※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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肝試し③

「あはははっ、引っかかった引っかかった〜!!エスカルゴさん驚きすぎ〜!」

 

「よ……芳香ぁ…?」

 

 背後に居たのは元キョンシー今は仙人見習いの宮古芳香だった。が、今の格好はあの時のようなキョンシーで、額にも御札が貼られている。

 

「どーしたんだその格好…まさかまた青娥の奴に操られてんじゃねーだろーなぁ?」

 

「まっさか〜!これね、華扇が作ってくれたの!こすぷれってやつ!」

 

「そ、そっか…でもどうして肝試しやるって…」

 

「華扇の動物達が教えてくれたから飛び込み参加してみたの!いやー、ここで隠れてたら急に草が伸び始めてさ、すっごくビックリしたよ〜」

 

「へぇ…そんな事があったんだ…」

 

「ねぇねぇ、これからまだ誰か来る?」

 

「えっと、あと一組だけ来るよ。もう少し手前でスタンバってみたら?別な道に行くかもだしさ」

 

「おっけー!じゃーね!」

 

「はいよー。……うわっ、起きろ妖夢ー、こんなとこで気絶するなよー、おーい?」

 

「うぅ…気絶してた…」

 

 芳香を見送り妖夢の方を振り向くと彼女は地に倒れ伏していて、半霊は地面に落ちてビクビクと痙攣している。俺はそんな様子の彼女を起こし、1つ手前の分岐点まで戻った。

 

「…さて。真っ直ぐと右、どっちに行く?」

 

「真っ直ぐ…。だけど暗すぎて殆ど見えないよ…提灯とか創ってくれない…?」

 

「おっけ」

 

 彼女に頼まれ提灯を一つ創造し火を付けた上で彼女に持たせる。だがこのまま真っ直ぐに行こうと一歩を踏み出そうとしたその時。植物で出来た壁がゴゴゴゴゴと地鳴りにも似た音を立てながら形を変えた。

 

「な、な、な……なんでこうなるのぉぉぉ!?」

 

 妖夢は頭を抱えて絶叫した。なんと壁の変形のおかげで行き先が塞がって、新たな道が出現したのだ。あまりの不意打ちに、最早笑うしかない。

 

「って、おいおい…何だありゃ…」

 

「オバケだぁぁぁ!!!」

 

 壁に生えてきたのは複数の植物だった。何かの頭だけのような奇妙な外見で大きな口が特徴だ。その口には牙がずらりと並んでいて、主に赤色で白い斑点が所々にある。それがこっちを向いて、大きく口を開いた。噛み付いてくると思い咄嗟に妖夢を庇うが、噛み付いては来なかった。

 噛む代わりなのか口から火の玉を吐き出した。

 

「うッ…!?」

 

 咄嗟に結界を張って火の玉を掻き消す。これはパックンフラワーだ。しかも火を吐くタイプの。もしや魔理沙達が遭遇したのもコイツだろうか。ソイツらに道を塞がれ、進もうにも進めない。

 

「狩るぞ妖夢、これじゃ進めねぇ」

 

「やぁだぁ!怖い怖い怖い怖い!!!」

 

「えぇ…」

 

「近付きたくないよぉぉっ!」

 

 首どころか体をブンブンと振って全身で拒否の意を示す妖夢。もはや涙声だ。まさかこれだけでここまでビビるとは。だが泣きそうな妖夢の顔も可愛くて…少しゾクゾクしてきた。

 

「まぁいいや、んじゃ俺が倒すからな。早く先に進まないと。闇爪────」

 

「待ってぇ!」

 

「ッ!?」

 

 弾幕はダメとの事だったので、手に装備させるタイプのスペルを発動させようとしたが、妖夢に腕を抱えられてしまい発動を躊躇ってしまった。

 

「怖いから離れないでぇ!1人はやだよぉっ!」

 

「でもこれじゃ進めないし…」

 

 こうしている間にも、パックンフラワーは数を増やしている。このままでは結界ももたないはずだし、何より全方位から攻撃なんてされたら防ぎきれる気がしない。結界にばかり霊力を使えないからだ。

 

「スキマ使ってよぉ!もう怖いのぉっ!」

 

「それじゃあ迷路の意味が無いでしょ、折角準備してくれたのにさ?」

 

「だって怖いんだもん!」

 

「オバケじゃなくて植物だから!…な?」

 

「オバケ植物だもん!」

 

「………」

 

 腕にしがみついて全く離れない。嬉しい状況であることには間違いない。すごく頼られてるし、向こうから密着してくれている。とはいっても、このままではどこにも行けない。

 

「じゃ…ほら。抱きつく代わりに手ェ繋ぎながら戦えば良いだろ?ちゃんと傍には居るからさ?」

 

「ヤダ。戦うならこのまま戦って!」

 

「何てキツイ注文だそりゃ…」

 

 左腕に抱きついたまま俺を見上げてくる妖夢。片手で戦うことなら、出来るには出来る。そう、出来なくはないのだが、何せ場所と条件が悪い。植物の壁、天井、地面も破壊しないままでこれを倒すには、頭を踏むか狩るか…この二択だろう。

 あまり動けないこの状況を考慮すると、アレを倒す方法は自然と絞れてくる。狩るしかない。

 

「雷武器『雷鎌』外刃Ver.!!」

 

 エリーの持つ鎌をモチーフに外刃の鎌を作り、それを腕だけの力で投げる。軌道は俺の想定よりずっとブレブレだったが、パックンを1匹残らず駆除する事には成功した。…が、目の前の壁には大きな穴が空いてしまった。大きいが、切り込み程度の細い穴なのでショートカットは無理だ。

 

「よっし、駆除完了っと。行こーぜ」

 

「あ…ああぁ…!」

 

「ん?」

 

「うわぁ……足元ぉ……」

 

「??」

 

 行こうと促すが妖夢は何故か一歩も動かない。足元と言うので足元を見たが何もいない。ビビりすぎて勘違いでもしたのだろう。

 

「何も無いぞ、気の所為じゃないか?」

 

「ふえぇ…今何かに掴まれてるよぉ…何かの手で掴まれてる感触あるもん…」

 

「えぇ…?」

 

 だが何も見えない。妖夢の足の周辺にあるのは今駆除したばかりのパックンフラワーの残骸だ。それだけで、他には何も無い。

 

「何も無いけど…」

 

「居るのぉっ!絶対に何か居るのぉっ!!」

 

「???」

 

「あ…あぁあ…太ももぉっ!!触られてるぅ!」

 

「!?」

 

 半ば絶叫に近い声で泣き叫ぶ妖夢だが、やはり太ももには何も居ない。だが彼女が言うには足を掴まれているので歩けなくなっているそうだ。

 

「絶対何か居るよぉ…ふえぇぇ…」

 

「…ちょっと試してみるか」

 

「…?」

 

 反響定位を使った。すると、妖夢の足元周辺に何か物体があることがわかった。すると、なんと小さな子供が凡そ3人……彼女の足元に居るのが分かった。

 

「ははーん…。もう分かったぞサニー、スター、ルナ。見えてないからって少しやりすぎたな?」

 

「へ…?あ、感触が…」

 

 すると、流石に観念したのか、犯人達が素直に姿を現した。サニーミルク、スターサファイア、ルナチャイルドの…通称「光の三妖精」だ。例によって、能力を使用して悪戯していたのだろう。

 

「あーあ、もう見つかっちゃった〜…。サニーがちゃーんと隠さないから…」

 

「はぁ!?私ちゃんと隠してたけど!?スターが無駄に触りまくるからバレたんじゃん!」

 

「そーそー…私もサニーも止めてたのに…」

 

「あら、そうだったかしら♪」

 

「はいはい、喧嘩なら迷路の外でやってくれ」

 

「「「へっ?外?」」」

 

「じゃ、バイバーイ♪」

 

「「「ああっ!!しまったぁぁぁっ!!!」」」

 

 3人の足元にスキマを開いて、湖上と繋げた。予想通り、飛ぶ暇もなかったらしく、3人が水に落ちた音が聞こえてきた。まだ夜も暑い夏だから風邪は引かないだろう。いや、これはアイツらの悪戯のせいなので風邪を引いても自業自得としか言えない。

 

「妖精の悪戯だったんだ…ビックリした……」

 

「これでもう大丈夫だ、行こーぜ♪」

 

「うんっ♪」

 

 どうやらサニーが屈折できるのは日光だけではないらしい。今屈折させていたのは、俺が創ったこの提灯が発している光だろう。月の光すら全く入り込まない植物の迷宮は、光源なんてこれしかないのだから。…というか、サニーの能力は確か

《光を屈折させる程度の能力》だっただろうか。

………てっきり、日光だけだと勘違いしていた。光(日光だけとは言ってない)のパターンだ…。

 重要な点に気が付いた俺は、勝手な思い込みは良くないな、と内心で大きな溜め息をついた。

 きっと、「主に」日の光なのであって、彼女の能力も案外幅が広いのだろう。要注意だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つ……着いたぁ〜……」

 

「楽しかった〜…♪」

 

 迷路を脱出した妖夢は、地面にヘタリ込んだ。俺はそんな彼女の隣に腰を下ろして、闇夜に星が煌めいている綺麗な空を見上げる。

 あの迷路は序盤より終盤が色々とキツかった。小悪魔が仮装して飛び出してきたり、メイド妖精まで参加してきたり、ここあ・シガレット姉妹がエロトラップを仕掛けていたり…。触手は妖夢も本気で嫌がっていたので斬り裂いておいた。

 

「お疲れ。あんた達がビリよ、おめでとう」

 

 どこから出てきたのか、空を眺める俺のそばに霊夢がやってきた。最後から二番目に入ったのに出たのは一番最後だとは。これは、どう考えても光の三妖精というイレギュラーのせいだ。

 

「…ここまで嬉しくない『おめでとう』は初めて経験したよ。ていうか、霊夢はとっくに帰ってるものだと思ってたな」

 

「はぁ?なんでよ」

 

「だってほら……霊夢って待つの嫌いじゃんか。魔理沙も鈴仙達も居ねぇや」

 

「パチュリーも咲夜達もね。…そりゃー朝の3時だもの、解散もするわよ。私は違うけどね」

 

「そーなのか」

 

「あんたねぇ……今夜がどこの日か忘れたの?」

 

「博麗神社の日だろ、忘れるわけないじゃんか。俺ァまだまだボケないぜ?」

 

「…だからその…っ……その…ね……?///」

 

「あ…!」

 

 モジモジと指を絡ませて、目を泳がせる霊夢。しかしその直後、隣に居た妖夢が弾かれたように飛び起き、スカートを翻して走り出した。

 

「じゃ、私はもう帰るね!おやすみエスカルゴ、霊夢!またね!」

 

「ええ、またね」

 

「じゃーな。気を付けて帰ってな」

 

「………私達も…帰ろ…?///」

 

「だな、帰ろーぜ!」

 

 意気揚々と彼女の手をとった俺だったが何故か霊夢は飛ぶ気配もなく、俺の後ろ辺りを凝視して硬直している。何かまずいものでも見たような…恐ろしいものを見たかのような、そんな表情だ。

 

「ちょっとあんた…後ろ…」

 

「ん?」

 

「取り憑いちゃった♡」

 

 …という可愛らしい声と共に、俺の肩にポンと手が乗せられた。背筋に悪寒が走るが、恐る恐る振り向いてみると、そこには天冠を着けた本物の亡霊の少女が居た。





ゆかりんファンタジア、なんかもう…一周回って好きですねww
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