※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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予約投稿の日時を一日間違えていたので、慌てて修正しました(笑)



Aブロック予選(後半)

「えー、それでは、Aブロック予選第五試合っ!いってみましょー!!」

 

 雛はそう言うと、にとりが待つ実況席へ戻り、今度はにとりが入場者のアナウンスをする。このブロックの後半組はこの8人だ。

 

 

┏┻┓ ┏┻┓ ┏┻┓ ┏┻┓

紅 霊 ロ 神 ア 袿 パ 魔

美 夢 リ 綺 リ 姫 チ 理

鈴   ス   ス   ェ 沙

 

 

 …後半の初っ端から美鈴vs霊夢とは。これは…美鈴の無事を祈るしか無いだろう。勿論美鈴には勝って欲しいが、霊夢の事も応援したい。

 そもそもこの環境自体が、美鈴にとっては些か不利に働くかもしれない。植物が全く無いので、生気を吸い取れないのだ。観客から吸う事ならば出来るが、それはOKなのかどうか不明だ。所謂グレーゾーンというやつだ。

 

「居眠り門番は数年前に卒業!最近はしっかりと門番しているよ!紅美鈴~~っ!!」

 

「美鈴?もしこの試合に勝てたら、給料を三倍に引き上げてあげても良いわよ?」

 

「ほっ、ホントですかぁ!?分かりましたっ!!お嬢様の名に恥じぬ働きをしてみせますッ!!」

 

 お金で釣られたか、と思ってしまったが、よく考えてみればお給料が三倍なんて魅力的すぎる。釣られない方が珍しいだろう。

 

「対するは、異変解決や妖怪退治を生業とする、幻想郷で知らない人は居ないッ!!赤い通り魔で博麗の巫女である、博麗霊夢だァァッッ!!!」

 

「誰が赤い通り魔よっ!!」

 

「頑張れ霊夢、もしお前が勝ったら…そうだな、あとでお茶たかりに行くぜ!」

 

「勝っても得しないじゃないの!全く、どいつもこいつも好き勝手言って!容赦しないわよ!」

 

「霊夢さん…!私の為に負けて下さいねっ!!」

 

 硬く握った拳を霊夢に向ける美鈴。彼女の目はとても輝いており、自信と希望に満ち溢れた顔をしている。

 観客もワクワクしている。どちらが勝っても、会場はとても盛り上がりそうだ。

 

「第五試合、始めぇぇっ!!」

 

「行きますよっ!ハァァァッ……」

 

 後方に砂を飛ばして肉薄して、一瞬で霊夢との間合いを詰める美鈴。腹は狙わず、敢えて顔面を狙って拳を突き出すが……。

 

「……っ!?き、消え……」

 

 当たるかと思われた所で、霊夢が姿を消した。しかし次の瞬間、美鈴の真上に現れ、肩車をするように乗っかって、胡坐のように両足で首を固定してしまった。

 

「なっ、こ、これは…まさか…ッ!?ちょっと、こりゃ無いですよ霊夢さん…!?」

 

「格闘家のあんたなら(・・・・・・・・・)、死なないわよね?」

 

「うっ────!?」

 

 霊夢は体重を乗せて横向きに回転、美鈴の首を破壊しにかかる。すると、ボキッと小枝が折れるような嫌な音が響き渡って、会場がシンと静まり返った。

 ドサリと倒れる美鈴だが、霊夢は彼女が倒れる前に飛び降り、服についた埃を手で払う。美鈴の首は横に90°以上曲がっていて、誰がどう見ても、彼女は死亡していた。

 

「ほらにとり、私が勝ったわよー?何か実況とかアナウンスとか無いわけ?」

 

「…こ…………殺し、たんじゃ……?」

 

「あー?殺してないわよ、美鈴を見てみなさい」

 

 霊夢に言われ、観客や実況組は総じて倒れ込む美鈴を注視する。やがて彼女は首が折れ曲がったままで立ち上がり、グラグラになった自分の頭を元の位置まで持ち上げて、上から押し込むように手で押さえた。

 

「え…えぇっ!?な、何でぇ!?だってさっき、ボキッて凄い音が聞こえてきたよ!?」

 

「…?ッ……!?」

 

「いやまぁ、それは簡単な事ですよ。頚椎を外す事により死亡を回避したんですね」

 

「「……ッ!?」」

 

「まぁ、まさかこんな技を掛けられるとは思っていなかったので、かなり焦りましたけど……」

 

「「????」」

 

 俺含め、会場中のほぼ全員が首を傾げている。何故、頚椎を外せるのか。何故、簡単に直せて、すぐに活動を再開できるのか。

 

「外せるとはいえかなり痛かったんで、暫くの間悶絶してました…アハハハ…」

 

「……で、どうする?試合続行する?」

 

「ええ、勿論!イキますよッ!!」

 

 …その後、目にも止まらぬスピードで拳を繰り出す美鈴だったが、空間に囚われない霊夢はその猛攻を躱し続け、最終的に美鈴は首に強烈な回し蹴りを受けてしまい、敢無く負けてしまった。

 

「決まったぁぁぁぁぁ~!!第五試合決着だー!予想外な展開でしたが、赤い通り魔の勝利~!」

 

「誰が赤い通り魔よッ!!ぶっ潰すわよ!!!」

 

「さぁさ、第六試合に参りましょー!!」

 

「無視すんな!…ったく、通り魔だなんて…」

 

「お次は魔界からの参戦!山の英雄エスカルゴの母親、魔界神神綺ッ!!!そんな彼女のお相手はまさかの実の娘だった!マガトロじゃない子供のアリス~~~っ!!」

 

「いやーにとりさん、予想外のカードきたわね!まさか親子で参戦して親子で戦うなんてねぇ…。果たしてどんな戦いを見せてくれるのか… 」

 

 アリスことロリスは、何を探しているのかよく分からないが、全方向を見渡している。どこか、焦っている様子だ。運営に間違いは無い、ならば何をそんなに焦っているのだろう。

 

「大丈夫よアリスちゃん、私達はいつも通りに、弾幕ごっこを楽しみましょう」

 

「お母さん、お兄ちゃんは…?来てないの…? 」

 

「カルちゃんねぇ、来てるはずよ?」

 

 せめて、皆の前でその呼び方はやめてほしい。小っ恥ずかしいし、威厳などその他諸々が一瞬で崩れ去ってしまう。

 これ以上の母による無意識の暴露を防ぐ為に、観客席から離れ一番前の通路に立つ。すると妹はこっちに向かって手を振るので、俺は無言で手を振り返す。

 

「よーしっ、お兄ちゃんも居るし、頑張るわ!」

 

「良いわね、兄妹愛…♪」

 

「いよいよ第六試合を始めよーっ!試合ぃ~……開始ィィィィッ!!」

 

 二人は、ステージをいっぱいいっぱいに使って距離を取り、同時に弾幕を発射し始める。それは幻想郷の住民が見慣れているような美しい弾幕…ではなく、攻撃性がありありと現れている、酷く荒々しい弾幕だった。

 俺はもう見慣れているので、何とも思わない。しかし観客からしたら、あまり試合観戦に夢中になれていないようだ。

 そんな観客達だったが、中にはそんな荒々しい弾幕を食い入るように見つめる者が居る。何れも幻想郷ではない世界の住民だったが…。

 

「うぅ~っ、お母さぁん!少しは手加減してよ、私が弱く見えちゃうじゃないっ!」

 

「大丈夫よ、これだけで実力は推し量れないわ。私も負けるのは嫌だから………大人気ないけど、もう決めちゃうわね♡」

 

「ひっ……。こうなったら…!『黄金の魔法』!

…あーん、合体魔法だったよおおっ!お兄ちゃん助けてえええぇぇぇ!!」

 

 密度を増やした母さんの弾幕を見てテンパったロリスは、あろう事か俺との合体魔法の方を詠唱してしまった。当然、それが発動する訳もなく、大きすぎる隙を見せた彼女は全身に弾幕を浴び、ステージの壁に叩きつけられてしまった。

 

「…こーさーん…。降参するよぉ……。うぅ~…決勝戦で巫月ちゃんと戦いたかったぁ…」

 

「ドンマイアリスちゃん!今回に限っては相手が悪かったよ、今度戦おっ!」

 

 観客席から巫月がそう励ますと、涙ぐみながら小さく頷いた。それからは母さんに手を引かれ、静かにステージを後にした。

 

「色々あったけれど、このまま第七試合、いってみよー!先程のアリスの姉!人形のことだったら何でもお任せ!アリス・マーガトロイドー!!」

 

「対するは、畜生界の造形神…先程の埴輪兵長が仕える神!埴安神袿姫だーっ!!!」

 

 出会った時と同じく、作業着と頭巾姿で袿姫がステージに舞い降りる。姉ちゃんは、袿姫の力をすぐ読み取り、既に複数の人形を展開している。

 

「第七試合、始め~っ!!」

 

「一気にキメる。試験中『ゴリアテ人形達』」

 

 俺達観客は、目を疑った。入場時に姉ちゃんが展開していた複数の人形全てが、巨大なゴリアテ人形へと姿を変えたのだ。当然、本人は動けず、人形の操作で手一杯だ。

 

「何だよアレ…あんな…何体もゴリアテが…!」

 

 魔理沙が、声を震わせながらも呟いた。四体のゴリアテ人形は、タイミングを少しズラしながら袿姫に切りかかる。同時ではないので、袿姫からしてみれば少しやりにくいだろう。

 

「あらまぁ、本体がガラ空き。こんなの、一発でキメて下さいと言ってるようなものね。もっと、自分の守備を固めてからにするべきだったわ」

 

「くっ………!」

 

「しかたがない、しかたがないねぇ……。もう、これでおしまいにしてあげるわね。線形『リニアクリーチャー』!!」

 

 縦と横、そして斜めからの細いレーザー群は、人形の隙間を縫って直線に進み、複数の方向から姉ちゃんに攻撃を浴びせた。普段なら耐える事も出来た攻撃だ。しかし今は特別に無防備な状態、尚且つ気が逸れていた事で、魔力の流れが乱れ、人形の操作が覚束なくなってしまった。

 

「く…うぅっ……!やっぱりダメね、たくさんのゴリアテ人形はまだ魔力の負担が大きすぎた…。これ以上やっても無駄だから降参するわ……」

 

 銃を突きつけられているかのように手を上げ、降参の意をアピールする。観客達は、姉ちゃんが

「魔力の負担」という弱点を克服した時の事を皆一様に想像し……そして戦慄していた。

 

「それではそれでは、Aブロックラストの試合、始めよー!人間を辞めた自称普通の魔法使い!!水道工事も異変の解決もお任せだ!これ絶対普通じゃないよね!霧雨魔理沙~~~~っ!!!」

 

「対するは動かぬ大図書館!紅魔館の知恵袋!!役に立たないと誰からもボロクソに言われているけれども、今日の勝利で力を見せつけられるか!パチュリー・ノーレッジ~~~~っっ!!!」

 

 ステージに二つの人影が現れる。片方は、箒を持って魔女の帽子を被っている魔理沙で…反対は頭から小さな翼が生えている、小悪魔だった。

 

「…あれれ?ステージに来たのは……小悪魔さんですねぇ。もしもし小悪魔さーん?魔理沙さんの相手はパチュリーですよー?」

 

「それが…喘息の発作を起こしてしまい、倒れてしまいました…」

 

「はぁ!?何だそりゃ…そりゃないだろ…」

 

「原因は魔法の副作用です…。魔理沙さんが相手という事で、パチュリー様は、たとえ一時的でもいいからと持病の喘息を全快させる魔法をその場で作り、すぐに使用した結果………真逆の効果が現れてしまい………」

 

「…発作が起こり、倒れた、と…」

 

「残念ながら…」

 

「……こんなのあるかよ…馬鹿野郎………チッ」

 

 小さく舌打ちした魔理沙は、誰が見ても分かるほどにあからさまに不機嫌な顔で観客席に戻る。確かに、こんな結果ならそうなるのも仕方ない。

 きっとパチュリーも、何だかんだでイベントを楽しみにしていたに違いない。それが裏目に出る結果になろうとは、普段から冷静なパチュリーを以てしても予想がつかなかったことだろう。

 

「…これは仕方ない…。しかし何だか惜しい気分ですね…魔法対決が見れそうだったのに…。では魔理沙さんは不戦勝という事になりました!この権利を生かすか殺すか…?」

 

「あぁ、やっぱり生かすしかないよな。あいつの分まで、私が代わりに暴れてやるさ…!」

 

 グッと箒を握りしめた魔理沙は、次の試合への期待に胸を膨らませ、観客席へと戻って行った。




よっ、紅海王(ホンかいおう)!!頚椎を外せるとは流石だッ!!
転蓮華(てんれんげ)、おっかない!
(今回の美鈴vs霊夢の元ネタは烈海王vs刃牙)

うーむ…。一試合ずつ書くのもいいけど、読む方からしてみればやっぱりダルいですよね?もしも俺が読者側だったら少し焦れったいかも…。
Bブロック以降は、要所以外は飛ば(スキップ)しますかね。
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