※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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鬼滅の刃の小説を読んでたんですけど、場面転換
(視点切り換え)の時こんなに空白が大きくないことに今更気付きました。
今回からちょっとそこを意識して書いてみます。
後書きにアンケートを置いておきましたので投票お願いします。



解決組の集結

「崇めよ、讃えよ、畏れよ……!!近頃の貴様ら人間には、信心が足りておらぬわッッ!!!」

 

 小さなクレーターが生成されるほどの勢いで、雷が地面を穿つ。当然、今回は殺生を目的としたものではないので、家屋や近くの人間などには、建御雷とて最大限に気を使っている。

 

「んもう、エスカルゴくんの見た目でそんなこと言わないでほしいわぁ。建御雷さん?」

 

「何だ?お前、神綺には『エスカルゴにご執心』だの何だの言っていた割に、お前自身もコイツに拘りがあるのか?」

 

「そりゃあねぇ、ちょっと位、拘りはあるわよ?妖怪でありながら神を召喚(よ)べる程の霊力持ちで、しかも複数の神の器だなんて、貴重な人材としか言えないもの。部下の彼氏クンでもあるしねぇ。特別に目をかけてる部分はあるわね」

 

「クククッ……そう言いつつ、お前もこのバカの側室の座を狙っているのではないか?」

 

「えぇ〜?無理無理、それだけは無いわ。だって私、男嫌いだもの」

 

「え」

 

「嫌いというかね、誰であろうとも恋愛対象には見れないのよねぇ。身体の関係だって無理だし。見る分にはいいけどヤるのはゴメンだわ〜。私、処女神だしね」

 

「処女神だと……?ああ、天照みたいなヤツか。そんないかにもな見た目で処女神とは……」

 

「見た目で判断しちゃやーよ?あなたにも隕石、落としちゃうわよん?」

 

「……すまん」

 

「素直でよろしい♪」

 

 武甕槌命を脅すために頭上に生成した隕石を、へカーティアは笑顔で人里の外れに落下させる。空気も震えるような、凄まじい地響きだ。

 それからは無言で雷やら隕石やら落としていた二人だったが、へカーティアは突然、思い出したように建御雷に向き直り指を突きつけて声を張り上げる。

 

「というかねぇ!あなた、エスカルゴくんに乗り移ってるんならエスカルゴくんのキャラってのを守ってほしいわね!?」

 

「急にどうした」

 

「あのね?あなたが何か言うとエスカルゴくんの顔と声で私が受け取るのよ?まるで彼が側室だのどーのと言ってるみたいでキャラ崩壊してる感がハンパないわ!『お前さ、俺に気があるんだろ?ドヤァ』…みたいなことを言わないのが彼の良いトコなの!あなたがそれを崩してどーするの!」

 

「『ドヤァ』ってオイオイ…」

 

「あなたのさっきのセリフはそんな感じしたの!

『お前も俺の側室になりたいんだろ?』なんて、あの子は絶対言わないわ!解釈違いよ解釈違い!こんなに酷い解釈違いは初めてだわ!これなら、諏訪子さんの方がまだ解釈通りの演技してくれるはずよ!」

 

「お、おう……なんかすまん……」

 

 早口でそう捲し立てるへカーティアに、流石の建御雷もタジタジになっている。そんな風に語るへカーティアの方がらしくない(・・・・・)のではないか、と建御雷は思った。

 

「もうっ、余計に隕石落としてやるんだからっ!あーあ残念、あなたのせいで幻想郷が穴だらけのチーズになっちゃうわー!」

 

「なんで我のせいになるんだっ!!」

 

「ほーらまたぁ!エスカルゴくんは『我』なんて言わないの!普段は俺、たまに僕、私!」

 

「我は我だ、文句あるか!」

 

「その姿のときはそう言うなって言ってるのよ!せめて元の姿で言って頂戴よ!エスカルゴくんが頭おかしくなったみたいでムズムズするの!!」

 

「なんで我がお前のワガママに付き合わなくちゃならないんだ!?」

 

「はああぁ〜ん!?私の方が“強い”わよ!?力で従わせてあげましょうか!?」

 

「お前達なぁ、今は異変起こしてるんだから少しくらい集中しろッ!!」

 

「「風を吹かせてるだけの神奈子(あなた)には言われたくないなァ(わねぇ)!!」」

 

「何だと!?」

 

「あんた達みんなうるっさい、集中しなよ!!」

 

「「「諏訪子(あなた)は黙ってろ(て)!!」」」

 

「なんでぇ!?」

 

 

◆

 

 

 武甕槌命による落雷の余波は、魔理沙の住まう魔法の森まで届いていた。

 異変が始まったその頃、魔理沙は自宅にて薬の調合をしていた。そのとき、ゴロゴロと重苦しい音が響き渡り、彼女の耳を刺激する。

 

「む……晴れてるのに雷鳴だと?ったく、近くでエスカルゴが戦ってやがるな?吸血鬼のくせに、昼間からお盛んなことだ」

 

 無論、近くではない。しかし、武甕槌命の雷はエスカルゴが普段使うような雷と比べて段違いの威力なので、そう思い違いをしたのだ。

 そして次の瞬間、雷鳴に続いて大きな地響きが魔理沙の家を襲った。

 

「うわっ、地震か!?こりゃ大きいな……!!」

 

 机から実験の道具が落ちないよう、割れそうなモノは慌てて床に下ろして、魔理沙本人も急いで机の下に避難する。普段なら机の下に避難なんてしない。しかし今回の地震は、これまでの人生で経験してきたどの地震より大きいと感じたのだ。

 

「おいエスカルゴ、さっさと天子を鎮めろって!家がめちゃくちゃになっちゃうじゃないか……」

 

 魔理沙は天子の癇癪だろうと思っているのだ。エスカルゴの小屋が魔法の森にあるのは、彼女も知っている事。だからこそ、エスカルゴと天子が何らかの理由で衝突した結果が、この雷鳴と地震なのだろうと考えていた。

 しかし、それらは一向に止む気配が無く、業を煮やした魔理沙は二人を止めようとし、箒に跨り家を飛び出した。

 

「なッ……何だよ、あれは……!?」

 

 上空にて彼女が目にした光景は、まさに地獄。隕石やら雷が人里周辺に降り注いでいるという、文字通り天災そのものであった。

 雷は絶え間なく降ってくる。かと思えば隕石が上空に生成され、次々落ちていく。地震の原因はアレだ。これは天子ではない、と魔理沙は瞬時に思考を切りかえた。

 

「こりゃまずい、一先ず霊夢の所に行くか…!」

 

 これまでの異変とは規模が違いすぎる。これは少々おかしいと感じた魔理沙は、霊夢の元へと、箒を急がせた。

 

 

◆

 

 

 地上にて異変が起こる少し前……霊長園では、埴輪兵長の磨弓が、戦闘用の埴輪を相手に鍛錬を積んでいた。以前霊夢達と対峙してから、磨弓は何度もアップデートされて、ただの戦闘埴輪とは思えないほど強くなっていた。

 その強さはまさに、袿姫をして「最高傑作」と言わしめるほどのものである。

 と、そんな磨弓の元に、創造主の埴安神袿姫がのっそりとやって来た。

 

「磨弓〜、ちょっと良いかしらー?」

 

「はっ。如何されましたか?」

 

「鍛錬してるところ悪いわね。ちょっとおつかい頼んでもいいかしら」

 

「勿論です。何をすれば宜しいですか?」

 

「地上に行って、エスカルゴ君の様子を見てきてくれる?さっきから返事が無くてねぇ……どうも胸騒ぎがするのよ。何か……地上で大変なことが起きているような、そんな気がしてね。あの子、どんなに忙しくても返事だけはする子だからね」

 

「わかりました」

 

「彼の行動範囲は広いから……とりあえず、博麗神社に行けば彼の足取りは掴めると思うわ」

 

「博麗神社……承知しました。行って参ります」

 

「気を付けてね」

 

 袿姫に軽くお辞儀をして、磨弓は飛び立った。得物である杖刀も、当然ながら所持している。

 

(彼が袿姫様に返事をしないだと……?妙な事もあったものね……。袿姫様の仰る通りだ、これはおかしい。きっと、何かあったに違いない)

 

 胸騒ぎがしているのは、埴輪である磨弓も同じだった。霊長園にて、少なからず彼の人となりを見てきたからこそである。

 読書中ですら返事をするし、何か頼めば大抵は二つ返事でOKする。これは滅多にない事だが、眠っている時に話しかけても起きて返事くらいはすると袿姫は言っていた。

 そういう積み重ねがあるこそ、昼間から返事が無いというのはおかしい事だと袿姫は考え、また磨弓も不審に思ったのであった。

 

 

◆

 

 

「なんか今日、風強くない?」

 

「ね。なんかやけに雷も落ちてくるし、こんなんじゃ台風の日と変わんないね」

 

「まぁ、雷はお父さんの仕業なんだろうけどね。晴れてるのにこの規模の雷なんて、お父さんしか心当たりないよ」

 

「せめて里から離れて戦ってほしいよね〜。里に幾つか落ちてるようだし」

 

 台風並の風の中でも、野外を出歩いている人はそれなりにいる。それは、幻想郷には電車やバスなどという移動手段が無く、移動には自分の足を使うしかない事……そして、ただ単に雨が降っていないから、という理由が挙げられる。

 

「────って、ちょっと待って。何あれ……」

 

 人里にて買い物をしていた博麗姉妹は、道中、おかしな現象を目にした。建物が、少しずつ……本当に少しずつ沈んでいっているのだ。木がミシミシと軋むような音も聞こえてくる。

 更に、ドンッという大きな音と共に地震までも同時に発生した。

 

「ん……?」

 

「何だろ、地面から何か出てきたね?」

 

 地震自体はこの日本では珍しくない。しかし、それに連鎖して起きたと予想されるこの現象が、どことなく危険だと二人に予感させた。

 沈みゆく建物がある一方、逆に、埋まっていたらしい石やら木やら、そういった物体が、地震と共に浮いてきたのだ。更に、細くはあるが木まで芽生えたではないか。

 しかもだ。舗装されているはずの硬い地面が、液体状になってグチャグチャになり始めた。

 

「え、ちょっと待って……何これ、地面がめちゃくちゃになってきてんじゃん……!」

 

「地震、泥沼化、木の発生……?何だろ、妖怪の襲撃かなぁ。昼間なのに?」

 

「そんなのんびりしてる場合じゃないでしょ!」

 

 霊麗は暢気に考えているが、霊愛はこの異常な事態に焦りを感じてきている。液状化など彼女は知らないし、ただの異変にしか思えなかった。

 

「お、おい……!みんな、空を見ろ!!なにか、デッカイのが降ってくるぞッ!!」

 

 近くの人が絶望的な表情で空を指さしている。それにつられて二人も空を見ると、とんでもない物体が目に入った。

 ポツポツと現れるのは巨大な隕石。降ってくるというよりは、どういうわけか空中に生成されている。

 

「みんな、家の中に避難してッ!!」

 

 霊愛は飛びながら注意喚起をする。それを見て霊麗も、里中を飛び回って家に避難するようにと促す。

 軌道からすると人里の外や外れあたりに落ちるのは何となくわかる。それでも、大多数の人間はただ焦り、逃げ惑うだけだった。

 

「うわわわわっ……まだ落ちてくる……!?」

 

 ズズンと重苦しい音が響くと、グラグラとまた地震が発生する。そこで二人は漸く気がついた。この地震は自然のものではなく、隕石によるものなんだと。

 空に隕石を発見してからは、人里は阿鼻叫喚の地獄絵図であった。まだ液状化していない場所、隕石の来ない場所に逃げようと……人々が集団で移動を始めたのだ。

 ぬかるむ地面に足を取られ、転んだ者が居ようとも容赦なくその上を進む。

 

「酷い……」

 

「あれはもう……私達にはどうにもできないよ。早く、お母さんに伝えなきゃ……!」

 

「とりあえず結界だけは張っておこう。もし外に逃げられちゃったら、夜になったら野良妖怪達に襲われる」

 

「そだね、急がなきゃ」

 

 霊愛と霊麗は、彼らを里の外に出さないように上空から入口に結界を張り、この非常事態を母の霊夢に伝えに全力で空を飛ぶ。

 この時、人里では少しずつ変化が起きていた。

 神に祈る者、仏に縋る者、誰にともなく祈る者などが現れ始めたのだ。こんな事が一気に起きるのは絶対におかしい。神が遂にお怒りなのだと、少なくとも老人達は何となく察していた。

 この暴風も、建物が沈んでしまう地面も、所々生えてくる木々も、雷も、隕石も。その全てが、神の御業によるものだと、一部の者は察しているのである。

 

「「お母さん、異変だよ!!」」

 

「分かってるわ。だから今準備してるんだもの」

 

 二人が神社に着く頃、霊夢は既に境内にて出撃準備を整えていた。お祓い棒と御札等を備えて、陰陽玉も所持している。

 里が比較的無事なのは察しているようで、特別大急ぎするというわけではなかったが、しっかり準備をしているという事で二人は安心していた。

 

「前代未聞の大異変よ。きっと相手は普通の妖怪じゃない。あんた達はこの神社を守ってなさい。里のことは里の人に任せましょう」

 

「地面もグチャグチャだし里はもう大混乱だよ。外に出られないよう結界は張ったんだけど……」

 

「外に出られないなら、大丈夫かもね。にしてもこの天気は……酷いわね。この風も雷も、同じく異変の現れだわ。普通の風じゃない。となれば、風を大規模で操れる奴が相手ね、きっと」

 

「風と雷……文とお父さん?」

 

 霊麗がポツリと漏らす。霊愛は、雷に関しては父ではないかと予想していた。しかし、この風が文によるものだとは思えないでいた。

 というのも、文は妖怪の山組織の一員なので、そんな事をすれば、組織の中で浮いてしまうからである。今ですらかなり浮いている存在なのに、更に浮くようなことはできないはずだ。

 霊愛はそう考えているが、霊夢の考えは二人と違っていた。

 

「これは多分、か─────」

 

「おーい、霊夢〜!!」

 

 三人が話していると、大慌てという様子で箒に跨った魔理沙がとんできた。もう瞬間移動できるようになったはずだが、魔力の消費は、最小限に抑えたいのだろう。

 

「魔理沙、あんたに構ってる暇は無いんだけど」

 

「構うも何も、今は異変だろ?行こう、さっさと終わらせないと、幻想郷が大変な事になる…!」

 

「……やっぱりそう思うわよね。急ぎましょう」

 

「だな!」

 

 と、二人で飛び立とうとしたまさにその瞬間。風に煽られながら、埴輪兵長・杖刀偶磨弓が空を飛んできた。

 方角的に、向かう先はこの博麗神社らしいので二人の方から彼女を空で迎えた。

 

「何の用?これから忙しくなるんだけど」

 

「あの、エスカルゴさんは今どこに?袿姫様が、彼から返事が無くてどうも妙だ、胸騒ぎがすると仰っていて……」

 

「…!そうだ霊夢、エスカルゴはどこだ?まさかこの雷、エスカルゴが起こしているんじゃ……?上空から見てみた所、ちゃんと里を狙ってるわけではないようだが、所々、里の中にも雷や隕石は落ちてるぞ。エスカルゴって確か、隕石を落とす魔法も開発してたはず……だよな?」

 

「まさか、あのバカが……?いや、でも、敢えてろくに狙わないで適当に落とす意味は……?」

 

「……彼を探しに行くんですよね?でしたら不肖磨弓、あなた方に同行させて頂きます!」

 

 ドンと胸を叩き、誇らしげに磨弓が言う。だが二人はあまりいい顔をしない。特に霊夢は露骨に嫌悪感を示している。

 

「あー?勝手なこと言ってんじゃないわよ、すぐ割れる埴輪風情なんてお呼びじゃないわ」

 

「私を見くびってもらっては困ります。私だってあれから強くなったんです」

 

「「……」」

 

「霊夢、こんな所で話していても時間の無駄だ。行こう。話はそれからだ」

 

「……わかったわ。だけどね、磨弓。私達の足を引っ張るようなことがあれば置いていくからね!あと逆らうんじゃないわよ!」

 

「わかりました。精一杯、頑張らせて頂きます」




隕石が落ちて地震が起きる前から液状化していたのは諏訪子の《坤を創造する程度の能力》によるものですね。あれ、地面を操るような能力なので凄く強いですよね。
因みに、今は信仰心(畏れ)が足りてないので、少しずつ沈める程度の液状化しか起こせません。それでも足を置いた場所が悪ければ重い人は足を取られそうですけど。

建物すらも飲み込む液状化した地面、落ちまくる隕石、晴れなのに台風並みの暴風、降り注ぐ雷…俺なら怖くて失神します。多分。
はてさて、1面〜EXボスは誰になることやら。

R18のタグがついている本作ですが、R-18G書いてみていいですか?

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