必要が無いんだもんな)

 

「それに、この戦いはあなたと私vs霊夢よ。数の利があるわ、油断しなければ気絶させるくらいはイケる…はず!」

 

(断言しよう。ぜってぇ無理!!!)

 

心の中でそう叫んだ直後に、玄関の扉が荒々しく叩かれ、霊夢が扉越しに話しかけてきた。

 

「アリス!あのバカ、まだここに居るんでしょ!夕飯の時間が迫ってるから返して!今すぐよ!」

 

(…よし、やるわよ私…。今日こそ霊夢を倒して私の可愛い弟を奪ってやるんだから…!)

 

気合いを入れた姉ちゃんは扉を開けて霊夢と直接顔を合わせる。その直後、霊夢と俺の目が合った

…ような気がした。

 

「アリス?ここにエスカルゴの妖気がうっすらと残ってるんだけど、何か知らない?」

 

「ええ、知ってるわ。でも教えない。だからもう帰ってちょうだい?」

 

「…その人形、やけにアイツの力を感じるわね。他の人形と違って」

 

真っ直ぐに俺の顔を指さして言い放つ霊夢。もう間違いなく俺だと知られた。これなら…イける。霊夢さえ気付けば、俺は助かったも同然だ。

 

「さっきまであの子が抱っこしてたからでしょ。ね、上海♪」

 

「シャンハーイ♪」

 

体を操作され勝手に返事をしてしまう。俺の意思なんて関係無い。俺は操作型、他の人形の殆どは自律型。そして魔法の糸は普通なら目に見えないので、姉ちゃん以外からすれば操作型も自律型も同じにしか見えない。

 

「知ってて教えない…か。不自然極まりないわ。勝負よアリス!私が勝ったら、アイツについての情報を洗いざらい吐いてもらうわ!」

 

「勝負にノるメリットが無いから、パスするわ」

 

「はぁ!?じゃあ問答無用でぶっ飛ばしてや…」

 

「待ッテ!」

 

「「!?」」

 

お祓い棒を構えた霊夢と姉ちゃんの間に、自律型上海人形が姉ちゃんを庇うようにして割り込む。そして、言ってはいけない事を口にしてしまう。

 

「コノ上海、エスカルゴ!変身シテルノ!」

 

「ちょっ、上海っ!?」

 

「変身?…ふーん、エスカルゴとグルで私の事をこんなに心ぱ…騙してたのね?」

 

「違ウノ!アリスガ独占シタイカラ、無理矢理、操作シテルノ!」

 

「こら上海!何言ってるの!?」

 

「ムグムグ…」

 

「この子ったら、自分がエスカルゴに抱っこしてもらえなかったから嫉妬してるのね…あはは…」

 

姉ちゃんに口を塞がれた上海だったが、次は別な人形達が口々に暴露し始めた。

 

「違ウ!エスカルゴ、ココニ居ル!」

 

「ええ、もう分かったわ…。あのバカはアリスの人形に変身した挙句、能力によって操作されてるって事はね!」

 

「…!」

 

「大体変な話でしょうよ、アイツが人形1体しか抱っこしないなんて。せがまれたら何体だろうと抱っこして、ダラしなくニヤニヤする。…それがアイツよ」

 

「……。流石霊夢ね。あの子の行動くらい、手に取るように分かるのね」

 

「何年夫婦やってると思ってんのよ。5、6年も一緒にいたら、そりゃー分かるってモンでしょ。さぁ、白状しなさいアリス!!あなたがアイツを誘拐し、無理矢理操作している!そうでしょ!」

 

鼻先にお祓い棒を突き付けられた姉ちゃんは頭を垂れて何て言葉を返そうか悩む。しかしここから挽回する手は無いと悟り、認める事にした。

 

「く……くくっ…ふふ、ふふふ…!あっははははははははははは…!!」

 

「何がおかしいの!?」

 

「…そうよ。私が犯人よ」

 

「…!」

 

「ならばどうするの?ここで倒す?…いい?私は犯人。そしてこの子の姉。今の幻想郷はこの子が数多く存在する男達の中で最高のモテ男であり、この子が幻想郷を守っている。これは事実」

 

「??」

 

「もはやこの子は正義。幻想郷の人間…いいえ、力無き者達の希望。そんなこの子の保護者である私を倒す?それで本当にいいの?」

 

「……」

 

「考えてもみなさい」

 

「?」

 

「今日は7月16日よ」

 

「…?そうだけど、それがどうしたってのよ?」

 

「7(なな)、16(いろ)。つまり七色の人形遣いと呼ばれている私の日。そうでしょう?」

 

「だから何なのよ」

 

「私の日は私の誕生日も同然!だから、自分へのプレゼントとして可愛い弟を独占したのよ!!」

 

「何よそれ、さっきのくだり要らなくない!?」

 

「あんなのは時間稼ぎよ!他の上海達に同じ糸を取り付ける為のねぇ!!」

 

「ッ!!」

 

武器を装備した多数の人形達が一斉に霊夢の顔面目掛けて突撃していく。あまりに急な攻撃だったので、霊夢は飛んで回避して距離をとる。

 

「ふふふ…今日はあなたを倒して、この子を独占してやるんだから…♪」

 

「そんなの絶対に許さない!あんたをぶっ倒してエスカルゴだけは絶対に連れて帰るんだから!」

 

斯くして、人形となった俺を賭けた戦いの火蓋が切って落とされた。賭ける対象の俺も戦場にいるワケだが、上海(同僚)達も居るので俺はこのまま流れに流されていようと、考えることをやめた。




ご存知の通り、サラはもう通行止めしてません。なのに倒されたということは…そういう事です。お察し下さい(笑)

活動報告更新しました。サラッと目を通すだけで良いので、読んで下さると助かります。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=219225&uid=220894


ある東方MMD動画を探してるんですが、あまりに手掛かりが少なすぎて、特定が難航しています。
そこで、皆さんの力をお借りしたいと思います…気が向いたらでいいので手伝って下さい…。

《探してる動画の内容》
服をバカにされたへカーティアがキレてる動画
(タイトル、作者は忘れた)

《覚えてる限りの情報》
動画は今年入ってからTwitterで見かけた
使われてるモデルは不明だが、ルナルナさん
(@lunalunachild )が使ってるへカーティアの
モデルと同じ、もしくはそれに近いモデル
動画内での登場人物はへカーティアと純狐、それ以外は居なかった(気がする。クラウンピースも居なかった…ような気がする。ちょっぴり不安)
音声アリ(アニメか何かの音声を利用していた。リプ欄を見る限りでは元ネタ(恐らくアニメ)があるっぽかった)

ブクマに登録してなくて見返せなくて…ここ暫くずっと悶々としてます…暇潰しでもいいのでもし良ければ手伝って下さい…。

またオリキャラだらけの話書いても良いですか?原作キャラも勿論数人出ますが出番は少なそうです。

  • 勿論OK
  • 出来れば暫く控えてほしい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。