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妖 藍 小 神 ア 幽 紫 袿
忌 & 町 綺 リ 々 & 姫
& 橙 & & ス 子 隠 &
妖 久 夢 & & 岐 建
舞 侘 子 あ 妖 奈 御
歌 り 夢 雷
す
「突如として頓悟した老庭師、近年冥界に戻る!見た目は老いてもその腕は老いていないのか!?どんな戦いをするのか!?しかも、パートナーは自分の曾孫!なんという異色のコンビなのか!!魂魄妖忌&妖舞ペア〜〜!!」
「お相手はスキマ妖怪の式、八雲藍と!その式、橙!!式という力を持つ二人はどんな戦いを繰り広げてくれるのか!?期待が高まるわね!」
「これはこれは、妖忌殿……!お久しぶりです。本当にお戻りになられていたのですね。何年ぶりでしょうか……」
「お久しぶりです、藍様。孫が気掛かりで戻ってきたらいつの間にか曾孫が産まれていたもので、酷く驚きましたわい。して、そちらは……?式、という紹介でしたが……」
「ええ。私の式神の橙です。ほら、挨拶なさい。妖夢のお爺様だよ」
「橙です!よろしくお願いしますっ!」
「ほ。あの藍様が式神とは……。この数百年で、成長されなさったようで。嬉しく思いますぞ」
「そ、そんな、昔を懐かしむような目で見ないで下さいっ!……橙、1回戦だが気合を入れるぞ。下手をすればここで負ける……!」
「は、はいっ!」
「ほっほっほ、そんなに持ち上げなさいますな。あの頃のような力はもう、儂にはありませんぞ」
「いえ、それは虚言でしょう。一見、隙だらけに見えるその立ち居振る舞い……寧ろあの頃よりも気配を隠すのが巧妙になっている。いや、気配を隠しているというより……自然に溶け込んでいるように私には見えます」
「本当に……成長されたのですな」
「…………」
それに対しては何も返事をせず、黙って後ろを向き橙の手を引いて妖忌、妖舞から距離をとる。そして、隣の橙にも聞こえないほどの小さな声でボソリと呟いた。
「嗚呼、もしこの世に巡り合わせの神が存在するなら……あなたは非情すぎる────……」
「あの辻斬り妖夢のお爺ちゃん、参戦ッッ!!!厳格そうな見た目とは裏腹に案外優しいッ!?」
(……あの人、どこかで見た事がある気が……?気の所為、かしら……。確か、
「よ〜し、それじゃそろそろ、Cブロック1回戦1試合目……始めっ!!」
「────参る」
妖忌は藍、妖舞は橙の前に立った。合図と共に構え、そして構えと同時に姿を消す。まるで瞬間移動の如き速度。気が付けば、藍も橙も、地面に膝をついて前のめりに倒れている。
「「峰打ち
妖舞は手から出していた刀を手に、妖忌は鞘に納刀する。二人の動きは、このコロシアムに居る誰の目にも映らなかった。
「「「〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ」」」
観客は息を飲んだ。何も見えなかった。何も。あまりに一瞬の勝負で、理解が追いついていないようだった。ある意味、手に汗握っている。
「なッ、なんということだァ〜〜〜!?決着が、決着が早すぎるッッ!!圧勝!完勝!完封勝利!これは強すぎるッ!最初から凄い試合だったね、雛!……雛?」
試合中から黙っている雛に話を振ったにとり。どうやら雛は、口元に手を当てながらワナワナと震えているようで、どうも様子がおかしい。
「どうしたの?」
「……思い出した……!あの男だわ、アイツ……アイツ……ッ」
「何かあったの?」
「確か、500年くらい前かしら……。突然妖怪の山に討ち入りしてきて、千、いや万を超える数の天狗を殺して……先代の天魔様をも殺害した上、天魔様の愛刀『風来丸』を奪ったとも言われる、伝説の半人半霊……『山の冥王』ッッ!!」
「めめめめ、冥王ッ!?」
「確かね。確か、そう呼ばれてたはずよ。でも、頭に『山の』ってつけるあたり、天狗のセンスは今も昔も変わっていないのかもしれないわね」
「そう呼ばれた事もあるが……お主、あの頃から生きておるのか。厄神とはいえ神、か」
「成程、そんな事件があったんだねぇ。私はまだ産まれてない頃かぁ。殺した、って割には天狗は数多く存在してるよね。産めよ増やせよの時代もあったのかな。……あれ?でも、お爺ちゃん天狗とかオジサン天狗ってあんまり居ないよね……?大天狗さんはオジサンだったけど」
「実は、現在の天狗社会って、どの種族も若年化してるのよ。文とかはたてみたいに、千年くらい生きたか、それよりも若いくらいの天狗が多数を占めてるの。それも全て、当時大人だった天狗はあの男の手で葬られたから……っ」
「正確には『当時大人で立ち向かってきた天狗』じゃの。未来ある幼子を殺すのは忍びなかった
「それでも、かなり大きな騒ぎになったはずよ。それこそ、山の英雄……彼が討ち入りした時よりずっとね。長の命が奪われたんですもの、その分行きより帰りの方が襲われたわよね?」
「そうじゃったな。万も斬れば血脂で我が愛刀が使えなくなったので、奪った得物を使ったら……奴らめ、より一層数を増やしおって」
そりゃそうだ。長が殺され、愛刀も奪われて、ましてや使われたとなったら、無視を決め込んだはずの者だってキレるだろうし、命を捨ててでも妖忌に挑んだはずだ。
つまり当時の妖忌は見事なまでに天狗の地雷を踏んでいたらしい。いや、踏んだどころのレベルではない。まるで地雷原でタップダンスだ。
「昔は随分とファンキーな人だったのね、妖夢のお爺さん……。恐ろしいわね」
「永琳先生もそう思いますか。怖い話っすね」
「もしかして、妖夢の辻斬りな要素って、あの人由来なんじゃないの……?」
「あら、ウドンゲにしては良い考察ねぇ。案外、そうかもしれないわね」
討ち入りされたことで、それだけでプライドも傷付けられただろう。そしてまんまと長を殺られその愛刀も奪われる。更にはその愛刀にて仲間を葬られた。天狗がキレる要素を煮詰めて濃縮したような行動ばかりしている。
「そ、そんな山の冥王が、こんな大会に参加するなんて……!これは、まさかの優勝候補かも!?これは期待するしかない!!英雄と冥王の戦いも有り得るかも!!」
(思い出した瞬間怖くて鳥肌が止まらなくなったけど……、丸くなったのかしら……?何にせよ、今ここに天狗達と天魔様が居なくてよかった……もし彼を見られたら、昨日のエスカルゴさんより手が付けられなくなったかもしれないわね……。主に天魔様が荒れそう……)
やがて始まった2試合目。小町と久侘歌という閻魔の部下コンビと、母さんと夢子という超火力コンビの戦いだったが、母さん達が老獪なコンビネーションを見せつけた結果……そちらに軍配が上がった。
この戦果により、母さんと久侘歌の対面結果が少々不安だったが、試合後に談笑している二人を見て、ホッと胸を撫で下ろした。
そして3試合目。姉ちゃんと妹によるペアと、幽々子さんと妖夢ペアによる試合は……僅差とはお世辞にも言えないが、それなりにはいい戦いをしたと思う。
結果としては幽々子さんと妖夢の勝利。長巻の幽々子さんと長剣の妖夢……。見慣れたコンビのはずなのに、幽々子さんの武器のせいか、未だに見慣れない感じがとてつもなかった。
「いよいよ始まるわ4試合目!これはこれで凄く激しそうな戦いになりそうね!!」
「妖怪の賢者と秘神ペア、そして神様コンビ!?何ッてヤバい組み合わせなんだァァァァッ!?」
「フフフ……お前と知り合って長いこと経つが、そういえば組んだことは殆ど無かったな、紫?」
「会うこと自体が稀だもの」
何故賢者コンビと言わないのか……と思ったがそうだ、隠岐奈が賢者なのはあまり公にはなっていないんだった。だが、彼女が秘神というのは、ここで言える程度には広まっているらしい。
というより袿姫と建御雷が手を組んでいるのが何よりも衝撃的だ。なんでこの二柱が。まさか、俺経由で知り合ったからだろうか。
「ククククッ、素晴らしい舞台だな袿姫。壊せど壊せど、神綺が無限に直してくれる……!!」
「あまり頼りすぎてはダメよ?迷惑だもの」
「フン、さして問題はあるまいよ。我は奴の主な守護神。下手をすれば神綺以上に守護していると言っても過言ではないだろう」
「それは過言ね」
「うむ、過言だったな」
共に日本の神だからか、袿姫と建御雷の相性は悪い感じはしない。何ならベストパートナーとも思えるほどだ。
紫さんは実質神の力を持っているに等しいし、この勝負、殆ど神&神vs神&神みたいなものだ。なんというカオスさだろう。
「子供の姿じゃあ舐められるかもしれないわよ?大丈夫?」
「その点は大丈夫だ。紫とやらのことは少し前に一捻りしてやったことがある。隠岐奈は、先日の異変で我と組んだしな」
「えぇ?あなた、そんな冗談言うタイプだっけ?何万年も経って丸くなった?隠岐奈の件なら磨弓から聞いて知ってるけれど……アッチを一捻りは流石に無理があると思うわよ?」
「冗談ではないわ、何を言っておる。我の分社が守矢神社にあるのだがな、そこに注連縄を勝手につけようとしたのだよ、彼奴は」
「分社なんかに注連縄をつけたって大した抑制にならないじゃない。好きにさせればいいのに」
「好きにさせては沽券に関わる。妖怪なんぞに、我の力をどうこうさせてたまるか」
「あなたらしいわ。まぁ、またあなたに任せようかしら。どうせあなたの能力なら向かう所敵無しなんじゃないの?」
「まぁな。だが、お前はそれでいいのか?磨弓も見ているぞ。怠惰な姿を見せてもいいのか?」
「構わないわ。あとで見せ場は来るからね」
「フン……強かな奴め」
「とりあえず戦闘不能にさせれば勝ちってねぇ?あなたとエスカルゴくんに有利なルールね。尤も運営はそこら辺まで考えてないんでしょうけど」
「クカカッ、違いない」
「な〜んかサラッとディスられた気がするけど、一応ちゃんと考えてるよ!それじゃ、始め!!」
弾幕を放つ隠岐奈、紫さん、袿姫。建御雷は、弾幕を使わずに二人の方へ飛び込んでいく。すぐ拳を振るうかと思ったが、そうでもないようだ。建御雷は、あの二人の能力を知っているからかもしれない。遠距離から攻撃するのは不利だろう。
「まずお前からだ、隠岐奈ァ!!」
「紫より私を選ぶとは……この物好きめ!」
距離を詰めた建御雷は、やはり拳を繰り出す。隠岐奈は弾幕で対応……ではなく、意外にも手で彼の拳を受け止めた。隠岐奈に格闘のイメージはこれっぽっちも無いが、できなくはないらしい。
「気色悪い言い方をするな!」
飛び退き、再び構える建御雷。隠岐奈はかなり脱力しているようだが、あれで彼の拳を受けたのだから、やはり奴の事はわからない。
「はははは、実際そうだろう?だがそれもよし。私を倒せるのなら倒してみるがいい!痺れさせることができるならな!!」
「秒・殺・だッッ!!」
拳の当たらない距離から両手両足による連撃を放った。何をしているのかと思えば、次の瞬間、貫通力に優れたレーザー群が出現して、隠岐奈、とばっちりで紫さんのことをも穿いた。
「いたたた、思ったより痺れるな……、お前の器からの攻撃はさして痺れなかったが……!」
「やりにくい相手ね……。だけど私達だってただでは負けないわ、武甕槌命様?」
「白々しいぞ八雲紫。神の力を封じようとする、不届き者めが」
結局、結果は建御雷の圧勝だった。袿姫なんて観客席の磨弓と喋っていたが、その間に建御雷が紫さんと隠岐奈を痺れさせ、戦闘不能に陥らせたようだった。
その試合を見ていた永琳は、眉間に皺を寄せて露骨に溜め息をついた。俺が見てもわかるほどの演技だ、そんな顔をするのも仕方ない。
◆
「─────さて。あとはあの二柱の観察ね」
「そうだな。ゆっくり観察するとしよう」
「本当に、最後まで埴安神は動かなかったわね。かといって武甕槌命の力も量れず……。ダメね、手の内を隠しまくってるみたい」
「それは仕方ないさ、それが神だ」
「でも、あんなんじゃ隠岐奈の方が舐められるんじゃない?力を失ったらまずいんじゃ?」
「問題ない、私の神力はほぼ無限さ。ところで、お前の目的達成に支障が無いかどうかだけが不安なんだが……?」
「問題ないわ。埴安神袿姫、武甕槌命の観察さえできれば、ね。ただ、私の演技がクサすぎて霊夢からはジト目で見られちゃったけど。永琳からもだけどね」
「演技の練習が必要だな」
「必要ないわ、そんなもの。私に足りないのは敵だけだからね」
「そう言うんなら今本気で戦えばよかったのに。やっぱり損してるよ、紫は」
「公の場で本気を出す訳にはいかないでしょう。悪魔連中が下手に調子に乗ったらどうするのよ。世界を作ってしまうような双子の悪魔まで来てるなんて相変わらず最悪よホント……。なんだってエスカルゴはあんなのと繋がりがあるのかしら」
「仕方ないさ。好奇心・探究心が旺盛なのは彼の良いところじゃないか。それに彼なら上手いことコントロールしてくれるさ」
「隠岐奈は楽観的すぎなの。私はもっと幻想郷の安全を保つようにしてほしいのだけど?もしも、幻想郷を危険に陥らせることがあれば、その時は世界間の結界を張らなくちゃいけないからすごく大変なのよね」
「ま……それも一つの考え、か」
賢者とはいえやはり分かり合えない奴はいる。考え方の根本が違えば、いくら仲が良くても真の意味で分かり合うことなど不可能に等しい。
隠岐奈と紫さんは、この大会……今の会話から改めてそう思い至ったのであった。
トーナメント後の話を2話並行して書いてたら、こっちが遅れてしまった。並行とは一体……。