※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

673 / 1140
お久しぶりです…。休日になると書けなくなる俺ですが、コロナ対策による長期休業のせいで全く書けなくなってました。
これもコロナのせいです。(責任転嫁)

ロストワード面白いですね。7000円くらいは課金したかもしれません。キャラあまり出ませんが、チルノとパチェとリリーが可愛いので許します。



Dブロック本戦(決勝戦)

「とうとうやってきたぞ、Dブロック決勝戦〜!本日ラストを飾るのはこの2人ッ!遥か畜生界で睨みを利かせるヤクザのドン!天を翔ける天馬(ペガサス)!勁牙組組長、驪駒早鬼〜!!」

 

「対するは彼女と同じく畜生界のヤクザの組長!何かを操る能力とは違い、ちょっとばかり特別な能力を有しているらしい!腕っぷしよりも搦手を好む技巧派!吉弔八千慧〜!!」

 

 手加減されていたとはいえ幽々子さんを倒した早鬼と、能力に覚醒した妖舞を倒した八千慧…。そしてどちらもヤクザの組長で、畜生界において実績を残している組の組長だ。戦闘に関しては、もはやプロフェッショナルだと言えよう。そんな2人がこの舞台で衝突するとは。とりあえずこのステージが壊れるのは許容範囲として、せめて、観客にまで被害が及ばないといいが…。

 

「正直、あの人の種族についてよく分からないんだよね〜…。天馬(ペガサス)って一体…?」

 

「彼女は“自称”動物霊。力のある、ね。だけど、そうは思いにくいっていうのが博麗の巫女の見解らしいわ。それと英雄さんもそう思ってるらしいけれど…。“自称”動物霊だと言うならそのように考えましょ。因みに天馬というのは、翼のある馬らしいわ。さっき神綺さんが言ってた」

 

「すっ…、すっご〜!何それ、凄いカッコいい!それ、地上も速く走れて空も飛べるってこと!?凄いなぁ〜!私も翼が欲しいな〜、そういうメカ作ろっかな!」

 

「良いんじゃないかしら。…それじゃ、にとりの興奮も高まってきた所で、決勝戦始めるよっ!」

 

「Dブロック決勝戦……始め〜〜〜っ!!」

 

 元気に合図を送るにとり。しかし彼女の勢いに反し2人は全く動かず、睨み合っている。…かと思えば、早鬼は突然早鬼が高笑いを始めた。

 

「ハッハッハッハ!ここでなら汚い手は使えないだろう!正々堂々かかってこい、吉弔!!」

 

「汚い?…搦手と言ってほしいですね、バカ馬」

 

「フン、安い挑発だな。そんな煽りに、この私がノると思ったかァ!?」

 

 思い切り踏み込んで、八千慧に肉薄する早鬼。傍から見ていると彼女は煽りにノったようにしか見えないが、アレはどうなのだろう。

 

「────そんな風に単調だから、あなたはバカなんですよ」

 

 早鬼の直線的な動きに反し、八千慧はすんでのところでヒラリと身を躱す。スレスレだったが、反応しきれなくてスレスレになったのではない。ギリギリまで引き付けたからこそのものだった。

 攻撃対象を見失った早鬼は呆気なく壁に当たり破壊してしまうが、直ぐに飛び上がり、ライダーキックのように急降下してくる。

 

「そんな攻撃はもう見飽きたんですよ…!」

 

 左手で守るように構え、右手と尻尾で攻める。尻尾は左右どちらから来るのか読みづらい上に、槍のような鋭さがあるらしく、服に掠る度に浅く切れている。

 

「そうか、それもそうだな!それじゃ、さっさと終わらせよう!」

 

 早鬼は、パシンと彼女の拳を手で受け止めた。あまり威力があるようには思えない音だったが、それも早鬼の戦闘センスあってのものだろう。

 打撃は後ろに下がりながら受けると威力を殺すことが出来る。手で受ける時も同様で、拳が繰り出される方向に手を後退させながら受けると威力をある程度抑えられる。八千慧のパンチをも難なく受けられたのもそれがあったからだろう。

 

「は?さっさと…何ですって?」

 

「いやなに、急用が入ってしまってな。他の組が妙な動きを見せているらしいから、私は少し早く畜生界に戻らなきゃならなくなっただけだ。まぁ部下に任せたが、不安だしな」

 

「!?…そんな連絡、私には届いて…」

 

「───ないだろうさ。お前の部下は今頃、私の部下がたっぷり可愛がってるだろうからな」

 

「ッ…驪駒アァアァァァッ!!!」

 

「ハハハッ、どうした吉弔!?搦手ばかりのお前らしくないぞ!…だがなァ!!」

 

「ぐぁッ……」

 

 次は八千慧が攻勢に出るも、飛びかかった所を早鬼に一蹴され、壁に甲羅をめり込ませている。ステージの壁に大きな穴をあけ、長く深い亀裂を走らせる。

 

「……くっ…………相、変わらず………力は……強い…………よう、です…ね………」

 

「…まぁ、お前なら気絶しないと思っていたよ。ほらどうした、反撃してこい。そちらから来ないなら…!」

 

 翼をはためかせて勢いよく飛び上がり、頭から踏みつけるように急降下する。キックをするのと違う動作なので、あのまま降下すれば八千慧は、頭を踏みつけにされるだろう。

 だが、早鬼の足が八千慧に触れる事は無く…。

 

「……!」

 

 壁を粉砕し、地面に巨大なクレーターを作った早鬼は足元に八千慧が居ないことに気がついた。彼女は早鬼の真上にいるが、攻撃してくる様子は見せない。

 

「……今日の所は……一旦、退きましょう……。時期を改め……いずれ、また…」

 

 背を向け、ステージ上空から何処かへ飛び去る八千慧。早鬼はそんな彼女を追おうともしない。そんな2人の様子に、にとりと雛はもちろん観客などは困惑の色を隠せないでいる。

 

「じゃあまたな!絶対だぞ!絶対、また私と直接戦えよー!」

 

 手を振ってライバルを見送る早鬼、背を向けて何も答えず会場をあとにする八千慧。この2人の間柄などは俺達に分かるはずもないので口出しはしないが、大会の運営上は問題がある。

 

「え、えー……と…?一応、棄権ってことで…?良いの…かな…?」

 

「待ってにとり、そうするのもいいけど、ひとつ不審な点があるわ!」

 

「なに?」

 

「早鬼さん?あなた先程、『他の組が妙な動きを見せているらしい』って言ってたわね?そういう情報を流して、彼女に棄権させるよう促したの?組のピンチともなれば組長の彼女は黙っていないだろうし、すぐに帰ると計算して…!」

 

「いやぁ、そんな手は使わないぞ?寧ろそういう卑怯な手段は吉弔が好むやり方だ」

 

「でも『お前の部下は今頃、私の部下がたっぷり可愛がってるだろう』とも言ってたわね?彼女の部下をボコボコにすることで情報を伝達させなくしたうえで、敵の組が動きだしたって伝えれば、彼女は間違いなく焦燥を露わにする…!あなたはそこに漬け込み、汚い手で勝利を掴んだ!違う?もしそうなら今の試合は無効試合となり、準決勝敗退の人達に再選してもらうわ」

 

(…おぉ…名探偵雛だ…!!)

 

「オイオイ、ちょっと待ってくれ。どうして私の部下が吉弔の部下をボコボコにするんだよ…??雛とか言ったか、お前の言う事はまるでチンプンカンプンで訳が分からないぞ?」

 

「『可愛がる』って言うのはボコボコにするって意味の隠語よ?ヤクザさんなのに、そんなことも知らないのかしら?」

 

「…?可愛がるって、文字通り可愛がる事だろ?部下同士じゃれあうのは普通だと思うんだが…」

 

「その『じゃれあう』って部下同士の戦いの事を指すんじゃなくて?」

 

「『じゃれあう』って…お喋りとかするだろう?遊んだり。別に戦ったりはしないぞ?」

 

「…へ?」

 

「いやぁ、うちの部下とあいつの部下、妙に仲が良くてなぁ。よくお喋りしてるんだよな。たまに取っ組み合いになる事もあるが、別に険悪なものじゃなくむしろ仲が深まるようなものだ。お前は何か勘違いしてるんじゃないか?」

 

「え…じゃ、じゃあ…どうしてあの人はあんなにキレてたの…?」

 

「さぁ?あいつの考えなんて私にはわからない。ただ、吉弔は深く考えすぎるきらいがあるから、お前と同じように勘繰ったんじゃないのか?頭がいいのもここまでくるともはや病気だよなぁ!」

 

 何気なく雛をもディスった早鬼は、カラカラと陽気に笑う。顔を赤らめた雛は黙り込むが、次はにとりが負けじと反論する。

 何故か裁判が始まったような雰囲気だが、皆が早鬼やにとりの会話に耳を傾けた。至極論理的に攻めるにとりとバカ正直に答える早鬼。なかなか勝負がつかない弁論合戦だったが、1人の少女がステージに舞い降りたことで議論は一瞬でカタがついた。

 少女の名は古明地さとり。心や記憶が読める、サトリ妖怪だ。

 結果として早鬼はシロ。雛が変に勘繰っただけだった。よってこの戦いは早鬼の勝利となって、明日の決勝トーナメントへの進出を許された。

 言葉通りにしか話さない早鬼の代わりに彼女が皆に説明したところ、流れはこうだ。

 

 決勝戦前に、オオカミ霊が早鬼に他の組が妙な動きをしていると報告をする。早鬼は、勁牙組の留守番勢に対処するようにと伝言を任せる。

 するとそこにカワウソ霊が現れ、オオカミ霊は彼に話しかけに行った。そんなのはいつもの風景である為、早鬼も咎めようとはせず、決勝戦へと赴いた。

 オオカミ霊も早鬼も、カワウソ霊が組長へ報告しようとしてるとは思わず、カワウソ霊もまた、オオカミ霊の話にノッてしまう。故に決勝戦前の八千慧へ彼の報告は届かなかった………。

 ヤクザ(チンピラ?)言葉に理解がある地上の者が早鬼の言葉を素直に受け取れなかったのも、無理は無い。早鬼は事前にヤクザだと知らされていたのだから含みがあると思ってしまうだろう。

 まさに、先入観のせいで起きた悲劇だった。

 兎に角これで、明日の決勝トーナメントの俺の初戦の相手は早鬼だと確定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…すみません。エスカルゴさんのお母さんの、神綺さんですよね?」

 

 壮絶な戦いだったDブロックも終わり、多くの観客達が会場を出ていく中、ロリスと手を繋ぎ、自分の専属メイドと並んで帰る神綺を呼び止めた者が1人。

 その者はロリスと大して変わらぬ背丈、しかし精神的には大抵の者よりもずっと大人な妖怪だ。

 

「ええ、そうよ」

 

「古明地さとりです。紅魔館でのパーティ以来…でしょうか?」

 

「あらもうそんな前になるかしら。お久しぶり。どうしたの?さっきは大活躍だったわね」

 

「いえ、それほどでも。……今大会の運営に深く携わっている神綺さんに、折り入って、お願いがありまして」

 

「携わってると言っても、運営側じゃないわよ?単なるボランティアだし…」

 

「勿論、承知の上です。ですがこれは、他ならぬ神綺さんにしかお願いできない事でして。サトリ妖怪の私では……」

 

 さとりは少々俯いてみせる。態(わざ)とらしさなどは微塵もなく、その態度は、献身的な部類に入るであろう神綺の心…母性本能を強く刺激した。

 勿論、さとりのこの行動は、彼女のそんな甘い一面を読み取った上での行動だ。

 

「分かったわ、私に出来る事なら何でも言って!他ならぬカルちゃんの彼女さんのお願いだもの、無理のない範囲で聞いてあげるわっ!」

 

「ありがとうございます。…お願いというのは、明日開催される予定の決勝トーナメント…いや、決勝戦のことでして─────」





幻想郷(地底)と畜生界(早鬼)の異文化交流…さとりナシで相互理解が可能になるのはいったいいつになることやら…。

×:「どうした吉弔!?搦手ばかりのお前らしくないぞ!(煽りに乗ったな!やったぜ!)」
○:「どうした吉弔!?搦手ばかりのお前らしくないぞ!(素でビックリしてる)」

そう、実はほくそ笑んでいたのではなく素の反応でした!でも立ち向かってくるのが嬉しいので、勘違いされてしまうんですな。
八千慧ラブかよ早鬼ちゃん組長…。


ちなみに八千慧が帰ったのは、「敵が攻めてくるかもしれないから」ではなく、「早鬼に負けそうだったのを見られたくないから」…が真意です。
タイミング的に前者に見えてしまいますし、棄権するよう誘導されてるように見えますが、それがむしろ八千慧にとって好都合でした。
組長同士の勝負での八千慧の敗北は鬼傑組の体面などに関わります。
(早鬼vs八千慧で八千慧が負ける場合、彼女なら組の体面や組長としての意地がありそうなので、素直に敗北しないだろうなと思いました。)
なので、実質的な敗北ではなくて形式的な敗北を選んだ、というオチにしました。
早鬼なら素直に認めそうなもんですがね。あまり細かい事とか気にしないようなタチでしょうし。そこが早鬼と八千慧との大きな違いでしょう。
もし早鬼が負けるとしたら、素直に負けを認めてそれはそれで八千慧をモヤモヤさせそう。

書籍や格ゲーで早鬼が出てくれば、どんな攻撃を繰り出すのか分かるんですけどね…。それまでは蹴り技or弾幕のワンパターンになりそうですね。
今度の黄昏さんの格ゲー(剛欲異聞)に饕餮が出るそうですし、早鬼&八千慧も出演してほしいものですな。



そして、このあとエスカルゴは………。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。