※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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やっぱ新聞って読むべきだよね。
それかニュース見るとかさ。


新たに幻想入りした者

「今日の新聞です、どうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

俺は咲夜さんから新聞を受け取り目を通す。

もちろんその新聞とは文々。新聞だ。

 

 

 

今日は“あの宴会”の次の日。

 

1面を飾っているのはあの宴会のことだ。

やはり、“こことは違う幻想郷”からのゲストはかなりの注目を浴びたようで。

 

炎火もそうだが、新聞によると、妹紅もかなり話題になっているようだ。

まぁそれもそうかもしれない。

男勝りな妹紅があんなにデレデレ…というか、女の子っぽくなってるのだから。

こっちの妹紅はどう思ってる事やら…。

 

 

 

そして、次に大きく書かれている(1面と比べるとかなり小さい)のを見て、思わず紅茶を吹きそうになった。

 

見出しに、《新たに幻想入りした男》と書かれていたからだ。

内容は、

 

『“天狗になれる薬”を飲んで、ゲーム中に寝落ちし、気付いたら山のふもとにいて、彷徨っている所を拾われた』

 

と書いてある。

あれれ?

薬服用→寝落ち→幻想入り

って………俺と同じじゃね?

 

「どうかなさいましたか?」

 

「いえ…。この、新聞に書かれている天狗の話…俺と酷似してて…」

 

「そうですね」

 

「……興味あるな」

 

「興味…ですか?」

 

「ええ。面白そうじゃありませんか」

 

「私にはよくわかりませんが…」

 

「どしたのどしたのー!?」

 

フランが駆け寄ってきた。

どこ行ってたんだろ?

 

「おお、フラン」

 

「何が面白そうなの!?」

 

あ、そこか…。

 

「新聞に書いてあるこの“天狗”…面白そうだなって」

 

「え〜…なーんだ、そんなことか…」

 

「そ、そんなこととは何だ…。だって、俺とそっくりなんだぜ?」

 

「そうなの?」

 

「ああ。薬飲んで寝ちゃってからの幻想入り…まるっきり俺と同じだ。場所が違うだけで」

 

……多分、幻想入り“した”んじゃなく、紫さんが“させた”んだろうな。

俺は吸血鬼だったから紅魔館近くに、この男の場合は天狗だったから妖怪の山に…ってところだろう。

 

聞いてみっか。

 

「紫さ〜ん、居ますか〜?」

 

『!?』

 

フランも咲夜さんも驚く。

 

「はぁ〜い♪」

 

「きゃああ!!」

 

「…!」

 

スッと現れる紫さん。

フランは驚きのあまり悲鳴を上げ、咲夜さんはナイフを構える。

 

「おはようございます」

 

まずは挨拶だ。

 

「おはよ〜。それで、どうしたのかしら〜?」

 

「…この新聞に書かれている“天狗”…紫さんが幻想入りさせたんじゃないですか?…俺の時のように」

 

「…それを聞いてどうする気?」

 

「別に。ただ興味があるだけです」

 

「あらそう。…そうよ、私がやったのよ」

 

「やっぱり」

 

「理由はあなたの時と同じよ。あのままあそこにいると異分子として扱われ…ってことね」

 

「ふむ…」

 

「でも彼の場合は、犬耳がほかの人間に見つかってしまってね。1人でゲームしてる時に“眠らせて”、幻想入り“させた”のよ」

 

寝落ちじゃなかったのね。

というか、眠らせたのか…紫さん怖え…。

 

いやそれより…え?

 

「犬耳…?」

 

「その新聞には天狗としか書かれてないの?」

 

「ええ」

 

「その“彼”は白狼天狗よ」

 

「ほえ〜……」

 

白狼天狗…ああ、犬走 椛と同じか。

 

「あと付け加えるなら…」

 

?

 

「あなたがよく知ってる人よ」

 

「!?」

 

「ま、会ってからのお楽しみね♪じゃあねん♪」

 

スッ

 

「待っ……」

 

行っちゃった…。

 

「どういうことでしょう…」

 

「うーん………」

 

「どうするんです?」

 

「会いに行ってみようかな」

 

「えー!?私と遊んでよー!」

 

む。まぁ、最近遊んでなかったしな。

 

「ふふっ…良いぜ」

 

とりあえずはフランのことを満足させるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで1週間が経過した。

まだ会いに行けてない。

 

「なぁ…フラン?」

 

「なぁに?」

 

「少し出掛けてきても良いかな?」

 

「なんで?」

 

「この前言った、天狗に会いに行ってくる」

 

「わかったー。まぁ、昨日遊びすぎたから疲れてるし…うん…いいよ」

 

「そか。じゃ、行ってくる」

 

「いってらっしゃ〜い。気を付けてね!」

 

「おう」

 

玄関から飛び立つ。

 

確か…俺がよく知ってる人…って言ってたっけ?

ダメだなぁ、全くわからん。

検討もつかん。

 

「ま、いっか」

 

どうせ、会えばわかることだ。

 

そう思い、スピードを上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ〜…」

 

着いた〜…。

 

「む、吸血鬼か。何用だ」

 

「最近来たっていう天狗に会いに来た」

 

「!!…貴様に会わせる義理はない。帰れ!」

 

は?

 

「ふーん…なら力ずくで…」

 

「ちょっと待って、エスカルゴ」

 

!?

 

「ゆ…紫さん…」

 

急に後ろから出てくるなよビビるから…。

 

「どうしたんです?」

 

「私の名前出せば通してくれるわよ」

 

「良いんですか?」

 

「ええ、いいわ」

 

「ありがとうございます!」

 

「ふふっ…じゃあね♪」

 

スッ…

 

「また消えた……」

 

神出鬼没にも程があるぜ…。

 

「あ、あれは…や、八雲 紫…!?貴様、八雲 紫と知り合いなのか!?」

 

尻もちついてカタカタ震えている雑魚天狗。

 

「そうだよ」

 

「し、失礼しましたァ!!どうぞお通り下さい!!」

 

頭を下げ道を開ける天狗。

え、紫さんすげぇ。

やっぱ、幻想郷内でも屈指の大物だからかな?

 

「どうも」

 

しばらく登山する。

どこだろう?

 

「あの…」

 

近くにいる天狗に聞こうとして思い出す。

 

前に炎火たちと妖怪の山に攻め入った時、椛はそこそこ頂上付近に居た(はず)。こっちでもそうかもしれない。それに、同じ白狼天狗であるその男も。

 

うん、きっとそうだ。

 

俺はそこへ早歩きで向かう。

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

俺は大体山の中腹辺りまで来ていた。

 

「はぁ…はぁ…」

 

吸血鬼なので、体力はあるが…やはり飛んだ方が良かったかもな…。

 

と、少しだけ後悔していた。

 

そのとき、1組みのカップルが俺の脇を通り過ぎる。

 

「なぁ椛、今日はどこ行く?」

 

「ヒビキとならどこでもいいよ♪」

 

なんだ、椛のやつ、誰かとデート行くのか。

ふふっ、楽しそうだ…。

ま、デートなら誰でもそんなものか。

また今度フランとデートしよう…か……な?

 

ん…?……ヒビキ?

 

「ヒビキだと!?」

 

俺は振り向きざまに声を上げる。

 

「誰だよ俺のこと呼ぶのぁ………え?」

 

その“ヒビキ”と呼ばれた男は、なんとなく見覚えのある顔立ちをしていた。

 

そしてヒビキは、俺と目が合ったまま硬直している。

 

「おいお前……ヒビキっつーのか…?」

 

「あ……え?」

 

俺はその名をよく知っていた。

 

「…ヒビキ、エスカルゴさんと知り合いなの?」

 

「“エスカルゴ”って………お前…まさか兄貴…?」

 

「お前…………俺の…弟か?」

 

「……え?」

 

「いや…信じらんねぇ!!」

 

え?新たに幻想入りした男ってのが俺の弟?

嘘だろう?

 

「ほんとに兄貴なの…か?」

 

俺もコイツもそればかりだ。

堂々巡りで話が進まねぇ。

 

「…よし。本当かどーか確かめてやる。…せーので言うぞ。…母親の名前と、父親のあだ名は?」

 

前のはともかく、後のは家族内でしか知らないことだ。

ホントに弟かどうか証明する為だ。

咄嗟に思いついたにしては、中々有効な手だろう。

 

『せーの……ユキ、J』

 

マジか…。いや、まだだ。

コイツがホントに俺の弟なら…。

 

「もう1つ。お前の兄貴は行方不明になった。…兄貴が何歳の時だ?」

 

「16歳」

 

「……………」

 

即答かよ…。

 

認めざるを…得ないな…。

目の前にいる白狼天狗・ヒビキは、この俺・エスカルゴの弟だ。

 

「………………久しぶりだな、ヒビキ」

 

「兄貴…!」

 

「…え?ヒビキってエスカルゴさんの弟?」

 

「…ああ」

 

「お兄さん居るなんて聞いてなかったんだけど…」

 

「あはは…すまない…」

 

「エスカルゴさんもですよ。弟さんが居るなんて初耳です。文さんからも聴いたことないですよ?」

 

「あはは…そっか…」

 

あいつ…椛に色々しゃべってんのか…。

あと…

 

「なぁヒビキ」

 

「ん?」

 

「お前と椛は…」

 

「うん。付き合ってる」

 

「…そっか。良かったな」

 

「兄貴は?こっちでも彼女出来ないのか?」

 

再会早々生意気だなコイツ。

 

「ド阿呆。3人おるわ」

 

『3人!?!?』

 

「あれ?椛は知ってるかと思ったが」

 

「い、いえ…初耳、です…」

 

「あーそーか、アイツ(鈴仙)とのことは文さんにも言ってねぇや…」

 

「兄貴すげぇ…」

 

「…まぁな。ところで、お前、何か能力あるのか?」

 

「椛にも言われたなそれ…。太刀とか盾とか使う程度じゃねぇのかな?」

 

「ほう…なら俺には勝てんな」

 

「いや、兄貴と戦うなんて無理だし」

 

「なんでよ?」

 

「クレーターの話、聞いたぜ。文さん、遠くから見てたってさ。椛を通じて聞いたよ。まさか兄貴だったとは…」

 

マジか。目撃者居たのか。

 

「見るか?」

 

「見てみてぇ!」

 

「お前が強くなったらぶつけてやんよ」

 

「うげっ…。まーいーや。いつか見せてもらお」

 

そこからはしばらく話をした。

 

「…おっと、つい話し込んでしまったな。デート中だったんだろ?すまなかったな」

 

『別に大丈夫だよ(ですよ)』

 

「そうか。また今度、ゆっくり話そうぜ」

 

『そうだな(ですね)』

 

息ピッタリだな。

というか、すげーそっくりだよコイツら…。

 

「まぁ……こらからもよろしくな、ヒビキ」

 

「…おう!」

 

「また来るぜ。いつがいい?」

 

「いつでも良い!」

 

「オケ。じゃ!」

 

俺はその場で飛び立つ。

もちろん行き先は紅魔館だ。

 

 

 

 

 

紅魔館が見えてきたところで、ふとさっきの光景を思い出す。アイツの見た目……中学生位だったぞ。

 

あれ?アイツって……小学4年生じゃなかったか?

 

幻想郷と外の世界は…時間の経ち方が違うのか?

 

 

 

 

「ただいま」

 

「おかえりなさいませ」

 

「おかえり〜!どうだった?」

 

「どうだったって?」

 

「その天狗のことよ」

 

「俺の…弟だったよ」

 

『弟!?』

 

「ああ。驚いたぜ」

 

よもや…そんな事が…あるなんてな。

 

「へ…へぇ…」

 

「す、凄いですね…」

 

「へっ、犬耳生えてたぜ。しかも、なんか成長してたんだよなー。外の世界と幻想郷って、時間の経ち方が違うのかな?」

 

「恐らく…」

 

「そっかー。まぁ…うん。驚いた」

 

驚いたとしか言えねぇや。

 

「ねぇエスカルゴ」

 

「ん?」

 

「今日はもうやる事って無い?」

 

「無いね」

 

「じゃ、遊ぼ!」

 

「あれ?でも、疲れてたんじゃ…」

 

「エスカルゴが出かけてるあいだにゆっくり休んだから、もう大丈夫だよ!」

 

「そっか!よし、遊ぼう!」

 

「うん!」

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