「隕石、落雷、暴風って何なのよ、こんなの滅茶苦茶すぎでしょ……!何から片付ければいいのか全く分からないわ!」
「お得意の
「イマイチよ。竹林で迷ったときみたいに、勘も迷走してるわ。人里の上空のあたりに、黒幕級が散らばってるような気配はするんだけど……」
「今回ばかりは、勘よりは気配をアテにした方が良さそうだな。で、どうする?どこから向かう?この暴風の中をいつまでも飛び続けるのはゴメンだからな、まず先に暴風の犯人をとっちめたいんだが」
「と言ってもねぇ……」
上空は、台風かそれ以上の強さの暴風で、地上よりも酷い事になっている。更に、里に近付くにつれて風は強まってきている。
真っ直ぐ飛ぶことも難しいこの状況では、まず暴風の原因を除きたいと魔理沙が考えるのも無理無いのである。
「あの……」
「ん。どうした磨弓」
「私、結構な距離を飛んできたんですが……この風について、今もさっきも妙な事があって……」
「妙な事だと?一体どんな?」
「私は、地上に出てから一切方角を変えず、博麗神社に真っ直ぐに向かいました。当然、道中では多くの木々を見てきたのですが、それがどうも、一定の方向に吹かれているワケではなさそうで」
「つまりどういう事だ?木々がどうしたって?」
「この風は真っ直ぐに吹いているワケではない、ということです」
「???」
磨弓が何を言ってるのか分からない、と言った風に飛びながらも小首を傾げる魔理沙。しかし、何かを理解した霊夢は、小さく頷き磨弓に肯定の意を示す。
「……成程。何となく言いたい事が分かったわ。この風、円を描くように吹いてる。つまり、円の中心に風を吹かせてる犯人が居る」
「円を描くように?何でそんなのわかるんだよ、風が見えてるワケじゃあるまいし」
「見えるわ。物体を介せばね」
「物体だと?……まさか」
「磨弓が言ったように、木々を見るのよ。見て、私達の下。この地点では私達から見て左から右へ横風が吹いてる。でも……」
10時の方向を指さす霊夢。そちらを見てみれば風向きは自分達から見ての追い風になっている。反対に2時の方向を見てみると、自分達から見て向かい風になっている。生憎、人里の向こう側は視認できないが、この分ならば流れに沿っているのはもはや確認するまでもない。
「何だと……?じゃあこの風は、里を中心にして時計回りに吹いているって事なのか?」
「そうね。この地点で風が横向きってことは……向かうべき方向は、このまま真っ直ぐだわ」
中心に近付く毎に、風は段々強くなってくる。元々風に煽られていた磨弓が、飛ばされることも出てきた。いくら磨弓が埴輪だからって、これはとんでもない暴風だ。
やがて人里の上空に入って、四本の御柱を背に装備した一柱の神が三人を迎える。
「やっとここまで来たか霊夢、魔理沙。えーと、あと一人は……」
「私は杖刀偶磨弓!埴安神袿姫様に仕える、埴輪兵長だ!!」
「そう、あなたが埴安神の手先ね……。埴安神が首を突っ込まないよう彼との通信を断っていたんだけどねぇ……それが裏目に出たか」
「神奈子……!あんただったのね、とんでもない風を吹かせているのは!」
「そうよ。私は風の神でもあるからねぇ。まぁ、かかってきなさい。私を倒せたら、質問に答えてあげる。……かもね」
「なら一気に終わらせてやるぜ!恋符『マスタースパーク』ッ!!」
様子見も何も無く、魔理沙はさっさとマスパを放つ。これからの事を考えれば魔力は多めに温存しなければならないので、さっさとケリをつけるしかない。
しかし、相手が神奈子ともなるとそう簡単には決着がつかないのは間違いない。
「甘いねェ魔理沙。それが幾度となく異変を解決してきた魔法使いの攻撃か?
「風のバリア、だと……!?」
マスパは神奈子の前でふっつり途絶えている。しかし、結界などで受け止めているわけではないようだ。自身の前に局所的な暴風を発生させて、マスパを掻き消しているらしい。
マスパがバリアに触れている間、その周囲にとんでもない風が吹き荒れる。その強さたるや、霊夢や魔理沙でも吹き飛ばされそうなほどだ。
「瞬間的にならともかく、長時間受け止めるのはあの天狗でも無理だろうねぇ。ここに空気が存在する限り、私の力に終わりは来ない」
「なら畳み掛けるだけだ!霊夢、やれッ!!」
「ったく、あんたは一人でカッコつけすぎなの!霊符『夢想封印 円』!!」
霊夢は自身の周囲に円のように大玉を配置し、そこから細長い弾幕を神奈子へ放つ。しかし弾の密度は薄く、あまり決定打にはなっていない。
かと思いきや、自身を囲っていた大玉を一息に全て放つと、その連続攻撃によって風のバリアを一瞬弱くさせた。
「今だッ……!ハアァアアァァァッ!!!」
バリアが弱くなったその刹那、魔理沙は出力を上げてバリアごと神奈子を貫く。それでも相手は神だ、その強さは尋常ではない。それが分かっている魔理沙は、彼女にマスパがヒットしてからも暫くは攻撃を続けていた。
霊夢はその間、逃げるなどの動きがあればすぐ動けるようにと身構えていた。
やがて荒れ狂う風がゆっくりと弱まっていき、それを感じた魔理沙が攻撃をやめると……。
「まだまだ青いね、魔理沙」
「ッ……!?」
神奈子が御柱を持って、高速で接近してきた。見るからに重そうな柱を、何の苦もなく振り回すその様は、何となく怪力な妖怪を彷彿とさせる。
咄嗟のことで魔理沙は緊急回避が遅れたのか、自らが乗ってる箒に柱が掠り、バランスを崩す。それにより生まれた隙を、神奈子は見逃さない。
「あれくらいの攻撃、この御柱一つで防げるよ。これから先があるのは分かっているんでしょう?だからと言って手を抜くと、こうなる……!!」
真上から御柱を投擲し、落下しかける魔理沙へ追撃を加える。回避叶わず被弾した彼女は、声も上げられず地面へ落下していく。
「まだまだだ。魔理沙はしぶといからねぇ……」
お米のような弾幕に御札の弾幕を上乗せして、更にダメ押しする神奈子。魔理沙が墜落するまで手を弛めるつもりは無いらしい。
「『夢想天生』!!」
「むっ……これは……ッ」
御札の方の夢想天生だ。超高速・超高密度で、それに背後から襲われた神奈子は、皮肉にも己が狙った「撃墜」を霊夢にされてしまう。
なお、神奈子の落ちる先には先に墜落していた魔理沙がミニ八卦炉を構えており、霊夢達に挟み撃ちにされた神奈子は全身に被弾してしまった。
◆
「アイタタタ……。容赦ないねぇ二人共」
墜落していた神奈子を無理矢理起こし、霊夢と魔理沙は彼女に軽く質問を始める。しかし彼女にしっかり答える意思が無いのが早々に読み取れた霊夢達は、黒幕は自分達で見つける事にした。
「初っ端からあんたが相手だし仕方ないでしょ」
「どういう意味なのやら。まぁ、私はもう神社に帰って大人しく寝てるよ。既に目的は達成されているからね」
「何ですって……?」
「私が言えるのはここまで。じゃあね、二人共。くれぐれも気を付けるんだよ。二人に神の加護があらんことを」
(神の加護って……あんたが神でしょうに)
わざとらしく祈った神奈子は、暴風を止ませて守矢神社の方角へ飛び立った。これにより何とか空を飛べるようにすることはできたので、一先ずこれで良いだろうと二人は思うことにした。
「それにしても魔理沙?あんた、ちょっと油断がすぎるんじゃない?なんで御柱なんか食らってんのよ、しかもダイレクトアタックなんて」
「ちがっ、油断してたわけじゃないんだ。警戒はしてたよ。してたんだが……。まさか、神奈子があんなに速く動けるなんてな。前に戦ったときはあんな動き見せなかったのに……」
「文と同じよ。風を利用して高速で移動したの。そしてきっとアレも本気じゃない。殺し合いではなく、弾幕ごっこという枠の中でも、もっと強い力を発揮してもおかしくないのに」
「やれやれだな。神様にとってこの戦いは……」
「私達以上にお遊び感覚……なんでしょうね」
「「……はぁ〜……」」
自分達がどれ程頑張っていても、神からすれば単なるお遊び……もしくはそれ以下に過ぎない。下手をすれば、暇潰しにしかなっていないのかもしれない。
そう思うと自然に大きな溜め息が漏れてしまう二人であった……。
「……ところで磨弓はどこに行ったんだ?」
「えっ」
磨弓が消えていることに今更気付いた二人は、どうしようかと暫く悩んだ後、異変解決に向けて再出発することに決めた。元より磨弓は、勝手についてきたようなもの。故に、面倒を見る必要はないと非情な判断を下したのであった。
☆誇り高き埴輪兵長、暴風で戦線離脱───!?
というわけで、1面ボス:八坂神奈子でした。
1面ボスなので、メチャクチャアッサリですね。
弾幕ごっこというよりは、非想天則のような弾幕格闘形式になりますね。いつもの事です。
R18のタグがついている本作ですが、R-18G書いてみていいですか?
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おk
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アカン