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幻 エ ル く 夢 カ
月 リ イ る 月 ル
┃ ズ み ゴ
「Cブロック第六試合はっ!!はるばる夢幻世界からの参戦!!天使のような悪魔で、その美貌に惑わされた英雄が、何と自分から想いを伝えたと言われている!凶悪な力を持つ魔性の美女悪魔、幻月~~~!!」
「対するは、その幻月の配下の悪魔!!タイルを剥がしたりするらしいが、ここにタイルは無い!どんな戦いを見せてくれるのか!逆刃の鎌使い、夢幻館門番のエリー!!!」
「いやー、今日は悪魔ばかりだね!何だか彼らが一致団結したら、幻想郷が支配されるような気がしてきちゃったよ…。ま、そんな事にはならないはずだけど。…それじゃあ第五試合、始めッ!」
「…早くダーリンの活躍見たいし、さっさとこの戦いは終わらせましょ、エリー?」
溜め息混じりに身構える幻月。彼女は弾幕より肉弾戦で戦いたいらしい。確か前に夢月と二人で幽香を倒した時なんかは、肉弾戦だった。彼女は肉弾戦でこそ本領を発揮するのだろうか…。
「そうだね!じゃあ幻月が私に負けてよね!!」
幻月に悟られるのを防ぐ為か、ほぼ溜めが無い状態で鎌を投げるエリー。しかし幻月は、それを顔を背けただけで回避し、足に力を溜める。
「そいつは無理な相談ね!そもそもあんたが私に勝てるとでも思ってんの?…ハアアァァッ!!」
「あーん、もー…容赦無さすg………」
バキッと嫌な音が響いたと思えば、彼女は既にステージの壁に叩き付けられていた。壁は当然の如く破壊されていて、頬にグーパンの跡がついたエリーは目を回している。
「あんたが私に勝つなんて1億年と2000年くらい早いのよ、おバカさん♪」
「いっ……一瞬で終わったぁぁぁぁ!!何というパワー!何という戦力差!!幾ら凶悪だからと、ここまでの戦力差は前代未聞!!!………あっ」
「ッ────!!」
背後から飛んでくる逆刃の鎌。それはエリーが試合開始と同時に投げたものだった。彼女の鎌はブーメラン式なので、エリーと幻月の間を自然と往復したのだ。
幻月にとってはかなりの不意打ちだ。しかし、それすら彼女には通じなかった。振り向きざまに手を伸ばし、回転する鎌を手掴みしたのだった。
「…ふぅー…あっぶな…。ったく、忘れてたわ、エリーの鎌は返ってくるって……」
「こっ、これは凄い…!!高速で回転する鎌を、まさかの手掴みで止めてしまったァァァァ!!!恐ろしい動体視力だ!!」
「悪魔幻月、本戦進出決定~~~~!!!」
「フン、当然の結果よ」
誇らしげに胸を張った幻月は、エリーと彼女の鎌を持って観客席に戻った。程なくしてエリーは目を覚まし、次のくるみの試合を今か今かと待ち始めた。
第七試合は魔界人ルイズvsくるみ。ルイズは、魔界人とはいっても一般人よりかは多少力が強いらしく、序盤はくるみと互角に戦っていた。だがスタミナは並らしく、少しずつ押され、ついには僅差で敗れ去る事となった。
そして、とうとうCブロック第八試合。そう、俺の番がやってきたのである。楽しみにしていただけに、ついつい表情が緩んでしまう。
「Cブロック第八試合は!メイド服だけどメイドではない!翼は無いが、幻月の双子の妹だとか!しかも幻月よりも凶暴というタレコミもある!!最凶の悪魔、夢月のご登場だ~ッ!!」
フリフリのスカートで金の短髪の美少女が出たからか、観客席の男…主に地底の鬼達が、野太い咆哮を上げる。夢月は可愛いので、興奮するのも仕方ないとは思う。
「そんな夢月の相手をするのは!山の英雄にして神の寵愛を受けし悪魔!!度が過ぎた女たらしで有名なあの人!!ファッションセンスぶっ壊れのエスカルゴ・スカーレット~~ッ!!」
いつもの公の行事とは違って、河童の女子達が居ないので、キャーキャーと歓声が聞こえてくることは無い。…娘達の声はノーカンだ。
今日は、験担ぎのために「Welcome♡Hell」のTシャツを着ている。先程鈴仙からは冷たい目で見られたが、この服のどこがダメなんだか俺には分からない。全く以て理解不能である。
《良いのよッ!似合ってる、似合ってるわッ!!流石、私とペアルックなだけあるわ!》
《だよね、似合ってるよね。まぁこれは、自分で創造した方なんだけど。へカーティアから貰った方は、最初だけ着て綺麗にとっておいてあるよ》
《あら、嬉しい♡…そうそう、ピースもあなたを応援してるからね、絶対に勝ちなさいよ?》
《…勿論》
「お兄さんが相手かぁ。ま、相手に不足は無い…って感じかな。そっちはどうか分からないけど」
「夢月が相手なんて、準備運動にしちゃ激しすぎだよ。お手柔らかに頼むぜ?殺さない程度にね」
「でもさ?私に勝ったら、本戦じゃくるみが相手なんだよね?物足りないんじゃないの?私で満足しちゃったら、くるみじゃ物足りなくなるよ♡」
意味深に聞こえるのは俺だけではないだろう。夢月はそれを狙って言っているに違いない。
「さぁ……どうだろうな。そこはやってみなきゃ分からないよ」
「ふふっ…殺さない程度に甚振ってアゲル…♡」
口元に手を当てて、妖艶に微笑む夢月。思わずドキリとしてしまうが、そんな事で興奮している場合ではなかった。ここで勝たねば話にならないのである。彼女と出会った当時は、妹紅と組んでやっと互角だったが、今はどうだろうか。俺は、かなり成長しているはずだ。負けるはずがない。いや、負けるわけにはいかない。
「それでは…試合、始めェッ!!」
「行くよ、手加減なんてしないからッ!!」
幻月と同じく、夢月も肉弾戦らしい。ならば、俺は弾幕と武器で対応しよう。スペルを使うなら比較的長持ちするタイプにしないと、少し損した気分になるし、スペル選びは慎重にせねば。
「雷装備『勇……ぐぎっ…ぎゃあああッ…!?」
身を守る為の鎧を出して、そして武器も同時に手にしようとしたその刹那、夢月の温かい指が、深々と眼孔に突き立てられた。
左目をやられた。右目から見える景色は半分が暗くて、夢月の顔も全体が見えなくなっている。しかし彼女が笑っているのは分かる。
「アハッ、アツくてヌルヌルしてて気持ちいい♡もうちょっと奥に入ったら脳ミソに届くかなぁ?お兄さん死なないもんね、大丈夫だよね?」
確かに俺は、目ん玉が潰されようとこれしきのことでは死にはしない。痛いだけだ。……それがかなりキツイのだが、痛みに慣れる早さには少し自信がある。
「死には…しねー……」
「ッ!?ちょっ、ちょっと何?どうして戦ってる途中におっぱい触ってくるのよ…?もうっ…皆も見てる…」
「関係…無いだろ?今は俺と夢月の戦いだ…。なぁ夢月…一回だけキスしてくれない…?」
耳元で囁くように、小さな声でお願いする。
これなら観客席の皆には聞こえないし、あまり恥ずかしい思いをする事も無いからだ。
「ダメだって…こんなとこで…///」
「イイじゃん、一回だけ……な?」
「…もうっ……一回だけなんだからね…///」
残った片目から最大限に
「っ……もぉ……騙されたぁ……うぐ~………」
力なく崩れ落ちた夢月抱きかかえ、ゆっくりと彼女に潰された目を治癒させる。何が起きたのか事態が飲み込めていないのか、にとり達はポカンとしているばかりだったが、俺が視線を向けるとハッとしたようにアナウンスを再開した。
「これは驚いたァァァ!!騙し討ちだ~~ッ!!英雄とは思えないダーティな手段!しかしそんな手段も使えて初めて英雄と成るのかもしれない!正攻法に拘らないのがこの英雄だーーーっ!!」
まぁ、概ねその通りだ。正攻法には拘らない。今こんな手を使ったのは、目玉を潰されて焦ったというのもあるが、距離を取ろうにも彼女が骨を掴んで離してくれない可能性があったからだ。
あんな至近距離では、俺に勝ち目は無い。故に何か策を講じる必要があった。ましてや相手は、極めて凶悪な夢月なのだから。
因みに言うと、作戦は他にも幾つかはあった。魔術『
「…よってCブロック第八試合は、英雄の勝利で幕を閉じる事となった~!続いて、Dブロックの予選に移りたいと思いまーすっ!!!」
まさに悪魔…