※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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Aブロック本戦(一回戦後半②)

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リ チ ク 磨 霊 神 袿 魔

リ ル ラ 弓 夢 綺 姫 理

┃ ノ ピ         沙

 

 

「じゃっ、行ってくるぜ霊夢!」

 

「気を付けなさいね。相手はこの前のアイツよ」

 

「分かってるって。この前のアイツだからこそ、手の内は既に分かってるってモンだぜ」

 

「そう単純にいくといいけどね…」

 

「袿姫様、ご武運を!」

 

「頑張ってくるわ」

 

「さぁ、とうとうAブロック一回戦最後の試合の始まりだ!最後を飾るのはこの二人!埴輪兵長の上司で、土と水で何でも作れるといわれている、圧倒的な力を持つ造形神(イドラデウス)!!埴安神袿姫~!!」

 

「対するは、予選は惜しくも不戦勝だった不完全燃焼な魔法使い!霧雨魔理沙だーっっ!!!」

 

「あらあら、あの時の魔法使いさんじゃないの。あなたが相手とは…。全力でかかってきなさい、そうでないと面白味に欠けるわ」

 

「全力を出すまでもない、多分素の私で十分だ!お前こそ全力で相手してくれよな、そうでないと私がつまらん!」

 

「お互いに挑発しているぞ!これは激しい戦いになりそうだ!!それじゃあ第一回戦の第四試合、始めェッ!!」

 

 魔理沙は星型弾幕、袿姫は弾幕を弾幕で囲んでより大きくさせたものを大量に放つ。魔理沙は、持ち前のスピードでサクサクと回避していくが、袿姫に焦る様子もない。寧ろ、遊んでいるような雰囲気すら漂わせている。

 

「タダの弾幕じゃあ面白味に欠けるわね。じゃ、そろそろ一枚目のスペルを使わせてもらうわね。そうねぇ…それじゃ……『鬼形造形術』!!」

 

 早苗の御札のように横に広く並んだ赤い弾幕、そして二つの正方形が重なったかのような配列で青い弾幕も発射してくる。狭いが、弾幕避けには慣れている魔理沙なら、速い速度を維持したまま回避できるだろう。

 

「んなっ……最初からラスペだと…ッ!?一気にカタをつけるつもりか…!」

 

 この前の戦いでは、確かにこのスペルを最後に使っていた。だが、ただそれだけでこのスペルをラスペだと判断するのは早計というものだろう。

 

「いいえ、違うわよ?」

 

「!?」

 

「あの時はたまたま、このスペルカードまでしか使えなかっただけよ。その前に倒されたからね。そして私はね、弱い順にスペルカードを使うの。そのスペルを、あと三枚も私は残している…その意味がわかるわね?」

 

「な…ん………だと………?」

 

「尤も、ルール上使えるのはあと二枚だけどね。ほぅら、あんまりボーッとしていると、痛い目に遭うわよ?」

 

「────ッ」

 

 こうして、彼女の弾幕を客観的に見ていると、前回より難易度が跳ね上がっているように見えてしまう。いいや、実際に上がっているのだろう。魔理沙が以前よりも相殺・回避に苦労している。

 へカーティアについてもそうだが、一般妖怪の俺が、こんなにも強い神様から力を借りていてもいいのだろうか。どう考えても規格外すぎる。

 

《構わないのよ?そもそも神話上でだって、神は好き勝手に力を与えているんだから。そうよね?へカーティアさん?》

 

《そーね、全く以てその通りよん。私の従姉妹神アルテミスは、ケンタウロス族のケイローンに、己の持つ力の一部を与えたの。神話っていうのはパターンが幾つかあるけれど、「アルテミスから狩猟の技術(ちから)を授けられた」というのが正しいわ。神に愛されていたケイローンは、他の神々からも力を与えられていた。今のあなたと同じように。まぁ、彼の場合は、父親が時の神クロノスだったというのもあって、神の子供だったからだけど。つまり、同じく神の子であるあなたも神々からの力を受け取る資格があるってワケ。もっと自分に自信を持ちなさいな》

 

《…へー…やっぱ神様本人からのお話は違うな。また今度、時間ある時に聞かせてくれない?》

 

《えー、面倒だからやーよん。紅魔館で神話の本読んでなさい。間違ってたら教えてあげるから。それじゃダメ?》

 

《はーい…分かりましたよーだ…》

 

《あぁ、因みにケイローンは射手座の元になった男だから、彼関連の神話を知りたい時は射手座の神話を調べるとイイわよん。そこから他の星座、神話へ広げられるし》

 

《おぉー…!》

 

《何だか面白そうねぇ。私も異国の神話について少し知識を深めてみようかしら》

 

《それは良いと思うけど、あなたは、今の試合に集中したらどうかしら?》

 

《それもそうね、あの子は真面目に向かってくるみたいだし、私も少しは真面目にならないと》

 

 神話に想いを馳せるのをやめ、俺も魔理沙との試合に意識を戻す。すると、未だ膝に乗っているピースが、小声で話しかけてきた。

 

「おい、急にボーッとしてどうしたんだよ?」

 

「んー…?少しへカーティアと喋ってた。…なぁピース、少しモフらせてくれない?」

 

「あたいは猫じゃないぞー?…別にいいけどさ」

 

「サンキュ」

 

 彼女の肩に顎を乗せて、汗や彼女の匂いを直に貪るように嗅ぐ。彼女の頬に頬擦りすると、少し擽ったそうに肩をすくませる。

 

「なんだよぉ、擽ったいなぁ…♪」

 

「モチモチほっぺ堪んねぇなって思ってよぉ……柔らかくて柔らかくて、もう最高だぜ…」

 

「けっ、変態だなぁ…」

 

《ねぇねぇ?イチャついてるけど少しは私の試合見てくれてもいいんじゃないの?寂しいわよ?》

 

《すんません》

 

 袿姫の可愛いちょっとばかり不貞腐れたような声が聞こえてきたので、ピースの頬を触りつつ、改めて試合に注目する。

 魔理沙はスペルを温存しているのか、未だ通常弾幕しか使っていない。たまにレーザーのようなものも発するが、マスパほどの貫通力や攻撃力は有していないように見える。そもそも範囲が狭いので簡単に避けられている。

 

「ふぅん…。やっぱり一度体験しただけあって、このスペルは簡単に避けられちゃうみたいねぇ。こうも簡単に対策されちゃうと悔しいものね」

 

「悔しいんならヘラヘラしてるなよ……絶対そう思ってないだろ?」

 

「じゃあ、二枚目のスペルに移行しようかしら。あなたも見てみたいでしょう?」

 

「めんどそうだからブッ倒す!!恋符『マスタースパーク』ッッ!!!」

 

「埴輪『イドラデウスクリーチャー』」

 

 ミニ八卦炉に淡い光が集う。光が段々強くなり遂に放たれるかと思った所で、袿姫の方が僅かに早くスペルを発動させた。

 袿姫の横に、もう一人の袿姫が出現した。

 そして、前面にバリアのようなものを張ると、難なくマスパを弾いてしまった。

 

「「ふっふっふ、どちらが本物の私だかあなたに分かるかしら?」」

 

「分身だと!?いや、奴の事だ、分身というより埴輪って感じか…」

 

 大抵の場合、背後には魔法陣が現れる。袿姫も先程までは魔法陣があった。しかしこのスペルを発動させた直後、それが消えてしまった。しかも埴輪の方にもそれがない為、判断に困る。

 俺の分身の場合は、本体である俺にあるので、敢えて分身に魔法陣を出させる事で見抜きにくくさせているのだが。

 

「弾幕を出せるのが二人だから…」

 

「密度も二倍になるのよねぇ♪」

 

 すると「リニアクリーチャー」のような弾幕…レーザーが飛び出す。流石に「二倍」と豪語するだけあって、発射されるレーザーによってできる網目は小さくなって、前後左右上下、ほぼ全ての穴が埋まりつつある。

 不可能弾幕などと言われないようにする為か、レーザーの時間は短めになっている。それでも、かなり短いスパンで発射されているので、あまり変わらないような気がする。

 

「ちっ、あちこちカスリすぎた…服がもうボロくなっちまってる…なんて威力だ…。こうなったら私も分身してやるぜ!─────…」

 

 弾幕を避けながら呪文を詠唱する魔理沙。その目はカッと開かれていて、対象……袿姫から全く視線を逸らさない。目が乾かないのかと少し心配してしまう。

 

「─────いくぜ!ハアアァァッ…!!」

 

 詠唱を終えると、翼を生やす変身する時の様に魔力の柱が立ち上り、彼女が気合いの籠った声を発すると辺りは禍々しい光に包まれる。

 光が収束すると、そこには翼を生やした二人の魔理沙が浮かんでいた。これで二対二になった。力量はともかく弾幕の物量は互角だ。観客席からその一部始終を見ていた俺は、そのとんでもない魔力の圧に圧されて、変な汗が出てしまった。

 

「両方の背中に魔法陣か…。けど、まだまだ力の流れを隠すのが下手ねぇ。魔力の流れを見れば、どちらが力を送り込まれている分身なのか、一目瞭然よ。『ジオメトリッククリーチャー』!」

 

 しまったという表情になった魔理沙だったが、タダではやられるハズもなく…。袿姫のスペルに対して高密度な星型弾幕で応戦している。しかしこれが神との差なのか、高密度vs高密度でも若干魔理沙が押されている。

 

「…ふむ。もう少し横に広げればいけるかしら」

 

 ある程度は螺旋状に並んでいた弾幕だったが、それが少しずつ形を崩していき、遂に魔理沙達は被弾した。袿姫はすかさず追加で弾幕を送り込み大ダメージを与える。

 先程のスペルが終わったことで、袿姫の弾幕の密度は幾らか薄くなっている。それでもまたもや少しずつ密度を濃くしてくるから恐ろしい。

 

「ッ…しま、った……!!」

 

 袿姫の弾幕は、分身も本体も両方吹き飛ばし、ステージの壁に勢いよく叩き付けた。分身の方はそれによって消えてしまい…と思ったら、なんと両方の魔理沙が消えてしまっていた。

 

「これは……ッ!?」

 

「私はここだッ!星符『ドラゴンメテオ』!!」

 

「ッッ────!!」

 

 頭上の極めて至近距離から太いレーザーを発射されてしまい、袿姫は地面に叩き付けられた。

 魔理沙は瞬間移動の魔法を習得しているので、吹っ飛ばされたと思わせておき、実は本人は頭上へと移動していた…可能性もある。もしも本当にそうなら、恐ろしい戦術だ。初見ならほぼ防げるはずがない。

 翼を出す形態になっていることで火力も数倍に膨れ上がっていて、さしもの袿姫も、体の自由を奪われているようだった。

 

「決まったぁぁぁ!!一回戦第四試合決着~!!勝者、霧雨魔理沙!!魔法による分身という奇想天外な戦術により、神を打ち倒してしまった!」

 

「凄いわ…どれが本物だったのか全くわからないくらいに精巧な分身だったわね……」

 

 アナウンス二人がそんな会話を紡いでいる頃、現場では、魔理沙と袿姫が何やら話し込んでいる様子だ。地獄耳なので意識をそちらに向け、少し合法的に会話を盗聴させてもらう。

 

「うっそぉ……今ので倒したと思ったのに……。高速移動…?それとも…瞬間移動……?」

 

「どっちも違うぜ。お前が吹っ飛ばしたのはな、実は両方分身だったのさ」

 

「な…ッ!?で、でも確かに魔力は片方からもう片方へ流れていた筈…!背後の魔法陣を介して、確かに…確かに流れ込んでいたのよ……ッ!」

 

「あー、それな…。実はまだ、二人同時に分身を作るのに慣れていなくてな。分身を作った時に、与えた魔力が片方に偏ってたから、それを均等にしようとしてただけだったんだよ」

 

「…………!?」

 

「精巧な分身を作るには大量の力を必要とする。お陰で、上空で待ち構えていた私の魔力は変身前くらいに落ち込んでいたよ。だから、もしあの時お前が頭上の私の存在に気付いていたら……今頃そこに寝ていたのは私の方だったな」

 

「程よく温かくて、寝心地が良いわよ。あなたも寝てみる?」

 

「いや、それはゴメンだ」

 

「……成程ねぇ。己の魔力を二体の強力な分身の魔力で上書きして隠していた、というわけね…。攻撃の要である魔力すら囮にするなんて、あなたどうかしてるわよ…」

 

「そりゃどうも。…とはいえ、あの弾幕で分身を壊されるのは想定外だったぜ、はっきり言って。こうしてお前を倒した後、魔力を吸収するつもりだったのに…」

 

「ふふふっ…じゃあ、あなたの力を削れたという意味では、私が奮闘した甲斐はあったってことになるかしら…?」

 

「生憎だが、次私が戦う前に一試合あるのでね、その時間を使って回復してみせるさ」

 

 次は確か…チルノvsピースだ。成程、これなら試合は長引きそうだ。魔理沙の魔力もある程度は回復できるかもしれない。何なら、薬でも使えばいいだけの事だ。

 …それにしても、魔理沙が分身なんてしたら、いよいよ俺は本格的に勝てなくなりそうだ。




♪うらせってーをあっぷでーとしました♪
夢幻姉妹≦エスカルゴ→夢幻姉妹≧エスカルゴ
(この設定を使うとは言ってない)

イドラデウスクリーチャーはオリスペカですね。
磨弓を作れるんだから自分の姿をした埴輪だって作れるよね、という発想です。

へカーティアにギリシャ神話について喋らせるとついつい長くなる…すみません。

魔理沙と袿姫のどちらを勝たせるかで、めっちゃ悩みました。早くDブロック本戦書きたいです。それから、トーナメント編は少なくとも今年中に終わらない予定です。そらそーだ。

キリいい所まで書いたらクリスマスと年末年始編書く予定です。その時期だと、リアルはそんなに忙しくないので。今年も安定のクリぼっちです。なんか思ってたのと違いますけど、異文化理解はしてるつもりなので素直に受け入れてます。
冬休み中盤は母国に帰るとの事なので、リアルの俺は原作のプレイと執筆しかやる事が無くなるのです。宿題?知らない子ですね。

数週間後
⑨「宿題が驚きの白さ!」
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