「フゥー……」
俺は物陰に隠れて、束の間の休息を取っていた。
しかし近くから戦闘機のような音が聞こえてくる。
「っ…!?またかよ!?」
蔭から覗くと、戦闘機が何機も連なって辺りを探索しているのが目に入る。
そして、爆弾のようなものを投下。
「へっ…そんなん当たんねぇよ、バカがよ」
だが…本能が言っている。“喰らうと死ぬ”と。
「…雷鎧『サンダーアーマー』最大出力!!」
「うわわわっ!?」
それは爆発し、建物は全て倒壊。
鎧越しに、とんでもない熱を感じる。
まぁ、炎火の方が熱いのだが。
でもここにいては危ない。逃げるしかない。
俺は影から飛び出し、戦闘機よりも速く、戦闘機よりも上空を飛んで逃げた。
今落としたのはもしや…原爆?
それともそれ以上の…水爆?
どちらでも良い、とりあえず逃げよう。
数時間後、俺は日本の北端、北海道に来ていた。海外に逃げようと思ったが、無理だ。食べ物が俺の口に合うとは思えないし、何より日本から出たくない。
「はぁ〜……」
あの時従兄弟を殺さなければこうはならなかったのに…。いや…そもそもなんでこの世界に?
確かに俺にとってはこの上ない苦痛だよ、この世界は。そんなことを思いながら、建物の影で眠りにつく。
しかし、更に数時間後。
「…!」
さっきも聞いた、戦闘機の音で目が覚めた。
陰から覗く。
「やばい!!」
また先程の爆弾と似たようなものを…しかも複数投下した。ネットや教科書で、あの形は見た事がある気がする。
「雷鎧『サンダーアーマー』最大出力!!」
再び鎧を発動。
その爆弾は無慈悲に全てを破壊する。
「うあああああ!!!」
瓦礫の波に飲まれ、そのまま流される。度重なる疲労によりストレスは頂点に達していた。
けれども、飛び出す直前に考える。
敵勢力は複数。
対して俺は1人で、しかも力があまり残ってない。
逃げる事も可能だがそれでは勝てない。
俺は一計を案じる。
俺一人で勝てないなら同士討ちさせれば良いと。
「…よし」
俺は瓦礫から飛び出し、わざと戦闘機へ向かう。
パイロットが勝ちを確信したような顔で俺を見、笑って何かを発射するが、俺に当たるなりそれは音を立てて消える。
そして戦闘機を持ち上げ…。
「うおおおおおおおおお!!」
戦闘機同士をぶつける。2機は爆発した。
だが、ほかにもまだまだ居る。
「チッ……数が多い…」
高度を下げ、もう一度、今度は瓦礫の影に隠れる。
不意打ちが一番有効だと思ったからだ。
「ん?」
またあの爆弾か…懲りねぇやつ…。
「くっ…」
その都市、さらに周辺の都市は既に壊滅していた。
住民が居たかはわからないが。
それも、米軍によって、だ。
正確には、俺に誘導された米軍によって、か。
数時間後には、目につく限りの建物は消え、ほぼ更地と化していた。
「…次だ!」
ここまできたら…俺の嫌いなこの世界、全て破壊してやる…!
今度はわざと見つかるように飛行し、戦闘機をおびき寄せた。
狙い通り、俺についてきた戦闘機。
しばらく南下した。
ここは恐らく東北地方のどこか。人間の気配は、やはりしない。物陰に隠れると…。
「馬鹿の一つ覚え…ってのは、これの事だな」
例によって爆弾をばらまく米軍戦闘機。
ただの絨毯爆撃だろう。
「うおあっ!」
数発を至近距離で喰らい、流石に鎧にヒビが入る。
解除して鎧を張り直したいが、放射能で汚染されているかもしれない、という周りの状況がそれを許さない。
「逃走先で…やるか。それまでもってくれ……」
再び飛び出し、戦闘機を誘う。
その頃────幻想郷・博麗神社
「ふわぁぁ…」
エスカルゴが戻ってこれるようになるのは明日…。
紫…どうしたのかしら…。
「なにこれ……ッ!?」
ふすまを開けた私は驚いた。
外には、四季折々の草花が溢れんばかりに咲き乱れていたからだ。
「これって…」
確か前にもこんなことがあったはずだ。
確か……大きな戦争や災害が起こったら…起こるんだっけ。紫が言ってた様な気がする。
「外でなにかあったわね…!?」
でも結局、その日はそれ以外に何も無かった。
「いよいよ…明日ね。アイツは無事かしら…」
数日後。俺は限界かもしれないと生きるのを諦めかけていた。腹も減ったし喉も乾いた…。
もう隠れるところもなく、全てが更地だった。
空は米軍戦闘機に覆われている。時間が経つにつれて戦闘機やら何やら、よく分からないものの数が増えてきた。当然だ。
この鎧が破壊されたら、すぐ死ぬかもしれない。
けど、嫌いな世界はほぼ壊せた。
数日かけて日本中を逃げ回ったおかげで、恐らく沖縄以外の日本全土に凄まじい威力の爆弾が、大量に落とされた。思わず笑えてくる。こうも簡単に核のような爆弾を持ち出すと思わなかった。
「もう…満足かな」
そう呟くと、フワッと体が浮く感じがした。
鎧は、力が限界を迎えたからか解除された。
死を覚悟したが心残りはある。せめてもう一度、フラン達に……。
2日目。
「来ないじゃないのよ…」
紫は中々現れない。
「あの女はまだ来ないの?」
「レミリア…フランまで…」
「……………」
黙って俯いてるフラン。
「…………」
『!?』
黙って紫が現れた。
「お待たせしたわ。遅くなってしまったけれど、今からエスカルゴを呼び戻すわ」
「そうしてもらわなきゃ困るのよね」
紫を睨みながらレミリアが言い放つ。
「…申し訳ないわ」
「ねぇ紫。この花の異変、エスカルゴと関係があるのかしら?」
我慢出来なくなったのでズバリ聞いてみる。
「……そうね。エスカルゴが相当暴れたようね。国1つ殆ど滅びたわ」
「はぁ!?」
「直接やったのは別の国だけれど。エスカルゴは同士討ちを誘ったり色々誘導したりして、逃げ回ってたようよ。私のせいで取り返しのつかないことに……」
「色々聞きたいことあるけど、とりあえず、エスカルゴは無事なの!?」
「なんとか…。今呼ぶわ」
無事かどうかがわかるってことは、繋げられずとも見守ってはいたのかもしれない。
『早くして!!』
フランとレミリアが叫ぶ。
すぅっと、空中にスキマが開いた。
なんか違うんだよなぁ。
脳内のストーリーを半分も出力できない。