今日は普通にフランとデートする──ハズだった。
「あー……マジかー……」
弟が幻想入りしたことについて、俺は悶々としていた。嬉しいようで嬉しくないような……そんな感じがするから。
特別仲良しだったわけじゃないし、なんなら一生会わない覚悟もしていたのに。
「しかもたった1週間くれぇでデートまで漕ぎ着けるたぁ、アイツもやるねぇ…」
…デート…か。ふむ…。
「フラン」
フランが1人になってるときを見計らってそれとなく話しかけてみた。
「なぁに?」
「明日…デートしないか?その…2人でさ」
「うん!いいよっ!!」
「よっし!!」
「エスカルゴから誘われるのって初めてかな!?」
「多分!」
「うふふふっ♪嬉しい♪」
フランは喜んでくれた。それだけで俺は嬉しい。
そして次の日。
『いってきまーす!』
「いってらっしゃいませ。お気をつけて」
『はーい!』
レミリアに知れると色々大変そうなので、咲夜さんにだけ話した。後でバレるだろうがな。
館を出てからはしばらく歩いた。
森を越え川を(飛んで)越え…。
「あ、お花だ!」
「ホントだ」
道端に1輪の花が咲いている。
「ごめんね、えいっ!」
ブチッ
一応謝ってからそれを千切る。
「な、何するんだ?」
「えーとねー…」
??
「エスカルゴは私のこと……好き…嫌い…好き…」
花占い!?
好き、嫌い、を繰り返しながら花びらを1枚ずつ千切っていく。
「……………………」
千切り終わった花をポイッと投げ捨てる。
黙って俯いている。羽も垂れ下がってる。
「ど、どうだった?」
聞かずとも結果はわかってる。この様子じゃ…。
「うっ…うう…」
…泣いてるぅ!?
「ど、どうした!?」
「エスカルゴ…私のこと嫌いなの?」
おのれ花め…!
「んな訳ないだろ、大好きだよ!」
と言って強めに抱き締める。
「でも花占いだと…」
「占いだからアテにすんな、外れる事もある!」
「うん……」
全く…これくらいで泣くなんてな…。
いや、それだけ俺のこと……。
しばらくの間そうしていた。
「さ、そろそろ行こう」
「…うんっ♪」
…落ち着いてくれたか…。
「あ」
「ん?どした?」
「ここって…」
博麗神社近くの森だな。
まさか霊夢のとこ行こうなんて…?
「霊夢のとこ行こ?」
…以心伝心ってやつ?
「…おう」
神社に着いた。
「霊夢〜。来たぞ〜」
お茶をくれ〜、と心の中で付け足す。
「やっほ〜♪」
「あら、来たのね」
霊夢は庭…というか賽銭箱前を掃除していた。
『別にいいだろ(でしょ)?』
「まぁね」
「ん?そーいや、今日は紫さん居ねぇんだな」
いつも居るのに今日は居ないから少しだけ違和感を感じる。
「そういえば今日はまだ見てないわね」
「ふーん」
「最近の頻度から考えると、紫が現れないなんて考えにくいけど…」
と、その時。
『!!』
「ふぅ…」
スキマが開き、中から紫さんが現れた。
『こんにちは!』
「…こんにちは」
?なんか様子がおかしくないか?
「ねぇエスカルゴ?」
「はい?」
「今ね…とんでもなくイライラしてるのよ」
「は…はあ…」
突然何よ?俺に言われても困るで?
「だからね…あなたに八つ当たりしてもいい?」
!?
「や、八つ当たり…ですか?」
「ええ」
どーせ弾幕ごっこだろ?どうせ負けるだろうけどそれで気が晴れるってんなら。
「ま…まぁ…良いですけど…」
「そう…。なら…」
「?」
「…今のあなたにとっての、一番の苦痛を与えてあげるわ」
なんか寒気が…。な、何するつもりだ?
「……ほぇ?」
足元にスキマが開き…
「うあああああああああああああああああ……」
『エスカルゴぉぉぉぉ!!』
飛ぶ間もなくそれに落ち…意識を失った。
「──い!おい!しっかりしろ!」
「……んが?」
「目ェ覚めたか!おい俺だ、覚えてるか!?」
コイツは…!
「おまっ…何でここに…?」
殺してやりたいほど嫌いな従兄弟…!!
テメェまで幻想入りしたんかよ!?
…ブッ殺してやる…!
「“何でここに?”だと?そりゃこっちのセリフだ!!なんで駅なんかで寝てる!?というか今までどこに行っていやがった!? 2年近くも行方不明だったんだぞ!」
…駅? 2年? 行方不明? なんのこっちゃ。
というか、ヒビキもそうだけどお前老けてねぇ?
「どーゆー、ことだよ?」
「?周りを見ろ」
言われるがままに周りを見る。
「ここは…!」
「わかったか?○○○駅だ」
俺が薬を買った駅…!
てことは…ここは現実世界…!?
その頃────博麗神社
「紫!?エスカルゴに何をしたの!?」
私には何が何だかわからない。ただ、紫がエスカルゴをどこかにやったってことしか分からない。
「………はっ!?私は何を…」
「?何言ってるの?早くエスカルゴを戻して!」
…紫が、我を失ってたの?
「ええ。今やるわ」
紫はスキマを開こうとするけど…スキマは一向に現れない。
「どうしたの?」
「……どうしましょう」
「どうしたのってば」
「……力を消耗中に外と繋げたせい?…もう1回繋ぐほどの力が……」
『外の世界!?』
フランとハモった。
「え、ええ…私は一体……」
「いつ戻せるの!?」
「…2日後くらいには…」
「それまで待てないわよ!!折角のデート中だったのに!」
「ごめんなさい……でも、絶対に連れ戻すから、待っててくれるかしら?」
「…お姉様に言ってくる!」
「あ…」
言うなり神社から飛び立ったフラン。
「紫…あんたねぇ…!やっていい事と悪い事があるのよ!?」
「ごめんなさい霊夢…でも絶対に連れ戻すわ」
「そうしてもらわなきゃ私も困るのよ!!てか、なんでそんな意味不明なことすんのよ?」
「本当にごめんなさい……。ちょっと昔の問題が再燃しかけてて、気が動転していたの……本当にまずいわ、外とパイプのある妖怪に連絡を……」
「ったく……。ま、あいつなら2日くらい何とかなるわよね」
「それが…」
「?」
「外の世界と幻想郷では時間の経ち方が違うみたいだから…ここの2日は向こうでは8日なの……」
「8日ですって!?」
驚いた…そんなに違うのね…。
「ええ…まぁエスカルゴなら何とかするわよ」
あんな羽があるのに、無事に済むかしら…?
でも……
「無事に戻ってきてよね、エスカルゴ…!」
突然の地味なシリアス?な展開。
時間の経ち方が違うっていうのは完全にオリ設定ですね。そうしないと未来と……。