※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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アナウンスとセリフとの区別がしやすいように、アナウンスは斜めにしました。それから、勇儀が天魔の屋敷に乗り込んだ話から新章にしました、ご確認ください。




Bブロック予選(前半)

「Aブロック予選は無事終了!それじゃあ早速、Bブロックの予選もやっていこーっ!!」

 

「「「オオオォオオオオオッッ!!!!」」」

 

 実況も観客達もかなり盛り上がっている。このトーナメント企画の広報を手伝った俺としては、イベントが大盛り上がりするのはとても喜ばしいことである。

 

 

┏┻┓ ┏┻┓ ┏┻┓ ┏┻┓

咲 勇 文 に 鈴 樹 霊 巫

夜 儀   と 仙 里 麗 月

      り   愛

 

┏┻┓ ┏┻┓ ┏┻┓ ┏┻┓

レ ヤ 霊 キ 神 早 穹 へ

ミ マ 愛 ス 奈 苗   カ

リ メ   メ 子

ア

 

 

 Bブロック予選第一試合は咲夜さんvs勇儀だ。結末としては、時間操作で行われる翻弄が勇儀を苛立たせ、己の怪力にものを言わせて咲夜さんを殴り飛ばし、ステージを半壊させ咲夜さんを重体に陥らせた事で決着がついた。

 尚、咲夜さんには俺が治癒魔法を掛けた上で、母さんがステージを修復させたので、心配は無用である。

 第二試合は文とにとりが対戦した。かなり良い勝負をしていたと思うが、僅かに格闘経験が豊富だったらしいにとりに軍牌が上がった。

 文も弾幕格闘の経験はそれなりにあるが、まだにとりの方が慣れていたというのもあるらしい。俺は文が勝つと予想していただけに、少し意外に思えてしまった。

 …この流れだと、Bブロック本戦の一回戦目は勇儀vsにとりなのだが…。まぁ俺からは特に何も言わないでおこう。彼女は文に勝てて喜んでいるのだから、その気分を今ぶち壊したくない。

 三試合目は鈴仙vs我が娘樹里愛だ。鈴仙は大人なので、先程の母さんのように大人気ない戦いはしなかった。だがそれ故に樹里愛に付け入る隙を与えてしまい、一時は窮地に立たされた。そこで鈴仙は能力を使って、樹里愛に幻覚を見せ、その隙に打ち倒すというダーティな策を実行し…勝利してしまった。

 俺としては、喜べばいいのか悲しめばいいのかよく分からない試合だった。

 そして、ついに迎えた第四試合目。俺は、このブロックではこの戦いを一番楽しみにしていた。というのも、Bブロック第四試合目は、可愛い娘同士が戦うのだ。楽しみに決まっている。成長を見る事が出来るいい機会でもあるのだから。

 

「お次はBブロック第四試合だ!博麗の巫女の娘であり、かの山の英雄の娘!純粋な吸血鬼だが、姉と同じく博麗の巫女を目指している!スーパーロリ巫女、博麗霊麗~~~っ!!!」

 

「そんなロリ巫女の相手は、山の英雄の子供達の中で何年も最強をハッている電撃&波長使い!!ファザコンを拗らせているハイパーロリっ子ッ!巫月・優曇華院・スカーレットぉぉぉッッ!!」

 

(波長は見るだけだってば…)

 

 パタパタと羽ばたいて入場する二人。あんまり慣れないシチュエーションだからか、それなりに緊張しているように見える。因みに、この戦いに勝った者がBブロック本戦の一回戦二試合目にて鈴仙と戦う組み合わせだ。

 巫月の能力はスキマを3~5つ開ける程度には成長している。だが霊麗も、最近は霊愛に負けず劣らずの成長を見せている。

 二人の歳の差は実に八歳、しかし実力はあまり離れていない。少し前ならば巫月の圧勝だろうと思われたが、今なら分からない。もしかしたら…もしかするかもしれない。

 

「あーあ、とうとうきちゃったね…お姉ちゃんと戦う時が…。気乗りしないなー…」

 

「ふふん、それなら降参したらどーお?私が勝つ未来は九分九厘変わらないし」

 

 巫月は、成長するにつれて鈴仙要素がチラホラ垣間見えるようになった。それならそれでとても可愛いし、親子なのだから似るのも当然だろうと割り切っていたのだが、せめて、ドヤんげ要素は似ないでほしかった。

 鈴仙は自分に自信があるし、ドヤる事も多い。それは悪くないとは思っているが、それ故に敗北している事が大半だ。鈴仙本人は、とても強い。だがもしも巫月が彼女に似たら…母と同じ末路を辿る事になりかねない。

 

「巫月、油断すんじゃねーぞ?最近の博麗姉妹はかなり力を付けてきてるからな」

 

「大丈夫だよ、負けないもん。最悪でも相討ちに持ち込める方法は幾つかあるしね」

 

 まずい。これは、本格的にまずい。その慢心が油断だと言っているのに全く通じていない。この舞台に立って己の力を誇示しようとしているのか分からないが、まずい事になった。ここまで酷く油断している事が、これまでにあっただろうか。

 

「大した自身だね!だがしかしその言葉に見合う力を持っているから凄いッ!それでは第四試合、始めェッ!!」

 

「えっと、スペルカードは三枚までだったよね。じゃ、長持ちするスペルを使った方が、より長くお姉ちゃんを苦戦させられるねー」

 

「私を苦戦させる?いーよ、やってみなよ、絶対楽に突破してみせるから!」

 

 そんな会話を観客席で聞いている俺としては、もう気が気でない。母である鈴仙は…永遠亭組の何人かで纏まって座っているが、しっかり試合を見ている。

 ふと思い立った俺は、一人で感染するのをやめそちらへ行ってみる事にした。

 

「よっ。来たよ鈴仙、サグメ」

 

「やっほ、どしたの?」

 

「巫月がますます鈴仙に似てきたなと思ってな。つい鈴仙に会いたくなった」

 

「何それ~」

 

 そう話していると、何も言わず俺の脛に蹴りを入れ、絡んでくる黒髪の美女が一人。

 

「ちょっとちょっと、私の事は無視~?」

 

「いやそんな事は…。姫も永琳先生も相変わらずお元気そうで。はい」

 

「今更畏まったって遅いけどー?私達の事はもう永琳にも他の皆にもバレてるんだってば。いや、それより演技下手すぎじゃない?こんなんだから嘘もすぐバレちゃうのよ?」

 

「うん知ってる」

 

 演技を見抜かれ辟易している俺の元に、今度は美しい銀髪で片翼の美女がやってくる。俺の腕を抱えてどこにもいかせないように固定してくる。

 

「やっと来た…」

 

「やっと…ってどゆこと?」

 

「来ると思ってたのに、中々来なかったから…。私にももっと…喋らせて」

 

 まさに天使。サグメは天使じゃないが天使だ。俺と地上に居たいが為に不老不死となって穢れをものともしない身体になるなんて…何度考えても並大抵の覚悟ではないと思い知らされる。

 

「分かった分かった、そばに居るから。そんなに腕固定しなくても…。な?」

 

「…うん…」

 

「それよりさ、サグメはこの戦い、どう見てる?俺は…巫月が負ける事も有り得ると思ってるが」

 

「……分からない。あの子…霊麗とは戦った事が無くて実力があまり測れない。普段なら、戦わずとも相手の実力くらい測れるのに…。私の感覚が鈍ったのだろうか…?」

 

「鈍ったとか、そんな事はないと思うけどなぁ。永琳先生はどう思います?」

 

「概ねサグメと同意見よ。霊麗ちゃんは、実力を隠しているでしょう。恐らく彼女の真の実力は、霊愛ちゃんや霊夢だけが知っている……もしくは本人しか知らない。そんな感じがするわね。ここ一番でそれを発揮されたら…巫月ちゃんでも少し危ないと思っているわ。特に最近の彼女は、悪い意味でウドンゲに似てきているし」

 

「わ、悪い意味でってどういう事ですか!?」

 

「自信過剰なのよ。一度負けなきゃ性格の矯正は難しいと思うわ…。このままじゃ、巫月ちゃんはウドンゲの二の舞になる」

 

「うぅー、なんか酷い言われよう…」

 

 やはり考える事は同じらしい。霊麗の実力は、父親の俺でも全く分からない。博麗姉妹は母より真面目に修行しているし、将来的に巫月を大きく上回る実力にまで成長しても違和感が無い。

 そして、俺達がそんな話をしていると、ついに霊麗が一枚目のスペルを発動させた。

 

「いくよお姉ちゃん!霊符『夢想封印』!!」

 

「ッ!!」

 

「遂に出た!博麗の巫女の得意技だーっ!妖怪を問答無用で封印すると言われている夢想封印!!それを実の姉にぶつけようとするとは、流石は、赤い通り魔・博麗霊夢の娘、博麗霊麗!!これに対して、兎と英雄のハーフっ子はどのように対応するのか!?」

 

「こんなの、当たらなきゃ意味無いよっ!」

 

 夢想封印はホーミング性だ。しかも、一度しか狙わないタイプのものである。つまり一度避けてしまえば後の事は気にしなくていいのが常だ。

 …が、霊麗の夢想封印は少し工夫が凝らされているらしく…。

 

「当たるもん!いっけぇぇっ!!」

 

「はぁ…!?何それ、聞いてないよ……!」

 

 一度巫月が回避した弾幕は、霊麗の合図で再び巫月に向かい始める。しかし巫月は、その弾幕の再回避に集中しすぎるあまり、霊麗本人から目を離してしまう。

 

「ここだよっ、お姉ちゃん♪」

 

「霊麗っ……!!」

 

 巫女服の袖から取り出したお祓い棒を、巫月の首に叩きつける。力加減はしているのだろうが、それでも霊麗は吸血鬼で、巫月の体は吸血鬼程の耐久性を有しておらず、その衝撃に負け、ついに膝をついてしまった。

 

「巫月…。いや、褒めるべきは霊麗なのかな…。畜生、巫月最強伝説もここまでなのか………?」

 

「…父親としては複雑な気持ちなんでしょうね。長女の巫月ちゃん、五女の霊麗ちゃん…どちらもあなたの娘なんだから…」

 

「ったく、永琳先生ってば……。さとり並に心を読んできますね…」

 

 霊夢の能力の本質は、空間に囚われない事だ。つまるところ、世界間での移動はできなくても、短距離ならば瞬間移動が可能という事だ。現に、霊夢だってスキマのようなものを開いているし、何なら空中に瞬間移動して蹴りを浴びせてくる。霊麗も、その移動法を実行したという訳だ。

 

「う………くぅっ……!」

 

「流石お姉ちゃん、しぶといねー」

 

「…私には、エスカルゴと違って霊力が無い…。空間を繋ぐ程度のスキマは開けても、それを広げ身を隠せるレベルには達してない。私のスタミナだって大した事ない。だけど………エスカルゴの真似くらいなら、私にだって出来るんだから!!エスカルゴの子供で最強なのは、ずっと私よ!」

 

「それはどーかなっ!霊符『夢想封印』!!」

 

 二度目の夢想封印。次に喰らえば、巫月だって身がもたない筈だ。しかも夢想封印は、ほぼどのシリーズもホーミング性だ。それを避けるだけの体力が、今の巫月にあるかどうか。

 

「っ…………!!」

 

「やめろ巫月、降参しろ!ボロボロになってまで戦う事に意味はねぇ!!」

 

「ふふふっ、やっぱりお父さんはお父さんだね。巫月お姉ちゃんに降参してほしいってさ♪」

 

 掠り、被弾して、たまに霊麗からの直接攻撃を受けて、巫月はどんどんボロボロになっていく。俺は、一番大好きな娘がそんな事になるのがもう耐えられず、つい勝負に口出しをしてしまった。ダメだと分かっている、しかしルールでは禁止はされていなかったはずだ。

 それならば、せめて俺の言葉で巫月の気持ちが降参の方に傾き、降参してくれるように、一縷の望みに縋り付くのみだ。

 

「ダメだよ…?私…おねーちゃん、なんだから…妹には、負けられないもん……。逃げる訳には、いかない…んだからね…!」

 

「巫月ッ……!!頼む…頼む…!そうだ、どんなお願いでも聞いてやるから…!例え道徳に反してようと、倫理に背いていようと……お前の望みを叶えてやるから…!今は、今だけは、俺の頼みを聞いてくれ…巫月……!!」

 

 巫月が負けるのが嫌という訳ではない。彼女がボロボロになっていくのが嫌なのだ。どうして、ここまで心がザワつくのか。それは分からない。だが、これだけは分かる。俺は、いつでも巫月に笑っていてほしい。勝っていても負けていても。だから、ボロボロになってまで巫月が戦う必要は無い、俺はそう思っている。

 

「………」

 

「アハハッ、なんか凄いね!お父さんがあんなに必死になるなんて中々無いよね~…お姉ちゃん、愛されてるなぁ…」

 

「訂正してよ…エスカルゴ…。『巫月が勝ったらどんなお願いでも聞いてやる』……ってさ…」

 

 膝をつき、手で何とか身体を支えている状態の巫月が、そう訴え掛けてくる。俺としては絶対に認められない申し出だ。だから、それを断ろうとするのだが…。

 

「…巫月ちゃん、まだ戦う気ね…。エスカルゴ、彼女の勝負観に口出しするのはもうやめなさい、彼女にだって思い切り戦いたい時があるのよ…。

『負けが成長に繋がることがある』の。これは、あなた自身が昔から体験してて誰より知っている事実じゃないの」

 

「…だけど……巫月がボロボロになっていくのを見るのが辛いんです…。勝っても負けても、すぐ治療してやるから………戻ってきてくれ………」

 

「勝たなきゃ戻らないよ…。だから…私を、応援してよ…。エスカルゴ…らしくないよ…?」

 

「…そこまで言われちゃあ…しゃーねーよな…。頑張れ、巫月…もし勝ったら…どんなお願いでも聞いてやるからな…………」

 

「ふ……ふふふっ…!言質…取ったからね…!私勝っちゃうから…よく…見ててね……」

 

「お姉ちゃんには勝たせないよ!今日こそ、私が勝って、いつかは霊愛お姉ちゃんより強くなってみせる!トドメの…霊符『夢想封印』ッッ!!」

 

「ッッ!!!!」

 

「ああああぁ……巫月……」

 

 三度目の夢想封印。三度目の正直という事か、フラフラだった巫月が夢想封印を回避出来る筈もなく、今度こそステージに倒れてしまった。

 

「きっ、決まった~~~!!何度も立ち上がれる不屈の闘志、しかし夢想封印の前に力尽きたか!姉妹間の司令塔、ついに代替わりの時なのか!?やはり、博麗の名は伊達ではない!!父親すらも唸らせる博麗霊麗の実力は凄まじかっ……」

 

「─────三枚っ!」

 

「ッ……!?」

 

「三枚、使っちゃったね。まぁ、霊愛に勝てない霊麗じゃ、私にはまだまだ及ばないんだけどさ」

 

「こ、これはどういう事なのか!?倒された筈の巫月の声が、会場中に響いてくるぞ~~ッ!?」

 

 どこからか聞こえてくる巫月の元気な声。未だステージに倒れ伏している巫月は動いておらず、しかもそんな元気な声を出せそうもない。

 

「結構成長したね。私もだけど。……じゃあね。一閃『Mishap of Thunder』!!」

 

「─────ッ!?」

 

 ステージ中央の真上に大きな魔法陣が広がる。霊麗は飛び立とうとするが少し間に合わず、叩き付けられるかのような勢いの落雷に打たれ、墜落してしまう。

 

「えへへへっ、私はここだよ~♪」

 

 声のした方を見ると、先程魔法陣があった所に巫月がフワフワと浮かんでいた。傷一つもなく、とても元気な様子だ。

 

「な、な、な、なんと…!!本物はずっと空中でフワフワしていたというのか!?それなら今まで我々が見ていたのは一体………!?」

 

「っ……まんまとしてやられたわね…。私達は…ずっと幻覚を見せられていた…」

 

「凄いわ巫月!……参考にしよっと……」

 

 永琳の頬に一筋の汗が光る。口元がヒクヒクと引き攣っているのを見ると、永琳までもが完全に騙されてしまっていたらしい。

 

「…おねーちゃん…それ…ズルいよぉ………」

 

 墜落してもどうにか動いていた霊麗だったが、最後にそう呟いて、先程の幻覚の巫月のように、完全に動かなくなった。

 俺としては相変わらず複雑な心境ではあるが、今は巫月が無傷で、更に霊麗に勝てた事がとても嬉しかった。

 

「どーお、エスカルゴ?勝っちゃったよ?」

 

「ああ…!良くやったよ、巫月ぃ…!」

 

 観客席へと戻ってきた巫月は、俺に抱きついて上目遣いになると、天使のような微笑みを見せてくれる。俺は何と言えばいいのかよく分からず、とにかくハグするしか出来なかった。

 

「どーだった?えーりん先生♪」

 

「完全に騙されたわ…。完璧な擬態だったわよ。よくできました、巫月ちゃん」

 

「えへへっ…。ねーエスカルゴ、耳貸して…?」

 

「んー?」

 

「次に永遠亭でゆっくりする時は、お願い聞いてもらうからね…♡」

 

「……ッ!!」

 

 何をお願いされるのかはまだ聞いていないが、何となく察せてしまった俺であった………。




姉より優れた妹など存在しないのかもしれない!
それともまだ抜かされていないだけなのか……?
そこはご想像にお任せしますw





因みに、スターから見た磨弓の印象は「不気味な存在」です。スターはその能力で生き物の気配を探る事が出来ますが、磨弓は生き物ではないので気配を探れません。
なのでスターにとっては不気味な存在なのです。
魂は肉体があって漸く生命として活動できる、と思っているので、磨弓は袿姫から「魂魄」のうち魄を吹き込まれてるものと捉えています。
(エスカルゴが袿姫から力を借りて巨人に自我を与えて動かしてるのもそう)

如何に自我を持とうと、身体を動かせようとも、魂が無ければ生き物という枠組みには入らないと考えています。
なので磨弓はスターの能力の対象外です。
………というのは俺個人の解釈なんですけども、普通に考えて、埴輪が生き物になるのかな…と。
食事や休養も不必要、これもはやロボですよね。原作設定で「磨弓の動力源は魄」と明言されたらめっちゃ嬉しいんですけど…。

磨弓に関してもう少し詳細な設定が欲しいです。書籍での彼女の出番に期待ですね。
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