※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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いつも通りフランと修行するエスカルゴ。
実にいつも通り。
だが突然、様子がおかしくなり…。


暴走

図書館で小悪魔に突進したあの日からおよそ1ヶ月。俺 はまだ 修行を続けていた。

 

 

フラン「いっくよー!ええええい!」

 

カルゴ「来いフラン!!うおおおお!!」

 

カァン! キィン! カッ…ドゴォォォォォォン…

 

フラン「キャッ」

 

カルゴ「うおっ」

 

煙がもうもうと立ち込める。

周りがよく見えない。

とりあえず安否を確認する。

 

カルゴ「大丈夫か?」

 

フラン「うん、私は大丈夫」

 

 

 

俺はまた強くなった。

というのも、あれからも特訓を続けていたおかげで、数々の技を会得したからだ。

少しは使いこなせてきている。

 

最初に得たあの技…。

雷速『クイック』。

足に力を溜め、溜めたパワーを発散することで、少しの間スピードのみをアップさせる技だ。

 

さらに俺は、自分の雷エネルギーを具現化出来るようにまでに成長した。

 

自分の雷のエネルギーで武器を作り出すということは、状況に応じて形を変えることもできる。

ピストルとライフル、小刀と日本刀…のように。

まだ銃と刀の二種類しかないが…あまり多くても使いこなせないかも知れないし、二種類で十分だろう。

 

武器の名前はそれぞれ雷武器『雷銃』、『雷刀』である。自分でも安直だと思うが覚えやすくていい。

 

銃は、主に遠距離戦に重宝する。

雷銃の技、雷銃操法『スパークショット』

この技は、雷銃ならではの技で、トリガーの長押しによって連射が可能。つまりは弾幕である。

雷の弾幕は狙ったところを目掛けて真っ直ぐに飛んでいく。真っ直ぐということはよく狙わなければならない。

これを使う時は大体、相手を牽制するときか、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」作戦のときだ。

 

雷刀の方は、『雷速断刀』という技だ。

これは近距離戦で重宝する。

相手に先手を取らせぬよう、素早く相手に切りかかる。

雷速『クイック』との併用によりさらに素早さが増す。

 

 

これらのスペルを駆使し、毎日フランと遊んで(特訓を積んで)いた。

 

フラン「あは、はは、エスカルゴ、あなた、強くなったわね!」

 

息を切らしながらフランが言う。

 

カルゴ「はぁっ…はぁっ…フランの…おかげだ…よっ!」

 

俺も息を切らしながら返す。

 

フランのレーヴァテインはかなりの威力である。距離を取り雷銃で攻撃する。

 

ガガァン、ガガァン、ガガァン…

 

雷銃の連射にも限界があることを知った。

これじゃジワジワ距離を詰められてやられちまう。

 

だが、そろそろ一気に詰められる頃だろう。

 

ダァン!

 

来た!

フランは、焦れったくなると一気に飛び込んでくる癖がある。そのことを最近学習した。

そこで、勝つための作戦を練った。

 

飛び込んできたら、俺の雷刀でレーヴァテインを払う。

そんでもって雷刀を解除し、フランを押さえつけたら俺の勝ち!

 

カルゴ「ハッ!!」

ギィン!

 

よし、レーヴァテインを払い飛ばすことには成功した!

次だ!……あれ、次ってなんだっけ?

あ、押さえつけ…

 

カルゴ「…あっ…」

 

なにを思ったか、躊躇してしまった。

自分でもわからない。

当然フランは、こんな絶好のチャンスを見逃すはずもなく…俺を殴り飛ばした。

 

ボグッ!

 

カルゴ「グハッ…」

 

俺の身体は高く跳ね上げられ、床に落ちる。

 

カルゴ「カハッ…イッデェ…ゲフッ…」

 

フラン「ご、ごめんなさい!ちょっと強くやりすぎちゃった!」

 

カルゴ「だ、大…丈夫…だよ…」

 

一応吸血鬼なので、耐久性も防御力も十分兼ね備えてるはずなのだが…流石フランだな…。

 

カルゴ「………よし、もう大丈夫かな」

 

痛みが引いたので、俺は立ち上がる。

フランは涙目でこちらを見ている。

 

カルゴ「大丈夫だって。…ごめんな、俺が弱いばかりに…」

 

フラン「ううん、今のは私が悪いの。まだ弱いエスカルゴにちょっとでも本気出すなんて大人気ないことして…」

 

……ちょっと心に刺さる…けど…。

 

カルゴ「大丈夫だ、俺がもっと強くなるから。フランを楽しませてやれるくらいになるから。な?」

 

フラン「うんっ♪」

 

カルゴ「…………」

 

フランの頭を撫でる。

いきなりのことで驚いたのか、一瞬ピクッとしたが、続けて撫でさせてくれた。

髪はとてもサラサラしている。

 

いつまでもこうして居たいが…そうもいかないな。

 

カルゴ「続き、やるか?」

 

フラン「うん!!」

 

ホント可愛いなぁ…。

 

フラン「よーし、行っくよー!」

 

カルゴ「来い!今度こそ!」

 

フラン「やぁっ!!」

 

俺とフランは剣(刀)を交える。

 

うっ…重い攻撃だ…

 

カルゴ「う…うわわわっ!!」

 

フラッ…ドダーン!

 

フランの攻撃を受け止めきれず、俺は後ろに倒れた。

 

ゴッ…

 

「いってぇ!!」「いったぁい!!」

 

俺とフランは同時に叫ぶ。

 

そりゃそうだ…。

俺が後ろに倒れ、後頭部を打ちつけ、フランがそのまま倒れてきたもんだから…互いの額をぶつけたのだ。

ドミノ倒しみたいな体勢になった。

 

…めっちゃいい匂い…。それにあったかい…。

 

フランの幼い顔を目の前に、俺はそんなことを考えていた。

 

 

 

その時だ。

 

 

 

なにか、心臓がドクドクうるさい。

俺はフランを床にそっと降ろし……フラフラと立ち上がる。

 

フラン「…?どうしたの?」

 

フランが聞く。

が、その言葉は全く頭に入って来ない。

 

意識が朦朧とする。

 

それほどの衝撃…だったのか?

 

 

違う、これは…。

 

 

 

カルゴ「ウウ…ウオオオオオアアアアッ!!」

 

俺は天井を見あげ叫ぶ。

 

フラン「え!?急にどうしちゃったの!?ねぇ!!」

 

 

 

 

 

 

俺は…我を失った。

 

 

 

 

「俺ハ…モット…強ク……!!ウオオオオオオオオオ!!」

 

フラン「ねぇ!どうしたのってばぁ!!」

 

「食ライヤガレ!!禁符!『Death Tomorrow』!!ハハハハ、コイツヲ食ラッタラ吸血鬼ト言エド明日ニャ死ヌゼェ!!」

 

バチバチバチィ………ドドドォォォォォォォン…

 

支離滅裂なことを言いながら赤黒い雷の弾幕を発射するエスカルゴ。

 

フラン「キャァッ!」

 

カルゴ「…チッ…外シタカッ!」

 

パチェ「なに!?なんの騒ぎ!?」

 

館内の異変を察知し、パチュリーが来た。

 

フラン「パチェ!エスカルゴが変になった!どうしよう!!」

 

パチェ「あれは…!(目が紅くなって…。)……フラン…多分あれは、吸血鬼としての本能が目覚めたのよ」

 

フラン「本能…?」

 

パチェ「なにが引き金になってああなったのか、今来た私にはさっぱり見当もつかないけど…。一度ああなってしまったら戻すのは大変よ」

 

フラン「どうやったら戻せるの!?」

 

パチェ「ひたすら暴れさせて力を使い果たさせるか、気絶させるか…ね。あの様子じゃ拘束なんてまず無理でしょうし…」

 

カルゴ「ウグ……グアアアア!!オオオオオオオ!!」

 

フラン「また…様子がおかしくなったわ…」

 

徐々に涙声になるフラン。

 

パチェ「どうしましょう…全く手が浮かばない…」

 

フラン「うう…エスカルゴぉ…ヒック…」

 

パチェ「フラン、泣かないの!泣くならあいつが戻ってきた時にしなさい!今はあいつを戻すことに集中!良いわね!」

 

フラン「わかっ…た…!」

 

カルゴ「…食らえ。雷符『Midnight☆Thunder』」

 

辺りは暗くなり…沢山の闇の雷が二人めがけて降ってくる。

 

2人『キャアアアアッ!!』

 

パチェ「フラン、大丈夫!?」

 

フラン「腕痺れてるけど…私は大丈夫!パチェこそ大丈夫!?」

 

パチェ「私も大丈夫よ!」

 

フラン「雷の弾幕!?エスカルゴ、あんな技使えたの!?」

 

パチェ「いえ、違うわね」

 

フラン「え?」

 

パチェ「あいつは今、本能に任せてただただ暴走してる。だから、恐らく、本能があいつの潜在能力を引き出してるのよ」

 

フラン「潜在…てことは、いつものエスカルゴに戻して特訓させれば、あの技も使いこなせるかもってこと!?」

 

パチェ「…そうね…あくまでも可能性の話だけど…」

 

フラン「なら、なおさら元に戻さないと!」

 

パチェ「ええ。それに、早くしないと戻れなくなるかもしれないし、この館自体が崩れかねないわ!」

 

フラン「気絶させるしか…ないね。そのほうが早いし」

 

パチェ「…そうね」

 

フラン「パチェ、囮お願い」

 

パチェ「ええ!?」

 

フラン「囮に引っかかってるあいだに、私が後ろからブン殴るわ!」

 

パチェ「…わかったわ。でも、出来るだけ早く頼むわね?私じゃ長くは持たないわ」

 

フラン「…わかった」

 

パチェ「じゃ、行ってきなさい!」

 

フラン「うん!」

 

飛び出すフラン。

 

パチェ「エスカルゴ!こっちよ!こっちを見なさい!!」

 

カルゴ「ヴヴヴオ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙……」

 

パチェ「フラン!早く!!」

 

フラン「わかったわ!…うう…行くよ、エスカルゴ。えい!」

 

バキッ

 

カルゴ「ウガアアア!!」

 

フラン「嘘…ほとんど効いてない…」

 

???「…まだまだ甘いわね、フラン。見てなさい。ハァァァッッ!!」

 

ゴスッ…

 

フラン「お姉様!?」

 

カルゴ「ウガウ…」

 

ヒュゥゥゥゥゥ………ドシャッ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルゴ「…ん…あれ?」

 

フラン「あっ!エスカルゴ起きた!お姉様〜!パチェ〜!!エスカルゴ起きたー!!」

 

レミィ「…やっと起きたのね」

 

カルゴ「あ、はい…おはようございますレミリア様」

 

レミィ「やっぱり、何も覚えてないの?」

 

カルゴ「え?あ、はい…えっと…そのようです、すいません」

 

パチェ「仕方ないわよ、暴走してたんだから」

 

カルゴ「暴走?俺が…ですか?フランと特訓してた所までは覚えてるんですが…」

 

パチェ「その特訓中に暴走したようよ」

 

レミィ「あなた、本当に何も覚えてないの?」

 

カルゴ「えっと…力が沸いてきた感覚だけはうっすらと…」

 

パチェ「それよ。多分あなたは、吸血鬼の本能に呑まれたのよ」

 

レミィ「…その感覚を忘れないうちに特訓した方がいいわ」

 

カルゴ「なんでです?」

 

パチェ「暴走中のあなた…とても強かったわ。でも恐らくあれは、潜在能力を引き出されただけ。溢れる力をコントロール出来なかっただけなの。そのせいで、フランは危うく殺されかけたらしいけどね。だから、修行を続けて基礎力を底上げさせれば、暴走中に使ったあの強い技も使いこなせるようになるでしょう」

 

カルゴ「俺にそんな力が…。というか殺されかけたって…?」

 

まったくわからん。

 

フラン「もう、エスカルゴが困ってるわ、お姉様とパチェはもう部屋から出て!!」

 

パチェ「全く…仕方ないわね。レミィ、紅茶でも飲んで待ってましょ」

フラン「え、ええ…」

 

バタン………

 

2人が部屋から出た。

 

フラン「うわぁぁぁぁん!!」

 

突然、火がついたようにフランが泣き出した。

 

フラン「バカ!もう戻ってこないんじゃないかと思ったわよ!!」

 

…暴走中…俺は…一体何をしたんだ…?

 

カルゴ「…ごめん…」

 

フラン「ごめんじゃないわよ!あの時あなた、デスなんとかって技で私を殺そうとしたのよ!?」

 

フランが泣き叫ぶ。

 

カルゴ「俺……が……?」

 

衝撃だった。いくら暴走してたとはいえ、人を…ましてやフランを殺そうとするなんて…。

謝罪の言葉が見つからない。なんて言おうか…。

 

フラン「…さっき…」グスン

 

カルゴ「…?」

 

フラン「さっき…パチェから聞いたわ。『あいつはただ本能に呑まれただけで、フランを殺そうとしたのはあいつの意志じゃない』って…」

 

カルゴ「……」

 

フラン「どーしても…許して欲しい?」

 

フランが嗚咽を漏らしながらそう言う。

 

カルゴ「…許して…欲しい…」

 

フラン「じゃ…おでこ出して」

 

なにやら嫌な予感がしたが、許してもらえるのならなんでもする。

 

カルゴ「はい…」

 

フラン「…目瞑って」

 

カルゴ「…はい…」

 

バチィィィィン!!

 

カルゴ「うっ…」

 

危うく気絶しかける。

何されたのかよくわからない。

 

この感覚懐かしい…。デコピン…?

 

フラン「……しょうがないから、デコピン1発で許してあげる…」グスン

 

フランはまだ泣いていた。

そりゃそうだよな。

 

カルゴ「ごめん…。ありがとう…」

 

フラン「もう良いわよ…。…ねぇ、エスカルゴ…」

 

カルゴ「…なに?」

 

フラン「もっともっと…強くなってね」

 

カルゴ「…もちろん。もう二度とみんなに迷惑かけない」

 

フラン「うん……」

 

 

 

壊れかけた館は、俺が眠っているあいだに河童に直してもらったそう。仕事が早いな…。

 

 

 

 

 

 

この日の夜は、フランのお願いで、2人で同じベッドで寝ることにした。

一緒に居たいと言ってくれたので、その思いを素直に受け止めた。

 

 

 

フラン「ね…エスカルゴ…」

 

カルゴ「…なに?」

 

フラン「……大好き…」

 

まっすぐ目を見据えて言ってくる。

 

なぬっ…!?

 

カルゴ「……俺もフランが大好き…」

 

フラン「…よかった…えへへ…」キュッ

 

カルゴ「あっ…手…」

 

フラン「手繋いで寝るの…ダメ?」

 

カルゴ「ううん、ダメなんて…。そんなことないよ」

 

フラン「ふふっ…ありがと…。じゃ、おやすみ…また…明日遊ぼー…ね…?」

 

カルゴ「うん…。おやすみ……」

 

 

 

 

フランと手を繋いだまま、俺も眠ってしまった。




うーん…かなり頑張りました…。
暴走と言ったら大声で叫び、支離滅裂な事を言って、誰彼構わず攻撃し、暴れ回るというイメージしか無く…表現が単調だったかもしれません。この反省をこれからに生かします!

次回はこの続きからです!
お楽しみに!
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