※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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第二次地底トーナメント:ダブルス編

「はいはいどーもー、リスナーの皆こんばんは!にとりんレイディオの時間だよ!毎度お馴染み、司会者の河城にとりと!」

 

「鍵山雛です!今日も沢山のお便りありがとー!今日はね、放送の最後に、にとりからお知らせがあるみたい!最後までよーく聞いてね!それじゃまずはお便りコーナー!」

 

「じゃあ今日は雛から読んでもらおうかな?」

 

「ペンネーム『百合ラブ吸血鬼くん』さんから。

『私は異変解決の時……小悪魔の娘達が起こした

「淫霧異変」ってありましたよね。異変の時に、博麗神社で霊夢と魔理沙を目撃した時ですね……あの霊夢が魔理沙を押し倒して、襲ってた時……生の百合を初めて見た時……なんていうかその、下品なんですが……フフ……勃起………しちゃいましてね』……あらまぁ」

 

「雛!?そこ強調しなくていいんだよ!?」

 

「大文字で書いてあるんだもの。しかも太文字」

 

「放送事故だよまた!!」

 

 またもや放送事故を起こしたラジオだったが、それ以降は何事もなく順調に進み、ついに終盤に差し掛かる。すると、ようやく、リスナーが首を長くして待っていたお知らせとやらが始まった。

 

「オッホン!結構重要なお知らせだから、よーく聞くんだよ!……この度、我々河童で、もう一度地底で大会を主催することになったよ!ただし!今回は前回と違って、ダブルス戦だーっ!!」

 

「わぁ〜!すごく楽しそう!」

 

「でしょでしょー!ダブルス、つまり2対2だ!盛り上がること間違いなしじゃないかな!?」

 

「そうね!それで、大会はいつやるの?」

 

「大会は一週間後!ルールは前回と大差無いから現地で改めて説明するねっ!応募数が多い場合は予選するつもりだけど、想定内だったらそのままクジ引きで、ぶっつけ本番のトーナメント方式!なお、前大会優勝者のエスカルゴ・スカーレットさん、準優勝の博麗霊夢さんは、出場する場合は予選無し、それとシードになるからね!」

 

「シードってなぁに?」

 

「シードってのは、トーナメントでたまにある、端っこの飛び出てるアレだよ」

 

「あぁ、二回戦から参戦してくるアレね」

 

「それと、もし今回エスカルゴさんか霊夢さんが優勝or準優勝したら、次の大会があればその時はスーパーシード、つまり二回戦から参戦になる!その上は……実装予定は無いけどね!」

 

「断ることって?」

 

「断ることはできるよ!でもシード権を他の人に譲ることはできないよ!」

 

「なるほどね〜」

 

「じゃ、一週間後までに相棒を見付けて、コンビネーションの練習だっ!屋台の方も、もっと沢山来ていいからね!」

 

「参加者、待ってま〜す!」

 

 

◆

 

 

「……だってよ、霊夢。俺らで組んで出ねぇ?」

 

「ヤダ」

 

 放送を聞き終えた俺は、すぐに霊夢を誘うが、アッサリと拒否されてしまう。尤も、霊夢が俺にデレてくれるのは主に二人きりの時だけなので、大会という公の場でコンビを組むことは無いなと俺としても予想していた。

 近くで一緒に聞いていた娘達は、即決でコンビ結成。最高にヤバそうなコンビだ。圧倒的霊力(パワー)でゴリ押ししてきそうだ。

 

「てか公共の電波にあんなこと乗せるような奴と組みたくないわね。しばらく頭冷やしなさい」

 

「まさか読まれるなんて思わなかったんだよな。許して?」

 

「ヤ・ダ」

 

「そう言うと思った。まぁアレだ。霊夢の相方は魔理沙だろ?わかってる、わかってるよ」

 

「もし出るならそうね。でも今回は出ない」

 

「へー、そりゃ何で?」

 

「私が誰かと組んで出るなら、私が優勝すること間違いなしだわ。勝利がわかってる大会なんて、つまらないもの」

 

 そう言って、フッと鼻で笑った。近くでそれを聞いていた霊愛は、チッと舌打ちをする。霊夢の強さは霊愛もよく分かっている上に、勝利を確信しているその発言に、何か思うところがあったのだろう。

 

「言うじゃねーかよ。意外と俺と誰かさんの組が勝つかもしんねーぞ?」

 

「それは多分無いわね。アンタって、それなりに誰とでも組めるけど、アンタとピッタリ合う奴がまるで居ないじゃない」

 

「そうかな?……そうかあ?」

 

「私から見れば誰と組んでも凸凹コンビよ。私と組んでも、ね」

 

「んー、じゃあ例えばへカーティアとかどうよ?俺が近接担当でへカーティアが遠距離担当でさ、圧倒的パゥワ〜でゴリ押しよ」

 

「アンタってそんな脳筋だったっけ」

 

「例えばの話だよ、例えば。こんな感じだったら勝てそうじゃね?」

 

「アンタが邪魔でへカーティアも魔法使えないんじゃない?」

 

「あう……」

 

「格上と組むなら足を引っ張る覚悟、格下と組むならその子をカバーする覚悟をしなくちゃ。同格ならそんな心配もしなくて済むんでしょうけど。それこそ、私と魔理沙みたいに?」

 

 ニヤニヤと笑う霊夢。相変わらず魔理沙大好きらしく、嫉妬のような感情を覚えてしまう。尤も魔理沙相手なら仕方ないと割り切れるが。

 

「同格ねぇ……同格?チルノか?」

 

「バカなの?」

 

「えー、チルノイイじゃんかよ〜。最近はもっと強くなってるじゃん」

 

「この前フツーに建御雷に負けてたの、建御雷の中でアンタも見てたんでしょーが」

 

「建御雷戦はノーカンだろうが。相性ってもんがあるんだよ。それに、組むのと戦うのとではまた別ってモンだろ?」

 

「それもそうだけどチルノはまだ力不足でしょ」

 

「一週間でレベルアップ……は難しいか。フランならと思ったが……ダメだ可愛すぎて戦えねぇ。いやでもワンチャンあるか」

 

「咲夜とかどうなのよ?確か時間停止が効かない体質になったんでしょ?アイツならアンタの手綱握らせてやれるわ」

 

「それも思ったが、どうもなぁ……うーん……」

 

 咲夜さんはきっとダメだろう。能力面の相性は良いが、戦術面の相性が最悪レベルだ。例えば、俺は遠距離でも近接戦でも戦えるが、咲夜さんが得意とするのは近接で、体術だ。もし咲夜さんが体術で戦うのなら、俺は手出しができなくなる。体術のコンビネーションは一朝一夕にできるようにはならないし、俺が使う体術は所謂喧嘩殺法。相性がこの上なく悪い。

 

「……相性となるとな……。やっぱ、思いつくのたったの一人しか居ないんだよな」

 

「もしかして巫月ちゃん?確かに巫月ちゃんなら能力的にも戦術的にも合いそうだけど」

 

「あぁ、やっぱりそう思う?へへっ、俺と巫月の相性サイコーだぜ?」

 

 肉体的な意味でもな、なんて言わない。それは禁句だ。言ったら社会的に死ぬ。アレは、永遠亭メンバーだけの秘密だ。

 だが生憎、娘と組む気は無い。それに巫月も、俺と組もうとしないはずだ。あの子の思考回路を理解していればあの子の組む相手は予想できる。予想が正しければ、巫月が組むのは────。

 

 

◆

 

 

「えっ?巫月……え?私と組むって……?」

 

「うん。鈴仙、どうせ出場するんでしょ」

 

 その頃の永遠亭では、同じく放送を聞き終えた皆が、大会の話で盛り上がっていた。サグメは、表情にこそ出ていないが、右翼をバッサバッサと上下に揺らして、今から楽しみそうにしていた。ただし、出場するつもりは無いらしい。

 そして博麗神社で話題に挙がっていた巫月は、なんと母の鈴仙と組みたがっているようだった。鈴仙はそんな娘の発言に目を丸くしていて、困惑気味に対応している。

 

「どうせって……まぁそのつもりだったけどね。でも珍しいわね、私と組もうとするなんて……。どういう風の吹き回し?エスカルゴは?」

 

「エスカルゴとは……組みたくないの」

 

「え……どうしたの?喧嘩してたっけ?この前もお盛んだったと思うけど」

 

 黙って俯いたまま、耳をシワくちゃにして首を横に振る巫月。こんな様子は中々見せないので、鈴仙はますます困惑するばかりであった。

 

「喧嘩はしてないよ。でも、私じゃエスカルゴの足引っ張っちゃうからダメなの。この前、霊愛に負けそうになったし。守られるのは……ヤなの」

 

「あ、私の足は引っ張ってもいいって事ね……」

 

「だって鈴仙だもん。守る必要も守られる必要もないでしょ」

 

「巫月……!」

 

 まるで、やっと母の強さを認めてくれたような発言に、この前の大会まで負け続けていた鈴仙は内心舞い上がるも、丁度フラッと現れた永琳が、巫月の本音をぶっちゃけてしまう。

 

「……とか言ってるけど、前大会でウドンゲからやられたあの攻撃(・・・・)がイヤなんでしょう?」

 

「え」

 

「二人共出場するとして、ウドンゲからの攻撃を受けない確実な方法といえば主に一つだけ。手を組んでしまうことよ。味方同士になれば、味方に攻撃する訳にはいかないから、自然と巫月ちゃん本人の安全も保証されるのね」

 

「あーもー、永琳せんせー!それ言っちゃダメなやつー!」

 

 可愛らしい動きで永琳をポカポカと叩く巫月とそれを受け止める永琳。鈴仙は師匠が何を言っているのか理解が及ばず、目を点にしていた。

 

「ウフフ、ウドンゲも巫月ちゃんもまだまだね。話を聞いているだけで十分に推理できちゃうわ」

 

「もー、永琳せんせーってばー!でもでも、エスカルゴの足を引っ張りたくないのも本心です!」

 

「わかっているわ。大体五分と五分でしょう?」

 

「うー……心読めてるみたい……」

 

「あっ、そうそう。ウドンゲ、巫月ちゃん。私は輝夜と組むことになったから、もし当たったら、その時はお手柔らかにね♪」

 

「「えっ……ええええええええっっ!!??」」

 

 深夜の竹林に、兎母娘の悲鳴が響く────。

 

 

◆

 

 

「ふぅん、次はダブルス戦ですって。あの河童にしては盛り上がりそうな案ね。どうする?」

 

「お姉様はどうするの?私は、お姉様と組んでも別にいいけど?」

 

 深夜の紅魔館。娘を寝かしつけたレミリアは、図書館で妹のフランドール、友人のパチュリーと三人で放送を聞いていた。

 静かに本を読みたいパチュリーは内心鬱陶しく思っていたが、楽しげに話す二人を見ていると、図書館では静かにして、などという注意は無粋なものに思えたのだった。

 

「そう?じゃあそうしましょう。どうせパチェは今回も見るだけでしょう?」

 

「ん……そうね。その方がいいわ」

 

「そう言うのなら仕方ないわね。パチェと組んでみたかったのだけど……。でもま、フランと私が組むなら、エスカルゴが誘ってきたら断らなきゃいけないわね」

 

「大丈夫よお姉様、エスカルゴはお姉様と組もうなんて1ナノも思っちゃいないから。もし候補に上がるなら、お姉様じゃなくて私よ♪」

 

「んなっ……!」

 

 尚、別室ではメイド長と副メイド長がコンビを結成していたのは言うまでもない。

 

 

◆

 

 

「へー、また地底で催し物があるんですね……。神奈子様達はどうするんですか?」

 

「私はパスだね。というより、サトリ妖怪が居る地底にもう行きたくない。この前の件もあって、余計に会いづらい雰囲気だからねぇ」

 

「そーね、ペットのお空に手を出したからねぇ。樹里愛……はダメか。戦闘経験がまるで無いし、危険だよねぇ」

 

「樹里愛にはまだ早いんですっ!」

 

 当の樹里愛は眠っている。早苗が、時間通りに寝かせているからだ。普通の目線で言えばこれが普通なのだが、身の回りが人外ばかりだと、逆にイレギュラーに見えてしまうから不思議である。

 

「早くないってのに、やっぱり過保護だなぁ〜。他の姉妹達と力の差が大きすぎて、異変の解決に行かせられないかもねぇ」

 

「その時はその時です!」

 

「ならば神奈子、我と組もう」

 

「お前、話を聞いていたのか?私はパスだ」

 

「チッ、つまらん奴だ」

 

「なら建御雷様、私と組みません!?」

 

「断る。もっと神力(チカラ)を高めてから言え。現人神と大差無いではないか」

 

「はぅ〜……」

 

 戦闘狂なはずの建御雷からは吐き捨てるように言われ、早苗はしゅんとなってしまう。こうして守矢神社組は誰も出場しないことになった。

 

 

◆

 

 

「夜分遅く失礼致します」

 

「あら妖夢、どうしたの?」

 

「ラジオ放送を聞いていたのですが、また地底で大会があるようです。今回はダブルス戦、2対2だそうです。本番は本日より一週間後とのこと。その他詳細な連絡は後日改めてされるものかと。どうなさいますか?」

 

「妖夢、あなたはどうしたいの?私はどちらでも構わないわ」

 

「私は出場したいです。力試しに、丁度いい機会だと思うので」

 

「なら私と組んでみない?」

 

「ゆっ…………だ、ダメです、私では幽々子様の足でまといになってしまいます!」

 

「ならないわ、大丈夫。なるとしたらきっと私。そうならないよう、一眠りしたあとで妖忌に稽古つけてもらおうかしら♪」

 

 主の思いがけない言葉に、思わずポカンとする妖夢。幽々子はそんな彼女を見て柔らかく微笑むばかり。

 そんな二人の会話を、少し離れた所で聞き耳を立てていた妖舞は、己がラジオを持ってなかったことを激しく呪った。それを持ってさえいれば、聞いてさえいれば、幽々子様にいち早く報告し、組めたかもしれないのにと。

 

「む、どうした妖舞?」

 

「っ!?……な、なんだ、じーちゃんか……」

 

 急に背後に現れた妖忌の気配に、妖舞は心臓が飛び出そうなほど驚いた。足音も気配も、息遣いすらも感じ取れなかった。瞬間移動で現れたかと思ってしまうほどだ。

 

「なんだとはなんだ。お主、こんな夜更けに何をしておる。早く寝なさい」

 

「トイレだよ、トイレ。今からトイレ行くとこ。じーちゃんこそ、こんな所で何してんだよ」

 

「厠じゃ」

 

「あ、ハイ……」

 

 不意に、曽祖父と連れ立ってトイレに行く事になってしまった妖舞。その帰り、妖忌はボソリと愚痴を零す。

 

「……妖夢の奴め、夜も寝ずにあんなモノに現を抜かしおってからに」

 

「聞こえてたの……?俺さっきまで寝てたけど、じーちゃん、俺より早く寝てなかったっけ……」

 

「無論寝ておる。じゃがの、寝ながら外の情報を取り入れるのも此れ修行也」

 

「うへぇ……」

 

「主の睡眠中に敵襲があった際、我々従者が眠りこけているのでは魂魄家の名折れ。じゃがお主はまず、成長してからこの修行を始めよう。肉体を育てぬ事には話にならん」

 

 本当は起きてたんだろと疑いたくなる話だが、日頃の妖忌の超人さを見ていれば、あながちウソでもなさそうだと思えた。

 齢1000歳を超えている彼の肉体も、全盛期より衰えているとはいえ、妖舞など足元にも及ばない強さを誇っている。剣術の腕もそうだ。

 

「……して、妖舞。お主はどうするつもりじゃ」

 

「どうするって?……あぁ、大会のこと?」

 

「そうじゃ。妖夢は幽々子様と組むと聞こえた。お主は誰かと組む宛てはあるのかの?」

 

「……無い。どーせ樹里愛は早苗さんが邪魔して出場しないんだろーし、姉貴……姉上なんて美鈴さんか咲夜さんと組むに決まってら。茜は多分、今頃外に行く勉強中……ってヤベ、今のナシね、聞かなかったことにしてよ」

 

「ほっほっほ、そうか、あの子は外に行くのか。紫様も相変わらずじゃの。……ならば妖舞、儂と組んでみるか?」

 

「……え?」

 

「共に修行しておるのじゃ、河童達が言うようなこんびねーしょん?などの修行を改めてする必要など無い。力試しにも良いと思うがの?」

 

「お、おお……!組む組む、じーちゃんと組む!じーちゃんが居りゃ千人力だぜっ!!」

 

「これこれ、そう持ち上げるでない。敗北した時恥をかくではないか」

 

 そう彼を諌める妖忌だったが、思っていたより妖舞が喜んでくれたので、たまにはこういうのも悪くないかもしれないな、と曾孫を優しく見守ることにした。

 

 

◆

 

 

 その頃、魔法の森……魔理沙宅では────。

 

「良い機会だ、魔理沙。私と出場しようか。まだ時期尚早かもしれないが……お前の修行の成果を皆に見せてやれる時がきた」

 

「私は魅魔様より霊夢と組みたいなぁ」

 

「つれないなぁ、寂しいじゃないか」

 

「へへっ……じゃあ昼間、霊夢に聞いてくるよ。もし霊夢が誰かと組んでたり、出場しないってんなら、その時は魅魔様と組むぜ。他の奴とは組む気になれないからな。パチュリーは出場しないんだろうし、アリスは興味を示さなそうだし……」

 

「そうか……。まぁ、それならいいかな。霊夢が出場しないことを祈っているよ」

 

「オイオイ、ひっどいなぁ」

 

「まだまだ甘いよ魔理沙。そう拘っていたのでは奴に抜かされるかもしれないよ?」

 

「ちぇっ」

 

 幻想郷、そしてその周辺の異界で盛り上がる、大会開催の情報。果たして今回の大会はどれほど多くの猛者が集うのか……どれほど激しい戦いになるのか……誰も予想できないでいた。




雛には卑猥な言葉を言わせたい。

前のトーナメントの時に頂いた意見なんですが、トーナメント表を罫線で作るとズレてしまう人が居るようです。こちらはそうなっていないので、恐らく機種によるのかもです。
ズレてるorズレてない、どちらが多いですか?

罫線トーナメント表はズレていたか?

  • ズレてた
  • ズレてなかった
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