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早 妖 幽 紫 妖 弦 八 久
鬼 夢 々 舞 月 千 侘
子 姫 慧 歌
「さてお次は…うーん、これも壮絶な戦いとなりそうだぞ!勁牙組組長驪駒早鬼vs長巻使い西行寺幽々子!!」
「あら、次のお相手は藍さんを倒したペガサス?参ったわねぇ、一発で負けてしまいそう」
「…そう言って、油断を誘うつもりだな?一発で倒せる気はしないな。ま、十中八九私が勝つから関係無いんだけどなっ!」
「へぇ、自信家さんなのねぇ…。いつか、寝首を搔かれそうな気がしてならないわ?」
「っ…!」
「…何だかさぁ、激しそうとしか言えないような凄い戦いの連続だね…びっくりしてばかりだからまともに実況もできないし…」
「まぁまぁ!そこは私とにとり、二人で頑張ってやっていきましょ♪」
「そうだね…頑張ろっか!それじゃあDブロック二回戦第一試合、始め〜〜っ!!」
「行くぞ西行寺ッ!!」
早鬼が動き出す。しかし正面からは行かない。それは彼女が武器を持っているからだろうから、特段驚きはしない。早鬼はこれまで通り高く高く跳び上がり…十八番の踏みつけを見舞う。
けれども幽々子さんは、舞うかのような歩法でそれを難なく回避し、静かに長巻を構えた。
「その攻撃は、これまでに何度も見てきたわよ。流石に、容易に回避できるわ」
「だとしても簡単には回避できないはずだが……やはり妙な動きだな。調子が狂って仕方がない。喰らえ!勁疾技『トライアングルチェイス』!」
「ッッ!」
肉弾戦を諦めたのか、早鬼は脚と弾幕の攻撃に移行した。横、横、縦、縦、横、横…と二回ずつ交互に動き青い弾幕を自身の軌跡に残していく。しかも、偶数回に動く時は幽々子さんに目掛けて突進していくように動いている。弾幕の種類は、よく見かける鏃のような形のもの。しかし、設置されている角度が少しずつズレているので弾幕を散開させれば全方位に散らばる寸法らしい。
見ればわかる。かなり単純だ。とはいえ彼女の動きが素早く、しかも限界まで引き付けなければ移動先を狙って突進してくるのが酷い。
「そらっ、これならどうだ!」
「単純ね。気張って避ける必要も無いほどに…。これで仕留められるほど弱い私ではないわ」
「だろうなッ!!ハアァァァッ!!」
「フッ────」
今度は蹴り技ではなく、ヤクザらしく正面から拳を繰り出した早鬼。それに対し幽々子さんは、短く息を吐き、横に構えた長巻を彼女の拳の前に差し出す。手が、勢いよく刃物に触れる。あわや大惨事かと思われたが早鬼の拳は斬れておらず、ただただ食い込んでいるだけだった。
「……!!」
「当てて…圧して…受け止める。刃物というのは何も、斬るだけのものではないわ。未熟な子には理解も実践も出来ないのでしょうけど…ね」
横目で観客席を見る幽々子さん。視線の先には妖夢と妖舞…二人共気まずそうな顔をしている。いや、俺もだ。俺も、刃物で受け止めるとかいう芸当はできっこない。拳を出した相手が勇儀ほど肉体そのものが強いならできると思うが…。
そして早鬼は一旦飛び退いて、刃の痕がついた手をヒラヒラと振っている。切れてはいなくとも痛いことは痛いらしい。
「流石だな西行寺…っ…噂通りの強者らしい…」
「噂ですって…?どんな?」
「本人に話す義理は無いが…まぁいい。お互いにスッキリした頭で戦うのが良いだろう。…なに、悪い噂じゃあないさ。冥府の使いの主は、智略や武器の扱いに長けているという話だ」
「何故、畜生界に居るあなた方の間にそんな噂が流れているのかしら…?ウチの妖夢は、仕事でも畜生界には行かないし…行ったとしても私の事が漏れるとは思えないのだけれど…」
「…?変な事を言うな?私もお前も霊だ。そして我ら勁牙組は動物霊の組だ。他の組もだけどな。ここまで言えば、もう分かっただろ?長生きしていたら、いつの間にか話として耳に入っていた。ただそれだけの事さ」
「え……えぇ…?」
地上や冥界にスパイを送り込んでいた、だとかそういう話ではなくて、ただ単に「長い期間を霊として過ごしてる内にいつの間にか知っていた」とは…普通に考えたら「嘘だろそりゃ!」なんてツッコミたくなる話だ。
しかし…何故だろう。彼女だからとかそういう感情抜きでも、早鬼が嘘をついているようには、到底思えないのだ。
そういえば早鬼は、巧妙な嘘がつけるような奴なのだろうか。寧ろそれは、吉弔のポジだろう。しかも早鬼達の勁牙組は、最強最速が売りの脳筋集団。……長である早鬼も脳筋…なのだろうか。だとしたらアレは本当の事…?
(私は霊を統括する仕事をしているし…私の事を知っている霊が地獄落ちしたとしたら、その隣の畜生界に知れ渡る事だって無くはない…。まして畜生界には、霊長園という人間霊が集まっている施設もある。そもそもコイツらヤクザは人間霊を使役している。とすれば、噂話好きな霊達が噂を広めて、このヤクザ達に私のことが知られるのも有り得る…。この驪駒早鬼というヤクザ…何だか憎めないわね。それに、利用できそうじゃないの)
「どうした、長考か?」
「…何でもないわ。ただ、私も有名になったな、なんて考えていただけよ」
「フン…お前の強さも有名だぞ?だからお前は、私がより高き舞台へ上がる為の礎となれッ!!」
「あらあら、野蛮ねぇ…」
早鬼は幽々子さんに接近し、ドロップキック…ではなく、連続でキックを仕掛ける。美鈴の連続パンチのような速さで繰り出される蹴りは、最早残像しか見えないというようなレベルだった。
幽々子さんはそれらのキックを、長巻の角度をその都度入れ替える事で対応している。早鬼は、弾幕も通じないと悟ったからこそ、自慢の脚での攻撃に移行したのだろう。だがそれすらこうして捌かれている。どう見ても幽々子さんの方が有利だと言わざるを得ない。
「これならどうだ!?勁疾技『ブラックペガサス流星弾』ッッ!!!」
「なッ……!?」
超至近距離からの、複数の細いレーザー発射。そして全方位に放たれる黄色の小粒の星弾幕に、遅れてやってくる赤色で少し大きい星弾幕。この奇襲には、流石の幽々子さんでも対処しきれず、掠ったり、被弾したりとダメージを受け始めた。
「─────見えた!ここだァッ!オラオラオラオラオラオラオラ……!!」
加えて、早鬼は弾幕を放ちつつ蹴りも続ける。よくもまぁそんなに猛攻を加えられるな、と俺は内心で舌を巻いている。あんな並行作業、俺には難しい。俺なら、どちらかが疎かになるだろう。
「っ……中々やるわね…ッ!」
「中々で済ませられるか!?オラ喰らえェッ!」
「!!」
弾幕と共に繰り出される回し蹴り。一応長巻で防いだことは防いだが、弾幕に気を取られたからなのか、頭に喰らってしまっていた。しかしまだダメージは浅い方なのか、真横に吹き飛ばされるだけで済んだ。
早鬼はそれでも更に追撃の手を緩めず、弾幕やレーザーを放ち続ける。体勢を整える暇もなく、幽々子さんはただただ耐える。耐え続けている。
ある程度幽々子さんを消耗させた早鬼は、遂にトドメの一撃を繰り出し、息も絶え絶えな様子の幽々子さんは、自分の意識が飛ぶ前に潔く白旗を上げてしまった。
ステージには妖夢と妖舞が迎えに行ったので、敢えて俺は動かなかったが、改めて早鬼の容赦の無さ、戦術の広さを思い知らされた一戦だった。
……が、それを理解してもなお、幽々子さんが本気を出さなかった理由については、どうしても理解が追いつかなかった俺であった…。
ドモドモ、お久しぶりです。やはり休日だと全く書けなくなってしまいますね。というより、俺の求める理想が無駄に高くなってしまったからだと思いますけどね。…目標はほどほどの高さに設定するのが良いようですね。
夢は高く?いや、挫折するだけだよ。マジで。
途中は端折っても決勝はまともに書きますので、もう少しお付き合い下さい。
ネタのストックなら10話分くらいあるのに…。
超至近距離でスペルカード発動って、二次創作であまり見かけないんですよね。
でもたそフロの原作では、「近くじゃないと成功しないスペルカード」がある上に、弾幕原作でも敵の近くでボム使う人なんてよく居るでしょう?
原作でやっているんだから、こういうパターンの二次創作もあっていいよな、と思うんですよね。