「おはよー霊夢…って、うわぁっ!?」
「おはようエスカルゴくん、良い朝ね♪…あっ、お台所ちょっと借りてるわよ」
「な、なななっ…何で幽々子さんがここに!?」
目が覚めたらイイ匂いがしたので珍しく霊夢が朝食を作っていると思っていたのだが…。台所に居たのはなんと、もう帰ったとばかり思っていた幽々子さんだった。霊夢のエプロンを着けて料理している。そんな光景に驚いた俺は飛び上がってしまい、まだ少しだけ寝惚けていた目は覚めた。
「何でって酷いわねぇ…さっきはあんなにも盛り上がったじゃないの♡」
「いやまぁそうですけど…。というか3尺以上は離れられないって、帰ってくる時に霊夢に言ってませんでしたっけ…?」
「やーね、そんなの嘘よ。もうちょっとだけなら離れられるわ。まぁ、本気で取り憑けばそうなるから、ある意味では嘘じゃないんだけどね」
「あ、取り憑いてるのは本当なんですね。一瞬、それも嘘なのかと思っちゃいました」
「…嘘が良かった?」
「いえ、どちらでも。幽々子さんなら取り憑いた相手に悪い事しないでしょうし、多少は委ねても良いかなー、なんて」
「そうね。それにエスカルゴくんは私の彼氏さんだもの、悪いようにはしないわ♪」
「…!」
夢ではなく本当らしい。それがどこか嬉しく、また少し複雑でもある。幽々子さんは俺と妖夢を保護者目線で見ていたようだが、一方で俺からも幽々子さんのことは保護者的立ち位置の人として見ていたので、彼女ということには少し違和感が残ってしまう。だが嬉しいことには変わりない。嬉しさのあまり頬が緩み、口角が釣り上がるのが隠せない程度には嬉しい。つまりとても嬉しい。
「因みに、本気で取り憑くとどうなるんです?」
「んー…肉体の乗っ取り」
「乗っ取り……えぇ…思ったより凶悪でした…」
「精神が違うだけだから、外見も声も本人のままなのよ。でも纏う気配が少し変わるから、気配を察知するのが上手な人ならすぐに見破れるわ」
「ふむふむ…。吸血鬼と違って色んな事に応用が効きそうですね」
「だと思うでしょう?だけど、そうじゃないの。妖怪は、肉体が強い代わりに精神攻撃に弱いのは知っているでしょう?取り憑くのって精神攻撃の一種に類するものだから、下手するとその妖怪を取り殺す事になってしまうのよ。憑依って相手の精神に影響を与えるからね」
「それは…おっかないですね。……手伝います、次は何を作ります?」
「ありがとう、でもすぐに終わるから大丈夫よ。霊夢達起こしてきて」
「見た所、5人分くらいしか無いですけど…」
「ピッタリ人数分でしょう?霊夢、霊愛ちゃん、霊麗ちゃん、あなた、私だもの」
「あれ…いつももっと食べてませんでしたっけ?それこそ、10人分とか…」
「取り憑いてるからそんなに食べなくて良いの。だから安心して良いわ♪」
「成程。…じゃあ、霊夢のこと起こす前に……」
料理している彼女の後ろから、ゆっくりと前に手を回して抱き締める。そしてエプロンと着物の間に、胸を下から持ち上げるように手を入れる。大きな丸みが手にフィットしてとても心地いい。少し上に持ち上げてみると、ズッシリした重みが手に伝わってくる。
「あん♡ もう、朝からエッチね…♡」
「1回だけ…キスしても良いですか…?」
「そんなこと、いちいち聞くものじゃないわよ?シたいときにすれば良いわ…♪」
「では…遠慮無く…っ」
背後から抱き締めたまま、そっと幽々子さんと唇を重ねる。プルプルと瑞々しい唇と触れ合い、唇だけのキスなのに気持ち良くなってしまう。
「へぇ〜……お父さんと幽々子って、そんな関係だったんだぁ〜?」
「お父さんってば、まーた新しい彼女〜?」
「なっ…
声のした方を見るとそこでは、未だ寝巻き姿の娘達が影からこちらを覗いていた。慌てて抱擁を解き幽々子さんと少し距離をとる。霊愛も霊麗もニヤニヤとしていて、どこか不自然で不気味だ。
「あら大変、見られちゃったわね」
「どうしてこんな所に…」
「起きたらイイ匂いがしてる上に、お母さんでもお父さんでもない別な気配が何故か台所にあるんだもん、そりゃー気になるってモンだよね」
「お兄ちゃんがコレ見たらどう思うんだろーね?アハッ、想像したら笑えてきちゃった♪」
「発狂じゃ済まないよね、絶対。まぁ、妖舞だしそれは仕方ないね。ね、お父さん?」
「お、おう…?仕方ない…のか…?」
「大丈夫、妖舞には秘密にしとくから安心して。ね、霊麗」
「えー?いっそこれ教えちゃって、お兄ちゃんの反応を見るのも楽しそうだなーとか思ったのに」
「楽しいのは間違いないけどお父さんはそんなの望んでなさそうだし?そこまで妖舞のメンタルをぶち壊さなくても良いかもだし、わざわざそんな言わなくてもいいじゃん?」
「霊愛が大人になった…。父さん嬉しい…」
「は?ウザ」
「…」
娘のシンプルな罵倒が、父親の心を削り取る。俺がメンタルブレイクしたあの時は、優しく抱きついて慰めてくれたというのに…。成長は嬉しいものだが、やはりどこか寂しくも感じる。これが女子の思春期だというなら、他の娘達には絶対に来てほしくないと思ってしまう。
昔からベッタリな巫月には思春期が来るような予兆は見られない。……尤も、予兆なんてものは霊愛の時も見られなかったが。
「そーだ、お姉ちゃん、もうお母さん起こそ!」
「それもそうだね。じゃ、お父さんも幽々子も、いつまでもイチャついてないでねー」
「朝から台所エッチは論外だからやめてね〜」
彗星の如く現れ、台風の様に立ち去った2人に置いていかれた俺達は、ポカンと口を開けながら呆然と立ち尽くしていた。沸騰しかけた味噌汁が多少吹きこぼれるが、そんなのは気にもならないくらい、呆然としていた。
「霊愛ちゃんはいつも通りだけど…霊麗ちゃん…普通にソレ言っちゃうのね…」
「めっちゃビックリしました…」
「今、あの子幾つだったかしら?」
「今年5歳になったばかりです。参ったなぁ…」
「いつの日か、あなたにとって
「や、やめてくださいよ…。なんかそれ、地味に有り得そうだから怖いです…」
「霊愛ちゃんが黙っていそうにないから、大丈夫だとは思うけどね」
「まぁ…そうですよね」
「あぁでも、あなたは霊麗ちゃん推しじゃなくて巫月ちゃん推しだものね、霊麗ちゃんはそっちの意味でも大丈夫かしら?」
「推しって……。巫月にだって、流石にそっちの意味では手出ししませんよ…実の娘ですもん…」
「100年後が楽しみね♪」
「………」
互いに手でイかせ合った関係のくせに今更何を言っているのやら、と自分で自分に呆れている。超えては行けないラインなんてとっくの昔に突破している。本番に至るのだって、時間の問題かもしれない。まぁ尤も、そう分かっているからこそこれまでより自制が効いているとも言えるが…。
そしてそれから、2人で手早く料理を済ませて娘によって起こされた霊夢も交え5人での朝食を始めた。
「へー…幽々子、あんたって料理上手いのね…。エスカルゴより上手いんじゃない?」
「そう言ってくれると嬉しいわ」
「見た目も綺麗だし、味も整っててイイ感じよ。全体的にちょっと薄味だけどそれも悪くないわ。食べる量が少なければ、ウチに住んでもらっても良いわよ、どうする?」
「ごめんなさいね、エスカルゴくんからそんなに離れられないからそれは無理よ」
「バカからは早く離れなさいよ。じゃないと……ほら…一緒に寝れないし…」
「そういえば今更なんだけど、どうして幽々子がここに居るの?」
「あ、確かに。どうしてどうして?」
「何よあんた達、まだ聞いてなかったの?なんか取り憑いてるらしいわよ」
「そう、訳あってエスカルゴくんに取り憑いてるのよ。でも退治しちゃダメよ?」
「ふーん…」
「そーなんだ。てっきり駆け落ちしてきたのかと思っちゃった」
「霊麗ちゃん…よくそういう言葉知ってるわね…ちょっと驚いちゃった」
「本読めば普通にそういう言葉覚えられるよ〜」
「そう…」
霊麗のそういう所は、本当に霊夢に似ていると思う。霊愛も本は読むが、この2人程ではない。寺子屋に通ってないので、ある程度本を読ませて知恵をつけさせてはいるが、案外その教育も良いかもしれない。何せ、人生は冒険だ。学校へ行くだけが教育ではない。…幻想郷だからこそ、出来ている事なのかもしれないが。
◆
「じゃ…行ってくるね、霊夢。またな」
「ええ。…幽々子、次ここに来るまでにバカから離れなさいね」
「あらどうして?」
「決まってんでしょーが。一緒に夜とか寝れないからよ。そっちは朝方まで楽しんでたくせにさ…今回私は何もしてないんだからね?」
「ならあなたも混ざればよかったのに」
「混ざ……バッカじゃないの!?何で私がバカとあんたの間に入らなきゃいけないのよ!そっちが遠慮すべきことでしょ!」
「そんなに怒らなくても…。楽しむ時はみんなで楽しんだ方が楽しさ増し増しよ?」
「…私は1対1が好きなのよ。だから、次は邪魔しないで。バカに取り憑こうが何しようがそれはあんたの勝手だけど…私の邪魔だけは許さない。それを肝に銘じておきなさい」
「はーい♪」
(ホントに分かってんのかしらねぇ…)
結局幽々子さんはまだ俺に取り憑いたままだ。だがそれはそれでまた別な楽しさがあるだろうと思うので、幽々子さんがすぐそばにいるといったこの状況を楽しむことにした。
9日に鬼形獣イージー⑨ルート全クリしました。
文字通り、めっちゃくちゃヤリ込みましたね(笑)
八千慧ちゃん、磨弓ちゃん、袿姫様、早鬼ちゃんマジ可愛すぎじゃないですかね。久侘歌ちゃんも可愛すぎて天使に見えてきた……ニワタリ神か。
チルノの日編は…いつか投稿します。いつかね。
本当なら、9月9日9時9分に投稿したかったんですけどね。