三途の川の手前、賽の河原に到着した。多くの動物霊が向こうからやってきていたので、霊夢の判断により、動物霊を滅しておく事にした。先程幽々子さんが言った通り輪廻の理を乱す事になるかもしれない。だが俺達が異変解決しに地獄へと行っている間に地上で悪さをされては無意味だ。なので、幽々子さんの忠告を思い返しながらも、渋々従った。
霊を潰す程度で心が痛むあたり、俺はまだ少し割り切れていないのだろう。というか、これまでそんな事に罪悪感を抱くことなんて全く無かった気がするのだが…。
「報告通りだわ…!次々と動物霊達が三途の川を渡ってきている…」
「さっきチラッと親玉みたいなの居たけど、多分それじゃない?」
「いやいや、こんなすぐに親玉に会える訳ない。それなら苦労しないぜ」
「そうそう、魔理沙の言う通りだ。どうしたんだ霊夢、なんか今日は日和見だな?」
「そんな事ないと思うけどなぁ…」
もう間違いない、取り憑いた動物霊のせいだ。カワウソ霊が霊夢に精神的な影響を与えている。妖怪になったからか、あからさますぎる程に強く影響を受けているのがひしひしと伝わってくる。
例を取り憑かせたのは間違いだったんじゃ、と提案しようとしたその時。目の前に、先ほど少し見かけた女の子が現れた。
「おい、お前達!こんな所で暴れるから積み石が全部崩れちゃったわ!」
「積み石?全部崩したわ、何か貰えるの?」
「ごめんなさい、気付かなかったわ」
「アレか?散らかっているだけだと思ってたぜ。更地にしてやったよ、感謝しな」
何故だろうか、全員が全員らしくない。霊夢は謝っているが、そこが彼女らしくない。そして、妖夢も魔理沙もあの女の子を煽っている様にしか思えない発言、表情だ。
先程も動物霊に混じって攻撃を受けたからか、服は少しボロボロになっていて、涙目になってるようにも見える。
「何よその言い方!許さない!積み石は子供達の大切な作品なのにー!私が仇を取ってやる!」
言うなり、福耳の少女は弾幕を発射してくる。青く小さい弾幕を規則正しい配置で彼女を中心に螺旋を描きながら飛ばす。密度が薄いので、まだまだ余裕だ。
俺も弾幕を放って応戦するが、俺の通常弾に、異変が現れた。なんと、蝶の弾幕が紛れている。これは間違いなく幽々子さんの力のお陰だろう。しかも緩めの
「石符『ストーンコニファー』!!」
左右に白い弾幕を放った。すると、その軌跡に水色の弾幕が現れ、徐々に速度を上げながらその中央にいる俺達に向かってきた。
「この弾幕…!完封できるぞ!!」
突如霊夢の口調が変わり、彼女のすぐ目の前に飛び出した。すると、霊夢を中心にカワウソ霊が三体ほどグルグルと周回し始め、少女の放つ白い弾幕を尽く消してしまった。俺達を襲う弾幕は、あの白い弾幕から発せられたもの。それを無くすという事はつまり…彼女のスペルを「完封」する事にほかならない。
「くっ…よく分からない力だけど、卑怯な…!」
「っ…何、今の…?一瞬意識が遠のいたような…って、何これ!?」
頭を手で押さえ、フラフラと飛んでいた霊夢。しかし自身の周囲でカワウソ霊が飛んでいる事に気付き、驚愕の声を漏らす。俺も魔理沙も妖夢も
「何で今驚いている?」と首を傾げるが、それに構わず弾幕を発射し続けている。
「よく分からないけど…この勝負、もらったわ!皆、トドメ指すわよ!!」
「させない!この河原の平和は私が守るの!石符『アダルトチルドレンズリンボ』!!」
「よし来た!ラストはこの私が決めてやるぜ!!恋符『マスタースパーク』ッッッ!!!!!」
箒に飛び乗り瞬時にバランスを取り、手に持つミニ八卦炉を少女に向けた魔理沙は、元気にそのスペルを発動させた。霊夢はそのカワウソ霊で、彼女の新たなスペルによる白い弾幕を粗方消し、マスパに巻き込まれる前に速やかに引き下がる。
刹那、ミニ八卦炉から極太のレーザーが迸り、河原を守ろうとした少女は吹き飛ばされた。
「ふぅ…!やっぱスカッとするぜ!」
「さ、早く次に行こ。今のじゃあ不完全燃焼にも程があるし」
そんなことを言っていると、ボロボロになった少女が、手や足を震わせながらもどうにか身体を起こす。そのつぶらな瞳には涙を滲ませている。
「ぐぐぐ…強い…」
…彼女は悪くない。気付かなかったとはいえ、これは俺達が悪かった。これに関しては、本当に申し訳なく思う。罪悪感がとんでもない。
「おっと、お前の座っていたあの積み石を残していたわ。それを崩したらパーフェクト!」
「おい妖夢、これ以上は…」
「鬼すぎる。お前なんて地獄に落ちてしまえー」
…当然の反応だ。こりゃ彼女がキレるのだってしょうがない。何だか妖夢が妖夢じゃないような気がする。オオカミ霊の影響を受けすぎだ。
何にせよ、ここは俺が平に謝って彼女に怒りを鎮めてもらわなければ。これでは後味が悪いにも程がある。
「本当に申し訳なかった。あとで、彼女にはよく言って聞かせておくから、どうか許してほしい」
「積み石は神聖で尊いのよ…それだけは忘れないで」
「ああ…分かった。覚えておくよ」
ぶっちゃけ、「尊い」のは百合だと思うが…。まぁ、考え方なんてものは人それぞれだ。俺は、彼女の考え方を尊重したい。
「そうなのか、そりゃあ良かったなぁ。石を積んでいるだけで幸せなんて羨ましいねぇ」
「うう……涙が止まらない」
おいオオワシ魔理沙。俺の努力を無に返すな。折角涙がおさまってきた所だったというのに更に追い打ちをかけるなんて、まさに鬼の所業だ。
「ごめんなさいね。ここはただの通り道なんで。貴方には興味ないです」
「それはそれで……なんか酷い……酷いわー…」
…どうやら今回の異変は、俺が胃を痛める事になりそうだ…。
まさかの苦労人エスカルゴ!?
鬼形獣やってて、ふと思ったんです。
これ、ただ瓔花ちゃんが可哀想なだけじゃね…?
そして、一枚目のスペルは、カワウソ霊を上手く使うとマジで完封出来ます。イージーとノーマルくらいなら出来ますが、ハードからは難しかったです。(作中で使わせたスペルはハードとルナのものですが…)